2011年02月17日

最悪の焼け太り 検察の「一部」可視化実施へ

公安警察の手口 (ちくま新書)
公安警察の手口 (ちくま新書)
↑元々警察ってのは、放っておけば暴走するもの。そこに以下に手綱をつけるかが、近代社会の苦悩という奴です。"Who watches the watchmen?"


特捜事件の一部可視化、4月から試行 3検事長ら17日に最終協議(産経)


警察の可視化を目指した改革は、おぞましい着地点へと導かれつつあります。
強調しますが、形容詞は「恐ろしい」でも「怖い」でもない、「おぞましい」です。

「一部」と言うのは、何の意味もないどころか、警察・検察に正当化の口実を与える最低の改悪案です。
警察の何が問題か?それは、密室での捜査であり、密室での取り調べであり、密室での書類処理です。

これがあるからこそ、彼らは好きなように証拠を捏造し、自白を強要し、身内の犯罪を隠蔽できるのです。
実際、小は職務質問で引っかけた人間を「任意」にしょっ引いて「協力」によって財産を破棄させ、大は「証拠の残らない」脅迫と詐欺で調書と言う名の作文に署名させ(最悪の場合、無理矢理手を掴んで拇印を押させる)、あげくは裁判所が問題有りを認めた捜査過程(=違法捜査)を「嫌疑無し」としてそのまま葬ったりするわけです。
警察行政がこんな有様である限り、この国は法の支配する国どころか、法治国家ですらありません。

だからこそ、捜査の「全面」可視化が必要なのです。
捜査の全過程を記録し、それに中断・無記録部分があれば、「そこで何かやったに違いない」と解釈して証拠採用を見送る性悪説運用が、です。それでも取り調べ室外での違法行為を防ぐのは難しいでしょうが、そうなったらそれこそ署内や警察車両内にもカメラを入れれば良いだけです。
やり過ぎと思われるかもしれませんが、これは武器庫にカメラをつけるのと変わりません。警察・検察というのは、常に国民の自由を大幅に制限できる巨大な権限という、抜き身の武器を携帯している職業なのですから。
勿論、そもそも警察が人権を守らないのは警察官の人権が守られていないという部分も非常に大きいので、労働の適正化も合わせて必要ですが。訳の分からないノルマ制とかね。

一方、「一部可視化」と言うのは、「全面可視化」の部分集合ではありません。記事中にあるように、調書を読み上げる所だけ撮ればいいのです。それまで、脅そうが暴力を振るおうが騙そうが、全然関係ありません。単に、読み上げて「解ったな?」「はい」と言わせれば良いだけで、しかも何度でもやり直しができます。
そう。「その場面」しか望まれない以上、「その場面」で欲しい絵が撮れるまで繰り返せばいいのですから。典型的には、直前に「今からこれ読み上げるから、とりあえずハイって言って署名しろ。そうしたら家に帰れるし、どうせ裁判にはならんから」とか言うパターンね。「騙される方が悪い」という人も居ますけど、十時間以上監禁されて人格全否定されてづけて、抵抗できる人間はむしろ一般人じゃないですよ。
表情に生気がないとか、明らかに棒読みとか、そう言う場合は容赦なくリテイクさせるでしょうしね。そして、裁判で「こんなにはっきり読み上げて、本人もきちんと理解して署名しています。今になって供述を翻すなど、信じられない!」とか言えばいいわけです。単に、警察・検察に有利な証拠を一個、好きなように作る機会を与えているだけ。無意味を通り越して有害、の意味を理解して頂けると思います。


と言うわけで、最近失望続きで政治関連エントリーを書いていなかった理由ともつながるのですが、一言言いたい。

「いい加減にしろ、民主党!」

あなた達は、野党時代に全面可視化法案を出しました。この件に関して必要だったのは、それを再提出するだけの「誰にでもできる簡単なお仕事」です。財源?必要な事務処理?
そんなもの、法案通してからで良いんですよ。赤字国債で良いんですよ。一年くらいの猶予期間おいて、専門部会で「実施のための詰め」だけさせておけば良かったんです。それを、なぜか引き延ばし、あまつさえ一部可視化などと言う逆転劇を演じさせてみせる。
小沢排除と引き替えに骨抜きにすることを約束した、と言う陰謀論も一概に否定できませんよね。だって、陰謀じゃなかったら、執行部は馬鹿で無能ってことになりますから。さて、どっちがマシなのやら……

そして、最悪なのは、次の政権交代で自公に戻った場合、この件は一切進展する余地をなくすと言う事。江田法相、あなたが就任時にのたまった事が口先だけの誤魔化しでないなら、一言「そんなお為ごかしで国民は納得しない」と言って、舵を切って下さい。まあ、可視化法案の一年間放置宣言が出る状況じゃ、絶望的ですが。

二大政党両方への絶望は、国民が取り得る「政治的行動」を、少数政党への無意味な投票か、違法な実力行使かの二択へと追い込んでしまいます。それがつまり、100年前のロシアや80年前のドイツで起きたことです。

「おぼえておけ、これが戦前の空気だ」と言うブラックジョークが、笑えないとしてもジョークのままあってくれる世界でありますように。

いや本当、歪な警察国家化と国民の民主主義への絶望・急進化って、セットで運用すると何でも起きますんでね。政治におかれましては、制度化された革命って言う選挙の意味をちゃんと把握した上で、行動していただきたいもんです。安全弁なんですから。



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タグ :社会可視化

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この記事へのコメント
>制度化された革命って言う選挙の意味をちゃんと把握した上で、行動

難しい気がしますね。

なんて言うか、国というものが「自分以外の誰にババを引かせるか」という原理で動いている気がします。検察vs民主も然り。

暴動とか起こってもそのとき自分がこの世にいなければいいや、みたいな。

・・・別にこの5年10年で始まった訳でもありませんが。年金制度とか。空港濫造とか。

都政レベルで見れば、石原の次の当選は何としても阻止しなければならないわけですが。・・・人気がまだあるわ、代わりの候補がマシとは限らないわで、道険しです。
Posted by Aruzya at 2011年02月18日 21:55
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