2010年09月20日

何やってんの法テラス ニコゲーの楽曲著作権問題に関して

ニコゲーについて、どこにでもあるクリック詐欺のような事案が、話題になっています。

調子に乗ってニコゲーにBGM素材をバンバンアップしてたらまずいことに気がついた(萌え戦場の狼)
ニコゲーにアップした楽曲の著作権に関する問題、ここまでの動き(同上)


解りやすく言うと、ニコニコ動画と似て非なるサイトであるニコゲーに曲をアップすると、なんと著作権(人格権まで!)相手に譲渡されてしまう、と言う契約になっていたというお話。

それ自体も、一般的なアップロードの同意事項の一見関係ない項目に紛れ込ませてあったり、サイトのQ&Aでは真逆(著作権が譲渡されることはありません)の事を書いてあったりと、もう真っ黒な代物。

当たり前の話ですが、「契約」と言うのは厳密な要件を必要としまして、クリック一発で何でもOKなわけじゃありません。それでOKなら、「クリックしたら契約に合意したと見なします」式の悪質サイトは、全部合法って事になっちまいますわな。

ところが、この被害者さんが法テラスに連絡したところ、紹介された団体は、

# 作品を投稿した時点で利用規約を了解しているので契約は成立しており、著作権は運営会社に移っている。
# この時点で元々私にあった著作権・著作者人格権は私から運営会社に移っている。
# 著作者人格権は譲渡不能であるという主張は法律の解釈の問題であって、著作権情報センターとしては認められない。


と言う、信じられない解答を出しているのです。

まず、利用規約の悪質な内容を被害者の方は認識しておらず、厳密には契約は成立していません。完全に錯誤の元にクリックしてますので、この時点でアウトです。それどころか、Q&Aの内容を考えれば、詐欺罪が余裕で適用されるレベルです。
あと、仮に成立していたとしても、楽勝で撤回できるはずですが…… アップロードの完了が履行の着手、とか無茶言わない限り。

そして、一番もの凄いのが下。「著作者人格権は譲渡不能であるという主張は法律の解釈の問題」って、いつの間に人格権は譲渡できるようになりましたか?人格と同様ゆるがせにできないから、著作人格権のはずですが。

って言うか、これな!

著作権法 第59条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。

譲渡できないと明記されている物を、「法律解釈の問題」?憲法9条でも、ここまでひどい「解釈」はされたことがないと思います。自衛隊は「戦力」じゃない、はまだ解りますが、「譲渡することができない」と書いてあるけど解釈次第では「譲渡」できる?すいません、何言ってるのかサッパリわかりません。


では、種明かしをしましょう。なんでこんな試験で書いたら一発赤点みたいな解答が出てきたのか?
それは、この社団法人 著作権情報センターと言う団体の、概略を見れば、一目瞭然だと思います。
こっちの正会員名簿は、もっと露骨ですよ。とりあえず、こいつを見てくれ。これをどう思う?

私には、「凄く、利権団体です……」としか言いようがありません。

ここで、表題へと繋がるわけです。法テラスは正式名称「日本司法支援センター」と言いまして、法的トラブルの相談を受け持つ公的法人です。まあ、一連の司法改革の中で、言わば「裁判需要の掘り起こし」を狙った代物、と考えて頂ければ結構です。増えた司法試験合格者は、この辺で掘り起こした需要で対応するつもりだった、と言うのは、まあ建前ですね。予想どおりのクソ組織に仕上がっているようです。

何しろ、今回の事例というのは、「レコード会社と契約上のトラブルを起こして相談したら、JASRACを紹介された」というのと全く同じなわけです。

大体、相談・情報提供業務って、弁護士や公的機関を紹介するんじゃなかったんでしょうか?名前は「社団法人」でも、バリバリの利権団体紹介してどうするんでしょう?って言うか、弁護士に相談すれば、30分5,000円で内容証明郵便の使い方教えて貰って終わりだと思います。ニコゲーがふざけた詐欺サイトという事実は置いておくとして、この人の事案では、錯誤に基づくクリックだと言ってゴリ押しすれば、契約解除で終わりのはずです。
まあ、直接電話して責任者呼びだして、怒り狂ったクレーマーの真似するのが一番「近道」だとは思いますが、それは別の話。


何にしても、本当にひっでえ対応です。
詐欺まがいのことをやるサイト自体は、撲滅は不可能だから仕方ありません。そもそも、あの辺のソーシャルなサイト群は、どこも良く言って「馬鹿を騙して粗悪品を売りつける山師」ですから。しかし、税制その他で山盛り優遇を受けてる利権団体がそれを裏打ちし、さらにはこんなのに間接的に手を貸して恥じない法テラスというのは、ちょっと目眩を感じるところです。

と言うわけで、教訓としては「法テラスみたいな所に相談しても無駄だから、法的なトラブルは直接弁護士の所に行きましょう」となるかと思います。
それにしても、ここまで酷いとは予想外でした……


マルチメディアと著作権 (岩波新書)
マルチメディアと著作権 (岩波新書)
著作権法に関しては、新書が書き殴りのゴミ山になる前に書かれた、中山教授のこの本をどうぞ。著者は、日本の知財関連法最大の権威です。著作権というものがどのような概念で、なにを目的とし、どのような役割を果たしているか、から丁寧に解説。デジタル時代になって出てくるであろうとされた諸々の問題は、現在にそのまま通用します。と言うか、全く古くなっていない様子、つまり権利団体と政府のアホさから問題がまるで解決されていない現状に、呆れると思います。
これが1円って、絶対間違ってると思うのですが。



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タグ :著作権社会

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この記事へのコメント
ニコゲーの著作権は↓
http://d.hatena.ne.jp/moetsukiro/20100924

人格権まで!)相手に譲渡されてしまう

そうなんでしょうか?

ちがうでしょ?
Posted by まずうる at 2010年09月26日 00:44
記事の前後関係解ってます?
と言うかにニコゲーが、「規約は間違いでした」って言って逃げただけなんですが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年09月27日 02:19
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