2011年08月03日

恐らく現状で一番の前進 民主党の児ポ法改正案


政権交代後、はっきりと発言が後退して行った可視化法案と共に、児ポ法改正問題は動きが停止していました。しかし、水面下での調整が終わったらしく、遂に民主党政権としての改正案が明らかになりました。先日の、政権交代を何も考慮しないふざけた自公案と比べて、ビックリするほどまともな内容です。

児童ポルノ法:「有償かつ反復」の取得を処罰化 民主党案

ポイントは、かつての民主案どおりの取得罪の新設(「有償かつ反復」に限る)と、フィクションの表現については「規制するものと解釈してはならない」との条文を追加する、という部分です。


まず、原則論から言うなら、私は取得罪でも危険ではないかと思っています。
ずっと問題になっている単純所持の焦点は、情報の流通や存在その物を危険視している点です。どのような内容であれ、情報が後世に残ることその物を禁じると言う権限を、国家に持たせるべきではないと言う観点です。「児童ポルノが対象なら、別に問題無いだろう」と言うのが常識的な意見でしょうが、そもそも独裁国家や封建国家で、「おぞましい」「社会規範に反する」情報は規制され、結果我々は過去の貴重な史料を多く失っています。

何度でも言いますが、江戸幕府の規制がもっと徹底して行われていれば、近代において大きなインパクトを持っていた浮世絵の多くは、今日残っていません。命がけで撮影された虐殺の証拠や、暴露された非公開会議の録音もです。

そこまで行かなくても、流通状況調査のために購入するのはどうなのかとか、除外規定のあり方についての議論も必要でしょう。(ここで公的機関のみ、などとやったりすると、警察は捜査理由にやりたい放題、学術研究だと即アウト、みたいないつものふざけた形になりかねません)

従って、原則論から言うならば、取得罪の新設も無い事が理想的です。


しかし、状況がそれを許さないのは、これまで見てきたとおり。
そして、今回の改正案については、倫理と法律の区別を付けていない自公案を原則論にまで踏み込んで換骨奪胎し、むしろ国民の自由を守る方向に舵を切ってる所が重要です。

すなわち、表現の自由を掲げ、被害者の居ない創作物の規制を明確に対象から外した点です。
繰り返し書いてきたとおり、単純所持の問題とは別に、法の目的をねじ曲げる創作物規制は日本の児童ポルノ問題のガンです。そこをピンポイントで突き、強い禁止文言で規制派の頭を抑えることができれば、これ以上にない成果となるでしょう。

とは言え、これはまだ法案段階。2年前の法務委員会で露骨に見られたように、民主党内にも規制派はおり、まだ油断はできません。

これで妥協して自公案にすり寄るようなら、政権交代の意味はなくなるので、中心となった議員さん達には是非頑張っていただきたい。
そして我々にできる事があるとするならば、地元の民主党議員さんを尋ねるなり手紙・メールをするなりして、「是非頑張って下さい」「期待しています」と伝えることです。自民党支持者の方は、同じように議員さんの動向を見ておいて、場合によっては「何故反対するのですか?」とプレッシャーをかけるのも良いでしょう。また、そこまでしなくても、地元の議員さんがどのような態度を示し、どのように議論に参加したかを、良く見ておきましょう。そして、その結果によって投票先を変えましょう。
民主主義で議員を選べるというのは、つまりそう言う事ですから。

ようやく、やっとのことで、政権交代の成果が残りそうな気配が見えてきました。前から何度も書いているとおり、「政権が替わって良かった」と支持者が思える「変化」が幾つ残せるか、それが重要なのです。私が「これだけは」と期待していたのが児童ポルノ法の原点回帰と可視化法案で、とりあえず片方でこれだけの物が残せるなら、一応は良くやったと言えると思います。

しかし、都議会で多数派を取っておきながら、石原のふざけた表現規制条例に賛成した前例のある民主党のこと。最後まで目を離すわけにはいきません。悲しいことですが、彼らは平気で裏切ります。誹謗でも中傷でもなく、シンプルな事実として。

例えば、例の条例問題の時に、いち早く問題だという有権者の声に応えてWEBページで「都民の声が~」「これは問題」とか書いておきながら、速攻でへたれて「条例の内容は当然」とか言い出した都議会議員を、私は二度と信用しないでしょう。条例の問題点を書いていた時に、カンパ(献金)付きのメールを送ったにもかかわらず、テンプレの返信すらなかった時点で、ろくでもないと気づくべきでしたが……

とにかく、今は見守るのみです。あ、いつもの通り、カンパや面会はアリですけどね。それで酷い対応をされたら、信用できない議員が明らかになった、と考えておけば良いんで。




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この記事へのコメント
質問させてください。

当方の地元の民主党議員さんはこの問題に特に関わっていないようなのですが、メッセージを送る意味はあるのでしょうか?
(「期待しています」というメッセージを送ることによってWTに参加するよう促す?)

