2011年07月09日

REWRITE (リライト) 感想総括/何故こんな酷い事に?

Rewrite 初回限定版
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ゲーマーの宿命として外れを引くことは数在れど、一番好きなライターと一番好きなソフトハウスが組んだゲームが普通にダメだったというのは、即死級のトラップと言えます。

こうなると、当然何故こんな事になってしまったかを考えざるを得ず、以下つらつらと感想のまとめ的な物を書いておきたいと思います。


まず、最初に問題となるのは、企画段階における失敗の可能性でしょう。しかし、人間関係に重きを置いた描写をすると言う点で、KEY/田中ロミオ/竜騎士は共通した性向を持っており、これを組み合わせるのは決して間違っていなかったはずです。勿論、その方向性はかなり違っているのですが、それは上手く制御すれば、テーマに対してルート毎に切り口が違うと言った、良い意味での不統一感を出すこともできたでしょう。

ですから、失敗は人選その物ではありません。その後。折角集めた連合軍に、全くもって向いてない任務を指示したところにあります。
つまり、今回の中二能力者バトル物です。

まずKeyは、間違ってもバトル物に向いたソフトハウスではありません。絵もシステムもデザインも、むしろ対極の指向性を持っています。実際、今回の画面演出や絵、挿入動画に至るまで、バトル物としては劣悪と言わざるを得ない代物でした。

次に田中ロミオですが、確かにバトル展開も書いているのですが、それはあくまでも物語の中の限定的なシーンにおいてです。全編バトル物というのは例がありませんし、そもそもバトルシーンが評価されていたと言う事もないはずです。一番バトル物に近かったのは最果てのイマでしょうが、あれは一般受けの対極を行く作品です。個人的には、「悪い意味でSF」を体現したような代物なので、代表作と呼ぶ事自体どうかと思います。(余談ですが、あの作品に対する多くのファンの態度って、没落に向かった時期のSFファンと完全にパラレルです。不親切/娯楽性が低い、と言うのが誉め言葉になる場所では、多くの人を楽しませる物は、絶対に生まれてきません)

最後に竜騎士ですが、これはもう言うまでもないですよね。彼がバトル展開大好きなのは解りますが、面白かった試しがありません。勢いで押し切れる1シーンくらいなら何とかなりますが、そこまでです。ひぐらしで一番評価された(されていた)のは、謎と不安の盛り上げ方であって、解決フェイズでのうっちゃりではありません。

この齟齬は恐らく、メーカーの方針が原因ではないかと思います。「人類は衰退しました」6巻(現時点での最新刊)の後書きで、田中ロミオが「新しい企画は通りにくくなっている」と書いているのは、そう言う事じゃないかと思うのです。豪華メンバーを集めて、でもそれだけに企画は外せない中二バトル物を選択せざるを得なかった。そう言う事じゃないかと思います。



そうそう。これに絡んで一点。
物語の中で一番失敗している点は、「環境問題が課題と見せかけて、実は鍵が気にしていたのはそんな事ではない」と言うどんでん返しが不発な点です。
これは、推敲や修正の時間が足りなくなかったと予想されると根拠の一つです。しかし同時に、そもそも田中ロミオは大きな伏線を張って最後で引っ繰り返すような話は得意ではない、と言う点を企画が把握していないのではないかとも思います。彼の持ち味は、軽妙な文章芸や愚直に描写を積み重ねる正面突破であって、どんでん返しは余り成功していません。クロスチャンネルの一週目は例外ですが、あれは伏線と言うより一週目ラストでの「引き」。しっちゃかめっちゃかなだけの最果てのイマは言うに及ばず、家族計画の青葉シナリオや夏夢夜話の時計職人絡みの話など、伏線構築・回収は余り良くありません。勿論、他の点が圧倒的に強いから人気があるのですが、やらせることを間違っていると思います。
リトルバスターズが受けた後なので、ああ言う大仕掛けなシナリオを要請されたのかもしれませんが。むしろ従来型のKey系シナリオを任せた方が、遙かに完成度が上がったと思います。

そして、上で書いた「外さない」企画としてバトル物を選択したなら、本来もっと短期で上げねばならない筈なのです。
そこで、こう言う仮説が成り立つかと思います。


・当初このゲームは、バトル物ではなかったのではないか?

