2010年09月16日

けいおん!! 第2期 最終回 「卒業式!」感想


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けいおん!!(第2期)


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生き甲斐などと言うつもりはありませんが、十分に楽しませて貰ったけいおん!!も、この#24で最終話となりました。



最終話の冒頭は、四人による「最後の登校」。ここにおいて、梓は完全にのけ者です。
まあ、あくまでも四人の卒業なので、決して悪くはないんですよ。ですが、新入部員勧誘をサボって梓を独りぼっちに(と言うか、軽音部の廃部を決定的に)してしまった先輩としては、ちょっと無邪気すぎやしないかと思うのは、間違っていないはずです。
彼女たちは軽音部という「場」を十二分に活かし、そこで作った人間関係の保持を最優先して大学へ進む。しかし、その自分たちを育んだ「場」の保持にはてんで無頓着で、自分たちの卒業と同時に消え去ってよしとする。まだその場を必要としてる「仲間」が、残っているはずなのに……

なんか、内輪のことを最優先して周囲の被害に無頓着な、一番ひどい意味でのダメ人間臭がしてしまうんですよ。


その反動で、ダメな生徒達を温かく見守るさわちゃん先生へのシンクロ率は上昇。


しかし、在校生が卒業生に花をつけるって、「二人組作って」みたいな悲劇が容易に予想されるのですが。


一方、こう言うお約束カットを丁寧に描けるのは、余裕ある制作体制の証。


風が吹き抜けたあとのシーンは、セリフとSEが消えてBGMだけが響く描写。鉄板ですが、ここでも梓と卒業生sは目線すら合わせません。


また、この「卒業と改めて認識してしんみりする」と言う描写も、ちょっと繰り返しの度が過ぎると思います。前回思う存分やったわけですから、ここではもうそれ自体は受けいれた上で、寂しげな表情だけで表現すべきだったかと。実際、目だけで、かくも雄弁に心情を語っているのですから。少なくとも、唯のセリフは蛇足です。

以下、気になった描写。


学校長、画面に映るのは初では?


何故、卒業生代表が学校長に差し向かいで答辞を読むので?答辞は送辞と対になり、当然生徒の方を向いて言わねば無意味のはず。
それとも、この学校の場合、校長が送辞を読むのでしょうか?謎です。


卒業日と生年の記載がない卒業証書。
これは本当に疑問で、2011年から逆算した日付を入れれば良いだけだと思うのですが。別に「登場人物は18歳以上」な話じゃないわけで。何だか、パチ物くさい証書になってしまっていて残念。


この隣の子の表情は、実に「卒業式」らしくて、一番しんみり出来ました。いいですね。唯の下らない話に、生返事とも上ずらないように抑えたとも取れる声で返事する所とか。


唯のこれも。ここは、ちゃんとセリフを入れずに演出されていますね。


この、出席簿に触れるさわちゃん先生の手つきとか。


この場面では、唯はさわちゃん先生をちゃんと「山中先生」と呼ぶんですよ。この小さな変化、素晴らしいです。


生徒が去り、一気に広くなった教室の雰囲気を、CGで描かれた机で表現する。相変わらず、ピンポイントでのCGの使い方が見事。


それにしても、卒業式の当日になって、今更「私たち今まであまり」(勧誘ちゃんとやってなかった)とか言い出す3年生どもは……
そもそも、勧誘をちゃんとやってない上に、引退後も部室に居座り続けて軽音部の近寄りがたい雰囲気を保持し続けていたとか、A級戦犯なわけですよ。あれは、新入部員を確保した状態ならまだ許されますが(例えそうでも、俗に院政とか言われる状態ですけどね)そうでない時点で色々失格。結局、軽音部はあの四人がダラダラするために利用し、使い捨てた部としか見えないわけです。梓は巻き込まれただけ。


