2010年10月09日

リアルと混同するな。これはフィクションだ! 俺妹 エロゲ問題

実に馬鹿馬鹿しくて笑える話なのですが、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のアニメ版(当BLOG内の感想はこちら)に、批判が出てるみたいです。
直接的には、Angel Beats!の批判がらみ以来ちょくちょく見ていた、ねこねこブログさんの一連の記事から。ねこねこさんと違って、私は火付け人が規制派とまでは思いませんが。(結果的に、やってる事は全く同じですけどね)
内容は、「未成年がエロゲをプレイする話に、エロゲメーカーが協力(パッケージ画像許可)するのはおかしい」という物。


18禁を未成年がプレイするシーンが登場する作品に、エロゲメーカーが協力することの是非

結論は、勿論表題で決まり。「社会的に良くないとされている物を、是と受け取られる恐れのある表現に協力すべきでない」ってのは、規制派の言い分そのまんまなんですけど、解ってるんでしょうかね?

下らなすぎて笑えてくるのですが、この議論、以下の点からある程度細かく批判したいと思います。

0,メーカーがやっているのは、パケ絵の使用許可だけ

そして、作品内要素のもについて行われている批判には、以下の事を繰り返さねばなりません。

1,アウトローを格好良く肯定的に描く作品は、幾らでもあります
2,それに嫌悪を感じることと、その表現を否定することは別です
3,規制されたくないから自主規制って、馬鹿じゃないの?


ではまず、0の「協力」問題から。

パッケージ絵に著作権がどの程度認められるかという話(本の表紙を紹介等に使うのは、一部の権利団体の主張は別として、一般に認められています)は置くとして、作品中でのエロゲパッケージは、「登場人物の一人が持っている物品を、リアルに描写するための物」でしかありません。
使いたいと言われればむしろ喜んで許可する物です。その登場人物が「未成年だけどエロゲをプレイしている」から、と言って拒否すると言う姿勢もアリでしょうが、そうでなかったからと言って批判される理由などありません。
殺人事件で使われる銃や刃物は、本物の方がリアルに描けるでしょう。交通事故を描く作品にしてもそうです。作品中での描かれ方が言わば「不適切な用法」だからと言って、使用許可を出す=推奨している、と取るとしたら、妄想逞しすぎる話です。
警察の腐敗を描く作品に警察が協力したり、大学教授が犯罪者となる話に大学が撮影許可を出すなんて、珍しくもありません。「男はつらいよ」の中で、寅さんが早稲田大学に勝手に入り込んでる話とか有るんですが、あれに撮影許可を出した早稲田は外部のおっさんが上がり込むことを推奨している、とでも?

まあ、なんか批判派のみなさんが言ってるのは「筋」とか「倫理」とかのボンヤリした話ばかり。なので、「要するに、あなたの『倫理』と合わなかったって話ですね」としか言いようがありませんが。


そして、あの作品そのものについて。
最初に1。アウトロー・脱法行為を必ずしも否定的に描かない作品など、幾らでもあります。むしろ、肯定的に描く作品など珍しくもありません。一昔前の少年漫画なんて、暴走族とヤンキーのヤニ臭いパラダイスですよ。

なんか、「未成年がエロゲをプレイしていると言う作品内容が問題」、みたいな寝言を言ってる人が結構いて驚いたのですが、それで良くラノベが読めるもんです。未成年が人を殺し、銃器を振り回し、セカイの運命をヨイショして下手すりゃ地球を叩き割るのが、フィクションという物です。エロゲの自主規制と比べているナイーブな人達も居るようですが、そもそも未成年を「全員18歳以上です」と言うような自主規制そのものが異常だと、いい加減気づいて欲しい物です。

この辺はエロゲ規制問題の時に散々書いたわけですが、表現において「社会的に不適切」とされることが描かれるのは、むしろ当たり前です。「はだしのゲン」で登場人物達は盗みから薬物利用(まあ、当時ヒロポンは合法ですが)から殺人まで一通りこなし、誰でも買える文学作品では、近親相姦も同性愛も異常犯罪も日常茶飯事。三島由紀夫や石原慎太郎に比べたら、良くやり玉に挙がる少女漫画なんて、可愛いもんです。


次に2。表現や描写内容が好みと合わなかったからと言って、消えて無くなれと言うのはお門違いです。

それが忌むべき存在として描かれるかクールな存在として描かれるかはまちまちで、少なくとも「世に出すべきでない」などと言われる筋合いはありません。
アニメだから、テレビだから、と言いますが、違法捜査のオンパレードの刑事ドラマと言い、時代考証クソくらえの時代劇と言い、メディアってそう言う物でしょう?

