2011年03月04日

魔法少女まどか☆マギカ 第9話 感想

魔法少女まどか☆マギカ 5
魔法少女まどか☆マギカ 5

第9話:「そんなの、あたしが許さない」
メインの謎は大体明かされ、残り3話の展開は大体見えた気がする、まどか☆マギカです。でも、この「大体見えたかな」と思う度に良い意味で裏切られ続けてきたため、期待度はむしろ上がっていたり。



冒頭でアクションをぶち込むのは、クーンツ先生お墨付きの「つかみ」基本テクニック。ほむらの能力を非常に解りやすく解説しなおした上で、すぐに仕切り直す辺りも実にこなれています。
即座にぶち殺す展開かとも思いましたが、そうか、魔女空間からは離脱も可能なのか。

それにしても、ほむらさんは設定的にはかなり弱い魔法少女らしいのですが、現代技術との組合せが巧み。魔法を使って、米軍基地辺りから調達しているのでしょう。


「嘘、よね……?」
都会の闇の片隅で交わされる、救いのない会話。
今話の背景は今までよりも現代よりの物になっていて、「絵空事感」とでも言うべきものを減らしてきています。この電車の描き方とか、今までほとんど出てこなかった鉄条網や電線(極めて現代的な都会の断面)を強調した絵とか。
今までの、近未来を強調したギミックの数々は、ここでひどい「現実」をアピールするための仕込みだったのでしょうか。だとしたら、本当にすごいです。あれだけの物語的作り込みをやりながら、並行して長期的な演出の調整もしていたわけですから。

一方、悪役を全力で演じているように見えるほむらですが、同時にまどかに対するいらだちもまた垣間見えます。この期に及んで、まだ魔法少女になりかねないことを、解っているからなのでしょうが。


でまあ、一人ブレ無いキュゥべえさんは、今日も平常運転。このホラー的登場のしかたとか、開き直っているとしか思えません。

しかし、キュゥべえの正体がエントロピー回収機構とは……
一気にSFとなったわけですが、ここまで懇切丁寧に説明しなくても良かった気が。とは言え、魔法少女候補が「少女」である必然性とか、超能力作品のお約束を取り込んだ、実にタチの悪い物ですね。もはや古典であるファイアスターターの設定とか、あの辺。
「希望と絶望の相転移」とか、物理用語にオカルトをぶち込んでもっともらしい設定をでっち上げるのは、良いライトSFの基本でございます。
SF的に考察すると、エントロピー増大に対して魔法少女←→魔女サイクルはエネルギーの総量を増大させるので、熱的死の前にビッグ・クランチの危険性が出てきそうですが、その辺はバランスさせる自信があると言うことなんでしょうか?

それにしても、キュゥべえの言う「得になる取引」って、一周回ってやっぱり少年兵を使う理屈なんですよね。
「この国のために死ね」
「後の世代のために死ね」
「お前達が死ぬことに意味がある」
「むしろ、お前達が役に立つ方法はそれしかない」
要するに、そう言う事ですから。それ自体は「正しい」と言える部分があるにせよ、少年兵を使う側(キュゥべえ)が、ノーリスクで上がりだけを回収している辺りが、特にそう。

「認識の相違から発生する判断ミス」とか中立的な言葉を使ってますが、認識の相違を故意に隠して判断ミスを誘発しているわけで、明確な確信犯です。

同時に、「君達の犠牲がどれほど素晴らしいものをもたらすか説明しに来た」と言うセリフが、最高にゾクゾクする代物だったわけですが。悪意のない悪、根本的にわかり合えない敵ってのは、こうでなくては。
ただ、こう言う奴らは言ってみれば害獣みたいな物で、憎み、戦い、乗り越えるべき「悪役」としては、役者不足なんですよね。決戦前の前口上(舌戦)とか、演出上「ため」となるべき部分が盛り上がりませんし。



