2010年07月26日

いつもの下ネタ力押し 「10歳の保健体育」感想

10歳の保健体育 (一迅社文庫 た 1-2)
10歳の保健体育 (一迅社文庫 た 1-2)

竹井10日は、エロでもバイオレンスでもなく、シモネタで作品を18禁にするエロゲライターです。
代表作は秋桜の空にひまわりのチャペルできみと

どちらも、最盛期の椎名高志を思わせる力押しのギャグが冴える、とても「笑える」作品となっています。エロ?ああ、あのギャグの一環ね。
とりあえず、前者はAMAZONで1,000円とかなので、興味を持った人はやって見て損はないと思います。当時の流行としてシリアスの皮を一部被せてありますが、それが何の意味もないのは言うまでもなく。

なお、炸裂するシモネタが頭の頭痛を痛くさせるのは二作目以降で、一作目はまだ十分手加減されています。シモネタ以外は、むしろひどい(誉め言葉)ですけど。
「シンデレラ宇宙飛翔編」とか「アンテナ拳法」とか、「見て欲しかったら、『若菜の恥ずかしい教科書を見てください』と切なげに囁け」とか、そんなセンスにピピッと来たら是非どうぞ。


一方、幾つか書かれた小説は「日本語になっていない」「シナリオになっていない」「商品になっていない」の三拍子揃った困ったもの揃いで、才能のベクトルの限定性について色々考えさせてくれる代物でした。具体的に言うと、富野由悠季並です。

それでも、宣伝が結構巧みなこともあって、毎回買っては地雷を踏んでサヨウナラを繰り返して来たわけですが、今回もその流れ。そもそもこの題名は、ひでえ(こちらの誉め言葉は半分)ロリものと同時に、30歳の保健体育のパロディを宣言しているわけです。と言う事は、一種の脱オタ三次元ハウツー本を茶化す内容が期待できるわけで、文章が多々アレでも楽しめる可能性が高いと判断した私の考えは…… まあ、大部間違ってました。

とは言え、屑本かというと、そこまでではないのですよ。

まず、題名の時点は完全に釣り。ただ、その釣りの内容は、「想像以上にひどい」と「この子主役でも何でもないよね」の2本立てです。
あ、あと30歳の保健体育のもじりは、特に意味がありません!

基本的にいつもの竹井10日で、イケメンの人格破綻者である主人公と、外見は可愛いけど人格破綻者の女の子が出て来る嫌なハーレム物です。ここに表紙の女の子が絡むのですが、絡む意味は特になく(強いて言えば突っ込み役)保健体育に至っては「いやそれ普通にひくから」と言う、アレなネタだったりします。

ただ、ラノベを十冊近く書いたせいか、文章はかなり日本語に近づいており、2ページごとに目が泳ぐ以前の状態からは脱却しています。まあ、相変わらずひどいのはひどいのですが、基本的にゲームの脚本みたいな書き方なので、そう言う物だと割り切れば理解と受容は普通に可能です。

でまあ、ギャグも相変わらず(抑えてる部分は)面白いですしね。すぐにファウルラインを踏み越えて、笑えないレベルに突っ込んでいくのも相変わらずですが。
大体、エロゲーでもだいぶ辛いレベルのネタをラノベにぶち込んでくるわけで、一般読者が引かないわけがない。この辺、要するにエロゲの方がラノベより自主規制がきついという、皮肉な状況の反映でもあるわけですが。

と言うわけで、竹井10日を知っていて、どんな部分が地雷かを把握した上で購入するなら、アリじゃないかと思います。それ以外は、「悪い事は言わないから、こんな物に手を出しちゃダメだよ。それより、『秋桜の空に』をやりなさい。あれはとても面白いから」と言う助言になります。

あと、BLOG主はらき☆すた殺人事件も笑って許せた人間なので、その辺割り引いてお考え下さい。
でも、らき☆すたというネタの無法地帯にあっては、あれはむしろ正しいノベライズだったと思うんですがねえ…… 設定矛盾については、編集の資料提供の問題ですし。

え?オンライン童話大戦
やだなあ。ファン向けのコレクターズアイテムに、内容云々言うのは無粋ですよ……
ただ一点擁護するなら、自作宣伝を本文でやってる点についての声が多いのは、どうかと思います。らき☆すたと言う、メタネタで成り立っている作品のサブ商品として、完全に正しい文法だと思います。



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