2010年12月30日

快哉を叫びたい 「自炊の森」問題について


「自炊の森」は、一言で言うと、店内で客にスキャン機材と裁断済本を貸し出すサービスです。

店側の言い分はこちら。
http://togetter.com/li/83973

で、小倉弁護士の一連のtweetを見るにつけ、少なくとも「真っ黒」とは間違っても言えない内容。
http://togetter.com/li/84045 ←一部まとめ

とりあえず、「作家に対するリスペクト」とか「モラルがない」とか、たわけたことを言っている連中は全部無視。
どう言うモラルをもつかは個々人の勝手ですが、それは法律と異なり、「他者」を束縛できません。いくらでも道徳的非難をすれば良いと思いますが、他人がそんな物につきあういわれはありません。石原が差別主義者であること自体は奴の自由ですが、法律にそれを体現させようとすると大問題、と言う先の条例問題と同様です。

で、私のスタンスは題名のとおり。「良くやった、もっとやれ」です。
なぜか?それは、出版側の「これが合法なら商売にならない」と言う言いぐさに体現されます。

このサービスは、出版社が安価で使いやすい電子書籍の普及に努めていれば、何の意味もない代物です。一冊100円以上かけてせっせと店に足を運んで漫画をスキャンするくらいなら、ほとんどの人間はもう少し高くてもワンクリックで購入できる方を選ぶでしょう。そして、後者は技術的に可能であり、最終的な普及は自明の方法です。つまるところ、「既存の商売は回らなくなる」事は、関係者・業界ぐるみで理解していることなのです。
しかし、その革新を進めるどころか、既得権益にしがみついて妨害を続けて来たのは、正に出版社なわけです。音楽のデジタルコピーを憎んで妨害を続けたあげく、アップルに利益をかっ攫われてユーザーの信頼も喪失した音楽業界と、何も変わりません。

そして出版社は、こう言う「合法サービス」が出てくれば、当然これに対抗する価格設定・利便性の電子書籍の普及で対抗するしか無くなります。これこそが、本来の競争原理であり、それによって促される技術進歩という物でしょう。

迎撃態勢を整えるのを怠ったのは他ならぬ業界なわけで、騎兵隊で戦車に突っ込む羽目になったとしてもそれは自業自得です。

店側も、法的な理論武装を行い、法廷闘争でやり合う気満々のようですし、是非とも最高裁まで争ってランドマーク判決を引き出していただきたい。
私も小倉弁護士と同様、このパターンは、録画TVよりも中古ゲーム裁判に近いと思います。中古ゲームと違って、市場が確立していない(=裁判で叩き潰しても社会的影響が少ない)というのが大きく異なるのですが、法解釈で細部を詰めて意地でも戦う主体に対しては「完全勝利」はありえません。戦い抜くだけでも金と時間と正当性(相手側の論理も喧伝されるので、「出版社の言ってることおかしくね?」と言う反応も多く出る)に犠牲が出ますから。

結構大きな資本がバックについているのではないか(あるいは、店主が金持ちで、私財を投じて既存秩序に喧嘩を売る気か)という話も出ていますし、トコトンまで殴り合って貰いたいところです。
最悪の帰着点は、出版社が裁判で完勝・勝った側は何も自己改革せず・ついでに法改正で私的複製の範囲制限でさらに酷い状況に…… と言ったところでしょうが、そこまで業界と司法に自浄作用がないなら、既刊の古本だけ読んで生きてけばいいや、という気にもなります。海外の作品は、海外産の端末で読めるわけですし。

勿論、そんな事にはならず、危機感を憶えた出版界が自己改革を進めて、電子書籍で復活してくれることを祈るわけですが。


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タグ :社会著作権

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