2010年11月20日

左翼用語の「暴力装置」は、実は正しい用法

職業としての政治 (岩波文庫)
職業としての政治 (岩波文庫)

↑ここまで心を込めてAMAZONへのリンク貼るのは初めて。
これ、混乱期にあったドイツの学生に向かって、「お前等そんな甘い考えて政治に関わろうとすんじゃねえ」と、ウェーバーが説教(講演)した内容をまとめた物なんですよ。今回の騒動見てると、ちょっと皮肉が過ぎますよね。



一昨日の続きです。

ウェーバーの言葉だというのが広まると共に、ネットと慌てて恥を回収しにかかった一部マスコミが、「だってあれはレーニンの用法じゃん」みたいな訳の分からない事を言い出しました。

共産主義者が使った言葉だから悪いというなら、上位構造/下部構造とか、天皇制とか、五カ年計画とか、全部ダメって事に成っちゃうんですけど。現在、どれも価値中立的な一般名詞ですよね。


そして何より問題だと思うのは、左翼が軍や警察を指して暴力装置と呼んで来たのは、別に間違って居ないと言うことです。彼らの思想がどうあれ、「革命」というのが何なのかを考えれば、教科書どおりの内容で理解できます。


1,革命ってなあに?
革命は、合法的な手続きを経ない権力奪取です。一応、権力内部からの「クーデター」と区別されたりしますが、あんまり意味はありません。成功した革命は、必ず軍隊(の一定割合)を味方につけてますし。

2,暴力装置ってなあに?
権力が国家を運営するために必須の強制力です。典型的には軍と警察。これがきちんと機能していれば、「合法的な手続きを経ない権力奪取」は、絶対に成功しません。トートロジーですけどね。

3,じゃあ、革命ってどうやったらできるの?
簡単です。国家が用意している以上の暴力装置を、国家以外が用意できればいいのです。もっと解りやすく言うと「革命戦争で勝利できるだけの力があればいい」と言う事です。当然これには、軍や警察以上の実力が必要です。
勿論、国家の自主解体に近い「無血革命」もあります。これは、暴力装置が機能せず、戦う前に負けるパターンですね。

4,具体的には?
フランス革命は、蜂起した市民が王権が用意できる暴力装置で対処できる範囲を越えて、達成されました。
アメリカ独立革命では、独立派が本国の派遣軍を敗北させ、大英帝国から分離して国家を作りました。
ロシア革命は、テロ組織上がりのボリシェビキ中心の赤軍が白衛軍を殲滅することで完成されました。
イラン革命は、激化した宗教暴動に暴力装置を一定以上使う決断が出来ないまま、権力側が禅譲を行いました。

5,つまり、左翼が軍や警察を暴力装置と言ってきたのは……
凄く正しい用法です。と言うか、その認識があるからこそ、火炎瓶投げて棒を振り回すのを「ゲバルト」(直訳すると「暴力」だけど、権力と関わる暴力、とか記述されたりする)と言ってたわけで。
「革命を成功させるためには、国家が持ってる力(暴力装置)以上の力が必要だよね」と言う、当然すぎることを言ってるだけです。
勿論、日本国を実力で転覆させよう、と言う考え方自体が大多数にとって受け容れがたい(私だってそうです)わけですが、そんな彼らの思想と言葉の使い方には何の関係もありません。

6,で、何が言いたいの?
「暴力装置」は左翼が好んで使いましたが、使い方は間違っていません。
「暴力装置」は一見過激な言葉に見えますが、極普通の政治用語です。
政府・議会のお偉いさんやマスコミが、軍や警察が「暴力装置」じゃないとか言い出す国って、端的に言って恐怖です。
我が国は、万人の万人に対する闘争状態に有るべきだと言うんでしょうか?



何というか、「暴力」とか「左翼」とか「レーニン」とか、単語見た瞬間の脊髄反射以外にやる事がないんでしょうかね。




タグ :社会

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