2013年04月01日

「GUILD 02」 各作品の感想

ニンテンドープリペイドカード3000円


全体感想はこちら

と言うわけで、個別タイトルの感想です。いずれも、最初にまとめを書いて、下に詳細を記述する書式になってます。


「虫けら戦車」
・良くできた「戦車遊び」。でも、データとシナリオ何とかしろ

虫けら戦車は、二次大戦末期に、スモールライトを浴びたごとく小さくなってしまったドイツ軍戦車部隊が、虫けら相手にサバイバルするゲームです。
アクションの割り切り方は見事で、自車の操作と砲塔旋回以外はフルオート。装填・射撃はオートで、俯角の調整という概念はなく、戦車という七面倒くさい操作系の車両を気持ちよく動かせます。
こう書くとお手軽単純で「戦車っぽくない」と思われるかもしれませんが、砲塔と車体だけに専念できるので、「右側面に砲塔を向けて、虫けら相手に相手にドッグファイト/一人T字戦法」、「後方に砲塔を向けて主砲を乱射しつつ全力逃走」と言った「戦車らしい」動きが手軽に行えて、楽しく遊べることになります。

ええ、「楽しく遊ぶ」と言う言葉がしっくり来るゲームです。無意味にリアルに作られた虫けらCG相手に88ミリをぶっ放しながら森の中を動き回っていると、庭に戦車のオモチャを持ち出して遊んでいた、幼い日々に戻った感じがするかもしれません。アリって虐殺対象だったよなあ、とかね……

一方、その反動なのか何なのか、実在戦車が大量に登場するにもかかわらず、戦車の性能が滅茶苦茶なのは何なんでしょうね?砲塔と車体をペナルティ無しに組み合わせられるのは全く正しい(制限あったらつまんないじゃない!)「アンリアル」なのですが、ファイアフライの威力が軽戦車以下とか、T34のこの性能何なのとか、いやIV号ってそんな圧倒的じゃねえよとか、「細かくない」問題が山盛りなのはちょっとどうかと思います。もうティーガー最強伝説に文句言うほど狭量じゃないですが、データ入れ間違ったとしか思えない力関係はやめて欲しかった所。と言うか、使えない車両が多すぎるんですよ。もう少し性能の格差をマイルドにすれば、「俺はIII号で戦い抜くぜ!」みたいな楽しみ方もできたと思うのですが。

そしてもう一つの問題点が、「話がサッパリ終わっていない」という所で、こちらは多分弁護の余地無し。何しろ、「連合軍の仕業じゃありませんでした」というのが解ったところで話は終了。アニメで言えば全52話中13話くらいの辺りです。どう言うつもりなのか、赤軍部隊とも戦わせてくれないし……
とにかく、未完というレベルではないので、これはもうどうしようもありません。別に細かいシナリオが必要なゲームでもないですし、終わらせない理由を説明して欲しい所です。

と言うわけで、良くできてるんですが、以上二点でお勧めしきれない困った作品。面白いんですけどねえ。



「怪獣の出る金曜日」
・「ぼくのなつやすみ」類型のお使いアドヴェンチャー。雰囲気はいい……のか?

「怪獣の出る金曜日」は、昭和47年辺りの世田谷区を舞台にしたぼくのなつやすみみたいなAVGです。テーマはウルトラマン。以上!
と言う、潔い作りの良く見るタイプのゲーム。制作者がぼくのなつやすみの人なので、パクリと言う話ではなく、単に「またか」と言って上げるのが正しいかと。

ああ言う雰囲気自体は嫌いじゃないのですが、ゲーム内容はただのお使いだし、ミニゲームはシナリオとリンクしない(雰囲気は良く出てますが)上にゲーム性が低く、余り誉められない作品です。そもそも時代考証おかしだろう(オート3輪が走るあの風景は、大目にみても1960年代まででしょう。つまり、10年ずれてます)と言うのも、減点ポイント。

ただ、やっぱり雰囲気が悪いわけではないので、こう言うのが好きな人は気に入るかもしれません。例によってプレイ時間は短いですし。
個人的には、もう少しキャラクターを立てられていれば、だいぶ違ったかと思います。印象に残らないんですよね。(一名除く)

で、これもシナリオ未完なんですが、一区切りついているので虫けら戦車ほどのぶつ切り感はありません。前作GUIL01収録「クリムゾンシュラウド」のように、短編・1エピソードとして完全に独立しているほどの完結性を持っていないのは、やや厳しいところ。


「宇宙船ダムレイ号」
・不親切だけどギリギリセーフ。でもオチ……

操作説明すらない主観視点AVG。操作説明もないのはゲーム性のうちとのことですが、それほど意外な反応があるわけでもなく、本当にただ不親切なだけになっているのが辛いところ。
攻略も、無駄な行程を踏ませる点が幾つかあって(容器取得→オイル入れる までは解っても、それを熱するという発想はありませんでした)、詰まると本当にはまります。まあ、攻略サイトが発展した昨今、別に問題ではないのかもしれませんが。

とは言え、ファミコンAVG時代をくぐり抜けてきた我々のようなオールドゲーマーにとってはそよ風みたいな物。ヒル全殺しを普通に達成しつつ、3時間もあればクリア出来るでしょう。ただ、おまけ要素のトリガーは厳しいので、素直に攻略サイトを見るが吉。「何処にあるか」「何をやるか」の目星はちゃんとついていても、キーアイテムを発見できずにサイトを見る羽目になりましたから。

一方、操作ミスを誘発しない事を主眼に置いた操作系は悪くないのですが、単純なFPS方式の方が楽だったんじゃないかとか、ショートカットルートもっと寄越せとか、引っかかる点があるのも確か。もっとも、この値段の小規模ゲームとしては、多分最適解なんだろうなと思います。恐らく一番違和感のある90度方向転換システムにしても、ああするのが一番楽なはずですから。

それと、おまけ要素とったんだから、エピローグはもう少し真っ当な物になりません?せめて、彼のその後くらいは明確にして良かったのでは?あのままだと、単に記憶が混乱した○○を操作させられていた、と言う凄く後味の悪い話にしかならないのですが。
スッキリしないのは多分制作者の意図通りなんでしょうが、あのAVGをクリアさせられた結果が何も明かさないエンドでは勘弁してくれと言いたくなります。


とまあ、全三作、操作性や雰囲気などは良くできおり、基礎部分の欠点は小規模ゲームとして必然なものが主。いずれもシナリオ以外良くできている、と言う事になるかと思います。
今作は個別に売ってますので、気になった物だけプレイするくらいの感じでいいじゃないでしょうかね?個人的には虫けら戦車が一番面白かったです。
こう言う勧め方になってしまうのが、つまり全体感想の方で書いた問題なわけですが……



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2013年04月01日

一長一短/NINTENDO 3DS 「GUILD 02」 全体の感想

ニンテンドープリペイドカード3000円

↑なんで貼り付けられてるのがプリペイドカードの書影(?)かというと、今回のGUILDはDL専売だからです。

なお、前作「GUILD 01」の感想はこちら


GUILDシリーズは、LEVEL5が創設した小規模ゲーム集のブランドです。今回の収録作は「虫けら戦車」「怪獣が出る金曜日」「宇宙船ダムレイ号」の三作。本記事は、シリーズ2セット目全体としての感想です。
前作が松野泰己や須田剛一と言った一部に有名所を集めていましたが、今回は「ぼくのなつやすみ」の制作者や稲船敬二と言った、少しメジャー寄りの人材を集めた感じでしょうか?

さて、小規模ゲーム集と言う事で、今回は全体と各タイトルの感想を別に書いていこうと思います。要は、長くなってしまったので記事を分けてるだけですが。
てなわけで、個別作品の感想はこちら

そして、いつもの通り本記事(全体感想)の結論を最初に書くと、以下のようになります。

全体の感想:
値段よりは楽しめる作品が揃っていて、クオリティコントロールは良好。ただ、この売り方は意味が無いのでは?


各作品については詳述記事を読んでいただくとして、クオリティは非常に安定しています。3本中2本がAVGと言う事でジャンル特有の面倒くささ(移動やフラグつぶしの冗長さ)はあるものの、インターフェイスや反応速度はかなり高精度に仕上がっています。この辺、メジャー寄りになったことのプラスポイントでしょう。
唯一のアクション寄り(あえて言えばシューティングですかね?)の「虫けら戦車」にしても、操作の簡略方法に膝を打ちました。パンツァーフロントまで行かなくとも、本体・砲塔・射撃タイミングの三つを同時コントロールする煩雑さが戦車ゲームのガン。ならば内一つはオートにしてしまえと言う割り切りの良さは見事です。
全体として、ボリュームは少ないものの基礎的な部分がしっかりしている(勿論、小規模故に引っかかる点も多いのですが)作品ばかりで、値段分以上に楽しめます。ボリュームの少なさも、そもそもこの辺のクリエイター名に引っ張られるマニアは時間が絶対的に不足する年代なので、逆にプラスにもなるでしょう。店頭を超える価格にボッタクリ感がひどいNINTENDOストアの中にあって、一際お勧めのタイトルだと思います。
とにかく、とても良くまとまった作品群だと思います。前作のインターフェイスその他のクオリティ問題にイライラさせられた人ほど、今作は安心してプレイできるんじゃないでしょうか?

一方大きな問題点がありまして…… 「これ、DL専売じゃ意味ないんじゃないの?」という部分です。
前作の感想でも書きましたが、個々の作品は、それだけでは現在うなるほど転がっている廉価小規模ゲームです。しかし、セット販売することで、一見地味な作品や埋もれている新進クリエイターに発表の機会を与える、雑誌のような役割が果たせるのが大きな意義だったはずです。しかし、今回のは単なるばら売りで、セット販売方式すら選択できません。セットがないのは発売期間をあけてしまったためかもしれませんが、おかげで発売を忘れていました。個々のタイトルとか憶えてなかったですし、宇宙船ダムレイ号なんて、名前自体変わってますしね……

と言うわけで、これってどうなんだろうと言う疑問が一番大きなファクターとして、心に残る羽目になりました。来るべき任天堂ハードのDL販売シフトに向けて、先行してブランドを作っておこうと言う事なのかもしれませんが……
クオリティコントロールが上手く行っているだけに、どうも疑問が残る商品展開でした。

この形式(個別定期リリース)を取るなら逆に、雑誌の定期購読のように、年会費を払って登録しておくと発売時に勝手にDLされると言うような販売形式が活きてくるかもしれませんね。LEVEL5は任天堂に対する発言力が大きいでしょうから、次世代販売プラットフォームの形式決定に一枚噛んで、色々な形式が使えるようにしてくれれば良いと思います。




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2013年03月15日

ようこそ停滞の中世へ! 「CRUSADER KINGS II」 感想


クルセイダーキングスII WITH ソードオブイスラム【完全日本語版】

本体拡張もDL販売されているCIVILIZATION 5と違って、扱いはパッケージ版のみとなっております。まあ、STEAM経由で不完全版をやらされるくらいなら、パッケージの方がマシとも言えるでしょうが。



今まで何度か紹介してきたとおり、私はPARADOX社の歴史シミュレーションを愛好しております。二次大戦を舞台にしたHEARTS OF IRON、近世(おおむね1453~18世紀)を舞台にしたヨーロッパユニバーサリス、それに近代を舞台にしたVICTORIA。いずれも時代の空気とえげつないデータ量を武器に、楽しい試行錯誤ができるゲームです。
そして、今回のCRUSADER KINGS(クルセイダー・キングス)シリーズの舞台は中世ヨーロッパ。なお、上記3作と違い、地図上にヨーロッパ(と中東・ロシア西部くらい)しか存在しません。まあ、舞台が11世紀~1452ですから、太平洋やシルクロードを越えられちゃ困るのでしょう。8世紀くらいには中国とイスラム帝国が東西決戦やったりしてますが、所詮舞台の中心は野蛮で暗黒なヨーロッパですから、仕方ありません。

さて、本作の大きな特徴は、主役が「国家」ではなく「家系」と言う所です。他作品と違い、主人公となる個人は明確なキャラクターとして設定されており、これは他の全ての人物に当てはまります。つまり、年齢性別文化宗教から多彩な特徴までを、遺伝データまたは後天形質として持ち、その交配や主従関係が肝となるわけです。

端的には、主人公のまず第一の目標は子孫を残す事です。他の貴族・王家と、あるいは臣下と結婚して子どもを残し、「自分の血を引いた自分と同じ姓の跡継ぎ」(兄弟とかでも大丈夫ですが)に称号を引き継がせなければ、ゲームはいきなり終わります。
そして、この嫁(女性当主なら婿)選びがまたえぐい事になります。基本的に停滞した中世ヨーロッパでは、他の時代のように「隣の領地に戦争吹っかけて併合」と言う事は、出来ません。できるのは、「自分が継承権者であると主張して、その領土の正当性を主張する事」で、これが成立してはじめて併合が可能になります。(異教徒相手を除く)
従って、血統管理の第一は、「いかにして子孫に自分と他人の称号を引き継がせるか」になります。これはなれるまでかなり難しく、ゲームの取っつきにくさの中心になっているのですが、まあ馴れます。具体的には、「他家の長女と自分の長男を結婚させ、然る後に他家の男子全員を暗殺」と言った方法が一般的(!)です。あとは、「他家の領土に継承権主張(CLAIM)を持っている廷臣に土地を与えて封建騎士とし、然る後にそのCLAIMを助けて戦争を吹っかけ、配下の領地として併合。最後に称号を取り上げて領土拡張美味しいです」と言った方法ですね。

しかし、そこは悲しき封建システム。どんなに頑張ったところで、常備軍も官僚制も未整備の暗黒時代では、直轄領というのものは精々6プロヴィンス程度が限界です。具体的には、アイルランド島の半分くらいまで。あとは全て封じた配下に収めさせるしかないわけですが、国が拡大するにつれ当然この「自分が治めているわけではない領土」の比率が増えていきます。そうなると、有力な配下は勝手に領土を拡張(彼らが国内で戦争をするのは自由です。君主の配下であるという建前が保たれれば、その土地を誰が治めていても君主は口出しできません)して王権に張り合おうとし、戦争への従軍を拒否し、あげくは反乱を起こします。と言うか、代替わりの度に反乱祭りが起きるのは風物詩で、どんなに拡大した帝国も数代持つ事はまずありません。勿論プレーヤーが担当する国は、リセット(大戦争の真っ最中に君主が戦死して無能な後継者が立ったりすると、文字通り国が粉々になります)とさまざまな準備を駆使するのですが、恐ろしい事恐ろしい事。

これに対して処置しようとすると、反抗的な配下を事前に暗殺したり、無能な後継者は暗殺して優秀な次男への継承を準備したり、そもそも余計な後継者候補を皆殺しにしたりと、実に中世っぽい宮廷陰謀劇が頻発します。PARADOX社お約束「合理的に行動するとその時代の悲劇をなぞる事になる」ですね。
なんか、「それ面白いのかよ?」と言われそうですが、宮廷陰謀劇にうつつを抜かして大国の介入を招いたり、やり過ぎて教皇に破門されて反乱祭りになったりと、色々面白くて止められません。
あと、そう言うわけで君主と嫁の能力が異常に重要なので、キャラクター検索機能を使って全世界から「天才」の素質を持つ幼女・少年をかき集めて配下と嫁(後継者には、はやめに「婚約」で天才をあてがっておきましょう。天才をあてがうのと領土を分捕るための政略結婚のバランスが、ゲームのキモです)に加え、気がついたらうちの王朝みんな肌が浅黒い…… とか言う愉快な事になったりします。あと、近親婚繰り返して、王朝が天才か障害者かその両方かになったりとかな!ちなみに、システム上甥姪とまでは結婚できますよ。嫁選びが色々ままならなくて、それでもいいやと選択される事は良くあります。

とりあえず、頑張ればアイルランドの一州からはじめて大ブリテン帝国成立くらいまでは行けますので、それなりに楽しむと良いでしょう。ちなみに、英語の難しさは今までのシリーズよりだいぶ低いので、ある程度素養があるならGAMERS GATEでDL販売を使うと良いと思います。DRMフリーだし。



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2013年02月22日

傑作のなり損ない『ROUTE DOUBLE』感想

ルートダブル Before Crime After Days(通常版) ルートダブル~Before Crime After Days~(初回版)

↑左がXBOX360版、右がPC版

ルートダブル~Before Crime After Days~は、最近元気がないを通り越して絶滅危惧種まっしぐらのノベルゲームで、期待されていた一本です。何しろ、コンシューマでそれなりの規模と時間をかけて開発されるオリジナルタイトルと言うだけでも現在希少ですし、監督がインフィニティシリーズで有名な中澤工となれば尚更です。

ではなんでこんなにプレイするのが遅くなったかと言われそうですが、全部忙しさが悪いって事にしといて下さい…… いやまあ、家にいる時間の総量が減ると、ねえ。
と言うわけで、何とか暇をやりくりしつつ時間を捻出してプレイしたのですが、「急いでプレイする必要も無かった」というレベルに落ち着きました。例によって、結論を先に書きましょう。

