2010年06月30日

どうしてこうなった? Angel Beats! 総括

Angel Beats! 1 [Blu-ray]
Angel Beats! 1巻 [Blu-ray]


全13話の感想はこちら


Angel Beats!完結後、とても納得の行かない気分が続いています。
何故、色々問題はありながら実績を残してきたライターが、あそこまで形になっていない物を作ってしまったのか?
と言うわけで、この作品に自分なりの決着を付けるべく、シナリオについて考えてみたいと思います。

最初に書いておきますが、「俺の方がいい話を作れるぜ!」みたいな事を言うつもりは一切ありません。普通に考えれば、あれだけ実力のある作者から、ここまで酷い作品がアウトプットされるのはまず無いわけです。となれば、おたくの分析好きが向かう先は二つ。
・どうしてこうなった?
・どこ「から」失敗に分岐した?
でしょう。上は言うまでもないとして、下は、「普通にやれば面白い物ができて来るに決まっている」と言う前提があっての話です。アンチスレで良く見る「脚本家が馬鹿だった」みたいな結論は、単なる個人攻撃で不毛である以上に、つまらない話にしかなりません。
政治に関する陰謀論と一緒ですね。考える手間は無いですが、発展性がありませんし、大体は間違っています。
むしろ、脚本家がアレだったと結論するなら、何故アレな人物が評価を受け、功成り名を遂げたかを考察して欲しい物です。「萌え豚は低レベルの物で満足する」なんて理屈は、理屈じゃありません。そんなに簡単なら、エロゲ会社があんなにバタバタ潰れる物ですか。

また、脚本家をかばうつもりもありません。個人的には、「Rewriteに関わってないと思うとホッとする」としか言えません。

閑話休題、そう言うわけで、Angel Beats!がどこで間違い、または何が狂ってあんな風になってしまったのかを考察し、全話付き合った事の総括にしたいと思います。



この物語で、制作者がもっとも言いたかったであろう基底ラインを抜き出すと、こう言う内容になります。


1,初期配置:死後の世界で転生を拒み、戦い・抗い続ける集団が居る
2,戦況転換:神などいない。抗う意味は無い。彼らは間違っていた
3,和平決着:転生を受け入れ、笑って来世へと去る


こうして見ると、そこまで不自然ではありません。さまよう幽霊を成仏させる話、と解釈すれば鉄板の展開です。しかるべく積み重ねれば、ラストカットで来世再会を臭わせるだけで、視聴者は号泣するでしょう。
そして、Angel Beats!はそれが出来なかった、というのは見てきたとおり。

ところがですね、イベントをきちんと見直すと、パーツ自体は足りていないわけではないのです。一応、最低限必要なパーツは揃っている。
どこがだよ!?と思われた方は多いでしょう。ですが、一応最後まで読んでみて下さい。


とにかく、見てきて誰もが感じた事は、上の箇条書きで言う「2」が足りてないと言う点でしょう。1をセリフで全部説明した第1話や、寒々しすぎる3については後から詳しく書きますが、物語の本質としては、実は余り問題ではありません。演出が最低なだけです。

2が不足するからこそ音無に共感できないのであり、2が足りないからこそ後半の展開が意味不明で、ひいては音無に調伏されるメンバーが変な宗教にはまったようにしか見えないのです。

しかし、実は一番重要なコマは、物語で描かれています。
それは、第3話の岩沢成仏シーン。「どこがだよ!?」というツッコミが聞こえてきます。繰り返しますが、演出としてあれは機能していません。
しかし、あそこで示される(示そうとしたと思われる)ポイントは、以下の二点です。

1,満足すれば消える
2,来世はある

言うまでもなく、重要なのは2です。音無はじめ団員は、後半になって突然「来世はある」と言う前提で動き出します。それも、人間に生まれ変わって、新しい人生がやり直せる、と言う都合の良い設定で。

恐らく、本来岩沢のシーンで、製作者側はその事を示したつもりだったのではないでしょうか?「これから」も音楽をやり続けていくんだ、と言って岩沢が消えたのは、そう言う意図だったのだと思います。
本人が満足して消えている=それが悪いことのわけがない、と言う演出と考えてみて下さい。(これ自体はある程度王道です。キャラ本人が納得していれば、多少の問題は画面上でクリアされたように見える物です)となると、岩沢が確信した「これから」は、ある程度人格を引き継いだ上での来世の存在を前提としなくては、成り立たなくなります。

