2011年06月03日

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 8話 感想

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 3 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
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「あの花」、他の回の感想はこちら


第八話「I wonder」
「ふざけてるわね」と言う、凄まじいインパクトを持つセリフが強烈な印象を残した前話から、どう展開させるかに注目が集まる第八話です。
しかし、今回の感想は一言で言うと「残念」。微妙なバランスの中で描写を積み重ねてきた本作ですが、ここで一気に失速して陳腐な流れに入ってしまいました。一言で言うと、「ぶち壊し」です。


冒頭。めんま父に反対されたのなら、めんま母にアタックだ!と、主観的には極めて合理的な方策を採ろうとするぽっぽ、と言う流れが見事。この辺のシーンのつなぎ方は、怪物の復活シーンを描いた後、その場所にキャンプに来る学生グループを出してくるホラー映画のメソッドです。


この、一見穏やかに進行するめんま母とバスターズ残党の会話とか、素晴らしい緊張感。
でも、画像は割愛しますが、涙を流すめんま母の絵は、ホラー調にすべきではなかったですよね。あれは、あくまで悲しいシーンなのですから、顔は隠しておくべきだったと思います。
その醜さがやるせなさにつながる部分があるとは言え、そこは顔芸を披露すべきではないでしょう。表現できることを表現しない手法の効果的な使い方こそ、(予算不足の裏返しとは言え)日本アニメの真骨頂なのですから。


一方、苦い表情のバスターズ残党の中で、ぽっぽの感想が「怖かった」であって「申し訳なかった」でないところに、注目すべきかと思います。当時と変わらないぽっぽは、愛すべき少年(の心を持ち続けている)なのですが、裏を返すと極めて身勝手で空気が読めないのです。
これは、じんたんの気持ち(主張するめんまの存在が事実であれ、トラウマの発露であれ)を考えずに、めんまを成仏させると言いつのった時に通じます。優しさの一方、合理的思考から、じんたんにうかつにさわれないゆきあつ&つること対照的ですね。さて、彼もこの作品内で、ちゃんと成長できるのでしょうか?


そんな中、このカットでつるこが涙ぐんでいるところに注目。今まで明確な感情を表したことがなかったつるこが、初めて見せる一面です。
その後、めんまを改めて妄想と断じるゆきあつを止める時の、焦った口調もいいですね。彼女も同じ事を思っていても、じんたんにそれをぶつけない(ぶつけられない)優しさを、はっきりと示しています。

勿論、あなるが指摘するとおり、ゆきあつ自身の傷ついた表情もまた注目点。
こう言う風に、各キャラクターが心情を逐一解説してしまうのは、ブンガク的にはよろしくないかもしれません。しかし、解りやすさを重視した上でそれを丁寧に描写することは、絶対に間違いではないと思います。勿論、解説されないことに「気づける」という楽しみ方は難しくなりますが、楽しむ方法はそれだけではないわけですし。


閑話休題、欠けた器は戻らないことを痛感し、一人離れるじんたんを出迎えるめんま。彼女がじんたんの妄想だとするならば、その存在は彼が前に進むきっかけを与えた物の、ここに至ってはそれ以上の前進を阻害する、障害物になってしまいます。
では、じんたんがめんまの存在を改めて否定し、妄想を断ち切り、バスターズが存在しない日常に回帰するのがハッピーエンドなのか?それは、とても難しい問題です。


で、「現実」側のアプローチとして、↑のめんまと対をなす(ポーズ・接し方が被ってますね)あなるのこの行動。ただ、伏線を張ってあったとは言え、唐突なんですよね。やるならせめて、数カットで良いので「ため」を作って欲しかった所。
ただ、運命の日におけるあなるの心情吐露は、使い所として最適。それだけに、このシーンへの入り方が画竜点睛を欠く事甚だしいのですが。


このシーンのラストは、めんま消滅の可能性を指摘するあなるですが、むしろめんまが居る事を前提に、「めんまの存在がみんなを傷つけている」と言うのを指摘した方が、状況を端的に抉れたのではないかと思います。
勿論、小学生レベルの悪口を言ってしまう・小学生の時から変わらないあなるを表現するには、あのセリフこそ相応しいのですが。


一人生き残ったネロに、パトラッシュ自身が幸せだったと語る、の図。

さてこの辺で、ちょっと「おや?」という気分になってきました。今回、「キャラクターが大きな感情の動きを見せる」と言うシーンが多すぎます。冒頭のめんま母にはじまり、つるこ(今まで一番の感情発露)、ゆきあつ、めんま、じんたん……
一つ一つが丁寧に作られていても、こう短時間で何度も繰り出されると、さすがに食傷してきます。まだ、今話の折り返し地点を過ぎてないんですよ?


そして、今回一番の悪手と思われるのが、ここから始まりラストへと至る流れ。
勿論、この時点では、じんたんの妄想行動(恐らく無意識)の一環と、解釈することは可能です。電話をかけるシーンは描かれてませんしね。しかし、舞い散るチラシや何かの気配のような、間接的な仄めかしだけに留めることは、作品の重要パーツだと思っていたのですが。
めんまの観測が他者から為されないという事は、めんまの死を「取り返しの付かない過去」に固定して描くと共に、妄想と仮定してなお変わらない仲間の尊さを訴える内容になるのですから。



で、前半からさらに追加して、実質初登場と言って良いめんま弟まで、派手な心情吐露ですよ。吐露するにしても、この唐突さはないでしょう。その内容にしても、前後のセリフで十分に推察可能であり、こうまで簡単に言葉にされると、「わかりやすい」を通り越して「陳腐」まで突き抜けてしまいます。


そうやって濫発するから、最後の最後で「激発できずに」涙を流すゆきあつの渾身の見せ場が、埋もれてしまうんですよ。このシーンを単独で見れば、ゆきあつの物語に一つの区切りをつける見事な切れ味のシーンです。しかし、そこに至るまでに、今話は余りに多くの同系シーンを出し過ぎているのです。
前回まで、緩急を上手くつけ、間を十分に置き、決して急がず描写を積み重ねてきたのに、どうしてこうなってしまったのでしょう?


そして、止めを刺されるこれまでの展開。
幽霊が筆談で存在を表明し、生者に働きかけられるなら、この作品の今までの前提は破綻。単なる、幽霊譚でしか無くなってしまいます。幽霊の実在をあえて明らかにせず、どちらと取っても通じるようにドラマを組み立て、キャラを立ててきたのに、これはあんまりと言うべきでしょう。そもそも、そんな簡単に証明できるなら、今までやってこなかった(気づかれない描写を続けてきた)のは一体何?と言う事になるわけで。
勿論、ラスト直前で存在が決定的となるなら最大の見せ場としてアリかもしれませんが、後3話もあるのに……

どうにも、今話は余りに陳腐で、勿体ない部分が多すぎました。
これは、ちゃんと最後まで見ないことには、評価を下せませんね。前話までの段階では、きっと名作になると確信していたのにですが……




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この記事へのコメント
>キャンプに来る学生グループを出してくるホラー映画
バタリアンですか?
Posted by 勉 at 2011年06月05日 18:39
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