2011年06月20日

児童ポルノ法改正案再提出 モグラは叩き続けねばならない

児童ポルノ禁止法改正案、自・公が今国会提出へ(読売新聞)

表現規制の主力艦隊が、また動き出しました。
児童ポルノ法改正を巡る問題は、当BLOGでも繰り返し取り上げてきましたが、国会政権交代後の国会では、初の大きな動きになります。

法案の詳細には触れられていませんが、記事の内容からしても以前と変わる物ではないでしょう。何より、自公と言うか推進派の連中にしてみれば、変える理由がありません。
単純所持規制によって、警察に広範かつ恣意的な捜査・逮捕権を付与する事を目指す官僚と、自身の心情に見合わない(「キモイ」と感じる)相手を社会的に抹殺したい宗教家のタッグにとって、妥協する意味はありません。

とは言え、この記事については、二点大きなポイントを指摘する必要があります。

1,記事の内容は嘘だらけである
以前も指摘しましたが、政権交代前に民主党が修正協議で合意していたと言うのは、デマです。ソースは、当時反対派の急先鋒だった保坂のぶと議員(現世田谷区長)のBLOG
要するに、元々が読売新聞の飛ばし記事です。
勿論、当時も今も民主党内に妥協派の議員はおり、(代表は小宮山議員)むしろ自公と連携しつつ動いていたりしました。しかし、それはあくまで個々の議員レベルであって、民主党としての態度は反対のままだったわけです。だからこそ、政権交代後、児童ポルノ法改正は完全に止まっていました。
私が、あの政権交代を支持しているのは、これがあるからと言っても過言ではありません。
つまるところ、この記事もまた飛ばし記事である可能性が高いです。例によって、読売新聞が単独でやってますからね!自分に都合の良い故意に誤った「速報」を出して世論を誘導するのは、論理を見失ったマスコミ関係者(当然ですが多数派ではありません)の得意技です。

と言うか、自分たちの飛ばし記事をソースに次の飛ばし記事を書くって、やり口が完全にトンデモ陰謀論。さすが、発行部数世界一は違います!


2,しかし、反応はしなくてはならない
これは飛ばし記事であると同時に、観測気球でもあります。つまり、「こう言う流れになった場合どの程度の反発があるか」を見るための、威力偵察です。
当然我々は、「そんな事になったらただじゃおかねえ」と言う態度を、鮮明にしなくてはなりません。基本的に政治はヤクザな殴り合い・利益分配争奪戦であり、なめられた勢力の利益は、容赦なくそぎ落とされます。

とりあえず、この件に関しては、以下の所に抗議を送りましょう。
内容は、「こう言う記事があるが、まさか事実ではないですよね?」「事実だとしたら、あなた方には心の底から失望しました」「これからも支持していきたいので、事実でないことを祈ります」と言うような内容の組合せです。注意点については、こちらを参照して下さい。

民主党のWEBサイト:http://www.dpj.or.jp/header/form/
枝野官房長官のWEBサイト:http://www.edano.gr.jp/inquiry/inquiry.html
自分の選挙区の民主党議員さんのWEBサイト:http://www.dpj.or.jp/member/

基本は、自分の選挙区の(過去投票したことがあるなら最高)民主議員にメールを送る事です。やはり、送られてくるメールは元々反対派な議員の所に集中しちゃってるみたいですし。
なお、枝野官房長官は、政権交代前の論戦において、保坂展人元議員と共に、児ポ法の改正案を理論面・党内政治両面で阻止した立役者です。間違っても、失礼な物言いは避けましょう。現時点で、最も有力かつ有能な味方です。それを忘れないで下さい。
知らない人は、当時の動画をご覧下さい。


以前にも何度も書きましたが、相手は強烈な(ねじ曲がった)信念と組織力のある団体です。そして、それを利用する気満々の官庁です。法案の再提出も議員の抱き込み工作も虚偽の記事も、過去何度も繰り返され、これからも何度も繰り返されるのは間違いありません。
我々は、そのたびに同じ事を行い、選挙に際しては反対派議員に投票し、メールやカンパを送り、長い戦いを続けるしかありません。

これは、鬱陶しく、面倒で、一見何の実りもない活動です。しかし、これを怠る事は(あるいは怠らなかったとしても)我々を犯罪者・社会的に抹殺されるべきと見なす人間に屈服し、表現の自由の無い恐ろしい社会で過ごすことを受けいれることに他なりません。
私は、私の内面を一方的に「キモイ」と見なして抹殺しようとしてくる者や、私達が享受してきた豊かな文化遺産が継承される事を嫌悪する連中を、満足させるなどまっぴら御免です。

みなさんも、できる範囲で、力を尽くして下さい。まだこの国は一応民主国家であり、議員さんに意見を送ったり、政治献金をしたり、好きな政党に投票しただけで、社会的に抹殺されたり逮捕されたりする事はないのですから。