1,システムは意欲的で話の展開も悪くない。ただし、序盤の話。
2,シナリオのテンポも良く、情報の開示手順も上手い。ただし、序盤の話。
3,とにもかくにも、後半の腰砕けと冗長さで、色々全部ぶち壊し。


まず、最初に選べるルートAをプレイしている間は、「ああ、こんな良作をプレイしていなかったなんて、なんて俺は間抜けだったのだ。余暇時間のブラックホールとしか言いようのないMMOなんか、やってる場合じゃなかった」とか思っていました。これは今でも変わりません。ルートAだけなら十二分に素晴らしい作品です。

本作序盤のシナリオは、実験用小型原子炉を有する研究施設に閉じ込められたレスキュー隊3名と民間人数名が、必死に脱出を模索するという展開。そこに、居るはずなのに見つからない生存者の謎や、発見される惨殺死体、そして高まり行く放射線レベルの脅威という緊張感のある展開をぶち込み、とても面白いパニックアドヴェンチャーに仕上がっています。
この辺、折角の災害物なのに緊張感の欠片も無く、「序盤はひどいが何とか耐えろ」とか言われ続けたEVER17から驚くほど真っ当に進化しており、これは最終的には名作になるんじゃないかと心躍らせましたよ。
危険エリアに踏み込む時の恐怖と言い、目的を細かく設定して引っ張っていくシナリオ展開と言い、冗談じゃなくインフィニティシリーズから一皮も二皮も剥けています。

ところが、ルートBに入るといきなり話は平和なギャルゲー的日常に。実はこれ自体は別に問題無いのですが、「学校の授業」と言う体裁でやたらめったら設定説明が挟まるのに辟易。(私はSFが大好きですし、作中で交されるSF会話など大喜びで読んでいました。作品の元ネタについては、七瀬ふたたびたったひとつの冴えたやりかたの影響をネタに友人と語り合いながら酒飲む程度に気に入りました。)
問題は、設定を垂れ流すSFの悪癖ではありません。とにかく、冗長なのです。BC関連の設定で言えば、重要なのは潜在能力のランクと現在の能力値、それに媒介粒子がある、程度の事でしかありません。A4半分にまとまる内容です。ところが、授業と称し、またTIPSで、果ては通常会話に混ぜ込んで何度も何度も何度も同じ内容が繰り返されるため、うんざりしてしまいます。
ちなみに、設定的には、「原子力施設に偽装したらIAEAに監査喰らうから全部ぶち壊しだろ」と言う大穴があったりするのですが、これは無視できる齟齬という奴です。何が言いたいかと言うと、BC関係も、無理に細かな設定を詰め込むより、細部を濁して「この作品はこう言う前提で動きます」と言う背景としての提示に留める方が絶対に良かっただろうと言う事です。ひぐらしの火山ガス偽装と同じで、専門知識が必要なツッコミに関しては、「現実に可能かは置いておいて、これはできるって言う設定の話なんだな」と普通読者は了解してくれますから。
それ以外にも、とにかく合理的に行動し、そうでなければ生き残れない鉄火場だったルートAと比し、不合理かつ無謀な行動を繰り返すヒロインや、無能な皮肉屋の癖に何故かモテる(ルートAの主人公が、生きるために必死になり周囲を助けて信頼を勝ち得ていくキャラクターだっただけに)ルートBの主人公に辟易します。まあ、後者は好みの問題もあるでしょう。ある程度はしっぺ返しも受けますし、シナリオ上の仁義はギリギリ通されてはいます。むかつきますけどね。チート能力と口先正論が、21世紀ガンダムのあいつを思い出させますし。

しかし、冗長さはその後の本編全体に通底し、ルートB後半から「あるシーンの回想」「そのシーンにかけられていた改変の解除」「さらなる解除」と言った具合に、同じシーンをこれまた繰り返し見せられます。その情報欺瞞解除によって伏線が発動して一気に視界が開けるような演出があればいいのですが、実際は解りきった伏線を見せられたり、そもそも伏線でも何でもないただの繰り返しがほとんど。単なる引き延ばしにしか見えず、イライラばかりが募ります。

シナリオ展開も、ルートB終了後は極めて平板。何しろ、「悪役」の排除が早期に終了しており、同時に一番重要な謎は解除。あとは、悪役の残した影響を一つ一つ潰して回る過程がシナリオの大部分です。確かに、各キャラの過去が見れるのは面白いと言えば面白いのですが、それが本編に直接的に関わるわけでもなく、ただ見せられるだけ。むしろ、シナリオ1で簡便になされた説明だけで本来は十分であり、「そんな回想延々と見せられてもつまんねえよ」としか言いようがありません。

あげくに、「主要登場人物の過去」に絡まない部分は非常になおざりで、9人以外の犠牲者や国家機関等の思惑、あるいは彼らなりの正義と言った部分はまるで光が当たりません。この結果、「敵」が不在のまま進行する物語はクローズドサークルの緊張感を喪失し、垂れ流される設定文書を眺めるだけの実に陳腐な展開に堕していきます。

一応、最後の最後で主人公が選択を迫られるシーンだけはもの凄く面白かったのですが、トゥルーエンドでの展開が、シナリオ上の「スケープゴート」を一個でっち上げて大団円、という最低の内容なのでぶち壊しです。
あの「黒幕」(?)は単にきっかけになっただけですし、正確にはそれを口実に陰謀を巡らせてやりたい放題やっていたあそこと、それを黙認したどこぞが決定的な原因なのは自明。それなのに、「一番悪役にしても当たり障りがない」と言う理由で選んだとしか思えないショボイ組織に全部押しつけて大団円を描かれても、冷めるだけです。
これは、「国家レベルの敵が相手かと思ったら、なんか最終話では単なる暴走した一部局の仕業って事になってたんだけど、これじゃカタルシスねえよな」と言う感想にならざるを得なかった、某選択肢のない同人ゲームと全く同じパターンです。

ただ、どうにも辻褄が合っていないのと、取って付けた感が強いんですよ。なんで犯行声明が出ていないのかとか、この時に限って不祥事の原因を押しつけられていなかったのはなぜかとか。そもそもあの団体が当初穏健だったのは確かで最初の「責任」についても、ほとんど言いがかり(トラウマと前科もった爆弾を、一般人の目にも触れるような所に置いとくって、アホなの?)。完全悪に仕立てるのはちょっと無理。「自分達に被害を与えた」という点で線を引くなら、もっとごついのがいるわけで。
だので、「福島後」の情勢に鑑みて、国と自治体を全面的な悪役に仕立てるのを躊躇したのかもしれません。結果は、上記のように物語の関節が外されて興ざめなだけなのですが。

ただ、これも実は取って付けた感が否めないとはいえ、グランドエンド後のエピローグで描かれる未来へのメッセージは、「福島後」に話をまとめる綺麗な演出になっていて、上手いなと思いました。問題はやはり改変その物ではなくて、急遽行われた事なのでしょう。勿論、発売が延びている間に改変が行われた、と言うのは私の予想に過ぎませんが。

さて問題点の指摘に戻ると、折角用意された特殊な感情選択システムにしても、機能しているのはやはりルートAのみ。以後は、単なるその場その場の選択肢にしかなっていません。

とりあえず、インフィニティシリーズの頃から比べると、序盤の掴みや緊張感の盛り上げ方、そして何より文章能力は大幅向上しているので、ノベルゲームとして水準以上。しかし、推敲・刈り込みをしてないんじゃないかというレベルの冗長なシナリオと腰砕けの展開は、傑作の可能性を粉々に打ち砕いて「良作と凡作の中間?」程度の評価に落ち着かせてしまいました。
とにかく発売してくれただけでもラッキー、一定水準以上なら言う事無いじゃないか、と言う客観的評価もありかと思いますが、私としては「定価で買ったのは厳しかったかな」と言う感じです。

もっとも、ルートAは本当に面白く、システムもシナリオも実に良くできているので、予算が尽きたかそもそも製作時間を見誤ったかという感じなのですが。最初の結論でも書きましたが、序盤の面白さは正にノベルゲームの真骨頂ですよ。

本当に、絶滅が危惧されるジャンルなので、こう言う評価を付けなければならないのは残念なのです。しかし、偽らざる気持ちとしては以上のように書くしかありません。
まあ、決して駄作ではありませんから、このジャンルを愛し「次」に繋げたいと思う諸兄におかれましては、新品購入して市場から回収してあげるとよろしいかと思います。世間的な評価は、決して悪くないようですし。



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2012年10月05日

和製ゲームの悪い癖/バイオハザード6 感想1

バイオハザード6(特典なし)


↑私は実績とコントローラの操作性からXBOX360版を買ったんですが、オンライン要素が多いので、そちらを楽しみたいならPS3版の方が良いかもしれません。


4で大きく方向性を変えた(と言うか、バイオハザードという名前を冠しただけのTPSに成り下がった)ものの、アクションゲームとしては面白さを維持しているバイオハザードシリーズの、6作目です。

一応ゲーマーなのでこの手のビッグタイトルをスルーするのもねえ、と言う感じで購入し、とりあえずレオン編最初のステージまでクリアしました。そして現状の感想としては、以下の二つ。

1,アクションゲームとして酷くなってどうする
2,設定はもう諦めているが、単品内の辻褄くらいは合わせて欲しい


まず1ですが、何と電源を入れてから一時間ほど、ただひたすら見ているだけに近い事を強制されます。
延々、ムービーと「タイムギャル」方式の目押しゲームをやらされてストレスがマックス。たまに操作できると思うと、「レバーをどちらの方向でもいいから倒すと、キャラがゆっくりと歩く」みたいな訳の解らない作業を続けさせられます。
そして、恐らく最初のチュートリアルと思しき戦闘シーンは、画面の暗さと障害物の不明確さから何が起きているか全く解らず、これまたストレスフル。まず死なないのは救いですが、チュートリアルにすらなっていません。映画っぽい何かを作って映画としてもゲームとしてもゴミにしてしまうのは、和製ゲームが未だに抜けられない難病みたいなもんですが、その症状全開です。
この後も、演出の都合か、頻繁に強制歩行状態(突然ダッシュできなくなる)を噛まされてイライラが募ります。

大体ですね、自由カメラのせいでもはや怖くも何ともない空間の中で、無意味に暗い画面構成は、単に鬱陶しいだけですって。あ、自由カメラと言いましたが、操作キャラとの距離を調整できないせいで、これまた滅茶苦茶見にくくてアクションゲームとしての精度を下げます。ただでさえ方向転換が遅いわ、コンボを決めるとカメラが勝手に動いて戦況の把握が困難になるわと言った欠点が多いのに、是正措置が執られた形跡がありません。

もっと言えば、あのガイドの無意味な充実ぶりは、画面の暗さとマップ構成の不合理さから、テストプレーヤーが道に迷いまくったためですよね?あんな「よく解らないけど、他に目標も見あたらないからとりあえずマーカーの出ている地点まで走る」を繰り返す作業が、面白いと思うんでしょうか?

また、5でバイオじゃないと散々言われたためか、敵はゾンビメインでバイオらしくなっています。ところが、敵が5のような「群がる群衆」ではなく「起き上がるゾンビ」になったにも関わらず、「ゾンビ物」としての基本を蔑ろにするゲームシステムが、プレイアビリティをぶち壊しにしています。

どう言うことかというと、マップのあちこちに倒れている死体は、大体起き上がってくるのですが、これを「起き上がってくる前に攻撃する事」が出来ません!
あからさまに通路の真ん中に倒れている死体。案の定、近づくと飛びかかってきてダメージを受ける。ところが、その経験を踏まえて遠くから銃で撃っても、相手が奇襲攻撃を始めるまで当たり判定がないので、弾が無駄になるだけ…… これがどれほどストレスか、旧作バイオをやって居た人間なら、良く理解できると思います。って言うか、これならTPSにすんなよという話です。

新シリーズ以降肝心の部分となるアクションとしての爽快感も、格闘がゲージ性になって無駄な回復待ちを挟まねばならなくなったり、銃身のブレがやたら大きくて射撃がまるで決まらなかったりと、システム全体がストレス増強に舵を切っています。そのくせダメージは旧来どおりで、ヘッドショットを何発かましてもゾンビは簡単に倒れません。
あと操作性ですが、クイックターンはないわ緊急回避の操作性は悪いわで、5から大幅退化。とにかくストレスが酷いです。

ただ、腐れムービーや強制歩行は本編が進むとどんどん減っていきますし、武器やスキルが増えていけば爽快感も増していくと思うので、とりあえず続行は決めています。でもこれ、歴代バイオの中で最悪の「掴み」だと思いますよ?


あとは、2です。
まず、オープニングと本編が明らかに合っていません。オープニングはレオン達が戦闘ヘリから銃撃を受けているところから始まり、どう見ても中国系(表示が全部中国語です)のダウンタウンを逃げ回る事になります。ところが、本編でそこはアメリカ合衆国本土だという事になり、ついでに単なるバイオテロ災害のど真ん中。戦闘機が町中に墜落したり、テロリストの戦闘ヘリが飛び回れるような状況ではありません。
どうも、ムービーを作ってから設定を考えたんじゃないかと思うんですよ。あるいは、途中で設定が入れ替わったのに修正しなかったか。BSAA(5に出てきた対バイオテロ展開部隊)がアメリカ本土で活動してる段階で、なんかおかしいですし。と言うか、オープニングの町はどう見ても香港かどこかの都会で、本編で描写されるアメリカ型の大学市(荒野の真ん中に大学と関連施設だけがあるタイプの町)とは、似ても似付きません。

10/9 追記
ゲームを進めていくと、プロローグはレオン編の途中であって、開始前ではないと言う事が解ります。当初説明がされないのと、本編の始まり方が唐突なので、プロローグから連続しているように錯覚するだけなのですね。
それにしても、プロローグの内容を、もう一度本編で丸ごとやらされるとか、一体何なんでしょうかね?


状況を説明しないのも最悪で、そもそもレオンがあそこに何をするためにいるのかと言う基本的な所すら、全く説明がありません。そこを説明して貰わないと、パートナーとの関係や「彼が今何を目的として何をやって居るのか」が解らず、ストーリーにのめり込むのは不可能になります。あ、説明書は何の説明もしていやがらないので、読んでも無駄です。

それと、以下はもう突っ込むのも野暮なので評価には絡めませんが、「バイオハザード」の設定、もう少し大切にしません?
なんでレオン達は、10年来も対バイオ作戦やっておいて、ゾンビに噛まれた死体に銃弾撃ち込むくらいしないんですか?明らかな感染者前にして、家族に抱きしめさせときますか?「なんてひどい」じゃねえよ、ひどいのは、お前が為すべき事をやってないって事だよ!
大体、相変わらず素手に素顔のイケメンスタイルで、対噛みつきベストどころか簡易マスクもなく、汚染された水の中を這いずり回って返り血浴びる彼らは、いい加減なんか設定でフォローした方がいいんじゃないですか?5の路線ならまだ良かったんですが、今回バイオ・感染方向に大きく揺り戻しているので、気になって仕方ありません。

と言うわけで、ファーストインプレッションは酷い物なのですが(ここに書いた以外にも、スコアシステムの意味不明さとかスキル装備インターフェイスの最悪さとか、枚挙に暇がないのです)とりあえず最後までやって結論を出すつもりです。面白いポイントも、やっぱり無いわけじゃありませんので。



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2012年09月15日

たまには当たる未来予想/ドラゴンクエストXとカイシャクエスト

ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン (Wii USBメモリー16GB同梱版) (封入特典:ゲーム内アイテムのモーモンのぼうし同梱)


今回のエントリーの趣旨を完結に:
「ドラクエXはなんだかんだでプレイ中。MMOってやっぱりつまらないのに続けられるやな引力有り」
「で、20年前の小説を読んだら、その辺が端的に予言されていて驚いた。興味出たら読め。どうせ1円だ」



ドラクエXは毎日定期的にプレイしておりまして、現在盗賊メインでLV43。サブはそれぞれ20前後まで上げている状態です。
ゲーム部分は、率直に言って単調でつまらないんですが、LV上げの目標が設定しやすいのと、それなりにシナリオが進むので上手くつなぎ止められている感じです。

ただ、戦闘よりメインで行っている生産については、もう完全に「実績作るためにダンピングで受注しまくる自転車操業中小企業」と化しておりまして、何やってんのか解らなくなって来ております。
いや、一応赤字は出してないはずですし、バージョンアップ時に家を変える(多分。βの時は25万だったそうですが、売りの一つである以上、まさかそんな数値にしては来ないでしょうし)程度の貯蓄はしてあるのですが、やってる事はデイトレみたいなもんですしね。
バザーを頻繁に開いて原料を安値落札し、ライバルの安値出品を買い取って市場を操作。少しでも黒字が出る商品を探して3DSの補助機能を連打と、金にもならないのに経済活動そのものを展開している不毛さは、格別と言えましょう。

時間が無いときなど、ログイン → バザー確認 → 生産 → 出品補充 →ログアウト と言う、正に「出社してルーチンワークだけして帰ってくる」状態です。適切な育て方をした僧侶に適切な紹介メッセージを付与しているおかげで、それでも経験値は結構入って来るのですが。

まあ、このMMOと言う物の不毛さを見事なまでに解りやすく教えてくれるのは、RPGの伝道者たるドラクエの面目躍如と言ったところでしょうか?

