2011年04月03日

黄昏のシンセミア 感想4 翔子ルート

黄昏のシンセミア 通常版
黄昏のシンセミア 通常版



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感想その4です。
今回は、最初の分岐で銀子さんを探さなかった場合でサイトに残ったルートを潰します。起点は、沙智子ルート分岐点。沙智子のお婆さんに話を聞かない場合。
でまあ、予想していましたが、これはやっぱり翔子ルートへの分岐ですね。

このルートは、話の展開が遅いです。当然ですが、翔子は軽々しく好きだと言える相手でも、手を出せる対象でもありません。その辺を丁寧に埋め、つまりは主人公の外堀を埋めていくためには、日常と非日常の両面でイベントを転がしていく必要があります。従って、この展開の遅さは正に巧遅と呼ぶべきもの。
また、このシナリオを妹ルートと対比することで、見えてくるものもあります。
まず、主人公の感情として、妹に手を出すより翔子に手を出す方が遙かに敷居が高いと言う点。つまり、結局彼ら兄妹は、その気持ちをある程度自覚していながら、故意に目を逸らしていた状態だったのでしょう。
一方で、妹はこのルートでは迷い無く二人のサポートに回ります。つまり、妹の側は、色々と歯車が噛み合ってしまわない限り、(具体的には、主人公が自分の気持ちを自覚/誤解すること)道を踏み外さない強い自制心を持っていることになります。まあ、主人公の自制心が弱いのは仕方ないですよね。「主人公」ですから。プレーヤーの導くちょっとした操作で、心の方向性が変わると言う大前提がありますので。

ところで、児童虐待の発生パターンとして、思春期に入った少女が、本能的/無意識に近しい相手に対して行うアピール(これ自体は自然な事)に、相手が分別無く応じて(襲って)しまうという典型があるわけですが、気にしたら負けですよね?それとも、嫌なリアルとでも言っておくべきか……


閑話休題、さすが物語を構成する二つの焦点の片方を担当する翔子ルート。オカルトと現実が並行し、話が核心へと迫っていきます。もっとも、夢と体の違和感から始まる仄めかしは、「それ、ただの二次性徴に伴う心身の不安定化じゃね?」と突っ込みたくなるのはお約束。まあ、オカルト文法は両者を区別しないので、(超能力は思春期の少女に発現しやすい、とされるお約束が一つ。心身の変化を取り付かれたと解釈する 完全な児童虐待 エクソシストセオリーがもう一つ)苦笑しつつスルーするところですが。


翔子「おにいちゃんと結婚していい?」
ただ、結構最後の展開は強引というか、上手く関係が変化する「きっかけ」を構成できなかった感じです。と言うか、幼さを先鋒に凸型ファランクスで突進している翔子はともかく、「18歳以上」が建前ではない主人公は、もちっと用意すべき前提があるだろうと。
主人公が最初からロリコンだったという話ならともかく、「恋愛」の相手として認識できる(してしまう)部分に、説得力を持たせるイベントが必要だったんじゃないかと。妹ルートの吊り橋効果一点突破も相当強引でしたが、これはそう言うレベルじゃない感じ。
と言うか、前後の文脈を見ると、主人公はまだ翔子をそう言う目では見ていません。だとしたら、「大人になって気持ちが変わらなかったらね」くらいのセリフで流しておくのが、自然だし誠実な態度のはず。どうもここ、主人公の気持ちが良く解らないんですよね。


で、物語はオカルト的不穏さを孕みつつ、丁寧な日常描写を続けます。下手なエロゲだとこの夜になし崩しにエロシーンをぶち込んじゃうものですが、(沙智子ルートは似たような感じでしたが)そんなそぶりも見せないのは○。だって、フラグ足りてないもの。

でまあ、エロシーンと話の雪崩れ込みを合わせたイベントなんですが、人呼べよと言うのは禁句かしら?人外能力使用の反動でも、ショック体験による神経系の混乱でもどっちでも良いんですが、母親に対処させんのが一番正しいとしか…… あるいは、救急車呼ぶとかな!
冷静に自慰行為の解説してる主人公の方が、むしろ頭がおかしくなったかと思える流れ。BGMがオルゴール風になった辺りで、目が泳ぎましたよ。

でも、話はこれで動くし、既成事実化と言うワイルドカードもエロゲー名乗った負債返済を兼ねると思えば、上手い処理じゃないかと。
どうでも良いんですけど、立ち絵が可愛いのにエロシーン一枚絵はパース狂ってぶち壊し、と言うパターンは多く見てきましたが、逆ってのは珍しいかも。単に、髪を下ろした翔子が通常の2^3倍くらい可愛く見えると言うだけの話かもしれませんが。
なお、髪を下ろしているかどうかがカットごとに違っているのは、ご愛敬でしょうか?パジャマの時は、立ち絵含めて髪を下ろさせておけば、こう言う違和感は出なかったと思うのですが。風呂入って着替えたはずなのに、髪結ってるのはおかしいですしね。

ここから、主に翔子の変容を描くことで話が進んでいくのですが、これなら主人公を狂わせた方が話としては説得力が出た気もします。大きな物語構造としてはこれ(翔子がおかしくなる)が正しいのですが、主人公が翔子に手を出すことの説得力は、逆の方が遙かに大きくなりますから。

それにしても、この翔子ルートは本当に長いです。サブキャラ連のルートの5倍、妹ルートと比べても倍くらいある感じ。翔子と逃げ回るシーケンスとか不要だろうと思う一方、これでも十分圧縮されているという印象もあり、難しいところです。

それ以前に、完全に破滅ルートしかない辺りは、近親よりロリに厳しくなった昨今の業界事情の反映でしょうか?ちょっと前まで逆だったのにね。
冗談はともかく、翔子がどうやっても不死者に堕ちてしまう辺り、本当にヒロインなのかと疑いたくなる不遇振り。結局、提示された設定から解るのは、主人公が翔子の幼い思いに応じてしまう事が、そのまま破滅のトリガーになると言う事。こりゃ救い無いわ……

で、だいぶ見えてきたオカルトの正体ですが…… どう見てもナノマシンです、本当にありがとうございました。赤がコマンダー、青がアタッカーですね。細胞の癒着がどうこう、込められた設定がどうこう、ほとんどそのまんま説明されてます。まあ、天から来るもの=宇宙人というのは、オカルトの皮かぶったSFの基本なわけですが。銀子さんは、ナノハザードの事後処理のために残された管理人でしょうか。なんで、天女の娘がそんな事してるのかは解りませんが。
そして、主人公の母親の命を奪ったのは、ミズチと言う事ですよね。そこに、妹と主人公がどう絡むのか?記憶を失っていることからして、現在の主人公と妹はナノマシンの群体ってオチもあり得そうです。

とにかく、だいぶダウンな気持ちになりましたが、シナリオ制覇率はまだ60%未満なので、続けて行ってみたいと思います。ううむ……



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