一方、悪意無き存在がまき散らす害悪と共に、善意に基づく行動が、地獄への道を再舗装。この「友人を助けたい」と言う純粋な思いがどこに行き着くか、簡単に予想できるのに、否定する材料は無いのです。結局杏子にしても、初登場時のスタンスを保持し、冷徹な魔法少女を続けていれば、悲劇に巻き込まれることはなかったのですから。



そして、杏子は脱落。あれは、ソウルジェムを爆弾として使った、文字通りの自爆テロなのでしょう。奇跡を願って適わず、絶望して死を選ぶ。(魔女化という末路を提示され、魔女を狩り続ける事に意味を見いだせなくなったのが大きいでしょう。その中でも、せめて「意味のある死」を遂げようと、自らソウルジェムを砕くのが悲しすぎます)それなのに、彼女は最後に祈りのポーズを取ります。恐らく、一連の悲劇以来捨てていたであろう信仰の姿勢。捨てたはずの神に最後の望みをかけ、しかしそれは適わず、それでも祈りの姿勢で死に臨む。そのまま神など捨てておけば、こんな事には成らなかったのに。
この皮肉・あるいは悪意ある展開は、宗教の罪深さを描いたとも言えます。そして、そこに至ってしまうものの愚かさと哀しさも。しかし、この物語の場合、それは、そう誘導した者が居たわけです。

って言うか、杏子ぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!一番気に入ってたのに!
立ち位置的に、今日を乗り切れれば、最終話まで残ってくれると信じてたのにorz
正に、どうあがいても絶望。畜生、こんな展開続きで、途中で視聴停止なんてできるわけないじゃないですか……


全ての犠牲は、こいつの手の平の上。どう見ても、「認識の『相違』による判断ミス」などではなく、単なる詐欺です。
しかしこれで、実際問題ラスボス(?)とのパワーバランスは崩壊。まどかが魔法少女化を受け容れないルートが思い浮かばなくなりました。

残り3話、物語はどう展開するのか?残り1話で決戦になだれ込むなら解るのですが、3話もあると一体?
とにかく、来週を待つことにしましょう。



その他、まどかマギカ関係のエントリーはこちら





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(アニメ感想) 魔法少女まどか☆マギカ 第9話 「そんなの、あたしが許さない」【ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人】at 2011年03月10日 17:08
この記事へのコメント
>残り二話、物語はどう展開するのか?
はじめまして、コメントさせていただきます。

残り2話と仰っていますが、全部で12話だと思ってました(汗
どこかで11話までだというソースがありましたら是非教えていただきたいです。
Posted by なも at 2011年03月05日 00:10
あ、単なる勘違いです。今話が10話と勘違いしました。訂正します。

2話でもギリギリかと思ったんですが、3話引っ張れるんだろうか……
悲劇か。この上悲劇の追加注文か!?
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年03月05日 01:17
私は10話がほむらの過去話その他、11話がワルプルギスの夜に遭遇(まどか変身)、ラスト1話が最終決戦??ってな具合に予想してます^^;
Posted by なも at 2011年03月05日 13:43
はたして、まどかは本当に変身するのかな?
変身するにしても「契約を介さない」変身とかどんでん返しは……ありえませんかね
Posted by かがみん at 2011年03月05日 14:54
・ストーリー自体がバットエンド的で、まどかはこの世の生き地獄という世界に迷い込んでいるように思える。頼れる先輩を失い、2人の親友を失い、そしてこれから自分の心さえも失いそうに思える。まどかはかなり高レベルの魔法少女になれるとキュウべえが言っていて、宇宙的には彼女は特異点みたいな電王的でいう存在なのかも。
・こういったストーリーの後のエンディングテーマソングには、ガンダム00の“trust you”か宇宙をかける少女の“espacio”みたいな歌がちょっとよく似合いそうで、最後にはまどか、さやか、マミ、杏子、ほむらの5人が仲良くしているシーンも加えれば、かなりいいのではと考えてしまった
Posted by オラクル at 2011年03月05日 20:21
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