「普通のRPGとして遊ばせてくれよ!」とか「どうせネットを使うのはバザーとサポートだけなんだから、MMOの意味なんかねえだろ!」と言う正論が完全に正しい辺りも、「MMOと言う物の本質を解りやすく伝える」役割の一部に違いないですよ。
じゃあやるなよと言うのも正論なんですが、あいにく遠隔地に住むリアルの旧友とプレイ(と言っても休日時間が合ったときだけですが)しているので、ダラダラ続けてしまっております。おかげで、プレイ時間に食われて積ん読・積んゲーが大変なことになってるんですが……
おジャ魔女どれみのエントリーで書いたとおり、本当に時間が食い潰されていきますね。

と、ここまでが前置きで、「なんでこんな不毛な作業を、自由時間使ってやってるかなあ」と思っていて、思い出した小説があったのです。



お父さんの会社 (ハヤカワ文庫JA)

「お父さんの会社」は、短編SFの名手・草上仁の近未来小説です。発表はなんと20年前。この世界では、ネットワークが高度に発達し、仮想世界上に築かれた会社で新入社員となって出世競争を戦う「カイシャ・クエスト」と言うゲームが流行しています。物語は、このネットゲームの運営に関わる陰謀を暴いていく話になるのですが、もうビックリするほど予言的。
大体、20年前の段階では一部の好き者がパソコン通信を馬鹿みたいな電話代を供物に遊んでいたくらいで、ネットワーク上に作られた仮想世界と言うのはSFその物でした。そこに、この内容です。細かい部分でも、男女なりすましの問題だったりNPCの機械的な挙動、それにチートと言ったと代物を一通り取り込んでいて今見るとビックリします。
ちなみに私は当時、「幾ら何でもこんなの荒唐無稽だろ」とか思って読んでました。ええ、SFファンだってそんなもんです。

しかし、ここで一番驚くべき事は、「このゲームが面白くない」事を、作中で登場人物が喝破している点です。カイシャ・クエストは、ピラミッド構造の会社組織に全員が属するため、新規プレーヤーは延々と書類整理のような雑用に追われます。これを、リアル会社員である主人公などは喜んでプレイしてやがて出世していくことに喜びを見出すのですが、ある人物は「何が楽しいのか」「下らない」とバッサリ。そして、作中の描写を見る限り、その人物の主張の方が遙かに説得力があるのです。

物語中ではこの、単純作業を繰り返したあげくできる事が現実の会社と同じ仕事と言う無間地獄のような世界を楽しめるのは、主人公達がワーカホリックの会社員だから、と言うような解釈をしています。しかし、現実のネットゲームにおいてプレーヤーがやっているのは、もっと不毛な単純作業で、にもかかわらず主観的には楽しんでプレイしている連中が沢山いるという事実は、「ワーカホリックの会社員」のような特殊カテゴリの問題ではなく、人間の本質的な「バグ」を予言してしまっていたのかもしれません。

とまあ、適当な事を言いましたが、この本は今読むと、バブル末期の世界観が垣間見えて実に趣深いことになっております。誰でもサラリーマンになる(なれる)のは当たり前で、仕事は幾らでもあり、それは少なくとも楽しくて金になることとされていた。ついでに言えば、ワーカホリックにも関わらず、主人公は会社とカイシャの二重生活を送れる程度に時間的余裕があったりとかね。

実はこの本、私の中では草上仁の作品中余り評価が高くなかったのですが、今になってみるとだいぶ見方が変わってきますね。
ちなみに、リンク先を見てみれば解りますが、AMAZONには1円出品が並んでますので、興味持ったら一読どうぞ。この値段じゃ、どうせ私にアフィリエイト収入は入りませんから、そう言うのを憎まねばならない宗派の方もお気軽にどうぞ。
なお、作者の本来の持ち味は、ゆっくりと南へのような叙情的だったりスラップスティックだったりする短編であることは付記しておきます。




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2012年07月05日

最後に行くほど悪化/ロボティクスノーツ クリア後感想

ROBOTICS;NOTES (通常版)

これまでの感想は、こちら

ROBOTICS;NOTES、一通り終わっての感想です。

実績全解除までプレイしましたが(と言うか、最終章のトゥルーエンドとバッドエンドを見たら、勝手に解除されました)結局魅力を感じることはできず、心を震わせられることもなく終わってしまいました。
最後の感想は「ああ、終わった。これで、これ以上プレイする必要は無いんだ」で、要するに全くダメです。

プレイタイムは32時間くらいになっていますが、途中でコントローラを放り出してカルドセプトの対戦をプレイしていた時間がかなり入ってますから、実際にはSteins;Gateより少し長いくらいだと思います。


では一応、細かい部分の感想などを以下に。


最終章に入る前に、前作メンバーのTweetが表示されるフラグを回収したのですが、これまた面倒。ただ、これはあくまで隠し要素なので、特に問題とは言えません。問題なのは、あくまでも、隠し要素と同じレベルのフラグ立てを本編に要求していることです。


さて、最終章が始まったことで気持ちは盛り上がっていたのです。ですが、開始早々全く変わらないクソ主人公の独白で台無しです。ここから盛り上げようと言うときに、ロボなんか興味がない、と言う主人公のセリフで幕を開ける事に、本当に何の疑問も持たなかったんですか?
この期に及んで綯と格ゲーどうこうとか、そのまま死ねと言わざるを得ないひどさです。
そして、問題はキャラだけでは勿論無く、ここに来て本筋のずっこけかたが洒落にならない状態に。何しろ、ロボは「いつの間にか」完成しているのですから!

あのですね、完成直前の修羅場と困難がないと、プレーヤーは思い入れを持ちようが無いですし、話としても盛り上げようがありません。これまでの蓄積があれば別でしょうが、ロボの製作自体はここまでストーリーに全く絡んできておらず、忘れ去られていたのですよ?
何より、クソうざい主人公がロボ部に参加する作劇上のチャンスなのに、それをまったくせずいつの間にか完成?主人公は特に手助けしませんでした!?

文字通り頭を抱えました。一体、なんでこんなシナリオラインになったのでしょうか?いや、このシナリオラインにするのなら、何故「巨大ロボット」をテーマにしたのでしょうか?
結局、話として盛り上がったのは世界の裏で進行する陰謀論だけで、中心にいたはずのロボ関連はどうでも良いイベントを散々引っ張ったあげく、ビタ一盛り上がらずに山場を越えてしまいました。と言うか、山なんかありませんでした。
ロボ完成後が本題だというのなら、ロボを拾うなりなんなりで手に入れるところから始めればいいのです。主人公にも本筋にもロボが必要ないのなら、オミットすればいいのです。格ゲーオタである主人公を絡ませるための小道具だとするならば(機能してないですけど)、傑作小説「ソリッド・ファイター」のように、その物ずばり格ゲーをテーマにするべきでした。これでは、物語としてどうしようもありません。箸にも棒にもかかっていません。

一応、ロボを巡る各人の思い・相違が重要なのかとも思ったのですが、フラウ・昴はともかく、取って付けたトラウマの淳和や全く共感を呼ばない(呼ぶようなイベントをここまで組めていない)部長辺りを見ると、明らかに違うわけですし。

「熱く」するために無理矢理突っ込まれた設定も、不合理な上に必然性がなく浮き気味。地形含めて位置情報を常時トレースしているなら、送電銃座を自動追尾にするのは簡単なのでは?と言うか、そうしない理由が無いと思うのですが。何しろ、操縦系の入力結果を未来予測で事前提示してくれるシステム、などと言うのが据えられているのですから。

他にも、そもそも足の構造がおかしく自重を支えるのは無理だろう(足は両側の足関節にくっついた極薄の鉄板一枚のみで脛と繋がってるんですよ。ストッパーもなく!)とか、支柱外して初の歩行テストするときに、足元に人がいるとはどう言うことかとか、なんか基本的な部分の滅茶苦茶さが一気に噴出してきます。特に後者とか、あとで起きる事故の伏線ですらない辺りが、もうね。(事故の時は、JAXAの人が監督していなかったのが原因、と説明されますが、監督下にあったときから同じじゃないですか……)
外装を外して骨格だけというコンセプトなのに、何故ダンボール型の「外装だけ」状態の設計になっているのか、とかね。

まあ、こうもロボ関連がグダグダだと目に付いてしまうのは仕方ないでしょう。プレーヤーに矛盾点を気にせず押し切る力が、シナリオになかっただけの話です。

で、その後のラストへ向けた最大の試練は、ちゃんと盛り上がるんです。ですが、この盛り上がりは言わば場外乱闘。理系プロジェクト物の本来の面白さを放擲し、単なる青春ドラマのフォーマットを演じているだけです。
前回紹介したほうかごのロケッティア、そしてその元ネタたる夏のロケットが典型ですが、「普通でないプロジェクト」を完遂することは、それだけで多くのドラマを生み出せます。SF作家のクラークや谷甲州が典型ですが、技術的特性に起因するトラブルを描くだけでも十分すぎるほどのドラマは提供でき、取って付けたような事故など別に必要ではありません。


ところで、ロボの座りポーズ、もう少し何とかならなかったんですか?腰が浮いてて、マニピュレーターで体支えてるんですが…… 壊れる上に、また転倒事故起こすでしょう。

で、万博のクライマックスも、あき穂の役立たずさアピール+主人公唯一の取り柄活かす機会に不在、と言う超絶ストレスフルな内容。あき穂が役立たずなのも、主人公が何もしないのも、これまでいやになるまでアピールされてきたわけで、今更繰り返さなくていいですよ。
ちゃんと実のあるシーケンスにしたいなら、あれは主人公が挑んでSUMERAGIに敗北すべきでしょう。それではじめて、格ゲーオタの主人公にリベンジを誓い能動的にクライマックスに関わるための、動機付けをすることができたはずです。


さて、ラスト近辺の展開については、どんでん返しから熱血展開に至るまで空回り。
陰謀論のお約束と言えばそうなんですが、世界経済を牛耳っている癖に、ロケット一機打ち上げるために十年がかりのプロパガンダとか、300人委員会って馬鹿なんでしょうか?君島レポートの真実にしても、世界に混乱を起こすという目的に鑑みると、非効率不確実意味不明と三拍子揃っていて、「そうだったのか!」ではなく「は?」と言う反応しか返せません。

そして、やっと主人公がやる気を出す展開に行き着いても、それまでの無気力さが祟り、まるで共感できません。だって、主人公は大きな怒りを抱くほどの何かを、これまで作中で提示していないのですから。
あれだけあき穂を蔑ろにしておいて、今更あき穂が傷つけられたと怒り出すのもそうですし、みさ姉に対してちゃんと向かい合ってこなかったのに、路傍の石と無視されたくらいで切れられても、ざまを見ろと言う感想しかないわけです。
特に前者なんて、あれだけ協力拒否を繰り返しておいて(裏でコソコソ動き回ってはいましたが、あれって別にあき穂のためってでもないですし、そもそも効果的でもなかったですよね)あんなことを言い出されても、じゃあもっと大切にしていると言う事をアピールしておけよと言う話になるわけです。
オカリンがまゆりに対して、表面的な態度と裏腹に、大事にしているとどれだけアピールしていたか、思い出していただきたい。

あげく、その直後のシーンで、落ち込むあき穂に嫌味だけ言って放置し、倒れる姿に振り返りすらせずに立ち去るとか、ええと、何ですかこれ?発破をかけるとかそう言う話かと思ったんですが、その場合せめて主人公のモノローグで立ち直ってくれ、と言う趣旨の発言させると思うんですよね。と言うか、普通させない理由が無いんですが、実際に奴が発するモノローグは「1分1秒でも早く。まずは空港までたどり着かないと」です。

主人公の問題を除いても、ネットが生きていて連絡自在なのに、「主人公が」わざわざ種子島に行かねばならない理由など別にありません。「知っているのは俺たちだけ」って、何のための情報コミュニケーションツールなんですかね?
勿論、物語としては主人公がやらねば意味が無いのですが、主人公が上記の通り、姿の見えない敵などよりよっぽどプレーヤーからヘイトを集めている状況なので、納得などできるはずもありません。

そうやって盛り上げるのに失敗したあげく、唐突にランディングギアが故障したから胴体着陸、みたいな茶番劇を挟むので、どんどんテンションは下がっていきます。

とにかくシナリオは最終段階において、陰謀論や超科学と言った想定済の部分ではなく、それ以外の基本的なところでグチャグチャになっていきます。テロリストを排除するために、何故一号機なのか。改造と言いますが、あの単なる足だけロボを一晩でどうこうなんて、何を言ってるのか解りません。まだ、壊れた二号機を運んできて修理、ならある程度納得できるのですが。
って言うか、トラックに装甲貼り付けて、モノポールモーターを爆発物として積み込んで自動車爆弾とか、そうじゃなくてもガソリン積み込んで突っ込ませるとか、実用的な代替案が山と思い浮かぶんですが……

根本的なことを言えば、ロケットなんぞ、遠距離狙撃で燃料タンクに穴でも開けてやればそれだけで打ち上げ不能になります。300人委員会への対抗機関があれだけ実力を持っているなら、スポーツライフルの一丁でも入手できないわけがないでしょうに。


あと、最後につながる中学生日記みたいな展開ですが……
もう、何も言わなくて良いですよね?この展開への伏線はありましたか?この展開にカタルシスを感じさせるための準備はしましたか?そして、この展開に必然性はありましたか?

ラストも、戦闘は盛り上がるかと思いきや、スローモー発動のエフェクトが長すぎかつ頻繁すぎて、ダラダラと長いだけになってしまっています。

と言うわけで、結論としては、「ノベルゲームとして失格」「システムやキャラクター造型など、基本的な部分がなっていない残念作」となりました。
途中良いところもありましたし、絵や音楽も頑張っています。ですが、根幹となるシステムとテーマに関わるシナリオ本筋、そしてそれを彩るキャラクターに魅力が全くなく、とてもお勧めすることはできません。




カルドセプト

↑同日発売だった3DS版のカルドセプトは、バランス調整もボリュームアップもネット対戦も、実に丁寧にブラッシュアップされており、移動時の友となっています。その内感想を書こうと思いますが、ゲーマーとして選ぶなら、絶対にこっちでしょう。
おかげで、ロボティクスノーツをプレイしている時間は、後半もったいなくて仕方ありませんでした。




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2012年07月04日

本筋は面白いよ/ロボティクスノーツ 感想4

ROBOTICS;NOTES (通常版)

これまで、及びこれ以降の感想は、こちら

ROBOTICS;NOTES、淳和・フラウ・愛理各ルートの感想です。

一応自力でやり直そうと思ったのですが、Twitter返信タイミングがかなりシビアな上に、スキップが止まらない仕様に辟易し、序章終了前に攻略サイトを参照しました。テストプレーヤーから不満が出ないはずはないので、純粋に手抜きか練り込み不足でしょう。
Steins;Gateの時は、攻略サイトはグランドエンドくらいにしか使わずに、実績全解除までプレイしてるんですよ。あの程度の難易度・仕様なら普通に遊べるわけで、なんで今作では退化してしまったのか不思議です。


と言うわけで、まずは一番空気の淳和ルート。

フラグは、解いてみてもなんでこれで無ければいけないのかよく解らない代物で、自力で解くことを放棄して正解としか言いようがありませんでした。
とりあえず、実際の種子島でH-IIが展示されている棟をロボ組み立て用に使うシーンで、全方位カメラで棟内を見れるのにはちょっとだけ感動。横倒しになったH-IIのでかさは見学ツアーに参加したことのある者には印象的ですから、イメージが湧きやすいです。
……プレーヤーの中で、宇宙センターのバスツアーに参加したことのある人間が何人いるのか知りませんが。ちなみに、あのバスツアーはNASAの同系と違ってしょぼいので、十万以上かけてまで見に行くもんじゃないですよ。種子島、雰囲気はのどかで凄く良いところなんですけどね。

閑話休題、肝心のシナリオ内容ですが、参りました。淳和が、主人公とは真逆の方向性で話を進められないキャラクターなので、これまた無駄にシナリオが遠回りするのです。設定に比して強烈すぎるトラウマ(苦手意識ならともかく、12年経って過呼吸と脱力でクリニックに入ることすらできないって、そりゃ既に病気でしょう)とウジウジした性格のコンボですからねえ。そして、シナリオ自体も結局魅力的な題材を放擲して、この魅力に極めて乏しいヒロインのトラウマ解消ツアーという、どーでもいいもの。

この辺、またSteins;Gateとの比較になってしまうのですが、個別ルートが本筋と絡めていないのですよね。個別ルートが「魅力的な個別ヒロインの幸福を優先してしまった」バッドエンドという扱いだった前作は、各ルートは存在その物が本筋へのアンチテーゼであり障害だったわけです。これに対して、今作の個別ルートは主人公が本筋に何のモチベーションを持っていないが故に本筋とのリンクを持ち得ず、そもそも「主人公が本筋に絡む理由自体が無い」と言う根本的な問題点を浮き彫りにしてしまいます。

キャラクター面以外でも、大目的である万博出展まで「時間が無い」と言うのが序章から繰り返し述べられているポイントなのに、それを無視したかのように関係ないイベントが進むのは、シナリオとして破綻も良い所。
この章自体は、ドクというキャラクターの良さ(あれこそ、定型を積み重ねた丁寧な描写の勝利でしょう。声優さんの演技が上手いというのもあります)もあって、単品として結構綺麗にまとまっているのです。だからこそ、逆に本編のサイドストーリーとして「本編が進んでいる」描写とセットにしないと不味かったのではないでしょうか?

