2011年06月17日

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 10話 感想

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「あの花」、他の回の感想はこちら


第十話「花火」
前回で、「こりゃダメだ」と言う感想に大きく傾いたあの花、第10話の感想です。


前回同様オープニング前の挿入シーンはなく、普通に開始。
で、一応、次の日に迫った農民ロケット打ち上げに向けて盛り上がって…… 全然居ません。だって、めんまの願いはロケットじゃないでしょう?仲間達も、丸っきりバラバラのまま。例えめんまの願いがロケットだったとしても、5人が力を合わせたわけでもない課題達成は、ドラマとして何の意味もありません。


昔と同じあなるの眼鏡が可愛いよ、などと言うのは、本筋がしっかりしていてこそ活きる小技ですから。勿論、そう言う部分だけを抽出した萌えアニメなら、それでも全然構いません。ですが、この作品はそう言う見せ方を追求してきたわけではなかったはずです。


つるこの涙とか、色々描写しようとしているのは解るのですが、残り二話なんですよ。結果的に何の意味もなかった、めんまの存在不確定描写なんかやって居る間に、5人の仲を進展させておくべきだったろうと。


ぽっぽのこれも。本当、話のマイルストーンをどこに置いていたんでしょうね?
めんまの存在を不確定なまま話を続け、最後の一瞬にかける構成なら、他の要素が制限されるのは仕方ありません。しかし、こうして仲間達の関係が主題であるならば、残り2話でバタバタとフラグを立てては崩しをするのは、余りに拙いです。


これも。つることゆきあつ、ぽっぽの伏線、あなるの心情、めんまの母……
この期に及んで、「何が達成すべき課題か」が明確になっていないポイントばかりというのは、壮絶な光景です。最近一番「話」をしっかり作り込んでいたまどか☆マギカが、10話の時点で主要な伏線全てを伏線を回収し、残り2話で「では、ここからどうハッピーエンドに至るか」に集中させる作りになっていたことと、比較してみましょう。ジャンルは全く違いますが、起承転結という物語の構成にとって、そんな事は大した問題ではありません。

「一緒に寂しいと思おう」は、5人5様のトラウマを負った超平和バスターズに重なるセリフです。しかし、それをここまでろくにセリフのない親父さんに言わせてしまうのは、酷すぎます。その結論は、今まで描写を積み重ねてきたメンバーに言わせてこそのはず。
って言うか、まさかこれでめんま母の物語は実質終了なの?このラインはそもそも必要だったの?


一方、メインのシナリオラインなんですが、各人が勝手に動き回ってるだけで、これ本当にどうするの?めんまは相変わらずやっすい描写だし。
各人が何をしたいのか、何をするべきなのかを明確にしないままなのが終わってるのですが、その上に乗るべき5人の関係も、まるで描写されないまま。1対1の関係をいくら連ねても、有機的な仲間集団の描写には成らないんですよ。今まで一度たりとも、5人が集団で会話をしている描写がないというのが、それを象徴しています。


で、完全に行き詰まった結果、「あの日を再現」と言う強引な手法で、話を進めざるを得なくなると。このイベント自体は良いんですよ。ですが、これを盛り上げるべき前提、「あの日を再現」するに足りる人間関係が再生していないため、ゆきあつの謀略・強引な行動という形でしか描けなくなるわけです。じんたんがマジギレしかかっている時点で、「再現」にはなりません。


人間関係の再構成として、このイベントは本来最後の締めくくりになり得る物です。じんたんの伝えられなかった想い、宙に浮いたあなるの初恋、敗北を受けいれねばならないゆきあつ。しかし、こんな風に使ってしまう意図が解りません。これでどう盛り上がって欲しいの?ここからどう盛り上げるの?
結局これ、友情物語として全く機能してないんですよね。いや、制作者側は、最初からそう言うつもりじゃなかったのかもしれませんが。だとしたら、オープニングから序盤の展開に至るまで、酷いミスリードだと思いますけどね。


つるこのセリフ(これを直接言わせちゃう脚本って、一体なんだろうと思いますが)を見るに、これって恋愛物のつもりだったのかもしれませんね。だとしたら、人間関係が1対1の物に終始するのも、仲間集団が全く機能していない(出会い系程度の意味しかない)のも解ります。
もし恋愛物だとするならば、作劇としては下の下ですけどね。視聴者が感情移入していた・しやすいように描写されていたのは、幼い恋心ではなく輝く日々の仲間達でしたし。

めんまもバスターズもそっちのけで、恋愛脳全開の行動・言動に終始するキャラクターに、どう感情移入すればよいのでしょうか?


あと、散々批判したAngel Beats!と同じパターンなんですが、めんまを「成仏させる」意味が解らないんですよ。めんまは願いを叶えて欲しいと言っていますが、それで成仏するとは一言も言っていません。あれはそもそも、ぽっぽのかってな推測でした。だから、本来願いと成仏は別の問題のはずなのに、混同されたまま話が進んでいます。
加えて、周囲が願う「成仏」って、凄く利己的なんですよ。10年前の代償行為に邁進するぽっぽもそうですし、つることあなるに至っては、恋敵を文字通り葬ろうとしてますよね?唯一の例外は、偽悪的に色々言ってるゆきあつですが、それでも成仏して欲しくない、と言う思いは描写不足。(本当にあの言葉通りに成仏させたいと思っているとしたら、キャラクターが薄っぺらいってレベルじゃありません)もうグッダグダです。


繰り返しますが、適わなかった初恋・悲しい別れの話をしたかったなら、超平和バスターズを前面に出すのは間違いです。
「みんなとちゃんとおしゃべりできない」とめんま言うめんまに対し、「みんな」の側は、別におしゃべりしたそうには見えないという状況が、失敗を端的に示しています。


多分こう言うことを書くと、「後一話あるから」と言われるとは思うんです。ですが、ここまでパーツが足りない状態で進んでしまうと、納得のいくラストは難しいだろうと思わざるを得ません。
大体、今話のラストシーンを意外に思った視聴者は居るのでしょうか?あれがめんまの願いではないのは、上でも書いたように、最初からずっと解っているわけです。それなのに、そんなイベントに一体何話かけたのかと。

なんか、本当に残念です。前半あんなに面白かったのに、どうしてこんな迷走してしまったのか。




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この記事へのコメント
第8話まではマギカ同様の当たりオリジナルアニメだと思ってたんだけどな・・・
めんまが存在証明をしてしまったせいで一気に安っぽくなってしまった

1クールで何とかEDまで向かわせる為にこうなってしまったんだろうか?
統括するにはまだ早いことは上々承知の上で、尚勿体無い作品

ここからカタルシスまでの道程が全然思い浮かばないというのがもうね・・・
どうしてこうなった?
Posted by ナナシで失礼 at 2011年06月17日 19:16
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