2011年06月24日

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 11:最終話 感想

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「あの花」、他の回の感想はこちら


最終話「あの夏に咲く花」
気分は既に葬式後と言った感じの「あの花」、第11話:最終話の感想です。
公式twitterが瀕死の金魚のように自画自賛tweetを垂れ流していた時点で、ため息を吐きたくなりました。
本当に期待されている作品であれば、やるべき事は、必要最低限のインフォメーションだけになりますのでね。


今回オープニングは無し。
代わりに挿入される前回から連続する冒頭パートは、あの、純粋に意味が解らないんですが。
成仏しなかっためんまは、どうして微笑むの?
「めんま……」のハモりは、成仏させられなくてガッカリしていると言う表現にしか聞こえないし、かすかな希望もあっと間に不安へと相転移です。

あと、「めんま……」のハモりがダサ過ぎるんですが、誰も突っ込まなかったのでしょうか?


結局、根本的な問題が時間配分(と力点の置き方)のミスであることは明白なのです。おかげで、ほんの2話前にあれだけ派手に盛り上げためんまの家の問題が、なんと解決したことになってしまっているという……
あそこまで鋭い言葉の刃を突きつけた男子中学生が、何の具体的なアクションも経ないまま、母親に屈託無く笑いかけるわけ無いだろ!
序盤の人物描写のリアルさ・綿密さは、一体何処に行ってしまったのか?

その後の、まともに目線も合わせず、言葉も交わさないまま別れる仲間達と言い、後20分弱ではどうにもならない事は一目瞭然。
無邪気に笑っているめんまは、こうなると単に空気が読めないだけのお馬鹿ちゃんです。

と言うか、幼少期もこうだったんじゃないですかね?はしゃぐめんまとじんたんを中心に、別に仲が良くもないけど打算的に集まる仲間達。幼馴染のグループでしょう?かがやく日々のかけがえのない関係でしょう?なんでこんな描写にしかならないんですか?
女子校の「仲良し」グループじゃねえんだよ!と、リアルにおける嫌なメタファーが被さってきてしまいます。


さて、結局最終話における課題は、「別にこいつ等仲良くないよね」と言う部分をどうするか、に集約されたわけです。
でも、これって結局、めんまを成仏させるという目的のために、仲良くすると言う事に他なりません。そのモチベーションは外部から与えられた物で、「自然と」当時と同じように仲の良い関係に戻るのとは、訳が違います。

なんか、根本的に作劇が間違ってるんですよ。物語の目的が友情を描くことだとするならば、物語の中で登場人物達が目指す物は「友情を結ぶこと」であってはなりません。「テーマをストレートに言ってはいけない、一気に陳腐になる」。そんなシナリオの基本を、何故ないがしろにするのか?
本来、五人の友情復活は、めんまの願いを叶えようと奔走する過程で育まれるはずで、それで何の問題もなかったはずです。途中まで打算的に動いて引っ繰り返すというのも作劇としてはありですが、その場合今話の内容は折り返し地点。残り20分切ってやる事じゃありません。


つまるところ、「それがテーマなら、8話までは何だったのか」に尽きるんですよ。だって、振り返ってみれば、8話までの間超平和バスターズは、全く仲良くなってなかったって事なわけですから。あの丁寧に積み重ねてきた描写が、実は全部無駄だった、と……
これでテーマが友情だと言われたら、笑い死にしますよ。


「ゆきあつが好きだから、めんまが羨ましいからって、めんまを成仏させようとしたくせに!」
で、その丁寧さのなれの果てがこれ。セリフと解りやすい動き(あれは演技演出とは言いません)で全部説明する、三流描写。8話までの間も、さじ加減を間違えるとその丁寧さは陳腐さに落ちるぞと不安に思っていたわけですが、ほらこの通り。
なんだ、単に静かで間接的な演出ができなかっただけか……


そのくせ、肝心な部分は説明が大幅に端折られています。
まんま死亡日の経過をまとめると、

1,めんま、じんたん以外に秘密基地への集合をかける
2,あなる&ゆきあつ、じんたんの気持ちを確かめるべくじんたんも呼んでしまう
3,つるこ、その事をめんまに告げ口

と言う流れみたいですが、1から2へのつながりが意味不明です。なんでわざわざめんまの願いを断ってまで、あのタイミングでそんな事を仕掛けたのか?子どもだから、で片付けるには、不合理な上にご都合主義で、違和感ばかりが強くなります。
って言うか、そう言う真相なら、あの日じんたんも秘密基地にいた理由とか、今まで隠さなくても良かったですよね?