個別ルートを途中段階として本編の一部に組み入れてしまうと言うアイデアは、悪くないだけに、練り込みに足り無さが惜しまれます。と言うか、この形式だとそもそもルート分岐は必要なく、最初から全編通しで見れるようにすべきだったと思うのですが……
攻略サイトを見たので前半から順次見ていきましたが、何も見ずにやっていきなり後半の章に飛ばされたらひどい事になったと思います。

そして結局、このフェイズ6では、ドクがロボ部への協力を拒否するきっかけだった代替ロボ作成の話がスルーされてますが、これで良いんですか?
ドクが切れて部長を出禁にした理由はそこなのですから、1号を棚上げして2号に移ると言う事を彼に納得させないと、意味が無いはずですが。逆に、もし6章のラストを真の意味で「解決」にするならば、ロボ部にドクが協力しなくなるきっかけは「倒れて弱気になった事」でなければなりません。なんでこんな構成になってるのでしょう?

なんか、どんどん疲労感が募ります...


続いて、キャラとしては昴とツートップで「立って」いるフラウのルート。

フラウの好感度を上げると入れるフェイズ7は、期待通りの面白さでした。陰謀論が現実の物となって火を噴き、正体不明の敵に追い詰められていく感じがたまりません。ロボ制作と対を為すシナリオの軸は、やっぱり良くできています。
種子島を襲う嵐と大規模な太陽嵐、そのさなかに発生するテロと濡れ衣と、一気にイベントを畳みかけスピード感は抜群。この辺の「引き」の強さとスピーディな展開が持ち味なわけで、本領発揮と言ったところでしょう。逆に、「引っ張り」が弱くなって妙に展開が冗長になるサーバー逆クラッキングのシーンは、このフェイズの中で一番残念な感じになっていますし。
結局、シナリオの迷走や主人公の造型失敗は、その持ち味を活かせない方向に舵を切ってしまったが故の齟齬なのでしょう。

実際その流れの中に組み込まれると、クソ主人公も、問題解決のきっかけとして格ゲーへの情熱(?)が機能して、うざさは大幅に減。むしろ、頼りがいが有るようにさえ見えてきます。
ま、例によって必要な事を喋らない(仲間が洗脳されていたって事をレポートの内容と合わせて指摘すれば、フラウがあそこまで落ちることはなかったですよね)と言う、上から目線系主人公の一番どうしようもない部分を踏襲していたりするので、好感度がプラスに転化するのは無理なのですが。

もっとも、折角シナリオが盛り上がるのに、不満点も積み上がっておりまして……

まず、ここまで君島レポート探しは自力でやってきたのですが、校内の物が見つけられずに再び攻略サイト参照。PC98のAVGみたいな不毛な作業を今更やらせて、一体何がやりたいのですか?
あと、太陽嵐って地上の一点を「直撃」できるもんじゃないだろうとか、そう言うのも気になります。別にトンデモ科学目白押しなんですから、そこは電離層の状態で未知の凸レンズ効果がどうこうとか、人工衛星を使ってイルミナティが収束させてるとか、そう言う話を挟んだ方が良かったのでは?陰謀論が真実!と言う大嘘が設定の根幹なわけで、他の部分ではあんまり意味のない嘘をつくべきじゃないと思います。

ちなみに、ここでフラグの一つとして出てくる「JAXA増田通信所の展示室にある人工衛星追跡ゲーム」ですが、これって実在だった気が…… サンダーバードみたいな光景の通信施設にある展示室で、お金がかかっていない割に面白い展示内容でした。見学したらストラップもらえたし。
個人的には、置いてあったゲームの中では、ステーションへのドッキング加減速を手動で行う、ロシア魂あふれる(ロシアは、誘導装置が故障したときにミールに手動でドッキングさせようとして衝突事故を起こしています)ゲームが、結局クリアできなかった事を良く憶えていますが。



そして、キャラクターの中ではあからさまに裏設定をアピールしていた、愛理ルートへ。

ところで、フラグはフラウルートと同時に立てたんですが、同時に立てても、片方が終わったら強制的にメニューに戻されてしまうのですね。こう言う意味の解らない仕様は、本当にやめて欲しい所。プレイ時間稼ぎなのかもしれませんが、ユーザーのプレイコストを無駄に高めてどうします?

このフェイズは、フラウルート同様、緊迫感が終始シナリオを強く牽引し、あきさせません。壊れ行く愛理と、残されたメッセージと、サブキャラクター達の過去。これらが一体となってグイグイ引き込まれます。大体ネタの予想は付くのですが、盛り上げ方はやっぱり一流。

しかし問題は、これがさっぱりロボ作りに絡んでこないこと。制作中のロボはフェイズ6以降一向に進まない、と言うか物語の背景程度の意味しか持たず、これテーマの選択間違えたんじゃないの?と言う疑問がムクムクと。

あと、主人公の行動に納得がいかないんですが、これはしょうがないんですかねえ。
陰謀論クラスの敵がバックにいるのに、愛理を警察に預けるという発想があり得ないと思うんです。コールドスリープは2019年でも非公開技術のようですから、世界の政府に根を張る300人委員会に察知されれば、愛理が処分されない理由が無い。何しろ、消された君島コウの遺児みたいなもんですから。
そうでなくても、治療法があるかどうかも解らないのに「解凍して下さい」とか、何事かと。他にも、警察によって死んだことになっていた(失踪後10年経ってますから、立派な死者です)愛理が発見されれば、愛理が解放したかった母親が刑事罰に問われることになりますし、何もかもが軽率すぎます。せめて、アイリの意思を確認してそれを言い訳に使わないと、シナリオとしては滅茶苦茶になってしまいます。
そもそも、愛理の病名が不明な以上、解凍しても死ぬのを待つだけになる可能性がかなりあるって、忘れてません?10年やそこらじゃ、実用レベルの難治疾患治癒術はそうそう開発されませんよ?

まあ、この部分以外は雰囲気も良くできていたので、フェイズ8自体にはトータルでそこまで印象が悪くありません。
ラストのあれはどう言うことなのかとか、疑問は尽きないのですが、多分ちゃんと設定的なフォローが来るものと信じて、先へ進めようと思います。



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2012年07月02日

主人公とシステムが粗だらけ ロボティクスノーツ 感想3

ROBOTICS;NOTES (通常版)

これまでとこれ以降の感想は、こちら

ROBOTICS;NOTES、今回の感想範囲は、フェイズ4から1周目終了までです。

さて再開してそうそう前面に出て来る、JAXAと言う現実の組織がやけに引っかかります。種子島の射場が実質運用終了で、内之浦だけが元気とか、どうしてこう言う風になったのか良く解らない設定とか。

現在、H-IIシリーズが定期的に運用されている種子島と違い、内之浦は開店休業です。そもそも、JAXAと言う組織が、種子島系のNASADAが全く文化の違うISAS・NALを吸収し、実質的に支配下に置く形で成立した経緯ってもんがありまして…… トンデモ科学を基礎にしたSF作品(批判じゃないですよ。エンターテイメントとしてはむしろ王道です)に言うのも野暮なんですが、現実と正反対の設定を採用するなら、その理由があって然るべきだと思うのですよ。

何せ、実際はこの設定によって、引っかかる点が増えてきているのですから。例えば、種子島射場が機能を停止しているという設定のせいで、昴の父親の設定が説得力薄弱になってしまっていますし、舞台が種子島である理由が見えにくくなっています。
ロケットの夏のように、「もうロケットが飛ばなくなった場所」を舞台装置として使うのかとも思ったのですが、これも全然機能していないのですよね。ロケットに思い入れを持っているのは種子島の所長くらいで、主人公含め興味なし。良くて、男の子として憧れたことがある程度。どうにも意味が解りません。


そして、問題のキャラですが、ここまで辛うじて印象がプラスだったあき穂も、中盤以降見事に印象悪化。ガンツク1にこだわるのはいいんです。でも、それならそれで、ガンツク1を「現実に」動かすための改良なり代替案を提示すべきで、クソみたいな感情一点特化で突っ張る様子は見苦しいだけ。
スポンサーとJAXAの協力という、ある意味一番現実離れした設定を用意されて、ステッカーを貼るのも嫌・現実プランへの改良も嫌って、話が進まないでしょ?そして能力的にも問題外だと解っていくという、救いのないシナリオ……
なお、彼女の能力不足については、少なくとも今回の感想範囲では解決しません。

と言うか、何度も書いているんですが、プレーヤーは魅力的なテーマとして提示されたメインルート(巨大ロボットの建造と運用)に、早く行って欲しいわけで、それに頭の悪い突っ張りだけで横やりを入れるキャラには良い感情を持ちようが無いのですよね。
いわんや、またぞろ「俺の主義」とか言って話を展開させようとしない主人公をや……


とりあえず、この主人公造型は完全に失敗です。
ロボがテーマなのにロボに興味がなく、技術的な事は解らず、ロボ魂を象徴する幼なじみへの態度も不徹底。根本的に、主人公を張れるタマではありません。テーマに惹かれてプレイした人間を苛つかせるだけです。
それでもまだ人として魅力的ならいいんですよ。この手のプロジェクト物において、「技術的には全くだが関係者に惚れ込んで協力する」マネジメントや雑用担当者は華ですから。ですが、この主人公はそれすら欠如し、「このままだと安全性に問題が出て後輩が危険」と言う、TRPGにおける「マスター側から参加を促す助け船」すら「幼なじみ以外はどうでもいい」と拒否して見せます。(そこに力点を置くなら、それこそ幼なじみへの協力を言い訳に参加させればいいのに)本当、どうしようもありません。しかもこいつ、部外者や目上の人間に対してもこの態度なんですよね。呆れたことにタメ口ですし。ご両親はまともな人みたいなんですが、どう言う教育されてるんでしょう?
全く、良くここまで酷い脚本に出来たものだと、いっそ感心しましたよ。昴を主人公にして、海翔は台風の日に側溝に頭突っ込んで死んでるのが見つかる役とかにすれば良かったのでは?


何故こう言う細かい部分にこんなにこだわるかと言えば、話が本筋を滑り出すと、やはり面白いからです。おんぼろロボットをリセットして再出発するロボ部、熱い魂を発揮する場を与えられて輝き出す昴、成長へと歩み出す淳と、キャラクターの動きとシナリオの動きが連動して、一気に躍動感が出てきます。
自分の事を棚に上げて幼なじみに説教を始める主人公も、とりあえず話を前に進めるのであれば許せてしまえるくらいに。

しかし、プレーヤーが圧倒的に長い時間を付き合わされるのは、本筋以外の部分なのです……

どうしようもない主人公と女子連とのイチャイチャにしても、裏事情に絡むフラウのラインは悪くないのです。ところが、本筋から外れた格ゲー話だけが続く綯との絡みになると、もう苦痛しか残りません。
それと、あのミサ姉との過去設定、「越えられない壁」「取り残された悔しさ」なんて言うパーツを用意しておいて、なんで主人公をあんな風にしたんでしょうか?そこで壁を越えようとする、と言う方向にキャラ造型すれば、もっとシナリオラインはスッキリし、話もスムーズに進んだことは間違いありません。「自分がガキだと自覚する」と言うイベントを経たかったのであれば、序章でやっておくべきです。プレーヤーは、プレイを始めた瞬間から、主人公の鼻が曲がりそうな「ガキ」臭さに辟易しているのですから。

結局、豊富な人材や支援の前提はフェイズ2の序盤辺りでほぼ出そろっており、プロジェクト本格稼働が遅れるのは上記の、はっきり言って必要無い(やるにしても、1時間程度にまとめるべき)イベントがダラダラ続いて居たためなのですから。


ところで、綯さんは21歳みたいなんですが、大学出てないんでしょうか?まあ、どうせCERNだか300人委員会絡みでどうこうなんでしょうが、せめてあと2年くらい設定年代を遅らせるか、その年齢で不自然じゃない役目を割振って上げれば良かったのに。

とか思っている内に、フェイズ5が終わったところで、なんと初プレイが終わってしまいました。
ちょっと、予想外すぎてビックリです。フラグを立て損なったと言う事なのですが、あのTwitterモドキの返信パターンを解析しないと個別エンドにすらたどり着けないと!?

そして、2周目を始めて見ると、Twitterもどきの返信タイミングでスキップが停止しないという、驚愕の事実が……
これ、実質スキップ不可って事じゃないですか!!
あの、ひょっとして、喧嘩売られてますか?Steins;Gateはまだ自分でフローチャート書いて対応できましたが、今回のこりゃ無理です。とりあえずあと一周やって見て、勘所が見えなければ攻略サイト利用に移行しようかと。

繰り返しますけど、本筋の牽引力は悪くないのに、何故キャラ造型やシステム面でこんなに残念な仕様になっているのでしょうか?
なんかもう、疲れて来ました。AVGにおいて評価を決めるのはシナリオですが、それは快適なシステムと言う必要条件あってのこと。そこが蔑ろにされているので、現段階では高い評価は付けがたいです。

ただ、こう言うシナリオは、終わらせ方こそ評価の中心。そこまで行けば印象が変わるのは良くあることですから、最後まで続けてみたいと思います。



ほうかごのロケッティア (ガガガ文庫)

本作のような(理系)プロジェクト物は、SFにもジュブナイルにも名作があり、目の付け所は間違っていないのです。前に絶賛するエントリーを書いたこの↑「放課後のロケッティア」はその一角。多少主人公がクズだろうが、描き方・持って行き方一つで、見事に物語全体を魅力的にするコマにできるという好例でもあります。
同じ南の島という意味でも、本作には正にこう言うのを期待したんですがね。





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2012年06月30日

主人公がひどすぎる…… ロボティクスノーツ 感想2

ROBOTICS;NOTES (通常版)

ここまでとこれ以降の感想は、こちら

ROBOTICS;NOTES、今回の感想範囲は、フェイズ2の頭からフェイズ3ラストまでです。

序章ラスト近辺でそれなりに動き始めて好感度の上がっていた主人公ですが、本編開始と同時に元の木阿弥に。鬱陶しい態度と無意味に偉そうな言動で、プレーヤーのストレスを押し上げます。もうね、こいつは基本的に、基本的にコミュ障でろくに取り柄もないダメ人間なんですよ。たった1つのゲームの世界ランカーと言う、ゲームオタクとしても非常に半端な位置の癖に、全ての言動が上から目線で何こいつ状態。新入生を馴れさせるために模擬格闘をやったらどうかと言われて「俺、練習試合だろうと相手が素人だろうと、絶対に手を抜かない主義なんだよね」と言い出すシーンとか、もう寒気が止まりません。心が折れた仲間を前に俺は折れなかったけどね、とか発破をかけるためではなく素で言い放つ馬鹿に、どう好感度を醸成しろと言うんでしょうか?
冗談ではなく、なんでこいつが学校でハブにされていないのか不思議でなりません。純粋に不快ですもん、こんなの居たら。音頭取る人間が居なかったとしても、自然に全員からシカトでしょう。

あげくに、幼なじみも空気を読まない行動を連発し始め、物語は失速します。

しかも、フェイズ2の大部分を使って行われる資金集めが、物語のパーツとして破綻しているのが大問題。実質動いているのが幼なじみだけで、他の部員は全く別の行動をしていて参加せず、「最終目的に向けた第一段階」として機能していません。そもそも、資金難自体が設定的なこじつけて演出された物で盛り上がりに欠け、しかも解決はやっつけのイベント一個。
端的に言って、このパートは要りません。君島レポートを巡る裏の事情を垣間見せつつ、本編自体は追加パーツが届くまでの間一時停止、とかにしておいた方が良かったでしょう。そうすれば、主人公のクソうざい態度や幼なじみの空気の読め無さを強調するような、不要どころか有害なシーンを入れずに済んだわけですし。

また、一番キャラの立っているスバルが本格的に参加するきっかけも、「本当にこれで良いの?」と言いたくなる展開。課題の提示と達成という手順を踏まず、本質的な問題にも踏み込まず、結果論としてのシナリオ進行が続くのはちょっといい加減すぎるんじゃないかと。

ただまあ、悪印象だけかというと決してそうではなく、むしろそれ以外の部分はきちんと作り込まれているだけに、「異物」としての主人公やおかしな展開が目に付く、と言う感想になります。
大目的である巨大ロボット制作だったり、電波混じりに嫌な「裏」の可能性を垣間見せる君島レポートなどは、シナリオフックとして良くできているのです。しかし、シナリオ自体がそれらの魅力的なギミックを無視して迷走するので、「そんな事より面白いあれにとっとと取りかかれよ」「やる気ねえ主人公死ね」と言う感想が第一に来てしまうわけで。

それにしても、このバランスの悪さはどうにも不思議でなりません。シナリオだけの話ではないのです。キャラにしても、「一見嫌味」なスバルや「一見うざいオタク」のオカリンと言った、好感を持てるオタクキャラを作れるんですよ。このチーム。なのに、今回の主人公みたいなひどいキャラ造型をしてしまうのは何なのでしょうね?