「卒業しないでください」はセリフとしてどうかと思いますが、結局一人残される梓は、先輩達による不作為の全面的な被害者。


この、最後に歌で思いを表現するのはとても良い演出だと思うのですが、梓は歌を聴かせる相手ではなく、共に音楽を奏でる仲間じゃなかったのかなあ、と思ってしまうわけです。
やっぱり、一所懸命にやる(勧誘でも練習でも)描写をしなさ過ぎた結果が、最終回にいたって違和感として噴出してしまっているのではないかなと。

そもそも、「永遠に一緒」と言う歌詞ですが、本当なら、5人は「平等に」バラバラのはずでした。つまり、別の学校に進学する四人と一人桜高に残り続ける梓の立場は同じになるはずで、だからこそ「永遠に一緒」の幻想は意味を持ちます。しかし、梓が一人残される形では、四人と一人の立場は違いすぎ、あの歌詞は上から目線に見えてしまう。やはり、進学問題がテーマを迷走させ物語を歪めた、と言わざるを得ません。

ところで、どうでも良いんですが、律は卒業式当日にドラムセットを持ち帰るのでしょうか?


多分、ラストカットにしたら一番美しかったであろうシーン。
春先の暮れゆく空を横切る飛行機雲(高度が低すぎるという指摘は野暮)、去りがたく校内で会話を続ける卒業生、卒業証書の筒を掲げまたいつかと手を振る帰り道。ノスタルジーの描写はここにおいて真骨頂を迎え、名もないモブの生徒達にこそ、感情移入の道が開けます。
と言うか、最後の演奏曲にこのシーンを重ねてフェイドアウトさせた方が、綺麗に終わったんじゃないかと思うのですが。


さて、番外編は梓の新入部員獲得奮戦記みたいですね。一番ストレートに軽音部と彼女の「その後」に関わる話なので、手に汗握って(?)見守れそうです。




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この記事へのコメント
>内輪のことを最優先して周囲の被害に無頓着
ですねー。
2期は、「被害」とまではいかなくても、なぜか周りを見ようとしない、ゆるーい傍若無人さが目に付くエピソードが妙に多かった気がします。
新幹線の中で騒ぐとか、マラソン大会の最中に居なくなるとか。

>梓と卒業生sは目線すら合わせません。
いちおう律だけはちょっと気にしてるかな?書類は出さない、会議にも出ないダメな部長でも、ちょっとは負い目を感じてるんでしょうか。
どちらにしろ、ここも「鉄のカーテン」か何か降りてるんじゃないかって感じに、「4対1」の構図ですよねえ。

>繰り返しの度が過ぎる
「普段は天然ゆるふわな唯が、ふと何かに気づいて沈思する」っていうモチーフが1回上手く行ったからといって、ひたすら柳の下のどじょうを狙っている、そんな感じがします。あるいは「唯がこういう顔してしんみりするセリフを言えば、それで視聴者は大喜びするんだろ?」とナメられているか。

>ちゃんと「山中先生」と呼ぶんです
ライブの時に「さわちゃん」→「山中先生、だろ」→「山中さわちゃん!」という頭のネジの外れっぷりを見ているので、ここで唐突にかしこまられても違和感しか覚えないですけどね・・・
とにかく、キャラの性格描写が細切れで唐突なんですよね、けいおんは。
梓が突然の風にスカートではなく頭を押さえるシーンなんか、事前の積み重ねがあれば名シーンになっていたはずなんですが、3年生があんなダメ人間なので「梓よ、あいつら相手にそんなことする価値はあるのか?」と突っ込みたくなってしまいますし。

>一番ストレートに軽音部と彼女の「その後」に関わる話
そうなんですよ。まだ物語は終わっちゃいないんです。なのに「番外編」扱いになっている。
つまり、軽音部がどうなるかなんてことは些事、「HTT」が解散したらその後のことはどうでもいい・・・
スタッフという「神」からいらない子扱いされる梓は不憫ですねえ。
Posted by jp233 at 2010年09月21日 20:33
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