繰り返しますが、仮にこれが真実でも、全く視聴者に届いていません。こんなので解ったら超能力者です。もっと言えば、妄想です。しかし、与えられたピースから物語で出された結論(成仏最高!みんなで一緒に来世に行こう)を導くなら、こう解釈するしかありません。
ただ、その場合でも、この回は早すぎたか、または単発過ぎたと思います。これを7話位に大きな山として持ってくるか、あるいは岩沢以外の誰かが悩んだ末に成仏を選ぶ、と言う話をもう一つ組み込めば、一気に説得力は増したはずです。

また、1については、「満足すれば消える」は伝わる一方で、物語上必須の前提が抜け落ちているというのが問題だと思います。

つまり、「満足して消えるのは良いことだ」と言う物です。
実は、これは物語上「善」として描くのは難しくありません。
「1」、つまり設定を説明し、各キャラを印象づける序盤の段階で、以下のような描写を入れれば良いのです。(と言うか、伏線として当たり前の話なんですが……)

「SSS団はじめ、メンバーは今の日常に満足していない」

永遠に続く幸せな日常は、一転牢獄でもあり得る。それは、多くのSF、ホラー、神話、あるいは不死者物の作品群が使い古してきたテーマでもあります。(勿論、私が愛するイーガンのように、これを否定し続けてきた作家もいますが)
要するに、視聴者に共感を呼び起こすのが、難しくないテーマです。

このパーツについて考えると、天使と不毛な争いを繰り広げる2話や4話なのかなあ、と思いますが、どうにも読めません。彼ら、楽しそうでしたし……
ただ、個々のシーンを見れば、「あ、これは本来こう言う意図だったんじゃないかな」と見る事のできる物も含まれています。

例えば、ユイは4話で友人と称してNPCを連れてきます。しかし、設定によれば感情が薄いNPCは、友人としてどうなのかと言う事になります。(その設定を画面上で活かし切れていない・場面ごとに違って見えるから、最低なのですが)と言う事は、ユイは本来友人が少ない、寂しい奴だった可能性があるわけです。だから運動神経は結構あるのに野球回ではハブにされていた、と。

当然、一見日々を楽しく過ごしているようでも、寂しさを抱え、それが満たされぬまま永遠に過ごすという地獄に捕らわれていた、と言う描き方を強調する事は出来たはずなのです。

なお、彼女を寂しさを抱えた存在と解釈すると、結婚云々の話で日向が出て来るのも理解できます。つまり、友達少なかったから、他に好きになる相手が居なかったんだね、みたいな……
不憫なのはともかく、こう考えると(こういう風な意図で動かされていたと考えると)辻褄は合います。

他のSSS団員にしても、友人のいなそうな大山や木刀野郎など、色々思い当たる節は出てきます。

えー、繰り返しますが、「ちゃんと伏線張れてんよ!」と言っているのではなく、「パーツは一応揃えるつもりだったみたいなのに、どうしてこうなった?」と言う意味ですからね。あれだけ無駄に使った内の1話を使って、あれだけ大量投入された個々人の闇や悔いを描いておけば、後半視聴者を唖然とさせることは無かったはずなのです。
しかし、それをやっていない。


以上を踏まえて、音無のサイレント演説を考えます。あれも、制作側が「今更言葉を連ねるまでもない」と考えて取った演出と考えるしかありません。逃げだという意見は良く見ますし、私もそう思います。しかし、「あえて逃げる理由が思い浮かばない」と言うのも事実なのです。だって、脚本を考える時間は幾らでもあったはずですし、画面演出の助けがあれば、多少のひどい内容など吹っ飛びます。演説シーン、あるいは演説と言う物自体、そう言う物なわけですから。
そして、そこで音無が論証しなくてはならない(サイレントの中でなされたであろう)演説内容は、こうなるでしょう。

「来世はある。人間に生まれ変われる」
「俺たちは、次の世界に旅立つべきなんだ」

少なくとも、前者は必ず言っているはずです。でなければ、団員の「そんな都合のいい話があるか!」と言う反問が出てきませんから。
これは、話数を取り損ねたのかなあ、と思ったり。

そして、この後の展開でも足りないパーツは一目で分かります。
「お前達は間違っている。ここに留まることは、いい事じゃないんだ!」
と言う説得力の展開です。
恐らく、一部のファン(「信者」と言う言葉は蔑称なので避けます)が言っている「満足したんだから消えたら幸せなんだよ!」と言う意見は、製作者の頭の中では真実なのではないかと思います。要は、製作者にとって自明すぎて説明を忘れるという、良くあるミスだったんじゃないかと。

