2010年10月02日

リアル妹がいる大泉くんのばあい 攻略完了

リアル妹がいる大泉くんのばあい
リアル妹がいる大泉くんのばあい



ここまでの感想はこちら。


さて、リアル妹がいる大泉くんの場合ですが、全クリアが完了したので感想を。
前回まででほとんどおまけ扱いの「親友の妹」「ヴァーチャル妹」をクリアし、ついに本命のリアル妹ルートに突入です。

まず驚いたことに、このルートは通常の「分岐」を経ません。「GAME START」を選ぶと、ルート分岐後の場面から始める事が出来るのですが、リアル妹ルートはこの方法でしか入れません。つまり、最初から完全に違うシナリオになるわけです。つまり、このキャラだけ共通ルート無し。斬新と言うか、横紙破りな仕様です。



↑シナリオ開始画面。リアル妹だけ、序章からラインが繋がっていないことが解りますでしょうか?

そして、なんと視点人物はヴァーチャル妹(の正体)。妹がゲームから飛び出して来ると言う冒頭や、ヴァーチャル妹のおかしな言動などの理由が、順次明かされていきます。と言っても、一目で分かるのが↓。


どう見ても悪魔の所業です。本当にありがとうございました。
ヴァーチャル妹ルートがSADエンド一択だったわけです。

その後は、本編をヴァーチャル妹とリアル妹の目線から見直すことになります。ここで、両者の心情がきちんと確認され、プレーヤーの心理的なフラグが解除。いつ彼らがくっついても不自然に思わない「地ならし」が行われます。大きな物語を使わない、内面でプレーヤーを納得させるシナリオ進行は、きちんと描写しようとすると結構大変な物。良くやってます。

その後、いつの間にか視点人物に主人公自身も追加され、物語の構成は三人称に近くなっていきます。この辺も、登場人物の心情をストレートに描くための手法でしょう。また、選択肢は無く、「彼らがくっつくことが必然である理由」が細かく描写されていく形になります。
一方、ギャグは当然控えめに。妹sがエロゲーをやるシーンとか、ガチホモキャラとかが息抜きに投入されますが、あくまで賑やかし。本編が正面からヘビーなネタ(近親相姦と家庭崩壊をヘビーに描くという選択自体が、エロゲとしてはチャレンジです)なので、適宜こう言うシーンを入れるのはギブアップを防ぐために必要なので、削るわけに行かないでしょうし。

ところで、あのエロゲの使い方って、主人公は自覚してませんが、児童ポルノ規制派が言う「ポルノメディアを利用して児童を誘惑する」状態ですね。勿論、だからやっぱり有害などと言うつもりはなく、規制派の主張が「現実はエロゲのシナリオじゃねえんだよ」で一蹴できる程度の代物だ、と言う意味ですが。



そして、過去の伏線も回収しつつ、物語は阻止限界点へ。
ところで、小学校低学年位の兄妹がキスしてるの見て、パニクって怒り狂う親は、妄想力がひでえというか、頭おかしいんじゃないかと思います。なんか、さっき書いた事の関連になりますが、たかが子どもの裸を悉く「猥褻」「異常」と言って回る宗教狂いのみなさんを想起させます。猥褻なのは、そう感じる人の心です。まあ、こんなんだから、あんな家庭になったんでしょうけどね。


そして、その家庭が最後の形式すら投げ捨てて崩壊に至ったとき、完全にたがが外れて名実共に「妹ルート」なだれ込むことの、恐ろしいほどの説得力は何でしょう?
この兄妹を、世間的に見て「異常」な関係に追いやったのは、異常な失敗家庭に他ならないのです。だから、この話は純愛でも良い話でも困難を乗り越える愛の物語でもなく、「ありふれた不幸と失敗が玉突き事故を起こして、本来ならあり得ない関係が構築されてしまった異常事態」の物語に、他ならないのです。
これは、やるせないことこの上ありません。つまり、ここで描かれる愛は幸せな物ではなく、むしろ、こんな愛を必要とせず、普通に「仲の良い兄妹」をやって居られることこそが、彼らにとって最善の結果だったはずなのです。これが、悲劇でなくてなんでしょう?