まあ結局は、短期決戦の力押しが命の構成で、細部は強引に押し流す手法をとっていることの弊害なのでしょうが。勿論、この方法論自体は十分に有効で、実際に面白い物を作っている以上、表裏一体で仕方がないと言えるのかもしれませんが。
実際、強引なシナリオ展開でスバルが参加したあとの、ロボドクターのあざとい回想から「あのキャラ」登場へつながるシーケンスなど、緩急も付いて見事にワクワクさせられるのですから。

Steins;Gateのアニメが全く再現できていなかった、この章をまたぐ「引き」の強さは今回も健在。どんなに各章の中盤でイライラが募っても、一気に盛り返してやめ時を見失う力強さは本当に凄いですね。

とりあえず、やっと物語が動き始めたようなので、引き続きプレイ続行したいと思います。



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2012年06月29日

ほぼ期待通りの滑り出し ロボティクスノーツ 感想1

ROBOTICS;NOTES (通常版)


これ以降の感想は、こちら


Steins;Gateが、少なくとも原作ゲームは最高に面白かったので、このROBOTICS;NOTESも、当然発売日に購入しました。そして、4時間ほどかかって序章まで終わったので、そこまでの感想を。

それにしても、札幌のヨドバシは、もうXBOX360のソフトは予約分しか販売する気ないんですかね?今年に入ってから、発売日に買いに行って買えた試しがありません。開店直後に行ったこともあったのに……

と言うわけで、別の店でなんとか購入してプレイ開始です。

とりあえず、最近流行りの3Dキャラはやっぱりノベルゲームとの食い合わせは今一という印象。ゆめりあ以来変わりませんが、文字を読むのに集中するゲームで背景に動き回られると、気が散ってしまいます。何より、どうしてもつきまとう動きの不自然さが際だってしまいますし。


今回序盤最大の問題点は、Steins;Gate よりもはるかに鬱陶しい主人公でしょう。Steins;Gateのオカリンもうざかったですが、あれはまゆりが上手くクッションになっていた上、早々にクリスにへこまされてメッキが剥げていたので、微笑ましく見れました。
しかし今回の主人公は、何もしない癖に苛つかせる言動を振りまき、あまつさえ「やる気がない」と言う、AVGの主人公が一番持っていてはいけない属性(プレーヤーのコントロールできる対象が、能動的に物語を動かしてくれなくなるため)を付与されている始末。印象は最悪です。一言で言うと、「お前、なんでここに居るの?うぜえから消えろ」です。
人からものを頼まれる度に格ゲー勝負(こいつは世界ランク5位)を吹っかけ、つまりは凄く嫌味な方法で断って「ルールなんでね」とか呟く最悪の中二病に、一体どんな好印象を持てと?オカリンが、偉そうにしつつ人の良いツンデレだったのと大違いです。
むしろ、能力が足りない中で必死に動いている幼なじみに視点が移るシーンが、AVGとしては王道で際だってしまっていたり。

本当ね、何もやろうとしない主人公とか要らないんですよ。話引き延ばすだけじゃないですか。TRPGで理屈つけて動こうとしないPCを見てる気分その物になってきます。

この辺、主人公の初期印象が酷すぎて作品の足を引っ張っていたカオスヘッドから、うざさを上手くツンデレに落とし込んだSteins;Gateに変わって、一気に進化したと思っていたのですが。どうも、単なる偶然だったっぽいですね。


などと、ボロクソのメモを残しながら続けていたのですが、序章後半から少しずつ設定と伏線が増えてくると、だいぶ印象がマシになってきます。とは言え、それでも不快な態度は残りますし、その行動が設定的に「正当化されている」(理由がある、と言う設定は使いようで、1つ間違えると「矯正不能のクソ野郎」になってしまう)部分が気になったりもするのですが。

とりあえず、かなりの長さでしたが序章が終わり、オープニングはきちんと盛り上げ、「良し、最後までプレイするぞ!」と言う気合が入りました。掴みとしてはやや冗長だったと思いますが、即切りされる心配のない人気シリーズの続編としては、ありだと思います。
章の合間にワクワクさせて、「続きを見たい!」と思わせるノベルゲームは良い作品ですよ。


ただし、Steins;Gateでも相当顕著だった分岐条件の意味不明さは、多分健在だと思います。メタタグ探しにせよtwitterモドキへの返信にせよ、おっそろしく煩雑で解りにくい代物ですから。2周目以降のプレイでは、この辺がネックになるのは間違いないでしょう。

とは言え、インターフェイスはこなれていますし(何故か、TIPS画面を開いても新規一覧に飛ばないバグがありますが)システム面に不満はありません。この辺のAVGとしてもっとも大事な部分はきちんと押さえているので、間違っても酷い作品にはならないと思います。
テンポも、冗長その物だったSteins;Gateアニメ版と違って良好ですし。

とりあえず、この週末にでも、一気にプレイしてしまいたいと思います。魂を売ってでも、時間をかき集めて……



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2012年06月18日

惨劇RoopeR 追加セット 「OLD FASHION」

マスタースクリーン
マスタースクリーン

↑最近はTRPGも冬の時代を脱したらしく、こんな汎用アイテムが売られていたりします。実は、この惨劇RoopeRでは脚本家がマスタースクリーンを使う必要がある場合が多いので、割とお勧め。
もっとも、歴戦のアナログゲーマー諸氏は、家に大量に転がっている各種TRPGのマスタースクリーンに、クリップ挟んで使ってると思いますが。



閑話休題、惨劇RoopeRの公式ページはこちら

最初に念のため表記。
今回紹介しているファイルは、BakaFire Party作成「惨劇RoopeR」の追加セットです。
これは、基本セットの内容に改変を加えて制作した物です。
惨劇RoopeRその物については、公式ページ前回の紹介記事をご参照下さい。

...................

基本的に閉じた世界であるアナログゲームについて、記事を書くことはあまり無いのですが、昨日紹介した惨劇RoopeRについてはどうしても書かねばならないと感じました。
それは、同人だから広めるのに協力しないと消えてしまうと言う焦燥感もありましたが、何より本当に面白かったからです。
その、見事にはまった心の赴くところ、やはりというかルールのセット作成にまで手を染め、今回公開することに致しました。まあ、アナログゲーム業界じゃ、基本的な話じゃないかと思います。ルールってのはいじる物、使い勝手に応じて変える物。何より、「シナリオ」や「データ」を自作するのが前提の場合が多いわけですから。良い意味でも、悪い意味でもね……
(この作品については、勿論前者ですよ。基本セットのBasic Tragedyだけでも十二分に遊べますし、自分でデータを追加したい!と言う欲求が出るゲームは、すなわち優れた物なわけですから)


まあそんな、「常識で判断して下さい」が通るなら、最初から質問なんかおくらねえんだよ!な忌まわしきアレコレの話は置いておくとして、とりあえずファイルへのリンクを貼りましょう。

追加セット「old fashion」.


注意:
再配布も改変も、止めようがありませんし、止める気もありません。
ですが、両者を行う際は、BakaFire Party/惨劇RoopeRの名前だけでなく、こちらへのリンクなり出典明記をお願いします。
これは、私が作ったセットのミスやそれを元にした諸々によって、原制作者さんへ苦情等が行く事を防ぐためでもあります。その点のみ、よろしくお願いします。


さて、上記ファイルの中身は全部EXCELデータで、公式サマリーに準じた(少しだけ情報を追加してあります)プレイ用サマリーと、その他セットになっています。
なお、メインファイルにくっついている推理支援用シートはこのセットの前提となるので、必ず使うことをお勧めします。普通に便利なメモになってると思いますので。


各ファイルの詳細はあとで詳しく書くとして、一応コンセプトから。


この「OLD FASHION」は、basic tragedyにある程度馴れたプレーヤーを前提に、推理ゲームとしての側面を際だたせたゲームです。方向性としては公式で追加された「mistery circle」と同じなのですが、プレイしていて感じた(やりたいと思った)事は同じだったのでしょう。

基本的にこのセットでは、ある一つのアクションで情報が確定することがまずありません。ターン終了時のループパターンが多いのを見て下さい。逆に、あるNPCの役職が疑われた場合に、それを確定する方法も多くなっています。
つまり、いくつかの可能性を平行して考慮しつつ、正に推理をして行くことになります。テストプレイ段階を見ていると、段々と真相が明らかになると言うよりも、一見五里霧中で推移してきた盤面が終盤の展開を機に一気に視界が開け、真相が明らかになる辺りでループ回数を使い切る、と言う感じになる事が多かったです。

こう書くと、単純に難易度だけ上がったようですが(実際、basic tragedyでは物足りなくなったために作られた都合上、難易度は間違いなく上がっているのですが)実際にはループを途中で中断させられない限り、漏れ出る情報は多くなっており、決して脚本家はのんきにしていられません。
便利な能力をどこで行使するか、それを常に考えさせられる(戦略のキモとなる)セットになっています。

と言うわけで、個人的にはかなり楽しめているサプライです。これを使って一人四人でも楽しんでくれる方がいれば、嬉しい限りです。
サンプルシナリオもくっついていますから、プレイして頂ければ幸いです。


あと、各役割の紹介くらい書いておきましょう。

・キーパーソン
基本セットから変化無く残留。と言うか、ゲーム性の正にキーになる役職なので、外せないです。

・テロリスト
追加。一見強いように見えて、エリアへの暗躍C配置は基本的に難しい上、ターゲットと同じエリアにいないと相手を殺せないという残念な人。
使うときは、最低一つは「吹き出す瘴気」を入れておきましょう。
「タイムパトロール」ではかなりの便利さを発揮しますが、大体は一発で正体が割れるので、以後は足止めされて残念なことになりがち。

・クロマク
これも残留。もの凄く便利な一方、濫用すると割とあっさり正体が割れるので、後半まで隠匿してどうしようもないときの切り札に温存すると、クロマクっぽくて良い感じ。
巫女に占われて正体が割れたら、泣きながら暴れると良いと思います。

・シカク
これまたあっさり正体が割れる人。正体を隠したいなら、クロマクを最初から滅茶苦茶に濫用して、複数の可能性を垣間見せるしかないのですが……

・クグツ
テストプレイで色々弱体化された人。友好殺害能力の使い所に注意。脚本家として運用する場合、不慮の事故だけは避けること。
こいつが居る事が予想される場合、主人公側は巫女や情報屋の友好度を3で止め、最後に友好+2を使うテクニックが有効。(この場合、殺されるとしても能力フェイズに友好5能力を使ってからになるから)

・リターナー・友
友と言うけど何もしない。それどころか、良く脚本家に一日目殺人事件の犯人などを割り当てられる(不安も引き継がれるから)。
フレンド死亡などで敗北が確定したあと、とりあえず確認のために友好度を3まで上げるテクニックは重要。

・リターナー・敵
頼りない上に比べて、恐ろしく強力な存在。配置カードの無効化は、暗躍+1や+2を無条件に置けることを意味するので、脚本家側の切り札になる。
能力使用は1ループ1回なので、勝ちが確定する局面でしか使わないようにしたい。逆に主人公側にとっては、「その時リターナー・敵の能力を脚本家が使わなかった」と言う情報が重要になったりする。
こいつを使うと「絶対に勝てないゲーム」ができる場合があるので、シナリオ制作者は注意。

・フレンド
強力な隠匿能力を追加セット制作者に嫌われ、ルールXで理不尽なおまけがつき、上限が「男女1ずつ」に変更された。後者は、終盤で地味に効いてくる。

・ラバーズ&メインラバーズ
本当は外そうと思ったのだけれど、ルールX「デロリアン」を思いついてしまったが為に残留。ルールXでこれが選ばれると、推理ゲームとしては難易度が下がる一方、カードの置き合いは面倒なことになってくる。(メインラバーズへの暗躍配置が横行するため)

・パニックメーカー
テストプレイで徹底的に弱体化された人。とりあえず、1ループ目の初日にキーパーソンを殺害するのが役目か。こいつが居るならループ回数を+1で考えておくと良い。
同じ相手は殺せないので、ゲームが進むと主人公側の「フレンド&クグツあぶり出し作戦」の道具となっていく。どういじってもバランス取りが難しい。この役職を別の物に変えるというのは、一番手っ取り早いハウスルール作成手法になりそう。

・ミスリーダー
隠匿力ナンバーワン。と言ってもこのサプライではパーソンが不足しがちなので、消去法で正体が割れたり、消去法でサラリーマンに役が振られる光景が散見される。
こいつの隠匿力を高くしすぎたくない脚本家は、キーパーソンの自殺を使わざるを得ない&キーパーソンの不安臨界が高いシナリオを組んでおくと良い。





最後に、ファイル詳細は以下の通り。

old fashion.xls
シート3つから構成されており、1つめがこのセットで使うルールの明確化。2つめが公式のサマリーに準じたこのセットのサマリー。最後が推理用のシートになっています。
なお、サマリーで太文字囲いになっている部分は、基本セットから変わっている所です。

_シナリオ用シート.xls
シナリオをメモするための紙で、そのままプリントアウトして真ん中から切り離すと、公開シートと非公開シートのセットになります。これは別に、このセットでなくても使えます。

「シナリオ」フォルダ
中に4つ、このルールで遊べるシナリオが入っています。一応テストプレイはしているので、そこまで極端にバランスがおかしいことはないはず。難易度は☆4つクラスですが。
ただ、テストプレイの結果を適用してルールを変えているので、多少バランスは上下している可能性があります。


シナリオの解説は割愛。要望があれば書きますが、ロールプレイを重視するゲームでもないですし、システマティックに遊ぶだけで十分でしょう。




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2012年06月17日

和製同人ボードゲームの傑作 「惨劇RoopeR」 紹介

公式ページはこちら
イエローサブマリンの通販ページはこちら


先日、少ない自由時間をボードゲームに突っ込んでいると書きましたが、その突っ込んでいた先が、この「惨劇RoopeR」です。
ボードゲームと言えば1にドイツ2にアメリカ、3・4がなくて5ってイタリア辺りですかね?と言う位の寡占市場なのですが、何とこれは日本製です。そして、「しかも」と言うか「当然ながら」と言うか同人ゲーム。前者はともかく後者の副詞の意味は、企業が作ってもペイしないからです。

でまあ、同人ボードゲームと聞いて、同人TRPGシステムとか同人リプレイとか諸々の悪夢を想起して、D100片手にSANチェックの準備に入る諸氏は多いと思うんですが、これは本物の傑作です。
「せめて、算数出来るようになってからゲームデザインとかしろよ!」とか「数値変化がほぼランダムじゃ、意志決定にゲーム性が伴わねえだろ!」とか、説明書を床にたたきつけながら叫ぶ事は、絶対にありません。ま、上記の諸々は、商業作品でもかなり当てはまるってのは、皆さん知ってのとおりですけどね!