だって、こうして分解してみると、手間もかからず簡単なはずなんですよ。かつて消えていったPCの姿を幻視させるとか。最悪、かつて消えたPCが書き残した手記、みたいなデウス・エクス・マキナでケリを付けても、今よりは大分マシだったはずです。
そして、決めぜりふはそれこそ以下で良いわけです。

「満足したら消えるこの世界で、なんでお前達は消えていない?お前達は、消えたくないから消えないんじゃない。単に、満足できてないから消えられないだけなんだ!!」

そして、序盤で貼っておいた、「永遠に続く牢獄でもある日常」の伏線(上で書いたように、強調に失敗しているようですが)を思い出させれば、それでOKなわけです。


またファンの最後の忍耐を叩き折った11話以降ですが、ラストから逆算すると話の役割は明確で、誤解しようがありません。

11話:SSS団が成仏を決意
12話:ゆりが成仏を決意
13話:みんなで成仏楽しいな

どうでも良い影とかでグチャグチャになっていますが、物語のコマとして重要な要素はきちんと制作側が把握していたことが解ります。

余りに説得力が無いので見落としそうになるのですが、11話から13話の流れ自体は、一応話としてまとまっているのです。

従って、プロットとしては極端な破綻は見られません。むしろ、演出と個々のエピソードの支離滅裂さが際だちます。

中でも、演出意図が伝わっていないと言うのは一番大きいでしょう。監督なり脚本なりが、シーンの意図や過程を徹底していなかったのではないかと思います。例えば「このシーンは全体の中でこう言う位置づけなので、これだけは最低限描写して下さい」みたいな。

だから、最終回で音無が「格好悪くふられた無様な男」として演出されてしまう。描きたかったテーマに沿うならば、あそこは「許されないことだが一緒にいたい」と言ってしまった音無を天使が諭し、泣きながらでも一緒に消えるべき所なわけです。と言うか、それ以外の意図で、音無にああ言うことを言わせるのはありえません。

そして、天使も天使で、「許されないことをつい口にしてしまった男を優しく諭す」ではなく、「全力でキモイと思いながら表面上取り繕って逃げる」と言う描き方をされてしまっています。

ここでも、明らかにテーマと演出が喧嘩してしまっているんですよ。スタッフの反乱とか邪推も聞こえてきますが、それはあり得ないでしょう。リテイク喰らったら仕事が増えるだけですし、「話の内容が気にくわない」なんて理由で演出をねじ曲げるスタッフが居たら、プロ失格も良い所です。

あのシーンのおかげで、天使の立ち位置は完全に「好きでもない男に言い寄られて逃げを打った美少女」になってしまったのですから。そりゃ、ラストシーンも「転生してまでストーカーかよ、キモ!」になってしまいます。



以上から、私はこう結論づけたいと思います。

1,プロット段階で、極端な破綻は見られない
2,しかし、余計な物を入れすぎ、必要な描写は足りてない
3,そして演出があちこちで破綻・矛盾
4,制作体制に問題があり、スタッフ間の意思疎通とチューニングが為されてないとしか思えない


それにしても、この膨大な設定や必要シーンの歯抜けについては何なのかと考えると…… 単純に、描き忘れたんじゃないかとも思うのですよね。編集者不在の物語で良く見る、アレです。解っているのは作者だけ、と言う奴。
あるいは、ゲームの感覚で、第一稿を上げたつもりが完成品の脚本として取り扱われたか。
少なくとも、ゲームであれば、マスターアップまで、作品としてはほぼ完成した物を、繰り返しテストプレイすることになります。少なくとも、伏線の貼り忘れや展開の不自然さは、画面を見ながら何度でも直せます。(素材が上がってしまっても、文章の追加は可能ですし、最悪声の追加も可能ではあります。少なくとも、アニメのようにスケジュールがキチキチではありません)
Keyのゲームが、音声を入れるのをかなり遅くまで躊躇っていたことを、思い出して下さい。あれは、完成度を上げるためのチューニング期間を取る意味が大きかったのではないかと思います。加えて、Air以降のKey作品は、開発時間をほぼ無制限に投入できる、ヒットが約束されたメーカーだけに許される贅沢な作りをしていたと言う事も、忘れてはならないでしょう。