長らく公式ページのトップになっていたのは、小鳥がピンで立つ一枚絵でした。そして、煽り文句は「書き換えることができるのだろうか?彼女のその運命を」。
少なくとも、企画始動段階において、小鳥がメインヒロインだったと言う事は間違いありません。そして、プレイ時の感想にも書きましたが、小鳥は非常に多くの伏線に絡んでいるにもかかわらず、何故か後半実質フェイドアウトしています。そもそも、本人のルートからして、非常に中途半端な所で終わっていて、関係の清算すら済んでいないのです。
明らかに、本来予定されていた流れを歪め、着地点を変えているように見えます。
Terraルートの選べない選択肢にしても、本来あれは小鳥を助けるために、トライ&エラーを繰り返す物ではなかったのかと思うんですよ。そうでないと、わざわざ小鳥ルートを半端なところで終わらせた意味がありません。また、小鳥にからむ設定が他のルートでほぼ放置され、ガイアとガーディアンの抗争に還元されてしまっている点も、注目する必要があるでしょう。

まあ、以上はあくまで推測なのです。しかし、発表から3年以上経っているにもかかわらず、旧作に比べて少なめのテキスト量(7GB、何に使ってるんでしょうか?)と言い、チェッククオリティの低さと言い、額面どおりの時間がかけられているように見えないのですよね。

そして何より、関係者の士気が低いんではないかと思わせる、クオリティの低さに目が行かざるを得ません。ここは列挙方式で行きますね。

・文章は盛り上がりに欠ける
田中ロミオの売りである勢いのある文章は、ほとんど見受けられません。日常は都乃河さんらしいですが、それにしてもちょっと酷いです。全く盛り上がらず、言葉遊びもネットスラングレベル。日常の楽しさで中盤を乗り切らせていたメーカーの作品としては、信じられない水準です。

・イベントの取捨選択が甘い
マップ画面での、全く面白くもないミニイベントが代表です。20年前の、コマンド総当たり型ADVを思い出しました。何を意図しているのか解らないオカ研部室でのイベント群もそう。そもそも、オカ研の不思議探索ツアーは、何故朱音ルートでしかできないのでしょうか?あれを上手くアレンジすれば、学園物で始めつつ段階を踏んでオカルト展開に持ち込む事も出来たでしょうし、後半の唐突さも薄れたはずです。

・各ルートのすりあわせもできていない
瑚太朗の人格崩壊もそうですが、ガイア/ガーディアンの内部事情や各人の動きなど、余りにバラバラ。例えば、パワースポットの扱いや組織の設定(あるルートではラノベ的軍事組織顔負けの活躍で各国諜報機関を手玉に取るガイアが、他では所詮市民団体レベルと描写されたり)なんか典型ですね。展開にしても、中二世界設定は良いとしても、どれもバトル展開と言うのは飽きが来ます。上で書いた伏線の不発も、この辺が原因ですね。
逆に、各ルートでの小鳥の行動を仄めかす伏線は残っているので、やっぱり路線変更があったのだろう、との確信は深まります。
ごった煮の魅力が出るより先に、空中分解に近い状況じゃないかと思います。


まとめると、リライトの失敗理由は、以下のようになるかと思います。

1,豪華メンバーの特性を無視した方向性
2,製作過程の迷走による中途半端な作り
3,結果的に推敲の足りなくなった各パーツ

固定ファンの付いているメインライター複数を外部から迎え、舵取りやクオリティ維持に苦労したであろう事は、想像に難くありません。折角鳴り物入りで名前を出した以上、(そして、社長の肝いりで呼んだ以上)余り手を加えては意味が無い。しかし、自身もブランド価値の高いメーカーなので、企画まで渡すわけにはいかない。そう言った一見合理的な妥協の繰り返しが、こう言う物を生んでしまったのではないかと思います。
これ、決して誰が悪いわけでもない、良くある失敗プロジェクトなんじゃないでしょうか。

それにしても、本当に勿体ない。実力のあるライターをメインに据え、ソフトハウスは業界有数の余裕(時間=資金)をもった製作体制を組める名門。面白くならないわけがない、と言うのが、偽らざる予想でした。それが、この始末です。

フレンチの名門と和食の老舗が手を組み、和洋折衷の「洋食」を作ろうとするも、方針が迷走。出来上がったのは何故かインスタントの中華料理、みたいな感じに見えます。

スピンオフや改訂版を除けば、Keyの作品は概ね四年に一本。つまり、業界やライターや自分の寿命を考えれば、生涯プレイできるであろう本数はそんなに多くないのです。その内の貴重な一本が、名作でも良作でもなく、あるいは「全くもって気にくわないが、凄く良くできている!」と思わざるを得ない高クオリティでも無い、ただの残念作とは……

三年だか四年だか後に来るであろう次回作では、このガッカリ感をリライトしてくれることを、期待しています。本当、楽しみに待つ事だけは、やめるつもりはないのですから。

あ、でも、Angel Beats!だけは、勘弁な!