その他、表現規制関連エントリーはこちら





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この記事へのコメント
児童ポルノ法改正の議論に興味(というか危機感)を持ち、去年あたりからこのHPを読ませていただいている者です。
このHPの表現規制に関する記事は一応全て目を通しており、それらを踏まえた上で質問させて頂きますので、その事を前提に私のコメントを読んで頂けると嬉しいです。
ただ、全てを正確に記憶している訳ではありませんので、何か見落としや凡ミスなんかが目に着きましたら、ご指摘をお願いします。


現行法においては、児童ポルノ法違反容疑で起訴するにあたって、被写体が18歳未満であることを立証するために小児科医に鑑定を依頼するという方法を取っているとききます。
つまり、被写体が18歳未満なのかどうか(つまり、画像または映像が児童ポルノなのかどうか)を見分けるには高度な小児科学的な知識及び豊富な診療経験が必要とされるということを司法が証明している訳です。
児童ポルノの単純所持が禁止された場合、そういった(時に難しい)判断を個々の一般人に課す事になりかねないと思うのですが、それは問題がありませんか?
少なくとも私には、17歳の児童と18歳の女性の裸体を見分ける自信がありません。

上記の事を改正推進派の議員や団体に質問するつもりですが、その前にsnow-wind様のご意見を伺いたく、ここに書きこませていただきました。
「それは違うんじゃないか」とか「そういうのは言わない方がいいんじゃないか」とか、お気づきになったところがあったら、何でもいいのでご指摘をお願いします。
Posted by 太郎 at 2011年08月01日 17:06
規制派的にはその辺は、疑いを持ったら持つな、と言う事だと思います。
そもそも、「若く見える」相手に欲情する事自体が悪、と言う倫理観が、彼らの基盤ですので。

勿論、批判的視点としては特に問題ありません。宗教的な感覚は立法根拠にはなりませんから、科学的な前提を元に話をするしかないのです。

そして、17歳と18歳どころか、もっと大きな幅で見分けることは困難です。映画を観ていて「え、この中学生役の人20代後半なの?」みたいな事は、良くありますよね。

あとそもそも、小児科医の鑑定ですが、専門家も見分けられないですよ。高度の蓋然性と言う理屈で、無理矢理お墨付きを出しているだけです。大体、ホルモン分泌に異常があれば、外見年齢は簡単に平均値からずれて行きます。

http://labaq.com/archives/51440930.html

これなんかも、ちゃんと専門家のお墨付きがあった上での事です。
ですので、何か私がアドバイスするとすれば、「専門家でも困難なのに~」と言うような一文をくわえる事をお勧めします、言う形になるかと思います。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年08月02日 00:36
お返事を頂き、ありがとうございます。

>勿論、批判的視点としては特に問題ありません。宗教的な感覚は立法根拠にはなりませんから、科学的な前提を元に話をするしかないのです。

全くもってその通りだと思います。我々もここを気をつける必要がありますし、そして推進派にも聞いてほしい言葉ですね。宗教的な規範、感覚を元に法を作ってはならないのです。「児童に欲情してはならん」なんて、普遍的でない「倫理観」を法に盛り込もうとすること自体(被害児童保護以上の思惑があることは推進派議員の発言の数々を見れば明らかですよね)、政教分離原則と内心の自由を踏みにじった行為であります。

児童ポルノの被害者を救済するために国が行動するのは大変結構。
しかし、そのためにと言って他者の内心の自由を奪う、制限することは許されない。救済も憲法のもとに行われるべきであることは言うまでもありませんね。(推進派は言っても解らん、というかむしろ意図的に無視しているようにすら感じますが)

>高度の蓋然性と言う理屈で、無理矢理お墨付きを出しているだけです。

それは、確かにそうなのでしょうね・・・。そうでもしないと法として体裁が整わないからでしょう。同時に、「法として無理がある」ことの証左でもありましょうが。

http://labaq.com/archives/51440930.html
リンク先も拝見させていただきました。プエルトリコでの一件ですね。日本の検察が同じようにずさんなことをしないよう祈ります。

>専門家でも困難なのに~」と言うような一文をくわえる事をお勧めします

ぜひ加えさせていただきます。的確なアドバイス、有難く思います。



snow-wind様のブログを拝読させて頂いた時、表現規制に関することはもちろん、一歩引いた視点でのもっと広い根源的な部分(権利や義務、組織としての在り方、闘い方などですね)に関しても、大変鋭い確固とした意見を持った方だと感銘を受けました。
これからも興味深く、そしてためになる意見を伺えることを期待し、楽しみにしています。
Posted by 太郎 at 2011年08月02日 02:49
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