2010年09月07日

学園黙示録 ハイスクール・オブ・ザ・デッド 1~6話感想

学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 1
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 1


WORLD WAR Zの感想を喜んで書いてることからも解るとおり、私はゾンビ物は大好きです。それも、アクション系ではなくロメロ直系の悲哀と嫌な人間模様満載の奴が。

と言うわけで、HIGH SCHOOL OF THE DEADをとりあえず6話まで見たので感想を。

ちなみに、ゾンビ好きなのにこれを見ていなかったのは、元々アニメは余り見ない(私のメインフィールドは、活字とゲームです)ことに加えて、原作者がアレであるという理由でした。
原作者って、お前田中芳樹大好きじゃねえかよ、と言われるかもしれませんが、右・左以前に一定年齢以上で読み始めると厳しいじゃないですか。銀英伝は今読んでも思い出補正でウェルカムですが、逆は厳しめ。後の時代に読み始めるほど、相対的に厳しい近作を先に読んじゃうと言う罠もありますし。

とは言え、評判は色々入ってくるし、アニメ会でも取り上げられてたりしたので、やっぱり見なくちゃなあ、と視聴開始しました。


まず映像について触れると、キャラはかなりデフォルメされている一方背景は緻密に描き込むタイプ。これは、あまりリアルにしすぎると本気で厳しくなるゾンビ物故でしょうか?一方、単純にぶっちゃけ綺麗とは言い難い絵と言う事もあり、サービスシーンも楽しくありません。
ただ、これがまた、「ホラー映画にはサービスシーンがつきものだけど、大体において微妙だよね」と言うお約束の追体験に。

後、作中繰り広げられるお色気なのかギャグなのかシリアスなのか解らないシーンの数々も、迷走著しい「ゾンビ物」というジャンルを上手く反映するメタネタとも取れます。


と、細かいところは置いておいてシナリオを。


第1話 Spring of the DEAD
何の変哲もないフラレ主人公が非常階段で黄昏れていると、校門に怪しい人影が……
と言う所から、ジェットコースター。校門にあらわれたゾンビに咬まれた教師は数十秒でゾンビ化し、あっという間に感染爆発。校内はゾンビの巷となります。

凄いのは、校内に感染がはじまった段階で、既に110番は通じなくなっているということ。余計な部分を一気に省き、サバイバル一本に絞ったテーマをド直球で第一話からぶつけてくるのです。
個人的には、ゆっくりと「何かおかしい」が蓄積して、あるとき爆発する描写が好きなのですが、この作品は爆発の渦中でスタート。しかし、一話完結のアニメ、しかもアクション作品と言う事を考えると、これはとても相応しい手法です。主人公達がただちに武装し、躊躇無く知っている相手を「殺し」にかかるのも、アクションとサバイバルに話を絞る上で有効です。
原作者的には、センチメンタリズムを排したと言う事なのでしょうが、そうでなければ生き残れない、あの世界の異常性を際だたせると言う効果を生んでいます。

って言うか、初めて見たゾンビ(知り合い)相手に躊躇無く刺突武器使って「心臓を刺したのに!」とか言うヒロインには、流石に引きましたが。

後、一話からいきなり映像の使い回しとか、嫌な予感がビンビンしてきます。でもまあ、この辺の低予算ぶりもまたゾンビ映画と言いますか……

この話は、イケメンで万能選手っぽかったヒサシ君がゾンビ化して即退場するところで終了。適切な状況判断も人望もピカイチだったキャラがいきなり退場し、どうもろくでなしっぽい主人公が残ると言う、この不安。最初から感情移入なんて考えてないわけですね。


第2話 Escape from the DEAD
冒頭のバンクシーンに別の不安を煽られつつ。
前回回線パンクだった携帯が、第2話では冒頭から圏外に。基地局が爆発でもしたんでしょうか?
今回は登場人物の紹介といった風情で、お色気担当の校医、剣道部の主将、自称天才の少女に平野耕太と勢揃い。特に、ダメオタから頼れる腐れオタにクラスチェンジする平野はさすがです。元ネタ通り。また、ヒロインが槍術部だとここで判明。

ここでは、自称天才少女の高城さんだけが、一般人としての感覚を持ち続けていることに好感触。それを見て正気(?)に戻る平野耕太もまた良し。

もっとも、一番凄いなと思ったのは、エンディングで、血反吐や醜さをまき散らして一瞬で死んでいったモブキャラ達の往事の写真が、大量に貼られているところでしょうか?非常時は人間の本性を暴き出すとか何とか言われますが、そんなふざけた事態が起きなければ、彼らは善良で幸せな市民でいられたわけで。この辺のやるせなさの表現は見事です。
さりげなく、戒厳令布告を告げるアメリカの新聞記事も混じってますね。


第3話 Democracy under the DEAD
まあ、題名と原作者に鑑みて、えっぐい内容だろうな、と言うのはすぐに想像が付くところ。
それを見越してか、冒頭には「現実の法令とは関係ありません」の注意書きが。でも、治安出動がらみの設定とかは前話でも語っていたわけで、この注意書きは今一楽しさをそぎ落とす方向に見えてしまいます。
一方、緊急報道番組の後ろに掲げられた報道予定ニュースの日常ぶりとか、そう言う部分はきっちり描き込んできていて好感触。アメリカ政府の洋上空母移転とか、モスクワ・北京の沈黙と言った諸々も、容易に現地の状況が想像できますね。

