2011年08月31日

アニメ版「シュタインズ・ゲート」 第22話 感想

STEINS;GATE Vol.8
STEINS;GATE Vol.8


原作(ゲーム版)と前話までの感想はこちら

平坦な印象が払拭できないままラスト数話に突入した、Steins;Gate第22話「存在了解のメルト」です。



冒頭はクリスのサービスシーン+裁縫を使った昭和アピールですが、ピラニア3D(後から感想を書きます)を観た後だと、全然嬉しくない副作用。あっちは、平気でフルオープンおっぱいだったですからねえ……


それにしても、リーディングシュタイナー濫発は、アニメで見るときついですねえ。ゲームだと、フェイリスのシーン以外はそれほどご都合主義に感じなかったのですが、アニメだとどうにも。視聴時間の、占有比率が大きくなるからでしょうか?
この辺こそ、変えちゃっても良かったと思うんですが。クリスが岡部の事を良く見てきたのは間違いないわけで、「私は、岡部がまゆりを大切にしている事を良く知っている」と言う趣旨のセリフにした方が、クリスのアピールにもなったと思うのですが。


ところでここで、岡部がまゆりの死の時刻を確かめるためだけに周回を消費した事を、壊れかけていたと言う風に伏線回収したのは、ホッとしました。あれはキャラ的に不自然でしたから。
しかし、それをやるなら、あの時点できちんと、「岡部の思考が異常になりつつある」と言う事を示しておくべきだったかと。この辺、岡部が完全に壊れる鈴羽ルートを削った事が遠因でしょう。
ただそれ以前に、脚本が伏線を強調する仕込みを怠ったと言うのが、根本の問題だと思います。演出が静かなのは良いのですが、だからこそメリハリをきかせ、「ここは注目しといてね。引っかかってね」と言う部分を入れないと、単に平坦な流れにしかなりませんから。


ここの、多世界解釈をリーディングシュタイナーで結びつけ、思いを語るシーンは、ロマンス・タイムファンタジーとしての真骨頂。シーンとして綺麗にまとめてきました。
勿論、SF的にはすげえ突っ込みたいんですけどね。多世界解釈に別世界の観測を結びつけると何が起きるかは…… すいません、引用しようとしたんですが、家中にばらまかれたSFの山から該当作を発見できずに挫折。確か、ディックのどれかの短編集、その巻末収録の短編だったと思うんですが。
とにかく、全ての可能性が平等に存在する事を知らされる結果、「この自分の選択」などに何の意味もないと気づいてしまう人々の話の不気味なリアリティに比して、余りにロマンティック。いやまあ、それが悪い訳じゃないのですが、鈴羽ルートでそれを克服する過程が抜けているので、どうにも片手落ち感が残ると言うだけです。

後、単純に、リーディングシュタイナーを濫発せずに最小限に留めておかないと、ラストシーンの切れ味が手ひどく損なわれてしまう、と言うのも考えて欲しい所。


それにしても、何故ここで告白シーンにするんですかね?

原作のラストをクリスヒロインととったのかもしれませんが、個別ルートが控除されているアニメ版としては、岡部はその心を明確にしてはまずいはずです。少なくとも、まゆりを助けるためにクリスを見捨てるという行為に説得力を持たせるためには、積極的にこう言うシーンは取り除かないとまずい。
この辺は正に、マルチ展開をなしえない(切り捨てた)アニメ版として、最低限通すべき筋だと思うのですが。

「相対性理論って、とてもロマンティックで~」
の下りは原作通りなのですが、やっぱり決まり切らない流れ。ちなみに、この相対性理論云々の話は、クリスや制作者が間違って理解しているわけではなく、アインシュタイン自身が茶目っ気たっぷりに語った冗談が元ネタです。


“Put your hand on a hot stove for a minute, and it seems like an hour. Sit with a pretty girl for an hour, and it seems like a minute. THAT'S relativity.”

↓翻訳

「手を熱いストーブの上に一分間置きなさい。それは一時間くらいに感じられるでしょう。可愛い女の子と一時間座りなさい。それは一分くらいにしか思えないでしょう。それこそが、相対性です」

一応これは、「観測者の状態が観測結果を変化させる」とまとめれば、結構正しい例えとも言えます。


で、クリスとの別れのシーンは、アニメらしい動き付けが良いとも悪いとも言えない感じで切り上げ。そして、例のエンディングへの最終シーケンスへ。


正直、ゲームで見た時は蛇足感が拭えなかったクリス帰還ですが、アニメで動きと画面演出が加わる事で大化けしましたね。
そして、世界線帰還後に中二ゼリフをまくし立てて、「完全に事実」の勝利宣言をするオカリンの哀しい姿は、正にアニメの面目躍如。泣き笑いの表現が、まゆりの言葉で決壊する表情の変化も。
そうです。こう言う原作の持ち味を大幅に強化する演出が、私の見たかったSteins;Gateアニメ版です。