元々ゲームにしろアニメにしろ集団制作で、それ故の問題もありますが、チューニングは上手く行くわけです。だから、「100%麻枝脚本」と言う企画は、多分間違っていなかった。しかし、チューニングまで他人が介在できない体制を作ってしまったのが問題なのではないか、と思うわけです。
この辺は、加賀と言うこだわり爆発の制作者が作り出した物の、メーカーが変わってからは任天堂のチューニングが失われて迷走した、ファイアーエムブレム系統に近いのかなあと。いや、ティアリングやベルウィックはマトモだろうというツッコミに対しては、あれは同じゲーム業界だしね、と言っておきますか。

あと、恐らく制作者にとっては一番酷い言いぐさになるでしょうが、「異業種参入に期待した、我々ファンがアホだった」と言うのもあると思います。富野由悠季の小説は日本語じゃないし、庵野秀明の実写映画は率直に言って屑。宮崎駿の漫画は素晴らしいですが、そんな例外を前提にしては可哀想なわけですから……



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この記事へのコメント
はじめまして。いつも楽しく読ませてもらっています。

Angel Beatsですが、私はブログ主さんのピースは揃っていたという考え方とは少し違ってまして、1話、2話あたりで示された世界観からスタートして、最後にあの落ちに持っていくにはあまりにピースが足りないと感じていました。

少なくともあのラストを違和感なく受け入れるには
・満足すれば消滅すること
・あの世界からの消滅が転生という未来に通じていること
の二つでは到底足りなくて、それに加えて少なくとも
・結局あの世界の住人はあの世界について何を知ってるのか
・音無が転生可能という事実について何らかの方法によって知ること
・あの世界の住人全てがあの世界に居ることを苦痛と感じていること
・普通に消えようとする人が居ること(苦痛なのだから)
・苦痛なのにも関わらず、消える方法がわかってるにも関わらず、それでも今まで残ってた人を変心させる何か
なんかが必要だったと思います。1クールということを考えれば遊び回は一回も入れられないような、計算し尽くされたストーリーが必要で、麻枝氏ではなくても、また十分なフォローがあっても難しかったのではないかと思います。

永遠に存在することの否定が今すぐ急いで消えることの肯定には到底なり得ない以上、かなり強力なイベントが無い限りは終盤の一種のカルト教団に例えられるような気持ち悪さがどうしても拭えないような気がします。
Posted by dewcytrus at 2010年07月02日 08:38
公式HPの開発日記を読んだことはありますか?
読んでみると麻枝准企画というのが100%間違っていたという結論しか出ないと
思うのですが…
Posted by 名無し at 2010年07月03日 07:48
>dewcytrusさん
基本的に、各人の残っている理由なんて言うのは、「ゆりが大切だから」で十分なはずなんですよ。そこは、むしろ単純化してしまった方が良い。
だから、実際に描かれた11話で団員成仏決意、12話でゆり失陥、13話で全滅というルート自体は、間違いじゃないと思うわけです。
今すぐ消えることの肯定(と言うか、これ以上いなくてもいいと言う結論)に説得力が無いのに制作側は描けたと思っているみたいなので、前半がそう言う意図だったんじゃないか、と言う推測になるわけで。
描き込むべき所を上げるとキリがないですが、基幹パーツ自体は足りてる(揃えたつもりらしい)辺りが、一番救いがないわけですが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年07月03日 22:37
はじめまして。感想読ませていただきました。はじめに、申し訳ありませんが私はAngel Betas! はすんなりと感動できた人間です。わかりやすい作品では決してありませんでしたが、描写は必要十分であったと思います。ブログ主さんが、一点根本的な勘違いをしているように見受けられましたので、私なりの考えを提示させていただきたく思います。

 このアニメ、別に「来世」を肯定してはいないと思うのです。最後に来世があることは示されましたが、あれはおまけです。音無たちは最後まで「来世」の存在は認識していません。音無が戦線を説得する際も「来世」に行こうとは言っていないのではないかと。この作品は、「現在」に留まることを否定しているのみです。「現状」ではなく「現在」です。そして恐らく成仏の条件は「満足すること」ではなく「自分にふんぎりをつけること」です。

 「現在」に留まるというのは、わかりやすく例えると自主的な留年です。就職すると学生生活よりも苦しい時間が確実にやってきます。留年し続けると学生生活という「現在」は続きます。しかし「現状」は確実に悪化していきます。限界まで留年して働かなかった先に待つものは、もはや言うまでもないかと。世の中の大体の物事はそんなものです。楽しい時間・空間はいつまでも続きませんし、続けても長い時間が経つと色あせて劣化し続けます。

