2010年12月15日

不自由な世界 RED DEAD REDEMPTION 感想

レッド・デッド・リデンプション
レッド・デッド・リデンプション

RED DEAD REDEMPTIONは、GTAのROCKSTAR制作の、西部劇アクションゲームです。オープンワールドで描かれた西部劇の世界を、自由に探訪できる一品で、本国では大受け。

でも、普通に考えれば解るとおり、西部劇ってのは要するにアメリカの時代劇なわけで、他国で受けるわけがありません。「マカロニウェスタンは?」と言う突っ込みは、例外なので放置。三国志は本国より日本で受けてるけど、だからってアメリカに輸出しても「はぁ?」って言われるよね、とだけ。

ただ、私は西部劇は嫌いじゃない(好きと言うほど見てないので、こう言う言い方)ですし、とりあえず期待してプレイしました。ええ、頑張ってクリアしましたとも。サブミッション?チャレンジ?途中までは一所懸命やってましたが、今はやる気など微塵もありません。理由は後から書きます。

そう言う状況で感想を述べると、まあ表題のとおり。過大評価も良いところで、トータルでは凡作だと思います。ただ、良い点と悪い点がくっきり分かれているので、やる価値はあるかと。


と言うわけで、最初に誉めるべき所は誉めておきます。

まず、凄く「それらしく」作られた西部の荒野が最高です。サボテンや低木が散在する中、朽ち果てた小屋や砦の跡を野盗や野生生物が駆け回り、背景で蒸気機関車が唸りを上げる。そんな、実に「リアル」な「西部劇の西部」が目の前に広がります。
何より唸らされたのは、画面で表現される「西部」は一部分でしかないと言う事。登場人物の言動、新聞の記事、物語の展開(!!)まで、実に当時の価値観に忠実です。
映画館でかかっているのは、科学の発展に警鐘を鳴らし敬虔な心を訴える「良識的」な作品と、女性参政権など導入したら恐ろしいことになる!と訴えるプロパガンダ作品。新聞で取り上げられる州知事のスキャンダルは、「黒人と白人を同じテーブルに座らせていたこと」で、知事の弁明は「私は断固とした差別主義者で、このようなでっち上げには抗議する」。
あげく、作品中一番魅力的な女性が誘拐された事件の新聞記事は、「28歳と高齢で、出産・結婚適齢期を過ぎているのに、何故誘拐されたかは不明」と書かれるなど、ブラックすぎて最高です。

他にも、馬の操作や銃の不自由さなども、西部劇っぽいギミックとして有効に機能しており、「ああ、俺は今愛馬にまたがって、孤独に身を任せながら夕日の荒野を疾駆しているのだ」と言うアメリカ的厨二精神を、心ゆくまで堪能させてくれます。

要するに、「西部劇をやりたい」と言う制作側と「西部劇をロールプレイしたい」と言うプレーヤー側の欲望は、最大限に活かされています。
言い換えると、精巧な造作を施され、細部まで作り込まれたテーマパークです。

ですが、これらの良い点は、結局以下の欠点で吹っ飛びました。

とにもかくにも、このゲーム「不自由」なのです。

1,システム
西部劇は結構ですが、これはオープンフィールドです。当然だだっ広い荒野が広がるので、その中で目的地にどう楽をしてたどり着かせるか、が重要になります。当然ファストトラベル機構があるのですが、これが唖然とする内容。

マップ欄開く → 目的地にマーカーを設定 → アイテム欄開く → キャンプ道具を選択 →キャンプ画面に切り替わる→ 「移動」を選択して目的地へ

と言う手順なのですが、キャンプ道具は街や街道から「一定程度」離れないと使えません。つまり、街から出て荒野にダッシュし、ある程度離れたかな?と思ったらアイテム欄を開くわけです。しかも、地面が平らじゃないだの障害物があるだの言われて、度々アイテム使用がキャンセルされます。上記の手順各段階に一々読み込みが入ることもあり、何でFALLOUT3のような、マップ上から直接していさせないのか意味不明。
しかもこのファストトラベル、ミッション中や賞金首捕縛の受領中には使えないので、延々と荒野を走らされる羽目になります。

次はセーブで、なんと上記と同じこのキャンプ道具の使用が要求されます。一応街でもできますが、それは特定箇所のみ。ついでに、利用可能にするには金が必要です。金はすぐ貯まりますけどね。
しかも、セーブすると6時間経過するという謎仕様。イベント発動時間が決まっていたりする関係上、あまり頻繁にセーブする気にはなれません。挙げ句の果てに、オートセーブはファストトラベル時に行われないと言う大問題も。
どう言うことかというと、ファストトラベル直後に死んだ場合(良くあります)セーブポイントに戻されて、街からダッシュしてファストトラベル、をまたやる羽目になるのです。叫びたくなりますよ、本当に。