その辺の不自然さや盛り上げ損ないをカバーするための、オーバーアクション連発なんでしょうが、画面のこちら側は白けるだけ。
「めんまの願いを叶えてやりたい」ではなく、徹頭徹尾「めんまを成仏させたい」な辺りも、どうにもこうにも……
成仏は結果であって、目的にしちゃダメでしょ。後、願いが叶ったら成仏するだろう、と言うのは単なるぽっぽの推測なんですって。いつの間にか前提みたいに扱われてますが。

で、まさか、「あだ名に戻ってる」だけで、友情が復活したと言い張るつもりですか?今まで散々、本当に散々友情が戻りようがないという描写を続けておいて、こんな適当な場面転換一発で納得しろと?
これって、バトル物で言えば、「奴は強い」「貴様らでは倒せない」とか最初からずっと引っ張られてきたラスボスが、最終話にデコピン一発で沈んだような物ですよね?

本音を喋って膿を出した?
その演出一発で場面を転換したいなら、「全員が本音を隠していること」に障害を集約していなくては、意味がありません。でも、ずっと彼らの本音はダダ漏れで、しかもさらけ出してもお互い一気に関係が進むような種類の物ではありません。


それでも、一応強引に盛り上げて「さあ、願いを叶えよう」となった所は、それなりに盛り上がります。本当なら、ここから後付けで仲良くなった描写を数話続けるべきなのですが、残り15分では仕方ありません。
しかし、事もあろうにその直後、「実はお願い適ってました」と言うのは、何のギャグなのでしょうか?

ちゃんとめんまが成仏する時に、仲間の所に連れて行く流れにしたのは、完成度の面で「踏みとどまった」印象ですが、急転直下というレベルじゃありません。と言うか、もしここに落とすのであれば、9話からのギスギスした演出こそ不要です。


だから、「みんなお前が好きだった」と言われても、「え!?」と言う反応になってしまうわけで。


この辺、どっかで見たなと思ったら、死に体の邦画やドラマで、「最終話に全く盛り上がっていないのを、役者に絶叫させて盛り上がったように見せかける」ダメな演出そのままと気づきました。


それでも、音楽と強引さをてらわない力押しで、ラストシーンはそれなりに盛り上がるんですよ。
しかし、それは本来至るはずだった高みとは、中盤まで期待していたラストとは、まるでかけ離れた中途半端な物なのです。
あの、ラストだけめんまが見えるというのも、ちゃんと存在を不確定にしておいてこそ活きた演出。
「大好きだ」と言う絶叫も、大好きであると言う事をきちんと提示してきてこそのもの。

結局の所場面場面でキャッチーな「引き」を連ねてきただけで、全体としての構成がまるでなっていないのです。
四話のゆきあつ女装シーンのように、キャッチーさと共にキャラクターの心情を鋭くえぐる良演出も見られただけに、なんでこんな事になってしまったのか、本当に不思議。

「みーつけた」で終わるなら、そこを最高に盛り上げるなら、それまで「見つかって」はいけない。そんな、当たり前すぎる話の運びが、ないがしろにされていることに、悲しみと戸惑いを憶えます。


結局最終話は、序盤からの期待に及ぶべくも無い一方、前話終了時に危惧したほど最悪な物にもなりませんでした。
それだけに、本当に勿体ないという思いで一杯です。名作になれたはずなのに。真摯に作られたオリジナル作品が、ちゃんと評価されてヒットするというサイクルが、確立してくれるかと思ったのに。


終わらせ方は決して最悪ではなかっただけに、逆に、徹頭徹尾駄作だったAngel Beats!などより、余程ガッカリさせられました。
人間関係のグダグダを描くと言う、ある種キャッチーな要素に足を取られたと言えるかもしれません。それが、序盤ではとても良く機能していただけに、演出の優先順位を間違えたのかもしれません。
何にせよ、結局序盤の期待は泡沫と消え、作品としては凡作で終わってしまいました。勿体ない。今は、本当にそれ以外に評価の言葉が見あたりません。




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この記事へのコメント
なんか無理がある感想ですね。。
Posted by ぽんた at 2011年07月14日 00:48
バスターズが本来「仲良し」である前提で話ができてるはずなのに
真相は全然仲良くないからなあ、どう描写してもどうしようもねえよw
仲良しと思ってるのって「めんま」以外いねえし…
それに気がつくって話でもないし支離滅裂なんだよな話に一貫性がない
この脚本家、幼少期の友達いねえんじゃないのかな?と思った
演出&曲で乗り切った技術は評価できるけど物語としては凡作
Posted by 名無し at 2013年05月21日 18:03
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