2010年12月18日

神のみぞ知るセカイ アニメ版 第11話 感想


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今回は、図書委員編後半の11話。ここまでの段階では、正直アニメ化の意味は無かったなと言う感想です。あ、不遇な作者にお金が入るのはとても大きな意味がありますが、作品的には、ねえ?


今回は、冒頭にたっぷり時間をかけ、原作にない立てこもりの準備描写をじっくり行います。図書館らしい荘厳ぽい音楽と相まって、覚悟のほどが強調されます。ここは、純粋にいいですね。

このシーンを丁寧に描くことで、思考を蛸壷化させて自分を追い込んでいった栞の「問題」が、くっきりと浮き上がります。


視聴覚ブース導入に反対する栞の意見は、日野ドクトリンが図書館コンビニ化を推し進めた事の批判につながる、普遍的な物。逆を言うと、周囲との対話さえ行えば図書委員達とのすりあわせは可能な、一定程度受け容れられるのが当然の意見です。ここで、ハッピーエンドへの道筋を明示。


ただまあ、栞の場合、心の病でなければ親が教育に失敗し過ぎじゃないかというレベルの内気っぷりですが。あと、図書の廃棄は図書館業務の大きな部分を占めているので(捨てなきゃ次が買えませんし)その時はどうしてたんだろう、とか。


ところで、原作だと事件は朝の内に終わっていたはずなのですが、何故夜にしたのでしょう?電灯落としで暗くなる描写がしたかったのかもしれませんが、原作にない天窓(日光で本痛むって!)を無くせば同じのはず。何より、あんなに時間がかかっては、図書委員達が教師に連絡しない説得力が失われます。


一方で、栞のエピソードはBGMがよいですね。今までのキャラソン濫発で印象は最悪でしたが、モノローグに重ねる単調な響きなど、上手くはまっています。


映像的にも、この雪崩落ちる本の描写とか、かなり力が入っている印象。時々挟まる前回からの再利用カットと比較すると、いかに完成度が違うか解ります。


クライマックスですが、桂馬が偉そうなことを言いながら目を逸らしているのは原作通り。つまり、彼は栞のことと同時に自分のことを語っているのです。
ここで彼が断言する「僕は、リアルの世界なんてなんとも思っていない!」と言うセリフが、栞との対比なのか共感なのか。その比率が、作品の進行と桂馬の変化を示す今後の指標になっていきます。もっとも、アニメはもうすぐ終わってしまうわけですが。


だから、今回の「攻略」顛末は、主人公を、栞を現実へと「復帰」させて自らは二次元に留まる殉教者として描き出すわけです。
神様は、どこまで現実を大事に思っているのか?それは、作品のテーマでもあります。

例えば、この作品はギャルゲーのパロとしてみた場合、「主人公の親友」と言うキャラクターを、故意に外しています。また、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」とは対照的に、ギャルゲーについて共に語り合う仲間と言う、「現実の同志」も描きません。バタフライエフェクトの原因としてギャルゲー市場を隆盛に保ち(原作描写)、多くのクリエイターの尊敬の念を得ながら、神は孤独で現実に拘泥しない(できない)のです。

恐らく、今回途中から主人公が栞の心の声を聞けたのは、テンプレ処理でギャルゲー脳が動いていた事に加え、自分との類似性を読み取ったせいではないかと思うのです。「勇気あげるよ」は、「既に持っている者」としての言葉ではなく、自分の分を与え、併せて一人分の勇気を持って在るべき世界へ帰れと言っているように聞こえます。
勿論、桂馬自身には「帰る」と言うか所属しているという意識がまだないのが、前提になるわけですが。

この絶望が前提にあるからこそ、物語の落着点は明確にならず、(ギャルゲーを捨て街に出よう!は自己否定になりますし、物語開始前の生活へ「行きて帰」るのは、元の孤独への回帰に他なりません)原作からは目が離せません。しかし、アニメではどう落とすのか?


ラスト、表情を消して生返事ばかりの神様の様子を見るに、次回何らかの内面的決着をつけてアニメ版を締めるのでしょうが。


まあ、それはともかく、恐らくこのアニメ中最高に大笑いできたのが、今回の次回予告。

作中で「落書き」と揶揄され、絵的には徹底的にネタにされる、桂馬イチオシヒロインの「よっきゅん」が、リアルいたる絵!やっぱり、面白いネタも、やればできるのになあ。

しかし、次回が一話完結で最終回・二期前提となると、これは独自展開とか捨ててサイト「落とし神」の解説番組で終わりですかねえ。うーん……




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