他にも、リアルなせいで一々小回りが効かず、落下や事故が頻発する移動(徒歩も馬も)と言い、非常にストレスフルな仕様が多いです。町中でセーブポイントに向かっていたら、通行人を馬で引っかけ、保安官に蜂の巣にされて(犯罪者フラグが立つため)やり直しとかは、リアルですらないわけですが。


2,シナリオ
一本道です。
繰り返します。一本道です。
ひたすら善人プレイに徹していても、虐殺の手伝いとかしないと話が進みません。
ひたすら悪人プレイに徹していても、むかつくゲロ野郎の言う事を聞いてお使いをしなくてはなりません。

何しろ、出てくる名前付きのNPCは「アホ」か「キチガイ」か「人間の屑」か、いずれかの組合せです。記憶にある限り、この例外は3人、いやギリギリ4人か?しか居ません。主人公とその家族は例外として。
なのに、そいつ等の言う事に唯々諾々と従わないと、話は全く進みません。問題解決の方法もまるで選べず、基本的に、そいつ等に殺せと言われた相手を殺さないと話が進みません。普段のプレイでは、犯罪者を生け捕りにして不殺を貫けるのですが、なぜかミッションではぶっ殺さないとダメです。
最悪なのは、普段なら敵の武器を弾くのが基本(殺してしまうとペナルティ)の「決闘」まで、イベントでは殺さないとダメと言うこと。いつものとおり武器を弾こうとすると、強制敗北で射殺されて終了とか、既にゲームじゃありません。

そして、そんな不愉快なお使いを続けたあげく、たどり着くラストシーンは……
あれを、西部劇的虚無感と絶賛している人は多いんですが、そんなのを見たければ、500円DVDコーナーに山と積まれている昔の西部劇を買ってくれば、2時間でいくらでもできの良い物が見れるんですよ。
私は、あのエンディングを全く評価しません。何で、「自由度」が売りのゲームで、選択肢も与えられずにあんな物を見せられなくちゃ成らないのか。60時間もかけて、残ったのはうんざりした気分だけでした。

とにかく、エンディングに限らず、「ただひたすら画面内でキャラが会話しているのを眺める」とか、「キャラがしている会話を背景にただひたすら馬を走らせる」とか、そんなシーンが多すぎます。私はゲームをしたいのであって、いくら格好良くてもニヤリとさせられるセリフでも、私の介在しないところで繰り広げられるなら、アニメや映画を見た方がマシです。
これって、散々JRPGが批判されてきた、プレーヤー不要の人形劇じゃないですか。劇の内容ができが良いのが救いですが、それをゲームでやらせる意味が見いだせません。

しかも、結局同じようなイベント(内容も、プレーヤーのやることも)が、延々と繰り返されるのです。あれなら、イベントの数は1/3で構いません。無駄ですから。


3,ほとんどの要素が、ただのプレイ時間延長策では?
結局の所、疑問はこれに尽きました。
正しく「西部劇」な世界観は用意したのですから、あとはイベントを散りばめておけば、プレーヤーは勝手にロールプレイをして、楽しんだはずです。そこに、一本道のほぼ「見てるだけ」のイベント群を放り込み、しかも時間だけはやたらとかける。
色々コスチュームは用意されているのですが、どれも条件が不毛なまでに厳しく、とても揃える気になりません。実績とは別口の「チャレンジ」なども、発動する前に行った行動が反映されない(例えば、「○○を3匹狩れ」と言うチャレンジは、はじまってから3匹狩らねばならない。ハーブなど、全種類集めるのを要求されるのに、チャレンジは一段階ずつ進むので、何度も同じ場所に行く羽目になる)ため嫌がらせにしかなっていませんし、武器が増えても金が儲かっても、別に大きな変化はありません。
そのくせ肝心の自由な荒野では、起きるイベントは精々10種。10時間もプレイすると、もう飽き飽きです。各地にある盗賊の拠点や小さな街も、行ったから何があるわけでもなく(このゲームは、ミッショントリガー以外のNPCは本当に背景で、話すら出来ません)宝箱をさがして開けても、入っているのは数十ドルの端金。ついでに、金の使い道はほとんど無く、普通に進めていれば余りまくります。

やたらと集められるハーブや動物の皮もただの換金アイテムで、家に飾ることも調合して有利な武器を作ることもできず、意味不明。
結局、肝心の「自由なプレイ」はやれることが限られすぎてどん詰まりで、ちっとも面白くないのです。


以上のように、非常に評判が良いですが、私は欠点ばかりが目についてうんざりさせられました。戦闘にしても、毎回馬を操りながら銃を乱射するか、遮蔽を取りながら射撃するかの二択シチュエーションを、延々と繰り返すだけ。ガトリングガン?ありゃ、出来の悪いミニゲームですよね?

