2011年05月17日

PS3版「涼宮ハルヒの追想」 感想

「涼宮ハルヒの追想」 長門有希の落し物BOX
「涼宮ハルヒの追想」 長門有希の落し物BOX


次世代機戦争(SS vs PS)辺りからどんどん良くなってきているとは言え、やはりアニメ原作のゲームは地雷源と言って過言ではない状態です。それでも時折爆死覚悟で特攻したくなるのは、まあオタクのサガという物でしょう。
と言うわけで、約一年半前のブービートラップの熱さが喉元を過ぎた今日この頃、「涼宮ハルヒの追想」に手を出しました。だって、「涼宮ハルヒの消失」(当BLOGの感想はこちら)は、去年見た中で一番面白い映画でしたし。
あと、お前「俺妹」のPSPゲームも買ってたじゃないかと言われそうですが、あれまだ積まれたままなんで。



で、ザックリと感想です。

まず、シナリオとシステムは、結構良くできています。

シナリオは、「涼宮ハルヒの消失」とほぼ同じ世界に飛ばされたキョンが、学園祭の二日間を繰り返し、脱出を目指すループ物。たった二日とはどう言うことか、と私も最初思いましたが、これは杞憂。一段落付く度に前提条件が変わる(最初初対面だったSOS団の面々が、学園祭前から知り合い、と言う風に変わったり)変則ループのため、繰り返しが苦になりにくくなっています。
また、目的自体は脱出ですが、手段はSOS団の面々と仲良くなったりクラスの出し物を成功させたりと、「消失」の世界を楽しむ内容になっています。特に、朝倉涼子が活き活きしていて、一気に好感度アップ。未来人も宇宙人も超能力者も居ない中、学生らしい無鉄砲さで動き回る彼らとその属する世界が、本当に愛おしくなってきます。
また、この物語自体が、映画版「消失」の補完となっている点も見逃せません。上記朝倉涼子の様子もそうですし、弱小文芸部員として報われない活動に精を出す長門や書道部員として頑張る朝比奈さんなど、「あり得たかも知れない学園生活」を見せつけます。
エンディングでは、映画版ラストカットの解説もされるなど、懇切丁寧。映画を気に入ったのであれば、是非とも一度見ておきたい物語と言えます。

続いてシステムですが、ええと、その、この世の果てで恋を唄う少女 YU-NOです。時間に沿って表示されているフローチャート上に、珠ならぬブックマーカーを配置し、各ラインでフラグの回収とアイテムの取得を行いながら最適解を目指します。
これのフォロワーが皆無だったのは、システムが余りに面倒すぎたためなわけですが、現代の技術できちんと再現したのは評価すべきでしょう。あ、ちなみに、私はYU-NOはサターン版でプレイしたんですが、開始十数時間で力尽きてますので、余り正確な比較はできません。何せ、十年前の段階で十分すぎるほど古くさいテキストと鬱陶しいシステム(何せ、まだノベルゲームの様式が確立せず、コマンド総当たりのAVGの時代の作品です。既読スキップどころか、早送りすらありませんでした)だったもんで。
勿論こちらは、インターフェイスもシンプルで操作しやすく、特に問題となる局面は「ゲーム面では」存在しません。(後述)


と言うわけで、基本的には良いゲームなんですよ。いや、良い商品なんですよ。
しかし、色々とため息を吐かねばならない点が多すぎるのです。

1,システム
基本システムは悪くないのですが、細部に魂が宿って居なさすぎです。バカみたいにかかる読み込み時間、下らない作業を強要される上にリターンがヘボ過ぎるスタンプラリー、プレイアビリティを大きく下げるオートセーブ…… 余りに解りやすい技術不足です。
不快感がギリギリのところで許容範囲に留まっているので、限られたリソースの中では最適解だったんだろうと思うのですが。

大体、データを3GB近くインストールしたはずなのに、3Dモデルの読み込み如きでフリーズみたいな読み込み時間が発生するのは、一体何事でしょう?
まあ、開始前のトロフィーデータ読み込みという拷問と合わせて、PS3の問題なんだと思うんですけどね。この前ホームサーバーソフトを導入して、パソコン内のファイルをゲーム機経由で大型テレビに出力できるようにして以来、私の中でPS3株はストップ安です。なんで同じファイルを再生していて、XBOX360とPS3であんなに差が出るのやら……