一方、原作トゥルーエンドに至る演出のなぞりは……
すいません、これ最低です。原作の演出は、ルート毎にエンディングが流れるゲームだからこそ、スタッフロールへの割り込みに意味があったわけです。それをアニメに移すなら、最低限「このアニメはこれで終わり」と言う演出からここにつながなくては、何の意味もありません。
ところが、ちゃんと「最終回っぽい」演出も挟まないまま、それどころか、エンディングテーマも無しにやっつけのエフェクトだけでセリフ割り込みとか、何考えてるんですかね?大体、ダルの声が割り込む時に表示されているテロップが、協力会社一覧で、一番生臭い・「現実」を感じさせる物な辺りに、演出の拙さが集約されています。
なんで、ここ一番力を入れなきゃならない所を、こんな中途半端な演出で済ませちゃうんですか?
これは、はっきりと、手抜きと言って良いでしょう。あるいは、予算や時間が、この作品をアニメ化にするには余りに不相応だったと。

何かもう、色々ダメなんだろうなとは思っていたのですが、結局これですか。基本的に省力処理のノスタルジックな画面作りは、要所々々に力を入れてこそなのですが、肝心の勝負所がこの始末。
なんか、この業界しょっぱいなあ、と言う感が深まります。




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この記事へのコメント
シュタゲは多世界解釈ではなくコペンハーゲン解釈がベースになっています。
世界線の移動はパラレルワールド間の移動ではなく、世界の再構築(可能性世界線の発現)です。
夢やデジャブ、リーディングシュタイナーはその再構築の際の残滓というわけです。

ですから、観測者(オカリン)が行動を選択し観測することは無意味ではないんですよね。
観測することによって可能性の存在だった世界線が発現するわけですから。

まぁそんなことは置いておいても、クリスのリーディングシュタイナー発現はラストまでとっておいて欲しかったというのは同意です。
ラストのインパクトが薄れちゃいますよねー
Posted by kuno at 2011年09月01日 00:57
あれ?そう言う設定でしたっけ?アトラクタフィールドが可能性を束ねた物として説明されていたりするので、多世界解釈に近い物と思ってました。
確かに、オカリンの視点と記憶が貫徹する事を重視すると、コペンハーゲン寄りの解説の方が解りやすくなりますね。

もっとも、ハードSFでも無い限り両者のいいとこ取りをするのが基本なので、細部を詰めても仕方ないのかも知れませんが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年09月02日 01:19
>ところが、ちゃんと「最終回っぽい」演出も挟まないまま、それどころか、エン
>ディングテーマも無しにやっつけのエフェクトだけでセリフ割り込みとか、何考
>えてるんですかね?大体、ダルの声が割り込む時に表示されているテロップ
>が、協力会社一覧で、一番生臭い・「現実」を感じさせる物な辺りに、演出の拙>さが集約されています。

についてですが、
元からアニメは計24話と分かってるので、
あなたの指摘はちょっと的外れに思えます。
というか、もしやってたらすごく白々しく見えたでしょう。
Posted by grre at 2011年09月02日 21:01
なんていうか、ここのブログを全部見た感じ自分の好きなシーンが無かった違った気に入らなかったで全ての評価が決まってる感じが・・・ファンなのは解るんだけどね。

たぶん「跳べよ」辺りからだと思うが・・・

22話ラストにしてもそうだが、人によって解釈が違うのは面白いと思ったな。

もう少し演出家とか構成とか穿った見方しないでマイルドに見た方が楽しめるんじゃないかな?
Posted by 通りすがりです at 2011年09月02日 22:48
このブログの筆者って許容範囲が異常なほど狭いですな。
この人はほとんどの人と感覚を共有できないと感じる。
ある意味かわいそう。
まあ、突き抜ければすごい人になれるかもしれない。頑張れ。
Posted by M.m at 2011年09月04日 09:04
>この人はほとんどの人と感覚を共有できないと感じる。
俺もそう思ったのでコメ残す。
勝利宣言を絶賛してるようですけどむしろ絵がついてきていない、とは思いませんでしたか?
Posted by 通りすがり at 2011年09月04日 13:09
きつくてなんの参考にもならない、
周りと共感ができない記事ですね
Posted by k at 2011年12月05日 10:36
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