 AB世界的には成仏した先には来世なんかなくて、そのまま消滅するかもしれませんでした。それでも「現在」に留まることを非としています。そして「現在」に留まった人間の末路がAngel Player作者ではないかと。消滅すらできずに発狂し、永遠の人形化。それをわかりやすい?形で突きつけたのが影の発生と高松のNPC化ではないかと。

 で、音無に「現在」に留まることを否定し、戦線の人間に演説をぶつ資格があるのかというと、彼にはあるのです。音無は妹の死に絶望するという「現在」を乗り越えています。初音ちゃんの死を認めず、在りし日の妹を思い浮かべ続けて精神的に引きこもってしまってもおかしくありませんでした。えいえんはあるよ、ここにあるよ。しかし、彼は立ち上がりました。その結果、音無は満足した最期(事故の方)を迎えられましたが、結果がどうこうではなく、立ち上がったことが重要かと。

 繰り返しますが、Angel Beats! は決してわかりやすい作品ではありませんが、描写自体は必要十分です。特に音無は見方によって印象が180度変わります。よろしければもう一度だけ見返していただけるとどうかと思います……。長文失礼いたしました。
Posted by redberet at 2010年07月06日 22:48
横から突然ですが、redberet様の主張が首を傾げざるを得ないものだったので……

>音無たちは最後まで「来世」の存在は認識していません。
それはその通りですが、だとしたらラストシーンにおける奏と音無の『再会』を描くべきではなかったと思いませんか?
「来世でまた再会できちゃったw」では登場人物の認識はともかく、物語として来世を喜ばしい結果を導く可能性のあるものと描いてしまっているのでは……

留年などのモラトリアム延長は現実世界においてマイナスとなりますが、
あの世界では発狂するほど長くいなければ「長くいること」自体にデメリットはないように思えます。
モラトリアムに居座った人間に対しての制裁としての存在が「影」ならば、もっと早くに存在をほのめかすなりしないと、唐突な感が否めません。
ぬるま湯に留まりたい気持ちとそこから抜け出なければならないという切迫感。
これはもっと回を割いて描かなければドラマとして成り立ちません。少なくとも私の心にはちっとも響きませんでしたよ。

そういえば、これも気になるのですがそもそもユイはどうして、何のために消えたんでしょう?

そしてこれが一番重要なことなのですが、勇気を振り絞ってモラトリアムを脱し、荒波逆巻く世界に出て行った人たちの中では挫折や栄光その他諸々のさまざまな未来がありえます。
栄光を掴み取る、もしくは世のため人のために尽くす、そのような望みを胸に人は向かい風に立ち向かっていくのだと思います。それでこその人生賛歌でしょう。
でもABにそれがありますか?この先には無限の未来がある、苦しくても辛くてもその先にあるもののために私は戦うというのではなく、消滅してお終い。運がよければ来世があるかもね。
これではひとを馬鹿にしているとしか思えません。

まさにヲタク界のケータイ小説である泣きゲーの大御所、keyのさらに中心人物である麻枝氏の本領発揮とも言うべき薄っぺらさだと言えましょう。
Posted by ADIK at 2010年07月07日 22:20
>redberetさん
卒業したら死ぬ学校、なんて物があったら、大部分の生徒は自主留年すると思いますが……
我々だって、変わらないルールに支配された世界の中に、「留まっている」んですよ。でも、このままじゃ何も変わらないから自殺しよう、と言い出す人は、カルトとしか言いようがありません。
この辺、Angel Beats!は、「死後の世界」である意味は特にないのですよね。消滅は、先が見えないという意味で「死」と全く変わりません。
後、何度も書いているように、「このままじゃダメ」と言うのを視聴者に見える形で提示できなかったからこそ、批判一色になったわけで。

