2011年05月09日

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 1~4話 感想



あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 1巻

↑DVD/Blu-rayの第1巻が随分安いと思ったら、なんと1話のみ収録。だーかーらー!オタクの収納スペースは常に定員オーバーの逼迫状態なんですから、そう言う販売方法は嫌がらせにしかならないと!


まどか☆マギカの余韻に浸っている間に今期のアニメ視聴開始タイミングを逃し、Steins;Gate(感想はこちら)位しか見ないままだったのですが、さすがにそれだとまずいのでこれをチョイス。ほら、オリジナルってやっぱイイッ!とまどか☆マギカが教えてくれたわけですし。

と言うわけで、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」です。新語登録しないと、かったるくて打ってられませんが、公式略称は「あの花」らしいので、そちらを使った方が早そう。

とりあえず1~4話を一気見したので、その感想を。

きっかけは、アニメ会の『ヲタめし!』(公式BLOGはこちら)でプッシュされていたこと。最初「面白いらしい」以外の情報が無かったのですが、設定が結構好みとわかり、慌てて再生しました。


第一話「超平和バスターズ」


主人公のファーストシーンは、外から聞こえるカップルのキャッキャウフフに、「リア充氏ね!」と呟きながらTPSに興じる主人公と言うもの。つかみはOKな導入でしたが、直後にかわいこちゃん(死語)に懐かれる様子が写るという、「裏切ったな!視聴者の気持ちを裏切ったな!」と言う…… 定型展開なんでしょうか、これ?
アニメ会の紹介でネタが割れていたのは、ちょっと残念でした。

一応解説しますと、この子は主人公が幼い頃に死んだ、幼馴染の幽霊。二重形容っぽくなってますが、そうとしか言えないので悪しからず。



つまり、↑こう言うことです。

あらわれたこの幽霊をきっかけに、バラバラになっていた幼馴染が再び集い、共に過ごし過去の探索を行う。いやあ、大好物ですよ、このシナリオ!オープニングのバラードと言い、輝く幼い日の描写と言い、タイアップの各種商品と言い(笑)、ドストライク。エンディングに至っては、「SECRET BASE」のアレンジですよ。歌っているのは女性キャラトリオ。

まあ、「IT」とか大好きな人なら、迷わず勧められる感じです。18禁の何処へ行くのあの日~光る明日へ・・・、PS2の哀れなマイナーゲーム、白中探険部ってのもありましたね。(これらは、ITが元ネタの一つですが)あの辺の雰囲気にもかなり近いです。

それにしてもこの幽霊幼馴染のメンマちゃん、外見は成長していても中身は小学生のままなので、ボケが面白い上にエロイ感じになるのがとてもアレ。
ただ、別にエロ要員というわけではありません。エロ関連は、行動が無防備のせいで、主人公が反応して自己嫌悪に陥ると言う定型展開用のエロさです。
むしろ、主人公達が失った物の象徴として、また夏を輝かせる鍵として、効果的に動いています。冒頭の「バーリア!」とか、その懐かしい響きに涙出るかと思いましたよ。
なお、身長延びてるけど、胸とか絶望的だし、今一どう言う法則で外見が変わっているかは不明。


さて、初期状態での幼馴染6人の関係は、当然のごとく絶望的。
主人公のジンタンは、ひきこもりで高校を退学寸前。優しく内向的(ゲームとか漫画とか一杯持ってて、とはメンマの言)だった「あなる」(子ども時代の無邪気なあだ名。今となっては黒歴史)は、今風のギャル全開の格好で、ジンタンとは険悪。優等生の「ゆきあつ」と「つるこ」は、進学校に進み、顔を合わせることもありません。それどころか、「ゆきあつ」は前に進めない主人公を見下す始末。(まあ、発破をかけると言う意味合いが大きいのでしょうが)最後の一名は、ろくでもない奴ですがとりあえず置きます。

しかし、そんな「現在」の状況など、過去からそのまま出てきたメンマにとっては、何の関係も無いのです。その、子どもの頃と変わらない態度・子どもの頃と変わらない叫びに、主人公達は動かされる。この意味で、メンマは実在する必要すらない存在です。関係修復のきっかけと友情は、思い出という形で、最初から彼らの中にあるのですから。

また、絡まってしまった糸の発端がめんまの死であること、しかもそれが、主人公が告白し損なって「ブス」呼ばわりした直後に事故死という、非常にキッツイ内容なので、感情移入もバッチリ。
同じような馬鹿な真似をした経験は誰でもあるわけで、そこに失われた過去の情景を重ねれば、移入度は完璧です。
ま、彼らが子ども時代に持っているゲーム機がゲームボーイドヴァンスド・SPな辺りで、視聴者と2世代くらいずれていてきついところではありますが。


第二話「ゆうしゃめんま」
第一話が主人公の立ち位置解説だっだとすると、第二話からは他の幼馴染達の現状を描いて行くようです。まず手始めはあなるで、周囲に流されギャルをやって居ても、過去を吹っ切れない様に好感度が大幅アップ。
一方、ただ一人変わらないぽっぽは、なんか力押しでシナリオを進める役割なんでしょうね。マスターの出すナビNPC的な。


ところで、めんまは物も持てるし食べられるんですよね。実在証明は凄く簡単な気がします。
ただ、あの動きが第三者に目撃されたことはないので、「信用できない語り手」のセオリーで、全てがじんたんの妄想という線も、十分に残るのですよね。

一方、関係修復の方は、急ピッチに進みすぎの感あり。全員心の奥では友情を持ち続けていたというのは良いのですが、あっさり復帰するのはぽっぽ止まりにして、あとは一人に丸々一話かけるくらいで良かったのでは?