「西部劇」としての背景作り込みは本当に見事なのですが、「ゲーム」に落とし込む過程を、決定的に間違った感じです。
そもそも、「むかつくNPCの言いなりにならねばならない主人公」と言う初期立ち位置が、最後まで動かないのは辛すぎます。シナリオ以前に、ゲーム的に。結局、シナリオとゲーム性が喧嘩しているわけです。いっそ、ベルトアクションのガンシューティングにするか、「家族を殺された男が復讐に立ち上がる」系の西部劇にして、保安官もギャングも復讐相手として Kill them all するゲームにした方が、遙かに整合性の取れた物になったんじゃないかと思います。

繰り返しますが、本筋およびラストの「西部劇としての正しさ」は、「ゲームとしての破綻」を前にしては、ほとんど意味が無いと思います。

とにかく、残念なゲームでした。金と手間がかかっているのが良く解るだけに。何というか、メタルギアシリーズみたいな分裂のしかた、と言えば、解って頂けるでしょうか?


ただ、最後に一点だけ、ゲームとしてのできと違う部分で、唸らされた所がありました。
それは、最後のイベント。主人公が変わり、プレーヤーのストレスが頂点に達したところで描かれる、復讐劇です。

ここで、例によって例の如きお使いシナリオで仇を追跡する中、少なからぬプレーヤーが、仇の家族を撃ち殺したのではないでしょうか?
意識的に悪人ロールプレイをするのでない限り、多くのプレーヤーは西部劇のヒーローを演じるはずです。掲示板などを居ていても、大体それが基本に見えます。
しかし、最後のイベントだけは、仇はともかく、その妻や弟に対しても、怒りにまかせて引き金を引いた人が多かったのではないかと思います。

これは、恐ろしいほど「リアル」な追体験でした。長い時間を過ごしてきた、半身とも言うべきジョンを理不尽に殺されたプレーヤーは、復讐に猛るジャックとシンクロします。しかし、今までのムービーシーンや強制イベントと違い、ここだけは仇以外の関係者は「殺しても殺さなくても良い」のです。しかも、システム的には殺さないのが当然という流れになっています。実際問題、ジャックもプレーヤーも、仇の弟や妻を殺す理由などありません。

しかし、多くのプレーヤーが、怒りにまかせ、「家族を奪われたことの復讐」として、仇の家族に引き金を引くのです。ここだけは、完全に西部劇で描かれる「復讐の連鎖・むなしさ」を追体験させる、最高の(そして後味が最低の)ゲーム体験を提供していました。
何しろ、仇を討ってもほぼ無関係の仇の家族を虐殺しても、ゲーム世界は何も変わることなく、続いていくのです。

ただ、それならそれで、最後の仇との対面は、決闘ゲームではなくフリーアクションであるべきだったと思います。それこそ、デッドアイで武器を吹っ飛ばし、足を撃ってびっこを引きながら逃げる相手をゆっくり切り刻む、それくらいの事を可能にした上でエンディングに移行すれば、よりその効果は上がったはずです。

それにしても、ナチュラルに英雄プレイ(まあ、無関係の一般人も、流れ弾で何人か殺した気はしますが)をしていた自分が、ラストシーンではセルビアの民兵のごとく「敵の身内は敵!」とばかりに残虐行為をこれまたナチュラルに行うというのは、実に興味深い経験でした。
ゲームによる残虐性の発露とか言うたわごとは論外として、逆に、自分の中にある「機会が与えられれば発揮できる残虐性」を見つけられるというのは、「ゲームならでは」の強烈な体験だったと断言できます。ここは、本当にすごい。

ただこれは、100時間近くもあのむかつく仇にこき使われ、ストレスフルなゲームを続けてきたがために実現された心理効果なので、一概に誉められないわけで。これを狙ってシナリオを組んでいたなら、それはそれで凄いことだと思いますが。

ま、ゲームとしての評価は、上記の通りなんですけどね!




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