2011年05月22日

狂えるTRPG「ルリルラ・ノイシュタルト」

RPGルリルラ ノイシュタルト (ホビージャパン会話型ロールプレイングゲーム)
RPGルリルラ ノイシュタルト (ホビージャパン会話型ロールプレイングゲーム)


たまには、TRPGの記事だって良いでしょう?
いやこれ、本当にもの凄い代物なので。

ルリルラ・ノイシュタルトおよびその前バージョンに当たる「幻奏戦記Ru/Li/Lu/Ra」は、ホビージャパン刊行の(そして、例のごとく在庫が払底している)TRPGです。TRPGって何?と言う人は、まあコンピュータRPGの原型で、ボードゲームみたいなもんだよ、と言うポリティカルコレクトな説明をしておきます。詳細はググれ。

さて、このルリルラ ノイシュタルトですが、現代社会から女性しか居ない異世界に召喚された「英雄」となって、パートナーの歌姫と共にロボットを動かして怪物と戦うTRPGです。早い話が、ギャルゲー+魔装機神ですね。
戦闘にヘックスを使うとか、ロボット作成・運用ルールにかなり力が入っている(0.3バトルテックくらい)とか、通向けの要素もあったりします。読者参加企画が元になった事もあり(そこ、地雷フラグ表にチェック入れるのはやめなさい)キャンペーン終了までの歴史がルールブックに明記されていたり、変わった部分もあります。

しかし、このゲームの真骨頂・恐るべき特徴はは、一言で表現できます。


「プレーヤーは、主人公とヒロインの、両方をロールプレイする」


地獄が、見えたと思います。
しかし、その地獄は、決して「外部から見て痛い」と言うだけの話ではありません。そもそも、その程度の事を気にしてTRPGができると(略
とにかく、説明しましょう。

まず、これを行う場合、ヒロインである「歌姫」は、自作するのが必須です。サンプルキャラを使うなど言語道断です。何、単にプレーヤーを二人作るだけのこと。メックウォーリアーだと思えば何ほどのこともありません。(私は、あれをやる時は、リプレイのルールを使ってPC一人にしますけどね!)
実は、この歌姫自作自体がもの凄い代物で、歌姫の特徴(原則5つまで選ぶ)には、「わがまま」だの「お姫様」だの「妹系」だの「天然」だのという、夢が広がる名称が並んでいます。(しかも、全てに数値的意味があります)あと、リプレイの追加データを加えると、「子ども」とかも入ってきて更に何かの扉が開きます。ちなみに、後者のデータ、取得「条件」が12歳以下(だったかな?)であって、別に12歳以下のキャラを作る事自体は自由という辺りのフリーダムさに、目眩を覚えて下さい。
こう言うことを書くと、GURPSでうっかり「足手まとい」作成を許可したばかりに、PLの「僕の考えた萌えキャラクター」を押しつけられて地獄を見たGMは、取得禁止特徴リストを作り始めるかもしれません。しかし、その必要は無く、むしろ積極的に「僕の考えた萌えキャラ」を作らせるべきなのです。

何故なら、そう言ったPLのハッチャケは、全て自分自身に降りかかるのですから。

どう言うことか、説明を続けましょう。
こうしてプレイを始めて見ると、まず、主人公とヒロインを絡ませることの難しさが浮き彫りになってきます。あなたの考えた理想の主人公は、あなたの考えた理想のヒロインを、口説き落とすことはできますか?言い換えると、「あなた」は、「あなたが考えた理想のヒロイン」に、相応しい人間ですか?
恐らく早々に、一部のプレーヤーは余りのハードルの高さに顔を引きつらせるでしょう。
「GM、俺の主人公、33歳の渋い海軍少佐が、14歳の可憐なお嬢様を口説けるルートが見えません!」みたいな。
しかも、ルール上、両者が仲良くしなければ、ロボットの性能はがた落ちになり、話も進みません。

何より、この両者の会話が難しくなるのは、「自分のヒロインのプレーヤーは、自分の主人公が言ったセリフの裏を知り尽くしている」と言う当たり前の事実があるためです。某F社(FASAじゃないよ)製ゲーム辺りの、「何か格好良いことをPCが言うと、GMが適当に応えて話を回してくれる」と言う出来レースは、ここでは通用しません。特に、頭の良いヒロインが好きだ!とか言うプレーヤーは悲惨です。


主人公1:PL1
「だから、一緒に戦おう。君の祖国、ひいては世界のために!」

GM
ヒロイン1さん、って主人公1が言ってますけど、頭の良いあなたは、こんな綺麗事をそのまま信用してしまうんですか?