と言うわけで話はクライマックスに向かいますが、ここまで来てもちゃんとギャグを挟んでインターバルを置き、きつくなりすぎないようにするオブラートは完備。
プレイ中の妹陵辱ゲームのテキストを妹に音読されるとか、その場で腹切って死ぬレベルですね。


さて、普通の恋愛ゲームならお互いの気持ちを確かめてカップル成立時点で、話の山は越えます。と言うか、これ以降は大体において蛇足。ですが、ガチ妹物であるこの作品においては、当然「問題」はここからになります。何しろ、インセストの障害は社会的な属性であり、お互いの気持ちが確認されてしまってからが本番。
と言うわけで、一線越えんのかよという話(エロゲの段階で答えは自明ですが)にはじまり、両親との問題まで一通りの地獄巡り開始。


「例え世界(この場合”社会”と言うべきでしょうが)を敵に回しても」は、決めぜりふとしては格好良くても、現実にやらかすにはリスクがハイエンド。しかも、熱血な異能バトルと違って主人公が気合入れてなんか良く解らない力を発揮して解決するような、そんな安易な解決方法はそもそもありません。社会という敵は、言わば現実、リアルに他ならないのですから。

ところで、私はシナリオに絡まないエロシーンはctrlでぶっ飛ばすのですが、(シナリオ重視のエロゲーの場合は、クライマックス近くで「話が進まない無駄なシーン」になっている場合が多いため)今回は飛ばすのは抑え気味になりました。なぜかというと、主人公がやたらと「エロゲーとは違う」と繰り返すので、なんか妙なメタというか、座標を見失うというか、不思議な感覚になってくるため。ネタなのかマジなのかなんなのか……
まあ、結局途中で飽きてぶっ飛ばすわけですが。

さて、状況が進むと、逆に違和感が出て来ることもあります。特に、主人公が「今まで養ってくれた親には感謝する」と繰り返して、妹と別れることを受けいれているという部分。
あの両親が失格なのは間違いありません。それは親だから情があってと言う事で何とか納得できても、実質唯一の家族であるお互いと離れて赤の他人同然の親と同居するという選択は、はっきり言って「あり得ない」でしょう。戸籍上両方の親に1人ずつ分けられるのは良いとして、「てめえ等と今更暮らす理由はねえ。養育費は口座に振り込め。俺等は二人で部屋借りて住むわ」が鉄板だと思うのですが。これなら、両親は目出度く離婚できるし、子ども達の生活状況は余り変わらない。一番理想的な落とし所のはずです。


なお、社会的問題をきちんとクローズアップする一方で、妹側の葛藤はバッサリカット。「もういいや お前が好きだ 妹よ」と言う、アニメ会のラジオでやっていたネタを思い出しました。読者投稿だったけど。
何度も言うように、インセストタブーは社会属性の問題であって、それが個人の感情と対立してしまうからこそタブーなわけです。まあ、葛藤は面白い(萌える)ネタなのですが、必須ではありませんし、的を絞り損ねて話がぶれる可能性もあるので良い判断と言えるでしょう。


一方、もはや「キャラ崩壊」と言って良いレベルの古賀君は、全方位でネタキャラ化。葛藤のカット(駄洒落じゃないです)と共に、物語が暗くならないためにストッパーとして効率よく機能。

しかし、このシナリオでは完全にサブキャラのヴァーチャル妹は、結局本人のルートと同じで全く報われないまま消えてしまいます。結局神様って何だったのかとか、設定面は総スルー。ほとんど「パソコンの中から妹が!」とやるためだけの一発ネタキャラ状態で、不憫でなりません。だって、シナリオ進行にとって、特に必要なコマでもありませんでしたから。出したら出したで、彼女なりの救いを用意して欲しかった所です。


そんな中、メインのサブキャラである彰は、なんとここで男を上げまくり。格好良い専用BGMつきで、主人公を全面的にバックアップします。これは美紀も同じ。
ただ、結局主人公周囲の人間が揃って味方になってしまうと、一番重要な「社会的に許されないこと」と言う部分が弱まってしまいます。これは、痛し痒しですよね。彰には、「同意も祝福もできないが、理解だけはしてやる」くらいの所に留めて欲しかった所。上で書いたとおり、本人達がああ言う状況に「なってしまった」のは、不幸な家庭における玉突き事故の結果なわけですから。

そして結局、一番重要ポイントである親バレ・世間バレが起きることなく、話は終わってしまうのです。
うーん……
これって、折角の素材を全く活かしてませんよね?ラストのバスケの1on1を全く描写せずに流してしまっている点と言い、画竜点睛ってレベルじゃないと思います。ラストに至るまでが凄く良いだけに、残念です。本当、ラストとネタの積み残し以外は、凄くしっかりしてるんですよ。

エピローグも、あれはあれでよろしいんですが、面倒な部分は記憶ぶっ飛ばして終わってるとか、結局二人の関係を社会の中でどう折り合いをつけるかとか、そう言う部分がなあ……
残念とまでは行かないんですが、一部納得が行かないというか、凄くモヤモヤした気持ちになりました。勧めるとも勧めないとも言えない、微妙な後味でした。
興味があったら、やって見るのは良いと思います。手抜きでも地雷でもないのは確かですから。でも…… と言う接続詞が直後に付いてしまうのは、止めがたい所なわけですが。

まあ、一番むかつくのは、一枚絵が出る度に画面に入ってくる、主人公のイケメン面なんだがな!


その他のギャルゲーの感想はこちら





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