2011年01月30日

本質的でない面白さ  「ラストストーリー」感想1

ラストストーリー
ラストストーリー


ゲームの発売日というのは、どうやってもかぶる物です。これが、同じ系統ならメーカー相手に「少しは考えろよ!」などと言うところですが、別ジャンルだと怒りのぶつけ所がありません。

と言うわけで、1月末発売ソフトは、「俺の妹がこんなに可愛いわけがないについては購入のみで後回し、ヴィクトリア2 完全日本語版は購入自体後回しとして、このラストストーリーから始めました。

なんでって?クラブニンテンドーのポイントに、ボーナスが付かなくなるからですよ!
と言うわけで、ラストストーリーです。宣伝段階では、「JRPGにしては」かなり暗めの雰囲気と、傭兵と騎士という設定が惹かれたポイントです。ファンタジーならDragon Age:Originsもありましたが、D&DはTRPGで十分と言ったところ故。

でまあ、内容を一文であらします。

「安い世界観を背景に展開される、かったるいムービーの合間に、面白いミニゲームが挟まる」

なお、「それでも今の所面白い」と言うのは、明言しておきます。3番目がポイントですね。まあ、10時間もしたら飽きるだろうと予想が付いてしまうのですが。(後述)

文節ごとに、解説します。

まず、世界観は相変わらず適当JRPG。ただ、今回問題なのは、「騎士と傭兵」と言う大きなテーマを、まるで活かせていないところです。
あの世界において、騎士とは何なのか?傭兵とは何なのか?
その基本部分が、見えてきません。「そんなの現実通りでしょ?」と言うツッコミは、「騎士なのに馬に乗ってる奴が一人もいない」「傭兵の主な仕事は魔物退治」と言う二点で吹っ飛びます。そのくせ、傭兵は平民から嫌われていたり、騎士と貴族が区別されていたり、(史実では、騎士とは最下級の貴族の称号であると共に、広義の貴族そのものです)よく解りません。

かったるいムービーは、もう良いですよね?
キャラ全員美形兼若造と言うのは、もう様式美としてスルーするとしても、(でも、傭兵団長は渋い親父にしとこうよ)プレイ時間の半分を費やして垂れ流されるので、「ゲーム」をやっている気が全然しません。
しかも、相変わらずのヘッポコカメラワークとちぐはぐな演出と、キャラの内面を深く描く気も無さそうな脚本。シナリオを進めるため、最低限に抑えておけばいい物を、ダラダラダラダダラ垂れ流されては、ストレスがたまるばかりです。と言うか、情報価値が皆無です。
キャラを立て損なってるヘボイ会話させる前に、世界設定や登場人物の置かれた状況を自然に語らせろと。例えば、タクティクスオウガのオープニングのような内容なら、多少長くても真剣に見入りますよ。でも、相変わらず唐突な回想シーンに、伏線もへったくれも無いイベント群。(主人公が未知の力を得る最重要イベントも、何がフラグか解らないヒロインとのロマンチック(笑)会話も)
映画であれだけ派手に失敗したのだから、いい加減に部をわきまえて「ゲーム」を作るべきだと思います。

ですが、2番目はもう解りきっていた悪癖ですし、1番目とて「所詮JRPG」(洋RPGなら良いと言ってる訳じゃないです。念のため)の伝統芸能。真に問題なのは、最後の部分になります。

つまり、戦闘は面白いのです。最初、「敵に近づくだけで自動攻撃って、不自由すぎるだろ」と思っていたのですが、やれることが増えてくると大味なりに面白くなってきます。特に、主人公の能力が「敵の攻撃を自分に集中させる」なのがいいですね。適宜囮になりつつ敵を誘導することで、自動戦闘の仲間と協力している気分が味わえます。
バランスは、今の所劇甘ですが、これから上がっていくことでしょう。

また、JRPGお約束のミニイベント群も、今の所悪くありません。ストレスがたまらないように考慮されてますし、ちゃんと本編が有利になるように出来てます。いっそ無視しても特に問題無い作りですし。むしろ、ミニイベントで手に入るアイテムを全部使うと、ただでさえ甘いバランスがさらに酷くなるので、ある程度スルーしても問題無いでしょう。