さてこのゲームの内容は、「ループ物」+「推理」=「ロジックパズル」。
プレーヤーは四人固定で、一人の「脚本家」と三人の「主人公」に分かれて勝利を争います。
盤面には9人のNPCが配置されており、彼らの「役職」(役割。死んだら主人公側が敗北する「キーパーソン」や、イベントトリガーの「不安」をまき散らす「ミスリーダー」、無差別に殺人を行う「シリアルキラー」など)は初期状態では不明。主人公側と脚本側は、彼らとボードの状態に介入することで、様々なイベントを起こしたり起こさなかったりすることで、情報戦を戦います。なお、ループ日数(その日数が経つと勝敗判定が行われ、主人公側が敗北すれば次のループへ)とループ回数(その回数だけループするとゲーム終了)と事件予定は公開情報。
具体的には、各ループ毎に起きる事件は決まっており(例えば、「3日目には殺人事件が起きる」「5日目には誰かが自殺する」など)その犯人は不明。しかし、その日に事件が起きたか、起きたとしてどこで何が起きたかによって、犯人や各NPCの役割が露呈していきます。当然ループを重ねれば情報は増え、どんどん主人公達は有利になっていきます。

勝敗は最終的に、「いずれかのループを、敗北条件を満たさずに通過する」か、「指定ループ回数終了後に、全NPCの役職を言い当てる」と主人公側の勝利。いずれも行えないまま指定ループを終えると、脚本家の勝利です。
ループ突破は華ですが、それにも情報が必要ですから、少なくとも最終ループまでは脚本家からどう情報を引き出すか、が主人公側の主目的となります。

基本的に、全てのルールは事前に公開されており、主人公達はそれを頼りに情報を集めていきます。例えば、ターン終了時に誰かと二人きりになると相手を殺害する「シリアルキラー」と言う役職があるのですが、二人きりになったNPCがどちらも死ななければ、その二人は「シリアルキラー」ではない、と言う情報が手に入るわけです。あるいは、「脚本家能力フェイズ」にどこかの誰かに不安が増えれば、それはそのエリアにいるNPCの誰かが「ミスリーダー」であると言う事かもしれません。
また、NPCに「友好」を貯めると発動される特殊能力があり、これをどう使うかが勝利の鍵。役職によっては「友好拒否」をされることもあるのですが、これは勿論重要な情報(「友好拒否」を行いうる役職である)になります。
こうして情報を集めて行くわけですが、もの凄い白熱が生じます。例えば、脚本家は「あのNPC1を殺せばこのループは勝利できるが、今それをするとNPC2の役職が明白になってしまう。次のターンにダミーとしてNPC3と4を同エリアに入れてから殺害すれば、誰がNPC1を殺せる役職かは3択までしか絞らせられない。しかし、主人公達が予想外の移動を指定してきたら、そもそもNPC1を殺せなくなるかも知れない。そして、残りは2日しかない!」と思っているとき、主人公側は「NPC1がキーパーソンなのは間違いないとして、あれを殺せるのはNPC1かそれとも4か?3者を引き離すことでループを抜けることを狙っても良いが、下手をすると何も情報が出ない。それならいっそ、今日は巫女の友好度を上げて、確実に情報を一つ拾って次のループに繋げるべきか?」とか思っていたりするわけです。
ちなみに、主人公側3名はループの狭間以外は相談禁止で、これがまたループ物らしいすれ違いと「他のPCの技量と行動パターンを読む」と言う面白さを提供します。

なお、脚本家はTRPGで言うGMの立場ですが、推理物シナリオのGMと異なり「PC側が勝つために心を砕く必要がない」というのが素晴らしいところ。TRPGで推理物をやると、全然想定通りに動いてくれないPCやスルーされる伏線を必死に拾い、クライマックスまで盲動犬役をするのがGMの宿命。しかしこのゲームでは、情報をしぼり、ブラフを張り、「全力をもって」事件の真相を覆い隠すことができるのです。これは本当に素晴らしい事ですよ。

もっとも、シナリオを自分で制作しなくてはならないのは同じで、そこはちょっと負担があります。しかし、TRPGのシナリオに比べれば、こんな物は屁でもありません。一回か二回作れば(あるいは、公式ページに大量にアップされているシナリオをプレイすれば)勘所は掴めます。

とにかくもう、「知力の限りを尽くして勝負をしたい」と言うボードゲーマーにとって、ここ最近でこれ以上に面白いゲームはない、と断言してしまいましょう。1プレイ3時間くらいかかるのもザラなのに、週末を何度もぶっつぶしてプレイを続け、他のオタク活動が滞るレベルでした。少なくとも、私にとって面白さは本物です。

余りにはまったので、セット(推理の根拠となるルールの組み合わせ)そのものまで自作してしまったのですが、それの公開は次の記事に回すことにします。
いや本当、TRPGやボードゲームが好きな人なら、絶対にプレイしてみるべきだと思いますよ。公式ページに通販委託販売店リストがありますから、是非!

なお、プレーヤー集めるのが厳しかったりもするかと思うんですが、ボードゲームカフェなり所属サークルなりを利用していただくと言う事で一つ。
一応オンラインツールもあるみたいなんですが、あのお互いの視線をぶつけ合いながら、口プレイ(ロールプレイなどでブラフを張ること)をしつつ腹の探り合いをする楽しさは、アナログゲームならではの物だと思いますので。



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2012年06月15日

非常に面白い試み NINTENDO 3DS 「GUILD01」 感想

GUILD01 (ギルドゼロワン)
GUILD01 (ギルドゼロワン)


GUILD01は、松野泰己、須田剛一、グラスホッパーマニュファクチャリング(企業名)と言った、マニア受けするが一般性が今一低いクリエイターや企業を集めたゲーム集です。

とりあえず松野泰己が入っているので、タクティクスオウガのPSP版が噴飯物だったとは言え、買ってしまうのがサガという物。
しかし、出荷数は悲惨だったようで、ヨドバシでは例によって瞬殺でした。と言うか、札幌店はいい加減仕入れを何とかして下さい。ちょっとマニア受けする商品は、毎回初日の夕方までに消えてるじゃないですか。

さて内容ですが、その前に……
↑のパッケージにゴーサイン出した責任者は、とっとと他部署にぶっ飛ばして、二度と企画に関わらせない方が良いと思いますよ?いやあ、「ときめきメモリアルの時代」つながりで岩崎啓眞のTwitterを見ていなかったら、絶対に買おうと思いませんでした。
媒体露出が絶望的な系統なんですから、せめてゲーム集であることを解りやすく示すとか、開発者の名前を節操なく踊らせるとか、あるじゃないですか。と言うか、売る気有るんですか?

なんでこんな事を言っているかというと、内容はパッケージから受ける印象とは全く違って、かなり賑やかで面白い物だったからです。

とりあえず、これを書いている段階で、アメリカザリガニが担当した「武器屋オマッセ」以外は一通りクリアしました。と言うわけで、個別の感想を。


1,クリムゾン・シュラウド
松野泰己担当の、TRPG風アドヴェンチャーゲーム。
基本的に、エリア攻略型のRPGですが、4つある各エリアにフロアが平均7つくらいと言う構成。そこを行き来して、選択肢を選んだり滅茶苦茶重たい戦闘を戦ったりする、見事な探索&戦闘フォーマット。
例によって松野さんらしい、中世風(和製ファンタジーお得意の近世もどきよりも、かなりダークよりのアレ)の重厚な世界観とそれにあった背景を提示しつつ、シナリオはテキストで説明と割り切った、簡潔な構成になっています。レベルの概念はなく、戦略性がやたらと高い戦闘がメインと言うのも、得意とする構成でしょう。
ただ惜しむらくは、馬鹿みたいに重くて参照性の悪いインターフェイスと、ダイスロール(画面上を4~20面体のTRPGでおなじみのサイコロが転がります)の思い切りの悪さ。前者は一番時間を食う部分なので仕方ないと言えば仕方ないのですが、逆を言うと一番長時間付き合わされる部分なので、キーレスポンスの悪さや不快なステータス欄がストレスを煽ります。後者は、システムが一見意味不明(パーセントロールにダイスを加えるなら、D100+追加ダイスにすればいい物を、何故あんな訳の解らないシステムに?)の上に、何故か「画面端に引っかかって振り直し」という無駄なリアルさがさらに展開を遅くして、戦闘時間を無駄に引き延ばします。
ダークな雰囲気や8時間程度で終わるシナリオは悪くないので、プレイアビリティを上げてくれれば文句なしの佳作だったと思います。キャラ表示がメタルフィギュア(よって、表情変化等は一切無い。超絶省コスト:誉め言葉)と言う割り切りも、それっぽくて好印象なだけに残念。

2,解放少女
つまらないシューティング。
一番お金はかかっていそうなんですが、左手で方向キー操作をしつつ、右手で3DSの「下の画面」をタッチペンでなぞることで発動するホーミングレーザーと言う仕様は、手がつります。1マップが無駄に長かったり、これまたシステムが一見してよく解らないのも問題。
またSTGとして見た場合、当たり判定の意味不明さに加えて、武器の発射がロックオンからかなり時間差があるか、ずっとポイントし続けなければならないという仕様で、著しく爽快感に欠けます。
あとシナリオは……
奥歯に物の挟まったような中途半端なことをするなら、大戦略の中国による日本侵攻シナリオくらい割り切っちゃった方が良いと思いますよ?アニメーションのセンスが90年代末で止まっている感じなのを含めて、色々力のいれ所を間違ってしまった感じです。

3,エアロ・ポーター
ビックリするほど上手くまとまったパズルゲーム。
実は空港など全然関係ない、荷物仕分けゲーム。荷物を運ぶループ状ベルトコンベアが「縦」に重なっており、それを拾い上げたり落としたりして、指定の場所に運ぶのが目的。ポイントは、上り(拾い上げ)と下り(落とす)が全機連動しているところで、目的でない段の物を拾ったり落としたりしてしまう点。つまり、使うボタンは実質「上り」のLと「下り」のRだけという、実にシンプルな操作系。しかも恐ろしく直感的で、見た瞬間理解できます。
攻略法も、人それぞれやり方があると思うのですが、複数のアプローチが可能な上に単純な癖に色々とままならない部分が出てきて、微妙に背中の痒い感じが出来の良いパズルゲームの要件を満たしています。
正直単品で打っていた場合500円でも躊躇うと思うのですが、こう言う風にセットで入って来ると、一番長く安定して遊べたりするのが面白い所ですね。実は、このソフトパッケージ中で、一番得をしている作品だと思います。(実は、購入者にとっても)
ただ、1プレイ15分はお手軽な一方電車内などでは少し足りないこともあり、5分くらいですっぱり終わるモードを選択できるとなお良かったと思います。


最後に、レンタル武器屋オマッセだけはまだやってないので、何も書きません。評判を見ると、エアロ・ポーターと同じく好評みたいなので、楽しみなのですが、今日はここまで。


最後に:全体を通して
とりあえず、説明書はちゃんと入れましょうよ。3DSのあの最悪なソフトケース(ペラ紙程度しか入らない)が問題なのは解りますが、毎回ホーム画面からオンラインマニュアルをめくるのは苦痛その物。せめて、ホーム画面に戻らなくても解るオンラインマニュアルくらいは、あって然るべきはずです。どのゲームも、スタートボタンを押した際にメニュー画面が表示されるのですから、そこからマニュアルが参照できるだけでだいぶ違うはず。


とまあ、誰が書いていた「ゲームの雑誌」が、言い得て妙だと思います。この試みは少なくとも02までは決定しているようですが、出たら定期的に買ってみようかなと。時間が無くなる中で、こう言うシンプルで切れ味鋭い方向の「ゲーム」はありがたい物ですから。

ソーシャル?スマホ?レスポンスをフレーム単位で測れる設計になってから「ゲーム機」を名乗りやがれ!と思うような本来の「ゲーマー」は、是非こう言う試みに乗っておくべきかと。でないと、解っていない出資者や経営者に「そんな内容ならスマホでやればユーザーが100倍つくだろう?」とかほざかれる市場状況に押し切られてしまうわけですから。
ニッチでもガラパゴスでも良いですが、我々が楽しめる物が生き残れる環境を確保するための投資は、できる限りやっていきたい物です。



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2012年05月13日

綺麗に終わった良作/「魔法使いの夜」 感想3・クリア



魔法使いの夜 初回版
魔法使いの夜 初回版


感想その1・その2はこちら

時間の無さというのは本当に恐ろしい物で、GWに至ってやっと再開でき、終わったときにはこの始末。まあ、普通なら中断即フェイドアウトとなるノベルゲームで、最後までやり通せたと言う事は、間違いなく魅力的な作品だったと言う事でしょう。


と言うわけで、ラストとなる感想3は第8章からラストまでです。
一応、アーカイブで未読の物が少しだけあるのですが、大勢は変わらないでしょうから。


さて、いきなり否定から入りますが、やはり時間軸のおかしさは健在。8章冒頭で主たる舞台が「80年代後半」と改めて明記されています。「バブル末期」とも。そのくせペットボトルの水がどうこうとかやらかしていたりするので(ペットボトルで水が売られ始めたのは90年代以降のはず。我が家は「六甲のおいしい水」をたまに買ってましたから、良く憶えています)、また引っかかります。もう気にしても仕方ないのかも知れませんが、一番基礎的な時代の描写部分が何故こうなのか。

一方、全くほのぼのなどしていないのに穏やかな日常の描写は見事で、良く模倣される戦闘描写(今回更に磨きがかかりましたが)と同じくらい、センスを感じます。男料理の下りとか、有珠と草十郎のキャラクターを実に自然に演出していて出色。
生きてたのかよ!?とか叫びたくなる、アホな元遊園地経営者の爺さんとかも。

ところで、最初の方とラスト近辺で、青子は地の文(独白)で姉が出奔したから後継者になった、と言っていたはずなのですが、あれはブラフだったのでしょうか?あるいはあの文章の意味は、姉が居なくなったので、修行の方法が変わったと言う事?

そして、ゆっくりした展開は良いのですが、日常シーンが続くと背景やスクリプトの流用が目立ってきます。同じ場所で同じペースの話が展開するから当然なのですが、こうなると序盤の圧倒的な物量との落差で、良い意味でのハッタリ、つまり化けの皮が剥がれて行ってしまいます。
逆に、手抜きを上手く使って目先を変えた「なぜなにプロイ」は、緩急として上手く機能していました。
他の幕間エピソードでは、「リア充爆発しろ」状態の自転車二人乗りの内容が、「水分豊富な関東圏の雪が積もった曲線坂道をノンブレーキで疾走」という、サドンデスな内容だったことに胃が縮む思いを味わったり。いやあ、洒落になってませんよ。

と、細かい話は置いておいて、ひとまず全体のバランスについて。

結局、作品にちぐはぐな印象を与えるのは、後半に至るまでのリズムじゃないかと思うのです。
例えば、プレイ開始後長い長い日常シーンが飽きるほど続き、最初に出てくる本格的なアクションシーン(魔法使いの夜1)は、全体の1/4経過後なわけです。しかも、ここで大きな戦闘イベントが三連続で投入され、今度は逆に読んでいる側は疲れてきます。戦闘シーンというのは、大きなイベントである一方、話の展開としては動きがありませんから。(戦闘と言うのは、あくまでも物語上の中間目的達成過程)
そしてそれが終わると、今度は何と全体の半分ほどの長さが、ずっと続く日常シーン。たまに物騒なイベントが挟まっては居ますが、一コマ漫画程度の分量。
今回、ぶっ続けにプレイできたわけではないので尚更そう感じたのかもしれませんが、中盤までのテンポが良くありません。書いたとおり、個々のシーンはできが良いだけに、勿体ない事になっています。
これは、画面演出がスキップできないために、無闇に待ち時間が多くなってしまった事も絡んでくるはずです。

とは言え、後半の戦いは、一夜の戦いの内容を分割して間にシーンを挟むなどして、上手く処理して居るんですよね。年代関係の誤りも考えると、推敲が足りなかったんでしょうか?開発期間を考えると、普通そんなわけ無いと思うのですが……

一方、雰囲気作りは後半に行くにしたがってどんどん上手くなっていきます。これは、冷たく鋭利な空気、孤独を強調する蒼さと言った、作者が本来得意とする舞台装置が増えて行くためでしょう。前半の廃園などは、あくまでも本来賑やかな場所に人影が耐えていることから来る寂寞ですが、後半の舞台はそもそも人を拒むような荒涼とした光景を醸し出します。人家や公園と言った、本来人の温かさが染みついているはずの場所という意味で、前半と変化がないにも関わらず。

そしてですね、やっぱり文章の勢いと描写力は凄いんですわ。私、何度となくFATEの「結局一本調子の力押し」な戦闘を腐しているわけですが、にもかかわらず戦闘シーンが面白いと言うのは事実なわけですから。
更に今回は、演出上の「ため」と「アクション」の比率が前者寄りになると共に、全体的に流れと文章量がシェイプアップされ、切れ味が更に増しています。草十郎の活躍シーンなんか、お約束そのもなわけですよ。「普段最弱土壇場最強」のダルタニアン・メソッドで、展開にひねりもなければ伏線すらまともに張られていません。ところが、これが滅法格好良い。そして見事に簡潔にまとめられている。

身も蓋もないことを言えば、今回の演出手法上、手間をコストのかかるアクションシーンは最低限にせざるを得なかった結果なわけです。しかし、これが結果として冗長さに流れがちな戦闘シーンを上手く制御し、展開を引き締めて見栄えのするシーンを作り出しているのですから、何の問題もありません。
当然ながらそう言った配合が機能するためには、前提として作者が高レベルで構成をまとめ上げる能力を持っているのが必要で、つまりは「さすが」と言うべきなのでしょう。
ただ、その「強さ」の理論は、相変わらず酷い物。
折角魔術関係の設定を色々作ったのですから、「相手の非常識さを認識できないせいで神性が無効化されて、彼の認識通り『ただの巨大な狼』としての力しか機能しなかった」とかなんとか、適当な理屈はでっち上げられると思うんですよ。この辺、SFであれファンタジーであれ、設定から世界観を作り込んでいく話と、作者は余り相性が良くないですよね。結局、FATEの最後は力押しになってしまう戦闘というのも、こう言った設定を基にして「主人公を勝たせる論理」を組み上げられず、勢いに頼ってしまうと言う事に他ならないわけですから。
まあ、それも作風で実際受けているわけですから、好みの問題と言ってしまえばそれまでなのでしょうが……

とは言え、これは逆に作者の力量を示す物でもあります。
ご都合主義の展開、力押しの勝利とハッピーエンドを納得させる最も強力な方法は、小利口な理屈でも緻密な設定でもなく(それらでも当然可能ですが)、強力な描写でもって読者を共感させることなのですから。そして、そういったセンスと練り込みこそ、何者にも代え難い作者の能力に他ならないわけです。大体どんな物語でも、あらすじを三行にまとめれば陳腐その物で、善し悪しとはつまり、そんな代物を読者に納得させられたかどうかで決まる物です。KANONの安易で陳腐なハッピーエンドが、多くの人を感動させてノベルゲームの金字塔となったその方法が典型ですね。それまでの物語で強力に感情移入させられたプレーヤーが「どんな陳腐でもいい、この物語に救いを!」と願った瞬間、正に奇跡が起きる事で、モニターの中と外のシンクロが最高潮に達するわけです。その前提である、オーラスに向けての盛り上げ・積み重ねや、演出の巧みさ・綿密さを見ずに、安易な展開で良しと言う誤った教訓を読み取った作品がどうなったかは、まあ知ってのとおり。

従って、宇宙の「熱的死」に対する許し難い誤りとかは、一部の好事家が気にするだけの話なので、本筋ではないのです。ええ、あくまでも、一部の人間が目を剥いてモニターを蹴飛ばそうとするだけですから。
未来にエネルギーを飛ばした場合、確かに現在のエネルギー総量が変化しますが、それは同一時間軸で考えればの話。5分間が消えて別の「時間」に追加されるなら、それはエネルギーの総量がその時点で増加し、熱的死の回避に働くことになります。
まあこんなのは、ありふれたエントロピーの誤用と同様なのかも知れませんが…… でも、あっちこっちで為される「エントロピー」の誤用(最近だとまどか☆マギカが代表)大体は、作品内で言及される「エネルギー」を「利用可能なエネルギー」と言い換えれば正しかったりするので、こっちのがはるかに気になります。

なお、BGMは総じて雰囲気が良いんですが、その1で書いた最初の音楽と、ラスト付近の田舎道での会話シーンのは明らかに不協和音。基本的に私は音楽のセンスがないのでこう言う部分に言及しないんですが、あからさまに聴覚をひっかくような音に困惑させられました。本当、何なんでしょうね?


