2010年11月22日

俺の妹がこんなに可愛いわけがない アニメ版 第8話 感想


俺の妹がこんなに可愛いわけがない 1
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 1



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副題は「俺の妹がこんなにアニメ化なわけがない」

3巻の内容は、特に後半は非常にエキサイティングで面白いので、ワクワクしながら今週を待っていました。そりゃ、この副題で嫌な予感はしてましたが、精々新規エピソードを追加、くらいに思うじゃないですか。

ところが…… え、何でここに来てこんな改変加えちゃうの?という感じ。エロゲネタはそのままなのに携帯小説は回避とか、わけが解りません。そもそも、携帯小説の意義を認め、その作家となった桐乃を救うために周囲が奔走する話なのに。

と言うか、文章にも日本語にもなってないけどなぜか売れてアニメ化って、大御所扱いされてる日本語破綻者から最近のアレまで、むしろ業界内に直接敵を作りそうな話になってますが……


冒頭。最初これを見た時は、絶対に桐乃の夢落ちだと思いました。何しろ、どう見ても携帯小説ではなくラノベの広告ですし、売れる前の段階、最大イベントの盗作騒ぎが無くなってしまいますから。
ところが、話はそのまま進行。一体なんですか、これは?


一応、桐乃の真意(気後れと共に、アニメに興味のある友人として誘ってくれている、と言う意味もあるでしょう)に気づいて表情を動かす黒猫さんは、すごく良いです。ですが、黒猫さんは本来この話では、裏の主人公として、自分の弱点をさらけ出して桐乃を救い京介にアピールする役柄でした。それなのに、添え物扱いはあんまりです。

フェイトさんも、なんと普通の編集者。7巻登場時の残念な進化形態とか、見れないわけで、キャラ崩壊所の騒ぎじゃありません。


胃を押さえたくなるほどアイタタタな桐乃の行動ですが、本来これは出版社突撃の際に黒猫がやるはずの事でした。桐乃は仕事は完璧にこなし変な自己主張はしない完璧超人なので、これまたキャラクター性が違いすぎます。


恐らく、原作で描かれた「業界痛いネタ」を、アニメスタッフが誤解したんじゃないかと思います。あれは、作者の自虐だったり、商業性と作家性の狭間の話だったり、(商品としての性格が強いラノベだからこそ、と言う面もあり)それでも抑えきれない「創作」への思いだったりがぶち込まれた、とても「熱い」ネタでした。間違っても、黒猫(アニメでは桐乃)と言う痛いキャラを道化にして笑いを取るような、単純な物ではなかったのです。

このシーンが無駄に長いのは、多分予算節約策なんでしょうが、今までの同系演出と違って視聴者は「とっとと誰か突っ込んでこいつ止めろ」と思っている状況なので、逆効果。

と言うか、「常識知らずの中学生」だと言う前提なら、編集が事前に注意するもんじゃないんですか?「検討させていただきます」で黙らせる営業さん(?)は、さすがですが。
多分、持ち帰った後、「どう言い訳するか」「どの部分で要望聞いたと主張できるような形にするか」とか、疲れた顔して話し合うんでしょうね。


一応、企画段階で捨て駒扱い(制作期間5ヶ月未満って……)と言うのを示し、業界の問題点とかを指摘してるっぽい話にはなっています。ですが、繰り返しますが、原作はそう言う話じゃないわけで。


アニメ版スタッフが何をやりたかったのかもよく解らないところです。会話シーンで作が枚数を節約しながら、ロボ喫茶(?)の背景でオリジナルのロボアニメを流していたり、正にカロリーの使い方がチグハグ。

そもそも、シナリオとして、原作の「盗作の証拠をつかみ、本物の作者と認めさせる」に比べ、「アニメを妹の考えに合った物に持って行く」は、モチベーションとしてだいぶ落ちます。切実さの面でも、実現可能性の面でも。
京介が首を突っ込むのも「スッキリしない」と言う、適当な理由。原作通りでいいじゃないですか。執筆の時の必死さ、見てたじゃないですか。


それと、この話で京介と黒猫がタッグを組むのは、京介の熱い演説でどうこうできる話ではなかったからでもあります。だからこそ、黒猫が弱点をさらけ出す過程が必要だったわけで。

本当、原作で重要だった「桐乃が、あらゆる意味(才能・人間関係・ストーリートリガー)で物語の中心にある事」と部分も、「黒猫と主人公の関係性変化」も、「創作への熱く矛盾を孕んだ思い」もオミットされた、ひどい改変でした。
こんな改変をやっておいて、「原作をアニメで改変することの是非」みたいなネタをやるのは、なんかのギャグなんでしょうか?

編集会議にしても、「原作ファンしか見ないアニメで、主人公変えてどうすんねん」「主人公が女性キャラって事は、そいつにもファンがいるだろ。商材減らしてどうすんねん」とか、真っ当なツッコミが無いまま進むのは何なんでしょう。

制作側の都合も、「予算無いんで、描き込みが必要な女の子キャラは一人しか出せません」とかなら、しょっぱさアピールもできて面白かった気もします。


そして、原作では被害担当艦だった黒猫が、なぜか騎兵隊になる不思議。言ってる事は格好良い毒舌で、ここまでのストレスがある視聴者としては喝采したくなります。ですが、それじゃ京介との関係性変化が起きないでしょうと。
弱さを見せるはずの回で無双とか、何考えてんだ制作者ー!と画面に向かって叫びたくなります。そこまで含めた制作側の自虐なんでしょうかね?監督、格好が倉田さんそのままだし。


一応、桐乃への嫉妬や「才能」の理不尽さという原作の重要パーツは、黒猫の口から語られます。ですが、それは京介が気づかなければならなかった事実です。それでこそ、桐乃との関係性がもう一段階進むのです。ああ、もう!
エンディングで、黒猫との関係性が少し変わったっぽい描写もありましたが、やはり意味合いが違ってきます。桐乃と言う輝く恒星の周囲を巡る惑星同士、と言う部分は原作通り読み取れましたので、一応四苦八苦しつつアニメスタッフが頑張っているのも見えましたが。
改変を提案したのは、出版社とアニメ制作側、どちらなんですかね?


ラスト。タメ口とか土下座とか、京介のまとめ方も説得力が薄い上に面白くもなく、寒々しい気分になりました。アニメスタッフへの心に届くセリフも付加されてはいるのですが、やはり原作との齟齬から色々と空中分解しています。と言うか、そこに落とすなら、積み重ねるべき描写・情報が全然足りていません。
今回は、本当にダメでした。


残り5話で、続く第4巻のエピソードが4本。題名からすると4巻第1章の内容で間違いなさそうですし、ここからは原作準拠で行ってくれそうです。
まあ、今まであんなにできの良い話を続けてきたわけですから、一本くらい外れがあっても仕方がないですよね。例えそれが、原作で一二を争う熱くて力の入った、私のお気に入りのエピソードだったとしても……

それと、黒猫の二人称変化、これだと起きなくないですか?最後のセリフで、次から強引に変えるのかな?

ま、とりあえず「次行ってみよう!」と言う事で。




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