また、地元の議員さんがどのような態度を示し、どのように議論に参加したかはどう見るのでしょうか?
これがわかれば献金や投票をする先が明確になってありがたいのですが、、、

カンパはともかくとして、この問題についてのメッセージを伝えるためだけの面会というのは迷惑ではないでしょうか?

質問ばかりで申し訳ないのですが、投票とパブコメ以外の政治アプローチは具体的にどうしたものかいまいちわからないでいます。
Posted by shio at 2011年08月04日 01:03
時間が無いので手短に。

議員さんのWEBページを見て、どう関わっているかを見るのが、まず基本。(エントリーないで書いたふざけた議員みたいな落ちも普通に出てきますが)
メーリスなどで活動を配信している人も居ます。

で、メッセージを伝える面会ですが、これがいわゆる「陳情」と言う奴で、議員事務所の基本的な営業内容です。
アポを取り、簡潔に話をし(大体秘書さんが対応します)、献金をおいて(高額でなくて構いません。気持ちの問題です)帰ってくる、と言うのが基本的な流れです。勿論最後の部分は、「あ、こいつはダメだ」と判断すれば省略します。当てになりそうな相手かを、見極める過程でもあるわけですから。

勿論、個人より集団の方が有効、使える属性(作家とか出版関係者とか弁護士とか)を持っている人の方が有効、無礼な態度(特に、教えてやる、と言う態度だけは厳禁です)は逆効果、と言った事は当たり前にありますが、常識を持って行動すれば問題ありません。

パブコメ等に比べてハードルは上がりますが、一般に思われているほど気合を入れる必要のあるものでもありません。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年08月04日 08:41
ご返事ありがとうございます。

> 議員さんのWEBページを見て、どう関わっているかを見るのが、まず基本。(エントリー
> ないで書いたふざけた議員みたいな落ちも普通に出てきますが)
> メーリスなどで活動を配信している人も居ます。

はい、まずは議員さんのWEBページを見ています。もっとも手っ取り早い情報収集の方法
なので。
しかし、ぶっちゃけこの問題を重視していらっしゃらないようで(そもそも重視している
議員さんは少ないように思います)、WEBページおよびブログにどのようなスタンスでいる
かは書かれていません。
(たとえば保坂のぶとさんのように情報発信してくれれば話は簡単で、質問でお手数をか
けることもなかったのですが)


> で、メッセージを伝える面会ですが、これがいわゆる「陳情」と言う奴で、議員事務所
> の基本的な営業内容です。
> アポを取り、簡潔に話をし(大体秘書さんが対応します)、献金をおいて(高額でなく
> て構いません。気持ちの問題です)帰ってくる、と言うのが基本的な流れです。勿論最
> 後の部分は、「あ、こいつはダメだ」と判断すれば省略します。当てになりそうな相手
> かを、見極める過程でもあるわけですから。

やはり面会により情報収集したり民主党案を変えない(自公案により寄らない)ようWT等に
参加するようお願いするしかないですか。
選挙区の議員さんは民主党の方以外は単純所持規制を含んだ改正案の賛成者に名を連ねて
いた自民党議員さんなので、当てになりそうでなくても民主党の議員さんを頼るしかなさ
そうです。


> 勿論、個人より集団の方が有効、使える属性(作家とか出版関係者とか弁護士とか)を
> 持っている人の方が有効、無礼な態度(特に、教えてやる、と言う態度だけは厳禁です)
> は逆効果、と言った事は当たり前にありますが、常識を持って行動すれば問題ありませ
> ん。

使える属性は有権者ということだけです。一般人最大の力ではありますが、一人だけという
のがなんとも。
高額は無理なものの献金もするつもりですが。


> パブコメ等に比べてハードルは上がりますが、一般に思われているほど気合を入れる必
> 要のあるものでもありません。

気合というか、パブコメであれば行政側の「これについてこうしようと思う」というもの
があって、それに意見すればいいのであとは手間の問題ですが、上記のようにそもそもこ
の問題に関心があるか、どう考えているかがわからない、というのがネックです。
Posted by shio at 2011年08月04日 23:45
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