まあそんなわけで、相変わらず突っ込むところも多かったのですが、総じて出来の良い、力の入った良作でした。また特筆すべきは、最初に書いたFATEのような、極端に不快なキャラクターが居なかったという点です。厨二PC丸出し(ああ言うキャラを作るPLが居た場合、GMは、プレイを始める前に設定面を徹底的に突っついて、シナリオをまともに進められるかどうか確認する必要があります)の神父とか、かなりひどい事をやっているのに作者補正でひいきされている橙子とか、危ないのは居るんですが、FATEの主人公様と違って抑えめですし余裕で許容範囲内。大幅に強化されたグラフィックと同様、作者の力量アップを感じさせます。

とまあ、私は十分に満足しました。どうもボリューム不足と言われているようですが、市場価格は発売直後から6千円台ですし、かかっているコストを思えば十分だと思います。むしろ、昨今の無意味な重厚長大化を思えば、これくらいの規模こそ有るべき姿だと思います。単純に考えて、最低三十時間とか要求するソフトを、年に何本やれるかという話です。ノベルゲームの売上は絶賛右肩下がりですが、実はファンの総合消費時間はそこまで変わってないんじゃないかと思ったり。

何にせよ、価格分しっかり楽しめたこの作品、私は気に入りました。実は久しぶりのノベルゲームの辺りだったんですよね。エントリーに起こさないところで、記事を書くのも億劫になる地雷を幾つか踏んでたりしますし……



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2012年04月21日

優秀なのに無価値/ニンテンドー3DS買いました



ニンテンドー3DS ミスティピンク


ファイアーエムブレム 覚醒が出たから、3DS買ったんですよ。
でも、今の気分を一言で言うと、世界樹の迷宮ができれば、あとは目をつむるしかないんだろうなあ…… と言う、見事な敗戦処理です。

まあ、システム的にはともかく、キャラと世界観とシナリオが旧作ファンに喧嘩を売っているファイアーエムブレムの事は、置いておきましょう。一段落したら、別にエントリーを立てて、然るべき批判をするつもりですから。

問題は、3DSと言うこのハードの優秀性と、目を覆わんばかりの惨状です。

まず、ハードウェアとしては極めて優秀です。DSから正統に進化し、グラフィックも音も上々。持ちやすさやボタンの配置も、馴れない部分を除けば必要十分。買ってから何年経っても定期的に床にたたきつけたくなるPSPとは、偉い違いです。キーレスポンスの良さとか、やはり伝統のある所は違います。

ところが、通信関係や「コンピュータ」としてのインターフェイスの問題になった瞬間、信じられないレベルで使い勝手の悪さを見せつけます。

何しろ、ホーム画面が一次元。どう言うことかというと、PSP/PS3のホームデザインで、上下方向のメニュー拡張が無い状態を思い浮かべて下さい。つまり、ゲームも設定もアプリも、ひたすら横一線に並びます。選択2時間がかかる上、そもそも視界が狭くなりすぎて、目的の物を探すのが一苦労。


4/21追記
コメント欄で指摘を受けました。配置は、2列に変更する事ができます。
ソフトが増えるとそれでも足りない印象ですが、かなりマシになりました。


モバイルが前提なのに、アクセスポイントの情報が相変わらず三つしか記録できないのもあきれかえりますし、何より酷いのがネット関連。
あのですね、なんでWiiショッピングチャンネルと、情報共有できないんですか?そもそもファミコンのソフトしか買えないというのが意味不明ですが、ポイントも統合されないとか、喧嘩売りすぎです。クレジットカード情報を無線LAN搭載機器にぶち込むような蛮勇は持ってないんですが、どうしてくれようか。

確かに、3Dカメラや前面タッチパネルと言ったオモチャ心あふれる作りは楽しいのですが、「デジタル機器」というカテゴリに入った瞬間、やはり色々と厳しい評価にならざるを得ません。結局、スマートフォンという万能モバイルギアが普及しつつある現在、多少特化機能に利があっても比べられると厳しいと言うことでしょう。恐らく任天堂はオモチャを作り続けているつもりだと思うのですが、そうは見てもらえない(見られない)厳しさがあります。
大体、その肝心の3Dからして、これがあるが故の楽しさはまず無く、目が疲れるわ視点が制限されるわで、速攻オフにされる代物。と言うか、別にDSの性能に不満があったわけでもなく、3DSの魅力というのは特に感じられないというのが本音です。

通信関係の酷さは単純に任天堂のせいですが、こうして見るとゲーム専用携帯機というのは、やっぱり据え置き型より先に消え去る運命なのかもしれませんね。
勿論、ゲーマーとしては、スマホのゲームもどきなど暇つぶしにもならない代物なので、消えられるのはとても困ってしまうのですが……




  


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2012年04月19日

期待される水準を過不足なく維持/「魔法使いの夜」 感想2


魔法使いの夜 初回版
魔法使いの夜 初回版


感想その1はこちら


今回は、第五章後半から七章+サブエピソードまでです。一応見えてる範囲では、ここが折り返し地点みたいですね。


ミラーメイズの戦闘が終わった息も吐かせぬまま、大仕掛けの魔法が廃園を覆う展開は圧巻。静から動へのなだれ込みと言い、バンクと流用が基本の言わばアニメに対するリミテッドアニメであったはずのノベルゲームとは思えない、映像美と画面展開に圧倒されます。単に動画を流すなら、まだ解るんですよ。そうではなく、あくまでもノベルゲームの文法の中で、信じられないほど贅沢にリソースを突っ込んでいる。「白詰草話」をプレイしたときの驚愕を彷彿とさせる物がありますが、手間のかけ方はこちらの方が上でしょう。時代が下っているのである意味必然ですが、当時と今の業界市況を比べると、蛮勇をふるったのはむしろこちら。

シナリオ的にも、きちんと段階を踏んで情報を提示しつつ戦闘描写は合理的で、緩急も付いている優等生。遊園地外れの10分間は謎でしたが(その前の売店内と違って、時間的余裕の理由が提示されていない)、逆を言うとそれくらい。一気に読ませます。

あ、結局戦闘描写が力押し一手なのは、FATEの頃と変わらない傾向。個人的に好きじゃない(単線的なインフレ合戦では、物語的な仕込みが機能しにくい)のですが、作者の性向と文章の書き方から見てこれこそがやりたい内容でしょうから、単純に好みの問題になります。ドラゴンボールとジョジョの戦闘どっちが好きか、みたいな話ですね。

ただし、なんか途中のカットインで、オープニングのあれが普通に青子の過去っぽいと解ったのは…… つまり、あの「80年代の車には良くあった」というのは、単なる文章の瑕疵なの!?
月にしても、「妙にCGで強調してるけど、文章に伏線見あたらなかったし、月の像もクレーターの位置とか普通に現実のそれだしなあ」とか思っていたら、あのオチですしねえ。インフレ戦闘もそうですが、こう言うのが作者の趣味なんでしょう。つまり、伏線の構築と回収とかには、根本的に興味がないんじゃないかと思います。FATEもそうでしたし。勿論、こう言う方向性が人気な以上、批判する筋ではないんでしょうね。この辺については、私ははっきりどうかと思いますが。伏線がないことは、逆説的に展開を容易に予測できる(ご都合主義が貫徹するため)と言う事ですし。

繰り返しますけど、この辺は一長一短なんですよね。登場人物の心情を逐一地の文で描いてしまうのも、一歩間違えれば陳腐一直線ですが、こう言う解りやすさの追求があの派手で目を引くエフェクトへのこだわりにつながるわけです。勿論、そもそも本作の場合、心情説明なんかは割と自然に文章に組み込んで、陳腐にならないように工夫されていますから、欠点も抑え込んでいると見ていいでしょう。
おそらく、文章自体が下手なわけでなく、正規の訓練を受けていない(編集を経る機会がなかった)事から来る基礎の抜けなのだと思います。人称問題がクリアされていないなんて、典型ですし。勿論、編集が仕事しない事に定評のあるラノベとかも、割と似たような状態ですが……

とは言え、80年代の高校授業では極めて珍しい「電子工学」なんて試験科目が出てきていたり、そもそも現実世界とは根本的にずれているという可能性も、一応あります。作者の方向性的に、考えにくいところですが。

ところで、キャラ的には、青子でも有珠でもなく、使い魔のロビンが一番良いですね。動画無し、最低限のアクション、台詞はゼロ(建前上)。なのに、あれだけキャラが立つんだから見事です。一番キャラが立ってのは饒舌になる前というのは、まあ仕方のない所ですが。

と言うわけで、色々思うところがありつつも、楽しく読み進めております。



さて以下は、この作品自身の内容とは関係しない部分です。

ただ、できが良ければ良いほどこみ上げてくる、ある種の哀しさという物があります。
単純な物語の分量としては、このゲームはラノベ三冊分ほどでしょう。つまり、2000円以下の商品と競合します。
動きもエフェクトも素晴らしい。しかし、絶賛ダンピング価格で制作される、「画面全体が動画」のアニメーションは、毎期湯水のように放映されています。
そして、世界的な予算をかけて馬鹿みたいな規模で作られる映画は、1800円で選り取り見取りです。

つまり、物語の出来や素材の良さと言う部分に戦場を限定するとき、「ゲーム」はその優越性を喪失し、レッドオーシャンに突っ込んでしまうのです。(ゲーム業界自体がレッドオーシャンですが、少なくとも独立したニッチです)

元々TYPE-MOONはゲーム性に重きを置いていませんでしたが、ひぐらし式の一本道構造を取った本作に不満が出るのは、仕方のない所かと思います。

繰り返しますが、私はFATEより余程気に入っていますし、クオリティの面で前回書いたような部分以外に不満はありません。それどころか、ノベル系PCゲームの中では、「素晴らしき日々 ~不連続存在~」(感想はこちら)以来のヒットでした。
しかし、その上でやはり、ゲームと言うメディアを買う意味の半分を占める期待感は満たされませんでしたし、何か納得の行かない物が残るのです。








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2012年04月15日

時代考証の杜撰さは伏線?/「魔法使いの夜」 感想1

魔法使いの夜 初回版
魔法使いの夜 初回版

感想2以降はこちら


制作における自由度といい内容といい、段々商業を圧倒しつつある同人作品ですが、やはり流通の問題は常にあり続けるわけです。
と言うわけで、発売日にヨドバシで買える有難みを噛みしめつつ、「魔法使いの夜」のプレイを開始しました。
と言っても、見事な忙しさで、起動できたのは週末になってからだったりしますが。


さてまずは、五章前半までの感想になります。

……の前に、喜び勇んでプレイしようとしたら、いきなりプロテクト誤爆ですよ。誤爆対応ツールが標準添付されていますが、そんなものが標準添付になるような精度の低いプロテクト自体、ユーザーに喧嘩売ってる以外の何者でもないわけで。

ええ、頭に来たのでとっととnodvd化です。誤爆されたあげく、情報送信なんぞする気はありません。そもそもメイン機のDVDドライブは、ヨーロッパユニバーサリス3 DIVINE WIND の指定席なんです。発売日に正価で買ってるんですから、文句言われる筋合もありませんし。
元々私、FATEの凄さ(量とかお話の完成度とか)は高く評価しながらも、根本的な物語の構成が好きでなかったんですよ。今は亡き「νばるへぶ」さんの感想にほぼ完全に同意する、と言っておけば、解る人には解ってもらえるでしょう。(あれだけまどか☆マギカを高く評価しながら、FATE/ZEROを見ていないのはそう言うわけです)今回の件で、その悪印象が別方向でさらに強まってしまったところで、何とかプレイ開始です。
いつもの通り、この辺を割り引いて読んで頂けるとよろしいかと。

さて、始めてまず気になったのはBGMです。最初のピアノ曲なのですが、不協和音がもの凄く耳障り。ちょっと意識を向けると突然不快になるんですが、なんでしょこれ。まさか今時DVDから直接再生しているわけでもないでしょうから、元々の曲の問題でしょう。
他の曲は全く気にならないのですが、何故最初の曲だけ水準を割っているのか不思議です。

一方、映像は更に進化しており、実写とアニメの中間のような背景が、硬質な物語に非常に良くマッチしています。細かなフェイドアウトやレイヤーを被せる演出も、余裕のある体制にのみ許される贅沢な作り。ただ、クリックでも飛ばせない演出が多いのは引っかかりますね。特殊処理の影響だと思うんですが、進行速度を自分でコントロールできないとストレスがたまります。一回異常に処理が重くなって、フリーズしかけたポイントもありましたし。
しかしまあ、パターン数の多さは凄いですね。見せ方自体も、単純な背景+立ち絵ではなく、処理付き背景+キャラクターパターンの多重レイヤーで、ちょっとしたアニメのよう。恐らく話題になるのは派手で綺麗な魔法エフェクトとかだと思うんですが、作戦をCGモデルで表示して解りやすく示したりとか、行き届いています。良いですねえ、こう言うの。

なお、オープニングムービーが流れるまで(そしてオープニングムービーそのもの)の「掴み」の弱さも驚くべきところで、最初の「引き」となる伏線を除いては、何の起伏もありません。しかしこれも、5分や10分でプレーヤーがこの作品を見捨てるわけがないと知る大作だけに許される、これまた贅沢な作り方。こう言うのが横綱相撲という奴で、羨ましい限りです。まあ、たまにそれを勘違いして、最後までプレーヤーを楽しませないまま終わってしまう代物とかあったりしますので、油断は禁物ですが。


そして、例によって情報をシャットダウンしていたため、始めて一時間でやっとこの作品の舞台が1980年代と気づく遅まきさ。のわりに、駅前や服装の描写は割と現代的なのはどう言う訳なんでしょうかね?電子レンジやテレビやスチーム暖房など、80年代にしては新しすぎるような。(この辺は、後半で詳述します)
あ、オープニングで、恐らく10年余り前の出来事に関わる古い車について「1980年代の車には良くあった」と言っているのは、多分伏線で間違いないと思うのですが。少なくともこの文章から、あの回想の主体が80年代よりあとの時代にいるのは間違いないわけですし。


肝心の内容ですが、3章までの段階では、重要な情報は上手くぼかされており、「一体何が起きているのか」を類推するしかない「じらし」が上手く機能しています。一応一回戦闘描写もありましたが、描写されるのはあくまでも戦闘その物で、戦闘の意味や世界のルールは見えてきません。明らかに裏で進行しているらしい超常の事態についても、「進行している」と言う事実は露骨に示されるのに、内容は不明。上手い引っ張りです。

そして一気に話が動く5章からは、手の込んだエフェクトと画面全体を使った描写力で、グイグイ話に引き込みます。章の切れ目における「引き」の作り方も、やめ時を見失う憎い構成。この辺の丁寧さは、FATEの時も感じましたが堅実で技巧的。

また何より、FATE最大の不愉快ポイントであった登場人物の問題(うそ寒い正義と自己中心的な理屈を都合良く使い分けて恥じない変節漢で卑怯者の主人公や、てめえの罪を一切背負う気のないトリのヒロイン)が今の所顕在化しておらず、楽しくプレイすることができます。もっともこの辺、凛が中心だった間は無邪気に楽しめたFATEとパラレルな面もあるので、不安な面もありますが。

何にせよ、ここまではさすがの大作ぶりで、プレイ時間が取れない事が真剣に悩ましいレベルです。あー、引きこもって48時間とか連続プレイしたい!!