>AIDKさん
薄っぺらいだけなら、あそこまで名声を保持し続けないと思いますよ。少なくとも、それを補う何かがあったのは間違いないでしょう。売上面でも、今回のブランドご祝儀と違って、無名スタートで地位を築いてきたわけで。
Keyのゲームが嫌いと言うのは仕方ないとして、Angel Beats!の破綻振りというのは群を抜いています。脚本家がアホだったから、だけで説明を付けるのは、無理があるともいますが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年07月08日 00:04
>AIDKさん
 よほど幸せな人生を送ってこられたのですね。正直、羨ましいです。栄光を掴み取る、もしくは世のため人のために尽くす、そのような望みを胸に人は向かい風に立ち向かっていく、苦しくても辛くてもその先にあるもののために戦う、それでこその人生賛歌……なんて美しい。そんな風に考えていた時期が私にもありました。
 私の知っている人生はそんな綺麗なものなもんじゃないです。目的なんて見えない、ただ生きるだけで精一杯、それでも先に進まなければならない。醜くあがいてあがいて何にもならなくて潰されてハイ、おしまいってこともザラ。人生に深みなどありません。神様は人間をなめてんのかと。それなら醜くあがいて自分自身に決着をつけてまたあがくことそのものが素晴らしいと、自分たち自身で称えてもいいじゃないかと。Angel Beatsに限らず、麻枝作品は15年前のMOON.の頃からそれに特化してます。
 なお、麻枝氏はClannadで既に「生きることは醜いことだ」と言ってます。ガルデモの歌詞でも似た表現があったような。

>ブログ主さん
 科学法則・数学以外の変わらないルールに支配された世界に生まれた覚えは無いのですが。そんな世界こそまさしくカルトです。不変のルールを認めることは、「幸福のルール」に支配された永遠楽土を認めることと同じです。そんなものあるわけないです。
 確かに非常に変わりにくい、または変えにくいルールはあります。が、不変のルールなどというものは少なくとも私の知識の中では歴史上存在しません。あれば教えてください。殺人は重罪というルールすら、戦場では無視されるのに。
 なお、卒業したら死ぬ学校は少なくとも私の中では大学が当てはまります。もちろん生物学的に死ぬわけではないですが、就職して地元から勤務地に向かう際は、先の見えない世界に放り込まれて今の自分が否定されて精神的に殺されるのではないかという恐怖で一杯でした。そして実際に自分の一部は殺されたかと思います。しかし、それでよかったと思います。失ったものもありますが、得たものもありますので。
 最後にAngel Beatsは破綻はしていないと思います。ただ、ブログ主さんの求める「あってしかるべき結論」が無かっただけだと思います。もとより麻枝作品が合ってなかったのかと。智代アフターは未プレイなら絶対にやらないように。Angel Beatsで腹が立つのなら、発狂できます(私にとっては麻枝作品最高傑作です)。そしてクドわふた~を強くオススメします。麻枝氏と正反対の作家性を持つ魁氏(Clannadの杏、勝平シナリオなど)が監修しておりますよ。
Posted by redberet at 2010年07月09日 01:06
ただ意味もなく生き続けていればやがてはすべてに興味をなくし、気力を失い、後には憂鬱しか残らない。
それなら楽しいうちに死んでしまったほうが幸せで美しい。
長く続く幸せなんてどこにも存在しない。
そういうことですよね
Posted by u245o at 2010年07月09日 16:45
>redberetさん
はあ。確かに現実では、変えられるルールは沢山ありますね。ところで、あの死後世界は、その数学・物理的法則すら、Angel Playerで改変できるんですけど。
それ以前に、あの世界に居続けることで何が悪化するんですか?Angel Plyaerの作者は、単にバグにはまっただけですよね?
成仏なんてせずとも、あの世界で理想の社会建設シミュレーションでもやる方が、はるかに健全だと思いますが。そしてSSS団って、それを目指してたはずですよね?

属する社会や集団を抜けて、何かを手に入れて何かを失うことを「成長」と言って、物語のテーマとしては鉄板。ですが、失う物が命で得る物があるかどうかも不明って、それは単なる自殺ですから。

Angel Beats!を基準に、これをダメだと思う人間は「麻枝作品が合っていない」って、今までの作品を馬鹿にしすぎじゃありませんか?今までのはチーム全体の実力であって、麻枝単独ではろくでもない、と言う意味で言っているなら、納得できますが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年07月09日 22:44
どうも鍵オタは
ディティールや物語上の整合性を無視して
自殺と学校を卒業して苦労しながら働く(モラトリアム脱却)を同一線上で語るっているように感じますね
実際は真逆だと思います
仮に困難や苦悩があり耐えがたくてもABの世界で死を抗い懸命に生き続けることが人生賛歌でしょう
今作は若年期アカギの「(生が辛くかったら)死ねば助かるのに」って思想を作中で全面的に賛美してるわけで
やはりABは自殺教唆している大失敗作でしょう
Posted by うーん at 2011年01月23日 17:23
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