で、凄く良いシーンの最中に挿入されるこれは…… いや、本当にどんな顔して反応して良いのか解らんのですが。だって、彼の負ったトラウマを思えば、「変態だー!」の一言で切って捨てるわけにはいかないでしょう?でも、「彼はずっとめんまのことが忘れられないんだね……」みたいにウルッとして上げるには、やってる事が生々しすぎるというか……


第三話「めんまを探そうの会」
主人公は登校……未遂。
前話からしてそうでしたが、この「めんまが実在するかどうかは問題とされない」と言う作りは、良いですね。じんたんが自分に言い聞かせているように、あれが彼の妄想だとしても、その妄想を自分への激励と受け取って彼が行動を変えれば、それはめんまが実在するのと変わらないわけです。
この、めんまの実在を担保しないという作劇態度は、ファンタジーとしても青春ジュブナイルとしても、良質なバランス感覚を作品に与えていると言えるでしょう。
ただその分、物語の着地点は限られてしまうのですが、(例えば、めんまの復活と言ったファンタジー100%の展開は、絶対に許されません)切なさを含んだ未来への出発という所に、綺麗に落とし込んでくるんじゃないかと思います。オープニングのラストに、象徴されているように。


そのオープニングムービーの良いところは、6人の中で、めんまだけが、仕草や表現が子どものままという所でしょう。変わらないように見えるぽっぽですら、その素直さは大人の表現方法になっているのです。この、全身と顔全体を使って好奇心と感情を顕わにする動きだけで、その物語上の役割(過去への導き手)が明確になっています。
本編中でも、「お願い」の強引至極な使い方とか、凄く子どもっぽいですよね。

ところで、もう一人のめんまの正体については、見え見えというか、「予想できるけどあんまりじゃね?」と言う感想が。
まあ、こう言うひどいネタを組み込んでおかないと、鬱な上に地味なシナリオになってしまうので、上手く構成を考えている、と評価すべき所なわけですが。実際面白いし。


第四話「白の、リボンのワンピース」
ところでこの副題、日本語として不自然ですよね。せめて、「白い、リボンのワンピース」にすべきかと。”白のリボン”のワンピースなら自然でしょうが、実際は白くてリボンの付いたワンピース、の意味ですし。

さて、ゆきあつの言葉は、めんまへの愛情が発酵した末の、じんたんへの嫉妬なのか。それとも、じんたんに「立ち直れ」と発破をかけているのか。中々難しいところです。
趣味を知られないためだけのフェイクだとしたら、本当にただの痛い奴になってしまうので、いずれかの要素が入っているのは間違いないでしょうが。


じんたんを慰めようにも、何しろ発想が適合しないので慰められないめんま。この辺、子どもであるめんまの、できる事/できない事が明確にされた、丁寧な描写です。


悩んだ末の解決法がこれ、と言う部分よりもむしろ、「時間をおいて冷静になるのを待つ」と言う選択肢が選べない辺りが、実に子ども。
癒される、と言う感想で良いのかは疑問ですが、この辺話の転がし方がこなれて来ています。強引とも言えますが。


一方、この回想シーンは、もはや一話一回のお約束、バンクシーン状態に。

それに続くじんたんの独白、あの頃めんまは自分のことが好きだったのだろうかという疑問は、余りに哀しい「手遅れ」です。
それが今更解ったところで、やがて来る分かれ(または、妄想の終わり)が辛くなるだけ。そもそも子どものままのめんまと自分の距離は開き、そして何より、めんまの死は絶対に動かない。

結局、一話で決意したはずの彼がいつまで経ってもめんまに謝罪できないのも、その辺を考えてのことなのでしょう。わだかまりがあって、ずっと後悔していた相手に同窓会で再会したとして、今更当時の想いを口にできるか、と言う問題と等しいでしょう。
勿論、屈託無く口に出来るような奴が、いわゆるリア中でありコミュ力持ちなわけですが…… 彼らを憎むなかれ、嫉むなかれ。我々にない物を持っているのだから。


さて、このシーンでめんまに「コーヒーを飲む」と言う行動を取らせなかったと言う事は、上で書いたとおり、やはりめんまの存在については、肯定も否定もせずに進めると言う事なのでしょうね。

一方、「もう一人のめんま」については、つるこの言葉が良かったですね。そうだろうとは思っていましたが、ゆきあつがじんたんに投げかけたセリフは、ああやって彼女が真意を言葉にして初めて、活きてきます。


この、ゆきあつを見るつるこの、痛ましい目線。

結局、表れ方が異なるだけで、5人は全員、めんまが死んだトラウマを昇華できないまま、心の傷から血を流し続けているわけです。だから、めんまの死は前提として変えられず、故にめんまの実在/非実在は問題の本質とはならない。問題は、その傷をどう乗り越えるかで、ドラマは各人が傷を露呈したここから、動き出すと見るべきでしょう。


いやあ、本当に面白いじゃないですか。来週から、忘れずに観るようにしなくては。
そして、やっぱりオリジナルは良いですね。安心して(?)「来週はどうなるのか」をワクワクしながら待つことができますし、人と話す時も情報格差無しに予想や感想を述べ合えます。
うん、ここまでで十二分に引き込まれたので、終了までつきあっていきたいと思います。


ところで、4話まで見終わってから感想見て回ったら、ゆきあつのあれが完全なギャグ扱いされていて唖然としたのですが。
めんまを亡くしたトラウマで歪んでしまった、滑稽で、痛ましくてで、そして本当に哀しい描写じゃないですか。ギャグとして茶化すならともかく、あれをネタとしか受け取れないのだとしたら、ちょっと作品を観る態度としてどうよと思います。古典である「サイコ」もそうですが、女装と言うギミックを心の傷の表現に使うのは、とても基本的な描写ですよ。




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