ところで、プレイ時間6時間を超えて選択肢が全くないのですが、これはそう言う類なんですかね。



ただですね、「物語」として、時代考証の酷さだけは、ちょっと許し難い物があるんですよ。

いえ、スカートの短さとか、そう言う事を言いたいのではありません。「現代から見ると控えめ」くらいに押さえていますから、あれはむしろ考証とのバランスを取ったところでしょう。
しかし、神が宿るべき細かな部分でアラが多すぎて、まるで没入できないのです。

まず、違和感の多くは、80年代を描くのに「80年代の製品」を使ったことによる物じゃないかと思います。当然ですが、家電にせよ小物にせよ、新製品に置き換わるわけではなく長く使われる(特に年代を遡るほど)ので、80年代の風景を強調するなら、70年代の物を中心にするべきだったのでしょう。80年代という舞台の意味である、レトロ感を出すという意味でも。コンビニやカラオケボックスみたいな、現在に比べて極めて少ない(後者に至っては、ほぼ0のはず)店舗しかなかった代物についても、もう少し気を使って描写して欲しいなあ、とか。
他、違和感という点だと、解説文章で一人称視点と三人称視点が入り乱れる事があるのは、ちょっとまずいでしょう。何らかの叙述トリックというようにも見えませんし。

なお、キッツィーランド関連の設定は、ちょっと酷いような……
建設着手が「今をさかのぼること十年前」で、3年間かけての完成が81年。そして閉園が86年。ところが、最初に言及される開園時が「安定期に入った80年代後半」で、あげく「JRの駅が落成しようとしていた」と来ました。
73年生まれの奈須きのこが知らないわけ無いと思うのですが、国鉄がJRに変わったのは87年。あらゆる意味で計算が合いません。ついでに、バブル景気というのは80年代末からですから、81年オープン86年閉園の同園を「バブルのあだ花」と言うのも酷いミス。
プロローグと同様、ミスじゃなくて叙述トリックかとも思ったのですが、どう考えても矛盾が残ります。

この辺、レトロな舞台を用意する場合絶対に押さえねばならない諸々で、プレイ中の違和感が半端無いことに。文章に引っかかって「あれ?私の勘違いだっけ?」と調べる度に予想どおりの回答を見つけ、ゲンナリしてきました。自分が生きてきた時代からと、油断してろくに調べもしなかったんでしょうか?一つ二つなら笑って済ますところですが、こう多いとなると……
直後の地の文も、「人々の生活水準は右肩あがりで、誰もが未来に不安をいだかなかった、狂騒の時代」とかって、80年代後半から前半を回想して言うセリフじゃねえですよ。それこそ80年代末なら、バブル入口。何ですかこれ?
なお、80年代くらいと言えば、普通に米ソが核兵器向け合ってチキンレース疾走中。ノストラダムスの大予言が人口に膾炙するくらい「未来に不安」が溢れていた時代でもあった、と言うのは強く主張したいところですが、これはこの際置いておきます。一応上記引用部分のような80年代観は、今では一般的なようですし。


とまあ、現在の所引っかかるのは細かな部分と時代考証くらいで、とても楽しめています。ファイアーエムブレム・覚醒の発売も迫っていることもあって、早く進めたいのですが、さて時間をどう捻出するか……




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2012年04月03日

情報提供は真面目にやって/魔法少女まどか☆マギカ ポータブル

魔法少女まどか☆マギカ ポータブル (完全受注限定生産版) 「限定契約BOX」


ゲーム自体の感想等はこちら


帰宅したらバンダイナムコからEメールが来ていまして、何かと思ったらまどか☆マギカポータブルの例のバグが出たときに送った、バグレポの返信でした。

で、内容はと言うと、バグについての説明ページを用意したから見てね、と言う物。少しは真面目に対応する気があったのかと見に行ってみたら、こんなんでした

見た瞬間、「ああ、この会社は本当にダメなんだな」と解る代物。
問題は、即時対応でないという部分ではありません。パッチ処理だけなら楽ですが、オフラインの客も対応するには予算措置も必要な手段を併用する必要があり、「ネット繋げない奴など客ではない」と言う、エロゲ会社対応はできません。(エロゲ会社の場合、そもそも規模的にネットでの対応以外不可能、という如何ともしがたい前提があるわけですが)

本当に「ひどい」と感じたのは、最低限情報提供すべき「バグの回避方法」が記載されていない点です。
数値が間違って表示されるなどと言うのは単なるミスなので、あの記載で構わないでしょう。しかし、さやかルートの必発フリーズと、ワルプルギス戦における阿呆なロードエラーは、回避方法がなくては、知らない人間はおちおちプレイできません。そしてその回避方法はとても簡単(さやかルートなら、さやかを魔女化させない。ワルプルギス戦なら、一気に大ダメージを与えない)です。買う前にこの情報提供があれば、「そうなのか」で済む話で、苦笑しつつも普通にプレイできるわけです。
しかし、知らなければ私のように数時間を無駄にしたあげく、再現率ほぼ100%と言う事実に、メーカーに対する信用度をどん底までたたき落とすことになります。

と言うか、これだけ書かれても困っちゃいますよね?「特定の箇所に置いて進行不能になる」とか書かれても、知らない人間にとっては「どこだよ!?」としか言いようがないわけです。企業としての誠実さ以前に、この記載だけだと「やばいから買うな」と自ら言っているようにしか見えません。(ある意味誠実なのかもしれませんが……)
予想以上に汚いバグで修正できないとか、開発会社が逃げたとか、プログラマーが飛んだとか、色々対応が難しいのかもしれませんが、とりあえず現時点で解っている対処法だけでも出さないと、何のためのサポートかわかりゃしないわけで。

と言うか、このタイミングでの発表って、要するに期末の売上を逃げ切ったあとで、とりあえず発表だけしておこうって話ですよね?何度も言いますが、こんなバグ、テストプレイ段階で見つからないわけ無いんですから。


しかしまあ、DVDの声入れミスといい、どうもまどか☆マギカは関連商品の品質管理が怪しいですね。作品そのものの作り込みや、プロダクションノートなどで垣間見えるコンセプトの徹底は見事なのに、なんでこうなるのやら……
作品その物は良いのに、そこに至る前の基礎的な部分で瑕疵が多すぎて疲れてしまう。何とも残念な話です。



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2012年03月30日

魔法少女まどか☆マギカポータブル 全て終わっての感想

魔法少女まどか☆マギカ ポータブル (完全受注限定生産版) 「限定契約BOX」


前回までの感想はこちら


一通り終わったので、まとめての感想となります。

今回は、先に全体としての結論を書き、その後で残っていたルートの感想を書きたいと思います。

結論:
・純粋にシナリオだけ見れば及第点。
・だが、ゲームデザインが不徹底すぎる。シナリオの面白さを、システムが殺している。
・バグの多さとつじつま合わせの甘さは、商品としての水準を満たしているか怪しい。


シナリオは、さすができが良いです。個々のパーツでは、プレーヤーが望んだIFが見られるものもあり、この部分だけなら十二分に及第点でしょう。「外れ」のルートは多いのですが、これは純粋なシナリオ内容よりも、後述する辻褄あわせの放棄や分岐の不徹底に起因するもので、ベースは決して悪くありません。

しかし、ゲームシステムがそれを殺しています。
Qボタンはゲームとして全く機能しておらず、ただの邪魔です。何しろ、分岐には一切絡まないのですから。ほむらルート以外の分岐条件であるソウルジェムの濁りは、ダンジョン内でプレーヤーがわざと濁らせるかどうかで決まり、ほむらルートの分岐は普通の強制選択肢です。しかも、Qボタンで発生する会話は、率直に言って唐突かつ意味不明。無い方がマシなレベルです。
そして、ダンジョンパートはAVGパートとほとんどリンクせず、要所のミニゲーム以上の機能を持ちません。最後の頼みの分岐条件ですら、毎回毎回「ワルプルギスの夜を撃破したのに、撃破していない扱いになって話が進む」と言う展開で、プレーヤーに対する最低限の誠実さすら見せてくれません。

いっそAVGパートかダンジョンパート、どちらかに絞れば(つまり、単なるノベルゲーム、または分岐条件付きローグライクダンジョンRPGにするかすれば)、ゲームとしては堅実な作りになったんじゃないかと思います。

そして、バグについてはもう良いでしょう。あのフリーズバグは、気づいていて放置したとしか思えない代物で、商売人としての最低限のモラルを投げ捨てています。
パッチワーク故のシナリオ矛盾にしても、チェック漏れ以前にパーツが足りないまま組み上げた(シナリオ内容に応じた変化部分を作る時間が無く、他ルートで状況が近い物を放り込んだ)公算が大でしょう。


とは言え、困った事に、全くのクソゲーではない、と言うのは重ねて強調しておく必要があります。インターフェイスが酷いとは言っても、AVGとして一番重要なシナリオは高水準ですし、簡易ローグライクRPGとしてダンジョンパートも決して悪くありません。
原作物の宿命なのですが、普通のゲーム並の開発期間・チェック時間を取れれば、堅実な良作に仕上がった事は疑いありません。

ですから、皮肉や嫌味ではなく本当に「ファンならば買っても良い」としか言えないと思います。正直、原作への愛があって初めて、シナリオの良さだけを頼りにやり通す事が可能になるタイプのゲームだと思うので。

結局これも、「残念な原作付きゲーム」の一本として、記憶されざるを得ないのが哀しい所です。

ゲームと言う娯楽の入口となりうる原作付きゲーム(みんな、ハットリ君やゲゲゲの鬼太郎買ったでしょ?)を、焼き畑用の熱帯雨林扱いする事は、衰退フェイズに入っているゲーム業界として正しい姿勢なんでしょうかね?
ミッキーのマジカルアドヴェンチャー以来、良質な原作付きゲームを提供して自身のファンも増やしてきたカプコンを、少しは見習っても良いんじゃないかと思うのですが……



以下は、前回から残っていた各ルートの感想です。

まずは、ほむらルートの全エンディングをクリア。

一番印象深かったのは、いわゆるワルプルギス戦討死・まどかに看取られエンド。
勿論、これも完璧かと言われると色々瑕疵があります。例えば、因果値の引き継ぎ。ゲームオーバーで因果値等が引き継がれるのは、寸前にほむらがリセットしている、と妄想することも出来たんです。でも、、このエンドのあとも引き継ぎができるのは、ちょっと気になるところ。(引き継がれなかったら、それはそれで困るのは確かなのですが……)

と言うか、結局まどか以外魔法少女化してしまうトゥルーエンド(?)よりも、このエンドの方が遙かに筋が通されているので、こっちをグランドエンド扱いで良かったんじゃないかと言う気がします。そうすれば引き継ぎがなくても筋は通りますし。

しかし、その点を除けば、このエンディングは本当に素晴らしいのです。合理的に行動した結果、杏子はほむらを否定して去り、魔女化の秘密を知ったマミは自殺。一人残されたほむらはワルプルギスに挑み倒すも力を使い果たし、まどかに看取られて死んでいく。ほむら的完全ハッピーエンドで、これぞIF展開の王道でしょう。本質的には何も解決していないエンディングで、実際ラストはホラー映画(惨劇は続くよ)なのですが、見滝原を舞台にした魔法少女達の物語としては、一つの完成型だと思います。全てのキャラクター達が、その設定に従って全力で動き回った結果、信念を貫いた結果の悲劇に至る。これぞ、「筋の通った」シナリオの美しさと言う物でしょう。
いやあ、大満足でした。


次の、スタンダールコンビのエンディングは、何かやっつけ感漂う物だったので割愛。杏子がほむらに協力するきっかけを、もう少し描き込んで欲しかった所。


で、最後のトゥルーエンドなんですが……
取って付けたにしても限度があるだろうという適当ぶりでした。まず、さやかを契約させた上で魔女化から救う、という茶番を行わないと至れない時点でゲンナリ。その救う方法にしても、杏子が頭を下げて「お前を助けさせてくれ」と言う展開に、「いや、なんでそこまで苦労してこいつ助けなきゃならないの?」と素に戻ってしまいました。
さやかの場合、魔法少女化しないのが最適解で、次善は魔法少女化しても勇気を出して告白する事でしょう?こんな、その場の言いくるめだけで話を進めてトゥルーエンドだハッピーエンドだと言われても、全く共感できません。だって、本質的には何一つ解決していない上に、さやかの内面の問題も放置されたままなのですから。むしろ、現状を訳の解らない形で肯定してしまっている分だけ、罪深いとも言えるでしょう。

更に、全く必然性がないのに、決戦前夜のまどか&ほむらの会話を無理矢理入れ込んでいるのも許し難いところ。あれは、本編またはそれに準ずる絶望的な状況であってこそ映えるシーンであって、このルートに入れ込むのははっきり言って無理。トゥルーエンドだから名シーンも入れないと、みたいな感覚で放り込まれたのでしょうが、むしろ本編の印象がぶち壊しです。

何より、魔女化の問題が何も解決していない以上、このルートが「トゥルーエンド」たり得ないのは言うまでもないでしょう。なんでこんな世界観に喧嘩を売るようなルートを組み込んでしまったのか、疑問でなりません。
全員生存の上でのハッピーエンドを描くなら、他に幾らでもやりようはあったはずなのですから。

それと、エンディングで魔法少女が魔女になる話をしてるんですが、このルートではその秘密、明かされてないんですけど……
まどかだけはキュゥべえから聞かされて知ってるはずですが、それをわざわざ教えたの?と言うか、そんな重要な場面を切っちゃって良いの?

なお、その他細かい点としては、さやかを魔法少女にしなかった場合、さやかが恭介とくっつく展開に、唾を吐きたい気分に。要するに、恭介という奴が告白されればフラフラついていく程度のつまらない男だというだけの話なのですが、何やらハッピーっぽく描写されるのが……
結局の所、虚淵先生がどこかで言っていたとおり、恭介のようなろくでなしに惚れているというのが、さやかのダメな部分の象徴なのでしょう。


で、最後が番外編の「想いは現実を越える」です。正直、これには一切期待してませんでした。ギャグらしいと言う話は聞いていたので、「まどか☆マギカでそれやってどうすんだよ?」と言うのが、ストレートな思いだったわけです。らき☆すたのPS2ゲームのおまけシナリオが最高にヒーホーだったのは、らき☆すただからであって、似たようなのをまどか☆マギカでやられても困るんですよバンナムさん、と言う話です。

ところが、方向性がだいぶ違っており、開始と同時に刮目する事に。
開始早々ついに堪忍袋の緒が切れたほむらが、「結局、男がどうしたとか寂しいとか、女の腐ったような魔法少女しか居ないのが問題なのよ!」と結論。直接他四人を鍛えにかかるという内容です。
何しろ、四人のトラウマをついて黙らせ(マミさんに向かって「ひとりぼっちが寂しくて、まどか達相手に素敵な先輩気取ってるあなたが、何を教えたのかしら?」とか)自分のペースに巻き込んでハートマン軍曹的訓練を開始。
まあ、ノリは完全に同人誌なのですが、面白くてたまりません。あとこれって、作品に対して後出しジャンケン的に散々言われた「もっとほむらが合理的に立ち回っていれば、簡単にクリア出来たはず」と言う批判に対する一つの答えですね。そりゃ完全に合理的に立ち回ればできるだろうけれど、そんな展開に意味があるの?むしろ不自然だよ、と言う。

でまあ、一々キャラが素直になって和解して、堅実に歩んでいく展開なのですが、パロディとしては面白くても、やはりそこ止まりというのを実感します。勿論、パロディシナリオなのだから当たり前なのですが、これをもって「みんなが素直になればあんな悲劇なんか起きない」というのは違うわけで。と言うか、「素直になりさえすれば」と言う言い草は、悲劇の大部分に当てはまるワイルドカードですしね。オセロとか三行で終わっちゃうよ、と言う。

そして何より、結局最後はもういい加減食傷気味のワルプルギス戦をフルセットでやらされた上に、これまた「あっさり倒したはずなのに倒せていない扱い」のエンディングを見せられ、ため息を吐きながらPSPを放り投げました。何がやりたいんですかねえ、本当。
別にあのオチであれば、ワルプルギス戦自体不要でしょうし、色々不徹底。


とまあ、まどか☆マギカポータブルは、間違いなく楽しめた面はあるものの、それだけに全体としては残念な内容でした。
結局ここ最近の関連商品濫発の流れに乗っているわけで、そろそろ点数を絞って内容を精査する時期に来ているんじゃないかと思います。さすがに、映画がとんでもない事になる可能性は無いと思うのですが、この流れだと「そこそこ面白かったよ、うん……」みたいに、相手の目を見ず話す代物になりやしないかと、不安に思うところです。



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Posted by snow-wind at 22:00Comments(2)ゲーム