2010年06月10日

けいおん!! 第2期 第10話 「先生!」感想

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けいおん!!(第2期)


前話までの感想はこちら

Angel Beats!があんな事になってしまったので、楽しみに待てるのは今やけいおんだけ。いや、私が見てる中でって事ですが。

今回は、前回の予告にあったとおり、さわちゃん先生の恋愛譚です。




と言っても、ここで先生が話してる相手は女性なので、出落ち感。そりゃ、ムギはそう言う目線で見てしまうでしょうが、前回卒業と「これから」につながる展開を期待しただけに、正直肩すかし。
まあ、一所懸命消してきた男性の影をここで出したらぶち壊しというのもありますし…… でも、安全圏から出る描写を期待したので、ちと残念。



「普通に考えれば相手は、さわちゃん先生の……」
「お母さん!?」
「唯先輩は、考えなくて良いです」

一方、唯は完全にギャグ要員に回帰。勿論、可愛いので何も問題ありません。でもまあ、確かに「車で送ってもらって」「喧嘩して」「放課後に電話してくる」って、お母さんの行動だ(笑)



一応、澪の「私は、そう言うのに興味ない!」と言うツンデレ反語台詞があったりするわけですが。



そして、序盤数分で結局「あっていた相手は女の人」を前提に、話が進むことに。オチではなくてホッとしましたが、前回予告に騙された感が。勿論、この話はこの話で、彼女たちの将来を想像させて、興味深いのですが。



と見せかけて、「まんが映画」風の表現まで使って、さわちゃん先生が結婚することになった、と言う爆弾を炸裂させる先生の元同級生。
まあそれは彼女の冗談なのですが、これをクッションにして、友人の結婚式という、リアルな地平で結局恋愛と言うか男女ネタを絡める展開。多分、予告とあの冗談で二重の予防線なのでしょう。慎重な演出です。




それにしても、
「屋台ぶらりと寄って、こんなだったら、無言で後ずさりして、そのまま何故か泣きながら吉野家行く。」
と言う、平野耕太の呟きに全面同意。



「廊下に立ってて良いですか?」
本筋と絡まないところで今回も色々楽しんでいるムギさん。これが、自由がきく高校生のうちに、経験できることをしておこう、と言う態度に見えてしまうのは、穿ちすぎでしょうか?
この辺も、終わりへと向かうステップに思えるのですが。



「私も、大人になったら大人になるのかな?」
唯の、アホの子発言に紛れたこれも。



まあ、そう言うのとは関係なく、前回同様姉そっくりの隙だらけの私服姿の憂先生にときめくわけですが。



そして、やはり見せ場はクライマックス。さわちゃん先生の代わりに飛び入りでデスデビルと共に二次会に参加した、軽音部。



その、可愛らしい姿に、当時の自分の居場所を思って心が動くさわちゃん。



「あの時の魂はあの時に置いて来た」と言うさわちゃん先生の葛藤はコテコテのギャグ。しかし、モラトリアムの女子校・軽音部を出て行った先輩として、テーマど真ん中の問題です。ギャグ・ほのぼの作品として「終わる」楽園を描く方法論として、これ以外無いという線をついていると思います。



そして、さわちゃん先生は叫ぶわけです。一時だけ、過去に戻って。



そして被さるフラッシュバックに、さわちゃん先生や結婚していくメンバーが、かつて間違いなく子ども(唯の言う大人との対比)であったことが示されるわけです。シーンそのものは全く別物なのに、「トムは真夜中の庭で」のラストシーンや、「IT」で主人公が子どもに話しかけるシーンを思い出しました。
つまり、今回もこのテーマです。「皆変わるけど、変わらないものもあるよ」。今回一つ付け加えるならば、「過ごした時間は、絶対変わることはないよ」でしょうか。



真剣な顔でこの進路用紙を出す当時のさわちゃん先生こそが、全てを一画面で体現しています。8話の優しい微笑みは、やっぱりそう言う事だったんですね。



そして、改めてこの四字熟語を強調し、今話は〆。
ほのぼの日常物を「終わらせる」以上、やはりこれくらい繰り返しテーマを提示し、準備をしていかなければ成らないわけですね。本当に丁寧に作られていて、ため息が出ます。
手間とお金をかけて作られた作品は、やはり取れる選択肢が違いますね。勿論それは名作への十分条件ではないけれど、資源を上手く使った強者は、強さと資源のどちらかしか持っていない者では既に太刀打ち不能なわけで。

本当、楽しませて貰ってます。




最後におまけ。他はみんなコスプレみたいなもんですが、あずにゃんだけが原宿辺りを普通に歩いてそうな、リアルなダメさが垣間見えて悶絶。


6/12追記
色んな人の感想を見て回っていたら、たまごまごごはんさんが、かなり近い事を書いていました。
リンク先はムギに重点を置いていますが、恐らくこれから他のメンバー達も、残り少ない高校生活を、必死に消費し尽くそうとし始めるんじゃないでしょうか?
先生と、先人と、上の世代と同じ道を歩んで、でも当然違う人間だから同じじゃない。あるいは、同じように見えて、ほんの少しでも上に、螺旋を描いて上って行く。それが、世代を重ね、経験を受け継ぐ人間という種の強みなわけですから。
何だか、けいおん!が割と高年齢層のオタクをターゲットにしている事の意味が、解る気がします。一期から何度もノスタルジーを主眼において画面作りを指摘してきましたが、何よりもまず「下の世代」を見る目線で彩られているのかなと。いや、上からとか言う意味ではなく、うらやましさと共感を主眼とする、暖かな意味で。

「今の青春を羨ましく思わなくもないが、かわろうかと言われても断るだろう」(さだまさし

勿論、我々と軽音部の面々の青春は、似ても似付きません。でも、下らない事に夢中になり、友人と戯れ、あとから振り返れば光ばかりが印象に残る。だからこれは、青春ドラマとして本当にできが良いと言えるでしょう。オタク向けである意味は絵の質やメディアの選択にこそあり、テーマや描写は普遍性を獲得している、素晴らしい作品だと思います。

なお、指摘されている唯の表情には全く気づかず、ホウと思ってしまいました。なるほど、あそこは確かに唯だからこそ上手く言葉に出来ない感情を含んだ微笑み、と解釈できますね。

↑でリンクを貼られている、ソラゴト体系さんの「予防接種」と言う表現も、言い得て妙だと思います。

いやほんと、普通の日常萌えアニメだろうと思って見始めたので、二期のこの展開は嬉しい誤算。



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