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この記事へのコメント
だーまえがシナリオを書いているAngel Beats!に期待している自分は異端んかでしょうか…
アニメでの不満点を全てとは言わないまでもゲームで解消してくれることに期待しているのですが。
それに読んでいて笑えたり感動できるのはだーまえのシナリオでしたし、望みは捨てたくないですね…。
Posted by どるじ at 2011年07月12日 21:29
Keyと言うか麻枝氏の強みは、豊富な製作期間を活かして、根本設定まで何度もスクラップアンドビルトする製作体制にあったと思うんですよ。だから、Angel Beats!は、残念ながらああなってしまった。
ゲーム版をゼロベースで作り直せるなら別ですが、色々と失敗している部分が多すぎるので、多少の補完にはなっても大化けは難しいかと思います。

個人的には、失敗は失敗として流して、完全な新作を期待したい所です。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年07月12日 22:45
小鳥をメインヒロインにできなかったのが最大の汚点だと思います。いい考察で自分も大分頭の中がすっきりしました
Posted by namoo at 2011年07月13日 00:42
Rewriteは体験版しかやってないけどやっぱkeyでのバトルはリトバスくらいのでちょうどいいですねw
keyはやっぱり日常の面白さ(ばかばかしさ)からのシリアス展開が売りなのに対してなんで能力バトル? とかop見たときは思ったんですが
やっぱ買わなくて正解でしたか(;・∀・)
ただ個人的にキャラが魅力的(というか可愛い)だったので次作はキャラで今までのようなシナリオの作品を作ってほしいですね^^
とりあえずRewrrite買わずに次回作ように金は残しておくことにしますw
Posted by zye385 at 2011年07月18日 01:54
本日、すべてのルートを終えたのですが疑問だらけでした。というか、消化不良です。感想でググッてここに辿り着きました。ほとんど同意見です。ただ、KEY/田中ロミオ/竜騎士氏それぞれの方向性は良く知りません。

正直、この手のゲーム初心者(?)レベルですが、そんな自分でも明らかにシナリオの詰めが甘いと感じました。Key作品はリトルバスターズ!のみ経験者で、ある部分期待はしていたのですが、これは…。
確かにクソゲでは無いです。Key作品のBGMは期待そのものでよかったです。背景とかのレベルも。ただ、シナリオだけが…。

なんて言えばいいでしょう。主人公の優柔不断さがゲームの優柔不断さ直結しているような…ww

リトバスのようにモザイク状だったシナリオが、最後にパズルのピースが埋まったみたいに、爽快に終わってくれれば良かったのに…。
Posted by 通りすがり at 2011年07月18日 17:26
理解してないんですね
そもそもシナリオに関しては、あなた方にこれ以上のシナリオを書けますか?
Posted by xxx at 2011年07月25日 02:39
私はこの作品はkeyの作品のなかでもtop3に入る出来だと思いました。
今回のエントリーではないのですが、
一番気になる点に関して少し反論させていただきます。
気分を害されたら申し訳ございません。


・そして、驚くべき事に、なんとグランド・ルートに選択肢があります!
これを見た瞬間、私のテンション跳ね上がりました。つまり、本当に「選択」を行い主人公の行く末を決めるゲームは、ここから始まるわけです。それだよ、待っていたのはそれだよ!
……とか思っていたら、実はこれは単なる演出の場合がほとんどでした。ガッカリです。意味のない選択肢なら、最初から用意しなければいいのに。


しっかり理解できているのかどうかはわからないのですが、
moonで篝が何を頑張っていたかを読み取れているのでしょうか?
この文章から私はあなたがこの物語に関して決定的な認識ミスをしているように感じました。
何故、一見無意味に見える選択肢をおいたのか?
この篝火は一体なんなのか?
何故、篝を逃がすか捕らえるかの選択はこちらで行えたのか?

