2011年09月03日

政治雑感 余りに救いがなさ過ぎる



首相がまた変わりました。変わる事で良くなる見込みなど、何もないけど変わりました。

震災後に極めて解りやすい形で露呈したとおり、わが国の政治状況には、余りに救いがありません。

こんなエントリーに意味があるとは思えませんが、状況を整理するためにも一応まとめておきましょう。


1,民主党はどうしようも無さを余す所無く露呈している
私は、管首相が巷で言われるほど無能だったとは思いません。むしろ、官僚と党のサポタージュの中、やれるだけの事はやったと思います。問題があるとするならば、支える気もないのに首相の座に彼を押し上げた、党の体制そのものです。

と言うか、あの情勢下で、「チャンスだから首相の首を取りに行く」と言う行動に出る同党の議員達は、民主主義を幾ら何でもなめているとしか言いようがありません。
震災による大被害と、露呈した原発政策の問題点によって、国民の望む事はほぼ統一されていました。つまり、政府・民主党はあの時点で、「他の全てを放り出して」人気取りをする機会を与えられたのです。「復興」と一言声を上げれば、財政再建などと喚く輩は押さえられますし、国債濫発だろうがリフレ政策だろうが、反対する者を悪者に仕立て上げられます。

なのに彼らは、勇ましいかけ声を上げようともせず、あまつさえ原発政策を擁護するような事を言い出す始末でした。原発は、55年体制下で自民党が社会党の反対を粉砕して推進してきた政策であり、彼らは思う存分安全地帯から批判して武器にする事が出来たにもかかわらず、です。

前にも書きましたが、民主党を選んだ国民が望んでいたのは「自民でない」政策であり、極言すればそれだけです。その程度の事ですら党内をまとめられないのであれば、存在価値はありません。
あんな、政治的には天恵の状態で支持率を地に這わせるって、凄い事ですよ。


2,官僚高笑い
そもそも首相の「失策」とされる諸々については、いつもの官僚のお家芸が発動している事を、何故みんなスルーするんでしょうか?阪神淡路大震災の村山内閣もそうでしたが、官僚が首相の所まで情報を上げなければ、正しい決断など下しようがありません。判断遅れや国会でのおかしな答弁は多くありましたが、大体はこれが原因です。「その程度の事自分で情報収集しろ」と言うのは簡単ですが、首相や閣僚はそんな暇な職ではありません。

本当にそのままなのですが、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の際、ゴルバチョフ大統領の所には事故の正確な報告は上がってきませんでした。被害の大きさと官僚団(計画経済のソ連においては国家その物と言っても良いです)の無能さ・責任逃れに唖然とした彼が唱道したのが、有名なグラスノスチ(情報公開)政策です。

そして、今回もそう言った官僚と電力会社(両者が一体なのは、保安院の問題や「人材交流」を見れば一目瞭然でしょう)の情報隠し・捏造が次々と露見していますが、これに対する処置は全くなっていませんね。ただの人事異動を更迭とほざいた海江田もそうですし、東電とその株主に負担を被らせる事すらできない。送電分離や国有化についても、あの始末です。

それどころか、首相が曲がりなりにも電力会社の無力化を目指した所で引きずり下ろされ、後任は原発漸減どころか規制強化策すらまともに上げてこない。

戦犯、あるいは社会の敵がどこかははっきりしてる訳です。つまり、問題は、無能な味方ではなく有能な敵です。


3,民主党潰しても悪化しかしないのが問題の中心
そして、最大の問題がここにあります。
麗しの二大政党制において、ロバが死んだら代替は象しかいません。民主党の無能にぶち切れて自民に票を放り込んでも、事態は改善するどころか悪化するわけです。
何せ、今日の事態を招いたのは、彼らの作った体制ですから。結局、保安検査を骨抜きにして、不適切立地にまで原発を立てまくって、日本列島をソ連製原子力空母(安全性的意味で)に仕立て上げた事の総括は、全く聞かれませんでしたしね。利権構造を熟知しているわけですから、本当に国難を排したいなら、その知見(……)を活かして、膿を出すための政策を政権に参加して行うべきだったでしょう。少なくとも、今回の件について、自民党に民主党を非難する資格は、1μgもありゃしないのですから。あ、公明党にはありますね。皮肉な事に。

となると、民主党の大敗が決定済の次回選挙では、自民でも民主でもない党がどれだけ伸びるかという部分しか、見るべき点はなさそうです。とは言え、共産も社民も死に体で、今まで行ってきた原発政策への批判蓄積を活かせるとは考えにくいですし、伸びるとしたら公明だけでしょう。みんなの党も、それなりの発言が見えるんですが、存在感の無さでは相当なもんですし。

勿論、自民にも民主にも、真っ当な考えて、あるいはきちんと利(≠理。民主党がまるでできてない、損得勘定の事です)を見て原発政策を批判してる人は居るんで、そう言う人は当選していくと思うのですが。河野太郎とか。
でも、それが多数派なら、こんな事になっているはずもなく……


とまあ、これが「笑っちゃうくらいどうしようもない」現状のまとめ。
いやね、原発推進続行なら、続行でもいいんですよ。でも、その大前提となるべき保安体制が、散々言われていたとおり全く機能しておらず、一部では想像以上に酷かった。とするならば、出せる膿は徹底的に出して、無能な指導部を一掃して新体制を作らなきゃ成らないわけですよ。ところが、東電の幹部はふんぞり返って税金投入を要求し、あまつさえ退職金ふんだくって悠々自適。原子力保安院なんて、丸ごとぶっつぶして内閣直属・直任の別組織でも作らなきゃ話にならないレベルの背信ぶりなのに、これもスルー。
こんな状態で、自治体の頬を札束でひっぱたいて運転再開・新立地選定をやった所で、数十年に一度のサイクルで同じ事を繰り返すのが落ちなわけです。それはつまり、政府は最低限の社会効率と安全保障に興味を持たないと言う事で、政治不信が国家不信まで突き抜けても不思議ではないレベル。

とりあえず、公明党大躍進で自公連立復活、保安政策は一切変わらず。ついでに公明躍進で表現規制も大推進、と言うのが、考えられる最悪のシナリオでしょうか。
とりあえず、向こう4年くらいは、このシナリオから「どの程度マシになったか」の良かった探し位しか、希望を持つ余地はなさそうです。

例の児ポ法改正案も、こうなると止まるでしょうねえ。解散総選挙待てば圧勝できるって解ってるのに、今民主党に対して妥協する意味、自公にはないですし……



こうして原発被害は広がった 先行のチェルノブイリ
こうして原発被害は広がった 先行のチェルノブイリ

↑今回の件で良かった探しをするならば、世紀をまたいで忘れ去られた過去の事故関連の文献が、復刻されて手に入りやすくなった事でしょうか。
昔はこの辺を読んで、ソ連に対してアネクドート的「笑うには深刻すぎるブラックジョーク」を感じた物ですが、我が偉大なる祖国も、あんまり変わりませんでしたね……




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この記事へのコメント
いつも参考にさせていただいています。
それにしても今回の原発事故への対応には心底がっかりしましたね。
問題ある組織が山ほどあるのにどれも変えようとせず、
あまつさえ国民に増税を強制しようというのですから呆れます。
これほどの国難に見舞われて、この体たらくなのですから
やはり日本という国は、自発的には変われないのでしょうね。
Posted by 一郎太 at 2011年09月05日 16:28
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