ところで、高城さんの解説は間違ってまして、パンデミックは汎流行病(epidemic:流行病とpan:汎を引っかけた造語)で、感染爆発はアウトブレイクです。パンデミック自体の説明(世界中で同じ病気が大流行)は合ってますから、単に当てる訳語を間違っただけみたいですが。

そして、外道教師の登場で、蠅の王の匂いがプンプンしてきたところで一段落。Democracyの意味は、あの多数決なんですかね?賛同者はあの教師が連れてきた人間ばかりだったわけで、「じゃあお前ら降りろよ」で切れば良い気もしますが、それは画面のこちら側だからこそ言えることでしょうね。

エンディング写真集、校医の先生に付き従う石井君に涙。普段からつくしてたのに、名前も覚えてもらえてなかったのか……
群像劇で実質数秒しか出番がない彼らの補完として、これはとても上手い手段ですね。ファイアーエムブレム紋章の謎で、ラストに出て来る一枚絵達を思い出しました。飛竜の群を見送るチェイニーとか、ミシェイルを看病するマリアとか、好きだったなあ。なぜかDS版ではカットされていて、リメイク版の悪印象を最終的に完成させてくれましたが。


第4話 Running in the DEAD
騒音をまき散らすバイクでの移動は、ゾンビ映画的に死亡フラグなわけですが……
ひょっとして、冒頭の法令が云々の注意書きは、主人公達は犯罪(無免許運転)を犯してませんよと言うエクスキューズなんでしょうか?あ、アホらし!

で、内容はまさかの総集編。正確には、使い回しの映像を半分使い、何とか物語を進展させつつ体裁を整えています。
なお、わかれたマイクロバス組の映像で、何とかまだ警察が秩序を保とうとしていることが解ります。周囲の車列もかなり多く、まだまだ世界崩壊確定とは言い難い様子。

結局この話は、主人公がニューナンブを生者相手に撃ち放つのがメイン。また、襲ってくるヤンキーは、決して根っからの悪人ではないというのも、実にゾンビっぽいです。


第5話 Streets of the DEAD
冒頭。主人公達の居る町から飛び立とうとするジャンボジェット。一瞬まだまだ文明は健在かと思いきや、滑走路には死者があふれ、管制塔は陥落。なんかこの辺、秩序崩壊の順序が不思議(特に、かなり強力なはずの携帯基地局が最初に陥落している)ですが、これは事態がテロであることを示唆する伏線か、それとも話の都合か?

しかし、本編に入ると、今度は警察の狙撃班らしき人物登場。「逃げるか?」と言う流れは、まんまロメロのゾンビシリーズですね。

一方、冷静に世界情勢を解説する高城。段々、各キャラの役割分担が明確化され、展開が落ち着いてきました。

エンディング写真集では、右上に前回の悪役君が見えますね。


第6話 in the DEAD of the night
冒頭。非常事態発生から一日半で放送局は通常の放送を停止。設備を洋上移転した段階で、できることは衛星経由のものと限定された放送のみになるでしょう。むしろ、ネットが力を発揮するはずですが、そこは描かれず。

一方、何度も維持される文明の象徴として描かれてきた警察の封鎖線が、ついに限界に。

でまあ、違和感バリバリの余計描写が例の市民団体。左翼団体は確かに警察の非常措置を批判するでしょうが、あの状況でどうやって人員を集めてプラカード等を用意したやら。原作者のやりたいことの一つではあるんでしょうが、あまり意味のあるイベントでもないし、何だかなあと言う気分になります。
と言うか、ゾンビに愛を言っている連中は、ゾンビのエサになるのがお約束なわけで……

後、彼らの言っているアメリカの生物兵器という話は多分妄想でしょうが、「科学的にあり得ない」と切って捨てる主人公はどうなんでしょ?そもそも、あれが「死んでいる」のかどうか、誰も確かめていないわけで。一番真っ当に考えたら、接触感染して神経に大きな影響を与える病気だと思いますが。狂犬病の凶悪な奴、と言うのが一番自然かなあ。

そして、エンディング写真集に見慣れない家族写真があるなと思ったら、運動家を撃って自殺した警備部長の物だったと判明する憎い演出。お色気シーンと交互に挟まる辺り、本当にB級ゾンビ映画ですねえ。


とりあえず、娯楽作品としてストレートに楽しめる内容で、やっぱり最初からリアルタイムで見ておけば良かったと思う事しきり。続きも、どんどん見ていくつもりです。



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この記事へのコメント
「ただ漫然と戦い続け、勝ち続けることしか考えていなかった」旧軍に対して批判的だった原作者が、自分でオリジナル書くと、
「ただ漫然と戦い続け、生き残ることしか考えられない」作品にしかならない…

しょせん、彼はその程度の男だったのでしょうか
それとも、「理想を持たぬ者は、他人に理想を示すこともできない」ということなのでしょうか

もう出口のないゾンビ映画は結構です
我々のワープア社会そのものです
理想や希望を見せられないリアリズム気取りの作品も、そんな作品しか書けないリアリスト気取りもいりません
Posted by 通りすがり at 2010年09月09日 18:30
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