2011年02月13日

VICTORIA2 日本語版感想 非正規兵(現実で)大活躍!

ヴィクトリア2 完全日本語版
ヴィクトリア2 完全日本語版

「ヴィクトリア2」は、何度か紹介した「ヨーロッパユニバーサリス3」と同じ会社・同じエンジンを使った、第一次世界大戦前後の世界を舞台とする歴史シミュレーションゲームです。具体的には、1836年から1935年までの丁度1世紀を、世界のあらゆる国を使って体験できます。

ただし、ゲームコンセプトは経済・政治の「シミュレーション」という要素が強く、プレイ感覚はかなり異なります。
どう言うことかというと、国内では職人や資本家が価格を見ながら工場/個人で製品を生産し、それが市場に出されます。その結果彼らは代金や給与を受け取り、またそれを消費に使って市場が回っていきます。何を当たり前の、と言うかもしれませんが、そこがシミュレーションされているのです。従って、国家運営は非常にままなりません

例えば、国家の収入を増やそうと税を上げると、国民の可処分所得が減り、国内需要が逼迫して失業の連鎖が起こり、最終的には革命騒ぎがわき起こります。
逆に特定階級の税収を下げて育成を目指しても、(農作物なんか足りてるから、貧民の税金を上げる一方中産階級の減税をし、誘因作ってホワイトカラーを育成しよう!)今度はそこに大量の人口が流れ込んでまた失業が!みたいな事が起きてきます。勿論、その辺をバランスさせるのがゲームのキモですが。

これは政治も同様で、中央集権の独裁・絶対王政は早晩国民から不満の声が上がります。当然、まずは限定的な選挙権を導入し、国家を安定させることになります。しかし、そうこうするうちにブルジョアやプロレタリアートも政治的に目覚めてきて、色々な要求が出てきます。
ところが、政治・社会改革を進めようにも、議会を握る地主層は超保守的で、革命騒ぎが頻発する状況になっても特権を手放さず、改革を拒否します。そもそも彼らに選挙権が限定されていますから、何度選挙をやってもこれは動きません。それどころか、革命騒ぎに不安を覚えて、地主・上流階級層ではファシスズムや反動主義が台頭する始末。

なお、この時もっとも手っ取り早く改革を進める方法が、「革命軍が決起した時、軍隊に傍観させて首都を制圧させる」なのは、歴史的に正しすぎる革命のワンシーンです。
あとは、わざと反動政権を作って国王独裁を作り、「上からの革命」を急速に推し進めてみたり。近代史好きなら、黒い笑いと夢(悪夢?)の広がりが止まりません。

後述する、現段階でゲームがかかえる多数の問題点の反動もあって、後半の不思議世界ぶりはかなりエキサイティング。
私がなんとか初めて1920年代までゲームを進めた時には、欧州では「労働者連邦」(共産化した大英帝国は名前が変わります)と、同じく赤化したフランス(こちらは名前変わらず)が一触即発でにらみ合い、ブルジョア独裁の「ソヴィエト連邦」(「ソヴィエト」は議会の意味ですから、正しい、のか?)が第3極としてにらみをきかせる体制になっていました。
あと、合衆国様は、西海岸をメキシコから奪うことに失敗し、太平洋への進出を阻まれて孤立主義まっしぐら。太平洋島嶼部では、議会制立憲王国オランダと、プロイセン型立憲君主制日本(選挙権は地主限定)が、毒ガスを含む最新兵器を駆使して大戦争を繰り広げていました。

以上の説明に惹かれた方々は、手を出して後悔はないと思います。
詳しくは書きませんでしたが、「列強から『文明国』と認められない国は、何をされても文句が言えない」弱肉強食システムとか、「非文明国が文明国になるには、他の非文明国をぶん殴って実力を示すのがほぼ唯一の道」と言う救えない世界観(でも史実通り)など、相変わらず真っ黒で楽しいです。
いやあ、日本とかやると、史実通り動く以外やりようないですもんねえ。朝鮮は前菜。逆に、朝鮮とかでやるとあまりの「詰み」っぷりに泣けてきますし。あと、日本の幸運さも実感できますよ。周囲に手頃な非文明国、中国という誘蛾灯(対欧州勢被害担当艦)の存在、太平の世で育っていた文化、そして何より島国という圧倒的な地の利。

ずるいよ、あの極東の憲兵!(フランスとイギリスどころかオスマンにまで狙われて、どうしようもないエジプトでプレイしつつ)


ただし、以上の美点を全て吹き飛ばしかねない、大問題があります。
とても言いにくいのですが、一言でまとめてみましょう。


「バグ、バランス、日本語(笑)、それとバグ!!」


バランスについては、そもそもバージョンが「1.01」と言う、冗談じゃないβ版です。繰り返しますが、冗談ではありません。英語版は、発売時から1.1なのです。
多分、発売時期を早めるための処置だったのでしょうが、Paradoxのゲームなんて製品版ですらβ版なんですよ!何ですかこれ!?頻発する反乱、広がるコレラ、「職を求めて」職のない地方に移住したあげく、食い詰めて反乱を起こす移民……
AIも反乱鎮圧がまともにできず、だいたい1860年代にもなると、ロシア全土と列強の植民地は、ほぼ全てが反乱軍に鎮圧されているという笑える状況です。

日本語化は、戦車が「樽」と訳されているのは、まあ元の英語自体が良くないので仕方ないところですが、ポップアップ(選択肢の効果を表示する)が出なかったりと、色々と問題外。日本語自体は、この前のCIVILIZATION Vと違って、ちゃんとしてるんですけどね。

で、バグですよ……
イベントファイルが間違ってて将軍/提督がそもそも存在しないとか、市場の動きがおかしくて需要があるはずなのに工場が大赤字になっているとか、補給関連のバグで損耗部隊が永遠に損耗したままになる場合があるとか、ゲームにならないレベルの物が多すぎます。
そもそも、データ量に比してプレイヤーの介入できる部分が間接的なのに、その効果が狂っていたら何にもなりません。とりあえず、英語版にバージョンが追いつくパッチが出るまでは、まともな製品の体を為していない、と断言できます。金返せ。


ですが、ここでエントリー表題が意味を持ちます。
現在、有志によるバグの洗い出しや改良MODの開発が急ピッチで進められており、それを利用すればある程度まともにプレイすることができるようになってきました。
http://stanza-citta.com/vic2/index.php?%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E6%83%85%E5%A0%B1
↑のwikiを参照し、各種の訂正やMOD導入を行えば、とりあえず遊ぶことはできます。
環境によっては落ちまくるとか、意味不明のシャットダウンで1935年までの完走は至難とか色々ありますが、まあその辺はいつもの事。パッチや追加パックで改良されていくでしょう。

と言うわけで、一応これはお勧めできます。一応、輸入盤はAMAZONで買えるし、ParadoxのDL販売も使えるらしいんですが、CIVILIZATIONやEUと違って、日本語化パッチは作られてないのですよ。
やっぱり、イベント説明のフレーバーテキストなんかがちゃんと読めるのは大きいので、日本語版の意味もあるわけです。あ、勿論ここで言う日本語版は、有志の改良を導入したあとのことですけどね。サイバーフロントは、いい加減にして下さい。

と言うわけで、この辺で、ダイナム(ヴェトナム)かシャム辺りで、文明国となって生き残る道がないか模索する作業に戻りたいと思います。




その他、Paradox関係エントリーはこちら





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