2010年09月05日

あらゆる面が凄いのだけど…… トイ・ストーリー3 感想

3Dメガネ NVIDIA GF 3D Vision JP 10701-0004
3Dメガネ NVIDIA GF 3D Vision JP 10701-0004

3Dメガネ自体は結構売られてますが、色々と使用制限があって、(例えば、↑の商品の説明ページはこっち)体験するならやっぱり映画館かと思います。

一応、不思議の国のアリスの時に見に行こうかとも思ったのですが、ほら、メリケンどもにアリス作らせると、なぜかアリスが幼女じゃなくなるじゃないですか。ドジスン先生が憤死しそうな原作レイプ(って言うか、ディズニーの十八番ですがね!)につきあいたくなかったので、このたび本格3D初体験となりました。

と言うわけで、まず3Dの感想を先に。

1,3D画面の表現力と可能性を、もの凄く広げる。純粋にすごいと言える
2,でも酔う

3D画面は、純粋にワクワクできる「凄さ」がありました。まず、飛び出すディズニーロゴに喫驚。今までにない迫力で、背景のシンデレラ城と浮き出すロゴが遠近感を持って描画されます。なんか、あれだけで元は取った気分になりました。恐らく、画面当たりのコストをもっともかけられた映像でしょうし。(苦笑)

ただ、酔います。正確には、頭が痛くなります。
画面の動きが激しいこともあり、今までにない情報量を処理させられる頭頂葉(多分)が悲鳴を上げ、「目を逸らせないのに目を逸らしたくてたまらない」と言う、拷問のような状況になります。
まあ、これは個人差があるらしいのですが、眼鏡をかけている人は本当に注意!眼鏡on眼鏡となり、ずり落ちてくる上に耳が痛くなります。とりあえず、前の方の席は厳禁。どうしても、眼鏡の上の方は「ずれた」状態になってしまうので、上手く画面が見れません。私は結局、始まりから終わりまで眼鏡を手で支え続ける羽目になりました。オペラグラスじゃないっての!

結局、頭痛はその日一日続き、9時間眠ってやっと解消。まあ、それだけの苦労をしてでも見る価値は保証しますが。
それと、こう言う作品が増えていけば、おいおい慣れていくでしょう。はじめてガングリフォンをやった時のことを考えれば、何ともありません。


さて、以上は3Dの話で、以下が内容についてです。

これも先に結論を書くと、

・ディズニーなめてましたすんません
・「子ども向けとして凄い」にとどまるのは、限界か凄さか考えさせられる

となります。

まず上。テーマはとてもしっかりしています。既に17歳となり、当然オモチャで遊ぶと言う事をしなくなっているアンディ元少年。主人公のオモチャ達は存在意義を失い、新天地を求めるが…… と言うのが大きなストーリーライン。

実はテーマとしては、「人間はいつか必ず死ぬ」あるいは、「素晴らしい関係もいつかは終わる」というのとパラレルです。

結局オモチャ達は最後で新たな引き取り手を見つけて第二の人生を歩み始めますが、結局その子ともいつか別れが来るわけです。だから、真に重要なのはオモチャ達が新天地を手に入れるありきたりのハッピーエンドそのものではなく、オモチャを託して大学に旅立つアンディ元少年の姿になるでしょう。
オモチャ達は、その存在意義を全うしたのです。そして同時に、もはやアンディにオモチャは必要ない以上、第二の人生は完全な代替にはならず、彼らは大きな喪失を経験するしかない。鉄板の成長テーマを構成しています。

特に、おもちゃ屋でもあるディズニーの映画でこれをやるというのは、中々チャレンジブルです。劇中でトトロやバービーも出てきていますが、うちの製品はいつか捨てられる、逆を言うとお前ら(子ども)もいつかオモチャを捨てるんだ、と言ってるに等しいわけですから。


しかし、2番目。結局、凄いと言っても「子ども向けとして」だと思います。
何より、テーマから逆算した場合、シナリオの大部分を占める悪役も戦いも、全く必要じゃないからです。あの保育園で革命をやる理由は、特にありません。アンディがオモチャとの別れを受けいれること、オモチャ達がアンディを笑って見送れる心境を作ること、この二つが言わばラストへの必要フラグで、ここには戦いも悪役も必要ではありません。

テーマから逆算するなら、保育園の問題点はクマが築いた階級社会ではなく、「ちゃんとした持ち主がいない」「誰かの思い出に強く残れない」(所詮保育時間中だけのつきあい。幾らでも代わりは居る)と言った部分ではないかと思います。特に、最初に主人公が「俺たちはアンディのオモチャなんだ!」とアイデンティティを吐露していたことを考えると、むしろそちらが主ではないかと。

悪役のクマにしても、人間を信じられないと言いながら、結局「特権階級」として子ども達に可愛がられる立場を求めているわけです。あの辺の矛盾を突くことこそ、真に対決すると言うことだと思うのですが。

必要とされるアクションや楽しい場面を作る必要からだと思うのですが、テーマそのものとシナリオの解離はちょっと気になりました。過程は楽しく、ラストシーンは感動的。でも、その二つに連環ができてないよね、みたいな。

あと余談ですが、引っかかったのですが、ラストで主人公達が観念したところで脈略もなく助けが入る騎兵隊パターンは、幾ら何でもどうかと思いました。


この辺、任天堂の方法論にもつながると思います。あくまでも子ども向けに作品を作り、「大人の鑑賞に堪える」事はあってもそれはあくまでもおまけ扱い。勿論、これは戦略としてとても正しいわけです。おかげで「大人向け」のはずの作品は逆に駄作揃いだったりしますが、それできちんと利益を上げているわけですし。

ですが、「オモチャ」から卒業するなどアイデンティティの否定と任じて立ち続けている我々オタクからすると、やはり納得の行かないところが残るわけです。
あれだけ愛した人形を、初対面の子どもにあげてしまっていいのか?心の中に思い出が残ったとしても、その媒介、子ども時代の象徴をそんなに簡単に手放してしまっていいのか?

このように、個々の場面に流されて(そのできが圧倒的なだけに、さらに)テーマは迷走気味かと思います。

なので、もの凄く楽しめたのですが、評判の良いテーマの面ではむしろ画竜点睛を欠いていると思います。勿論、最初に書いたように、お勧めできる完成度なのは間違いないです。


最後に、冒頭にかかる短編実験アニメ(この辺が実にディズニーです)「day and night」が、驚くほど面白かったのが印象的。最初何なのか良く解りませんでしたが、要するに「夜」と「昼」がお互いの優位性を競い合っている、と言う内容。セリフを一切用いず効果音だけで状況を展開させる手腕は、流石でした。
テーマとか考えなくても良い分、こちらの方がむしろブレ無く楽しめるかもしれません。



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