ヒロイン1:PL1
うー、確かにこのセリフ、凄い誤魔化しがあるんですよ。だって、やっぱりこいつは現世に帰りたいと思ってるわけで、この内戦て他人事だし……
「嘘をつかないで。あなたにとって、私の祖国はあなたを虐げた存在でしょう?この世界も、結局はあなたの体をそんな風にした元凶よ。私に気を使ってくれるのは嬉しいけれど、心にもない綺麗事を言わないで!」

PL2
あー、言っちまった。あいつ等もう終わりだ(笑)


あるいは……


主人公3:PL3
「君が笑ってくれさえすれば…… 僕は何だってできるんだ!」

GM
って、主人公3が言ってますが、PL3さん、ぶっちゃけ今のセリフどう思います……

ヒロイン3:PL3
ええと……
「あなた、はっきり言ってキモイです」
……あ!

PL4
(大爆笑)

主人公3:PL3
いや、待て。落ち着け。その程度でこの主人公は動じない!
「フ、その言葉、うちの業界ではむしろご褒美だぜ」

GM
ツッコミ、必要ですか?

ヒロイン3:PL3
私のヒロインがどん引きしています。って言うか、蟲を見るような目で見ています。主人公3的には大ありですが、絆消耗チェックを行うしかないですね!
(コロコロ)ええと、奏甲(ロボット)が起動しなくなりました!



とまあ、こう言うシーンが頻発します。


つまりこのゲームは、とてもチャレンジブルなのです。見た目の狂い方・痛い面白さとは別に、TRPGと言うゲームの「困難な課題」を、先鋭的に提示しています。
具体的に言えば、PLが情報を共有している中での演じ分けだったり、異なる価値観をすりあわせる事の難しさと言った物です。これは、本当に考えさせられる体験ですよ。十年を軽く越えるRPG経験の中で、これの初プレイ時ほど「ロールプレイその物」に頭を使ったことはありませんでした。
TRPGが好きな人間なら、一度やってみて損はありません。激しく疲労し、高確率で悲惨な事になりますが、得られる物は他のシステムで代え難いです。

ちなみに、GMをやる場合には、異なるPLのPC同士を絡ませるギミックが必要になります。そのために、あの内戦をベースにした歴史なのでしょうが。上記のように同PLの主人公&ヒロインが仲違いした時に、フォローさせるシーンを作ったり、フォローしたことで嫉妬その他でPL横断的な人間関係の破綻を喚起したりと言った、面白いギミックは色々仕込めます。って言うか、PC同士が勝手に絡んで自滅してイベントを作って行くので、情報の交通整理くらいでマスタリングとしては楽な物になります。PC達がどうなろうが、歴史を進行させていくだけで、物語としては成立していきますし。この辺、放り込まれた状況の中で右往左往する、歴史物TRPG(軍事ミッションものなどを除く)に通じるところです。

と言うわけで、未だにTRPG領域に踏みとどまっているゲロ野郎ども(ハートマン軍曹的表現)は、一度触れてみると良いと思います。



その他、その他、アナログゲーム関係のエントリーはこちら







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この記事へのコメント
つまり女性キャラ演技を強制的にやらされると。

リアルセッションはやりたくても機会がないので、ネットセッションしかやれませんが……こういうのは難しそうですね……
Posted by かがみん at 2011年05月23日 13:44
いやまあ、女性キャラを演じるってのは、実は大した事ないんですけどね。
GMやってれば嫌でもやる事になりますし、何もお芝居するわけじゃないので。勿論、萌えキャラはGMでもつらい物がありますが。

ネットセッションの場合、セリフを考える時間がリアルとは段違いにありますし、普通の一人数役なりきりチャットになる気がします。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年05月23日 21:00
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