勿論、事実の捏造や誰かを侮辱したり傷つけたりする目的で描かれた物など、限定された状況下で「その様な表現は行う事自体控えるべき」と言う物も無いとは言い切れません。ですが、「未成年がエロゲーを楽しそうにプレイしている」が、そこまで大きな問題とはとても思えません。
天下のNHKだって、未成年者がエロ本読んでるシーンを大量に放送してますわな。中学生日記とか。


そして、恐らく一番重要な3。「規制派に利用されるかも知れないから自主規制が必要」と言う話。

一言で言うと、「批判する口実に使われるかも知れないから自主規制」は、規制を受け容れるのと全く変わりません。
何度も繰り返しますが、「殺されるのがいやだから自殺しよう」と言うのと同じです。いや、「試合に負けたくないから大会を欠席する」みたいなもんですね。規制したい側としては、面倒な戦いを避けて目的を達成できるわけで、万々歳です。
勿論、口先だけで内容を何も変えないために「妥協してみせる」事は戦術としてアリですが、そうでないならただの全面降伏です。

そもそもその行動パターンって、行政や政治家の「指導」に従って粛々と内容を変更し、「表現の自由」と胸を張った大手メディアとどこが違うんですか?
ヴェトナム戦争位までは、テレビなんかもかなり政府とやり合ったりして面白い事をしてたんですが、後に「自主規制」を受け容れ、どんどん影響力を失っていきました。あれはあれで「マス」メディアだから仕方ない面もあるのですが、権威を蹴飛ばしてなんぼのサブカルチャーがその路線を進めれば、存在意義を自ら削り取る事になります。

そして繰り返しますが、「未成年がエロゲをプレイしている」と言う程度の描写は、まるで大した事はありません。規制派がわめき立てても、一般人からは「馬鹿じゃねえの」と言われるだけです。「それって、未成年がエロ本読んでるシーンのあるドラマとなんか違うの?」と。

それどころか、オタク自らが「問題だ!」とわめき立てる事で、変な形で騒ぎが聞きつけられれば「問題視している人間が多い」と言う大義名分を得て、「利用できる火種」に成ってしまいます。これが予言の自己成就性って奴ですかね。
基本的に、色々と凝り固まった人達の集まりである規制派にとって、あの業界の全てはいつでも火をつけられる干草の山です。私には、こんな下らない事で騒ぎ立る人達は、「ここに火をつけられたらこんなに危ない!」とか叫んで、放火魔を呼び寄せているようにしか見えないのですが。

はてなブックマークの中に「国防婦人会」と言う単語があって、実に納得できたり。俺が自主規制して苦労してるのに、お前等が自由な表現やってんのが許せない、みたいなルサンチマンも含まれてるんですかねえ。


以下、エロゲに関する本筋から外れた話。

別に私は、ふわふわした萌えゲーなんぞ意味はねえ!などと暴論を言いたいわけではありません。ですが、そもそも「18禁」と言う看板を掲げているのは、表現の幅を広く取るために他なりません。それが、エロかグロか反社会かは置くとして。その、何でもありのゲリラ戦だったからこそ、元々ロックな位置にいるオタク業界の中で、さらに表現のエッジであり得たわけです。(ちなみに、「ロック」は誉め言葉であると同時に、どうしようもない代物、と言う意味も含みます。主流の既存表現に中指を突き立てる存在が、お上品であるはずもなく)

個人的には、エロゲーがエッジ表現の地位から滑落していったのは、自主規制の進展と無関係ではないと思っています。前世紀末に市場拡大と方向性を決めた雫や痕も、それに続いた作品群も、決して口当たりとお行儀の良い代物ではありませんでした。むしろ、よく売れた萌え作品と、エグさ繚乱の鬼畜物、エロ悪のりのランスシリーズのような色々な方向性が共存していた市場状況が、魅力だったのではないかと思います。

ですから、自主規制をして生き延びようと言う考え方は、余程巧妙に口先だけの空手形で逃げ切る筋道をつけないと、単なる自殺志願にしか成らないと思うのですが。
勿論、指摘された内容を勘案して、「これは確かに不適切だった」と作り手が納得して変えるのは、それも表現の自由で、全然別の話になりますが。



非実在青少年〈規制反対〉読本
非実在青少年〈規制反対〉読本
↑この辺を読めば解りますが、「規制派に利用されるかも知れない」は、何にでも当てはまりますよ。あの人達の主張は、最初から合理的ではないのですから。



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この記事へのコメント
途中で文章切れてる?
Posted by かがみん at 2010年10月10日 18:19
切れてるというか、色々繋がってなかったりひどい文章になってたので、今ある程度整形しました。
この手の話題は、油断するとすぐに文章が荒れてよろしくないですね。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年10月10日 23:18
「表現や描写内容が好みと合わなかったからと言って、消えて無くなれと言うのはお門違いです。」

…自分のブログ読んでます?
「消えてなくなれ」どころか「死ねばいいのに」とまで言っているあなたに言われてもねぇ

「「殺されるのがいやだから自殺しよう」と言うのと同じ」
そこまでいやなら仕方ないでしょう

第一、自制なき自由などありえません
自制ができない者は法規制くらっても仕方ありません
われわれは、もはや禁治産者か何かと同じ、ある種の「病人」扱いされているのです

どうせ、永遠に続くものなどありません
大手メディアとおなじく、サブカルチャーも成熟期を通り越して衰退期に入ったということ、ただそれだけなのでしょう
Posted by 通りすがり at 2010年10月16日 05:19
あんな前のエントリー1回でしか使われていない文章をわざわざ抜き出しておいて、「通りすがり」もないもんだと思うんですが……

とりあえず、”思わず「死ねばいいのに」などと口走りそうになった”と言うレトリックも理解できないんですね。後段の例えに至っては、”そこまで嫌なら仕方ない”などと的を外したどころではない受け答えしかできないような人に、表現を云々して欲しくない物です。

禁治産者云々に至っては、覚えた言葉を使ってみたいのかもしれませんが、制度ちゃんと勉強しましょうね。ちなみに、その制度もうありませんよ。問題が多かったのでね。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年10月16日 14:45
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