2,映像
一言で言うと「動かないゆめりあ」です。8年前なら絶賛されたかもしれませんが、今時このCGは犯罪的。あの地獄のロード時間を経て表示された3Dモデルが、大した動きもなくぎこちなく揺れる様子に、「やっちまった」感があふれ出ます。事前に公開されていたCGに騙された人が多いかもしれませんが、あれは小さなYOU-TUBEの映像だから映えるだけです。そもそも、作中での使われ方は単なる立ち絵で、動きませんし、それ以前に動く必要もありません。
背景やSDキャラ、インターフェイス画面の映像なども、PSPならギリギリ許せるかもしれませんが、PS3のHDMI出力だと余りのみすぼらしさに目を背けたくなります。あげく、限定版特典の映像に至っては「なんで原作映画の映像そのまま使わないの?」と言いたくなるレベル。
この、「作品内の名シーンをポリゴンで再現」というのは、PS/SS時代に多くの原作付きゲームがやらかしたあげく、現在では禁じ手となっている手法ですよ。泣けてきます。

少しは期待した、オープニングムービーもひどいでき。動かないキャラと作中の背景がやる気無くスクロールする、MAD以下の代物。素直に映画版のを再録すれば良かったんじゃないでしょうかね。逆にエンディングは、雰囲気に合わせて、上手く手を抜いたなと思えました。

なお、うちのPS3はBlu-ray再生機と化しており、直前にも「消失」の映像が流れていました。それだけに、このギャップはごまかしが効きません。


3,おまけ類
要りません。
ネットのFLASH以下の脱衣(みたいなもの)ブロック崩しも、3分耐えられなかったボコスカウォーズもどきも、「トロステーション」もどきの長門クロックも、容量の無駄です。


全体的に、肝となるシナリオ・基本システムは良くできているのに、そこに注力しきれなかった、と言う印象です。売りにするなら、できの悪い3Dモデルなど作らずに、新規録り下ろしの歌とか、(今回のゲームには、独自の歌がありません)店頭PVにもなる気合の入ったオープニングムービーにするべきでした。ミニゲームや、誰も使わないセーブデータ連動システムを入れる間に、立ち絵と背景のクオリティを底上げすべきでした。

基本となるシナリオやゲームシステムと言った骨格が悪くないだけに、肉付けに失敗したあげく無駄に高額になったこの作品を、手放しで評価することはできません。って言うか、通常版で6千、限定版の一万越え(共に実勢価格)ってなんだよ!?
限定版についてきた、過去のゲーム作品のCGも収録した設定資料集は、かなり良い物だと思うのですが……

多分、商品としてはかなり良い成績を上げたんじゃないかと思うのですが、作品としての評価を辛くせざるを得ないのは、シリーズのファンとしては悲しいところです。



その他のハルヒ関係エントリーはこちら





同じカテゴリー(ゲーム)の記事画像
黄昏のシンセミア 感想5 いろはルートと朱音ルート
黄昏のシンセミア 感想4 翔子ルート
黄昏のシンセミア 感想3  美里先生ルート
黄昏のシンセミア 感想2 妹ルート
黄昏のシンセミア 感想1
sugar + spice! 感想
同じカテゴリー(ゲーム)の記事
 「GUILD 02」 各作品の感想 (2013-04-01 22:01)
 一長一短/NINTENDO 3DS 「GUILD 02」 全体の感想 (2013-04-01 22:00)
 ようこそ停滞の中世へ! 「CRUSADER KINGS II」 感想 (2013-03-15 22:00)
 傑作のなり損ない『ROUTE DOUBLE』感想 (2013-02-22 22:00)
 和製ゲームの悪い癖/バイオハザード6 感想1 (2012-10-05 22:00)
 たまには当たる未来予想/ドラゴンクエストXとカイシャクエスト (2012-09-15 22:00)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。