では、何故この利点が活かされていないのか?それは、私が「ミニゲーム」と表現したことの意味でもあります。
一言で言うと、「シナリオや世界観と連動していない」。これに尽きます。

まず、この作品のテーマは「騎士を目指す傭兵達」です。ベルセルクの「鷹の団」辺りを、想像するのが普通でしょう。
しかし、主人公達がこなす強制イベントは、基本的に無料奉仕の人助け(!!)。冒頭から、街道で襲われている子どもを救助して、謝礼も求めない団長のプロ意識の無さに唖然とします。
選択肢が出るなら良いんですよ。貧乏でも孤高の傭兵が、憧れの「白銀の鎧の騎士」(騎士道物語的な象徴)を目指すと言うプレイをするのは楽しいですから。また、名作ゼルドナーシルトがそんな感じでしたが、儲からないが道理に適う仕事と、儲かるけど外道な仕事を選ばせてこそ、傭兵冥利に尽きるわけで。
しかし、以後もお人好しの主人公達は無料奉仕を続け、それで何の問題も生じません。大体、モンスター倒せばお金を落とす相変わらずのシステムで、「傭兵」と言っても冗談にしか成らないわけです。雇い主探さなくても食えちゃいますから。

つまり、「騎士を目指す」と言うヒリ付くような欲求は、システムに裏切られて何の重みも感じさせない物になっているのです。
騎士と傭兵の違いは領土があるかどうかで、領地を失った騎士は盗賊騎士=傭兵に落っこちるのが中世ルール。聖堂騎士みたいな変則もいるけど。
その苦しい立場から抜け出し、名誉と安定した生活を兼ね備えた騎士を目指す意味は、あの世界にはありません。そもそも主人公が騎士を目指す理由が「平民をないがしろにする堕落した貴族ではなく、平民を愛する騎士になる」なのですが、それ騎士になる必要ないですよね?

とにかくこのように、戦われる戦闘も依頼されるフリーミッションも、「傭兵」とは似ても似付かない物で、テーマから見れば「幕間にミニゲーム」にしかなっていないのです。
大体、古参傭兵推奨の金稼ぐ方法が「闘技場で勝ち抜く」って、なんだよそれ!傭兵じゃないのかよ!?

とまあこのように、「凄く良くできてるけど、良くするところを間違ってる」いつものJRPGです。
このままだと、両者の分離が続く結果、いくら面白くても戦闘はシナリオと無関係なせいで飽きてしまい、放り出すパターンに落ちてしまいそうです。

なお、JRPGJRPGと連呼すると勘違いされそうなので他のゲームに例えると、MASS EFFECT(当BLOGの感想はこちら)をやって居た時のイライラ感に近いです。「なんで海兵隊の最新鋭戦艦使って、チマチマ鉱床さがして惑星探査やってんだよ。って言うか、遙か未来の大宇宙で、全員アメリカン丸出しの海兵隊とかアホか!」と言うあの感覚を、単語と文化背景入れ替えるとこれになりますね。

まあ、まだ序盤なので盛り返す余地は十二分にあるのと、ゲーム部分は結構面白いので、続けてみようと思います。


あ、最後に注意。
キャラクターの外見は、メニューの「COLOR」の項目から、かなりフレキシビリティを持って変更できます。特に、装備パーツを能力値を変えることなく外せるのに注意。「ある程度渋い格好をさせておいたのに、防具レベルを上げたらダサイ肩パッドでぶち壊し」みたいな時に、レベル上昇で追加されたパーツのみ外すことも可能です。空気を読まない格好でうろつくキャラにイライラしている人がいたら、お試しあれ。
個人的には、ヒロインが初登場時に着ていたような修道士スタイルの防具がないのが、残念でなりませんでしたが。時折、雰囲気に結構ダークな物が混じっているので、そう言う渋い格好があれば映えるのですが……



感想2以降はこちら
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