2011年08月24日

アニメ版「シュタインズ・ゲート」 第21話 感想

STEINS;GATE Vol.8
STEINS;GATE Vol.8


原作(ゲーム版)と前話までの感想はこちら

盛り上げにかかっているはずなのに、どうも淡々と進行している感の拭えない、Steins;Gate第21話「因果律のメルト」です。



冒頭は、最後のリセットがクリスの命に関わると気づいて、改変に待ったをかけるオカリン。
ここのどん詰まり感・絶望感は原作の白眉なのですが、やはり切れ味は大幅に減衰しています。連続するプレイ時間の中で、クリスとの絆を波状攻撃で演出して畳みかけてきたゲームに対し、25分のスパンの中で緩急を付けつつ尺を取って進んできたアニメでは、どうしてもクリスの印象は分裂気味になります。
クリスの側では毎回記憶がリセットされているが、岡部の中では連続した記憶。その非対称性が、時間が濃縮されたゲームプレイの場合は活きてくるのですが、アニメだと毎回リープによるリセットがかかる度に、視聴者の認識もある程度リセットされてしまいますから。

結局の所、アニメとの相性が余り良くなかった、としか言いようが無いのでしょうね。そもそもが、ゲームメディアに特化した作品だったわけですから。ループ/タイムリープ物のゲームとは、それをプレイするという構造その物を利用する、形式と一体の作品です。それを別メディアに落とすのは、やはり難しい。


ずっと続いている、時間配分のアンバランスさも、25分一話での起承転結ベースに移し替えるのに失敗し、リズムを取り損ねたと言う理解で間違いないはずです。
あれだけ色々重要イベントを省き、まだ5話残した現時点で、前半丸々何のシナリオ的意味もないシーンを流す今話も、またその罠にはまっています。この土壇場で、前半全部ただ悩むという描写だけに費やすこの展開は、正直イライラするばかり。何のつもりか、無視されるまゆりの描写を挟む事で、岡部に対するもどかしさを強調する画面作りにしてますし。


止まる懐中時計とか、思わせぶりなだけで何の意味もない雰囲気設定追加するのも結構ですが、シリーズ構成はどう言う目論見でリソースの配分を行ったのかと。
まゆりの死亡シーンが繰り返しギャグになってしまうのは解っていたわけで、今話の死亡シーンなど、むしろさらりと流すべきでしょう。


死は普通の設定の作品においては、最上級のインパクトをもたらすシーンです。しかし、本作の場合、個々の死亡は単なる現象でしかありません。その、避けられない「重い」死と、繰り返されて「軽く」なる死のギャップは、重要なパーツの一つです。鈴羽個別エンドが、典型的に示していたように。
従って、死の回避にかまけて描かれないで来た、「生きた」まゆりとの会話シーンこそ、逆説的に重い意味を持つ重要なシーンになります。その辺の機微が、この脚本からは感じられません。


あと、動きのない省力作画は、それ自体を非難するつもりはありません。しかし、動かさないなら動かさないで、一枚絵くらいちゃんと作れと。
何ですか、この輪郭線が飛んだせいでごつくなっちゃった腕は?肝心な所でこれだと、製作上やむを得ない省コスト戦術ではなく、単なる手抜きに見えてしまいます。


この半分CDドラマみたいな構成も、これはこれで悪くないんです。ここはまゆりのアピールタイムで、それがないと、この後の展開に説得力が無くなりますから。
とは言え、余りに密度が低いんですよ。どう見ても、2クールの分量を持て余しています。詰めるべき情報はいくらでも在るはずなのに。削られた情報は山とあるのに……

この内容であれば、シェイプアップして1クールにまとめた方が、送り手・受け手双方にとって幸せだったのではないかと思います。何より時間がかかりませんし。




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この記事へのコメント
一枚絵そんなに悪いですかね?
輪郭線も別に飛んでないですし。
ごつく感じるの小さい頃のまゆりの手だから?ですかね。
Posted by m at 2011年10月09日 01:34
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