考察してみてください。
ひとつ上の方のコメント通り、本質を理解してないように思います。

失敗というのならば、ちゃんと物語を読み解いてから決め付けてください。
Posted by abi at 2011年07月27日 10:07
これは考察ではなくただ自分の好きな展開にならずに文句を言ってるだけでは?
事実としてこの作品を面白いと感じる人はたくさんいるのですし、あなたの勝手な価値観でライターの向き不向きの話をするのはいささか傲慢に感じられます。

そもそも他のコメントでも指摘があるように最低限の理解すらできていないようですが。
Posted by 名無し at 2011年08月11日 08:40
たしかに、月の篝の解釈がまともにできてないように思えます。
moonがなければterraはなかった。
どうして新たな選択肢が篝火によって示されたのか。
たしかに、解釈が難しい……というより面倒な作品ではありましたが丁寧に最後まで情報整理していけばなかなかの完成度のシナリオだったといえると思います。

まあ、ルートによる矛盾点とかは正直僕も上手く整理できませんでしたが。
ただ、小鳥の件に関してはリトバスの鈴同様、なくてはならない存在でありつつ、そのポジションの割には優遇されていないキャラというだけであり、そこまで固執するものでもないように思えます。

まあ、主題がちょっと大きすぎたので完璧な名作とまではいかない印象ではありましたが、良作と言うぶんには十分な出来だと僕は思いました。
Posted by シュロ at 2011年08月16日 11:36
感想読ませて頂きました。
自分もやはり小鳥に関しては何か製作途中で変更があったのだと思わざるを得ませんでした。
というより真実かどうかは別にして、そう思わないとフォローできないって感じですけどw

オーラスでの選択肢はもっとカタルシスのあるものを期待していたのですが…
月篝に導かれるという趣旨は伝わりますが、ただの演出な上に結果があれですからね汗
明確に過去との対比もできないし、なんの感慨も沸かないという…

タイトル通り素直にトライ&エラーものにしていればよかった気がしますね。
というか、それを期待した人は多いんじゃないでしょうか…
シュタゲと比較されてしまうのは確定でしょうけどw
Posted by 名無し at 2011年08月25日 02:09
keyだから泣けるとか決めつけもいいところだろうw
Posted by 名無し at 2011年08月28日 10:15
田中ロミオさんのファンなのでPSPになったら買おうと思っていたのですが、参考になりました~。
最果てのイマの感想もほぼ被っています。親近感がわきました。とても参考になります。他のゲームも参考にしようと思います!
Posted by あずの。 at 2011年12月16日 10:34
>あなたにこれ以上のシナリオが書けますか?

貴方こそシナリオ作りを理解しているのでしょうか・・・?
視聴者からみたらわからないでしょうが、クリエイターから見れば
欠陥がすぐに浮き彫りになります。

そんなに甘いものではないんですよ。ましてやプロでしょう。
Posted by 名無し at 2011年12月31日 17:39
Rewriteは国際政治から資源枯渇、宇宙生物学までひっくるめた環境問題ですよ。ただし科学やSFを全面に出しておらず、ある程度ファンタジーやバトルものの皮を被っていますが、そこを現在の現実の地球の諸問題のメタファーと認識できるかが問題なんだが、そこまで理解できる人が非常に少ないようで評価がわかれているのだろう。レビューを検索して見ても、そういう深い考察をしたブログやサイトなどは非常に少ないようでとても残念だ。あまり科学的な面などを全面に出しすぎると、お勉強、お説教的なつまらない作品になってしまって、勧善懲悪のような単純な問題を提起するだけのよくある環境問題啓蒙作品に堕してしまうというのもあるだろう。だから、あえてこのようなスタイルをとったのだ、とも考えられる。この国に環境問題を提起するには悪くない手法だと思うが、公害問題の歴史などを見ても、どうも学校の教師や活動家などが直接アプローチで必死に啓蒙しようとしてもなかなか伝わらずに一般市民には冷めた目で見られているように思う。これは終末が近づいても篝が見えない人が多いとか、ガイアとガーディアンの抗争など誰も知る由も無いじゃないかとか、こういうところで描写されてるんじゃないかな。こんなお説教じみたくだらねえ内容をコメントで垂れるのも嫌だが、こういう意見は少ないようだし、あえて書いて見る。Terra末期の瑚太朗の気持ちだ。
Posted by Rewriteは環境問題 at 2012年12月23日 06:41
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