2011年09月14日

アニメ版「シュタインズ・ゲート」 第24話 感想



STEINS;GATE Vol.9
STEINS;GATE Vol.9


原作(ゲーム版)と前話までの感想はこちら

途中から「最後まで見る」と言う事だけを目標に視聴を続けてきた、Steins;Gateも今回で最終回。第24話「終わりと始まりのプロローグ」です。



蝉の音と夏の黄昏。最後の最後、今から最終決戦という時にあえて日常を意識させる描写なら、優れた演出と言えます。ただ、結局この作品は、パワーと勢いの無さを静かな演出で誤魔化し続けてきたので、手垢にまみれてしまって何も響きません。結局最後まで、演出に緩急を付けると言う事が出来ませんでしたね。


緩急が付いていないという事の意味は、使い所・力のいれ所を決定的に間違え続けたと言う事です。
この、「Hacking to the gate」2番の歌詞を使うオープニングは、最終回の演出としてはとても良くできています。しかし、歌詞の内容にそぐわない前回冒頭で使ってしまった為に、威力は大幅に減殺。


この、オカリンの宣言から、わざわざ肩すかしの展開を入れる脚本も。
原作で一瞬で流した「サイリウムセーバー使えねえ」と言う話に、なんでわざわざ数シーン費やすのか。最終回ですよ。ラストになだれ込む所ですよ。そうやって毎回毎回変なブレーキをかけるから、シナリオの矛盾点や演出のズレに一々引っかかることになるんです。特にここは、タイムマシンが時間線を移動しないまま2度同じ過去へ行ってコンフリクトも起こらないという、作中もっとも「考えさせちゃダメ」な場面なんですから。

まゆりが、リーディングシュタイナーを発動するシーンとかもね……
切り札は最後まで取っておけってのは、常識でしょ?なんでそう言う基本を、一々蔑ろにするんですか?個々のポイントでは上手いシーンを描けているにもかかわらず、全体の構成で見るとバランスがおかしく歪になる。そんな所だけ、最近のジブリみたいにしなくても良いのに。


そして、そんな引き延ばしや、中鉢の顔芸で時間を稼がないと今回の25分が埋められない辺りに、また尺の取り方の破綻が表れています。やっぱり、前話一回で終わらせられましたよね、この話。いっそ、一回失敗する展開自体を省いてしまえば、もの凄くスッキリしたと思います。


この、岡部がラボメン達を訪れるシーケンスは、さわやかな空の描写と相まって、とても綺麗に決まっています。決まっているのに、つながりが弱い。物語と視聴者の心情を盛り上げていく、一本の線が見えてこない。
繰り返しますが、個々に良いシーンがない訳じゃないんですよ。全体の構成がグダグダだっただけで。


一方、個々のシーンの内容で言えば、ラストが下手くそな報道番組状態の、アップばかりのカットで構成されているのは意図不明。あれは、人混みを背景に人物を並べる古典的なカメラワークのパロディ/オマージュなわけで、奇をてらっても何にもなりません。べたべたのお約束展開を、今までの蓄積で押し切るシーンなのですから。

まとにかく、当初の期待とは裏腹に、アニメ版Steins;Gateは、残念な印象のまま終幕となりました。全話見きると言う目的は果たしたので、一応満足というかほっとしたと言っておきましょうか。何にせよ、古典的なネタに沿うならば、「もういいや、次行ってみよう」と言う感じです。
原因は恐らく、予算が少なすぎ、放映期間は長すぎた、とまとめられるんじゃないでしょうか。


それにしても、劇場版ですか…… 2時間に圧縮して演出をやり直せば、結構上手くまとまるんじゃないかと思いますが、余り期待はできそうにありません。




当BLOG内の、その他、「Steins;Gate」関係のエントリーはこちら
当BLOG内の、その他、アニメ関係のエントリーはこちら








同じカテゴリー(アニメ・映像系)の記事画像
「HELLSING X 上映イベント」に行って来ました
アニメ PSYCHO-PASS #06 「狂王子の帰還」 感想
アニメ版「リトルバスターズ!」 第6話感想
アニメ PSYCHO-PASS #05 「誰も知らないあなたの顔」 感想
アニメ PSYCHO-PASS #04 「誰も知らないあなたの仮面」 感想
アニメ版「リトルバスターズ!」 第5話感想
同じカテゴリー(アニメ・映像系)の記事
 意志決定の機会を与えられない物語『この世界の片隅に』 感想 (2016-12-07 00:00)
 「作家性」とは歪さと見つけたり/『君の名は。』感想 (2016-09-08 00:00)
 面白いのが一番!『ゴーストバスターズ』リメイク版 感想 (2016-09-02 01:00)
 素晴らしい、そして欠点だらけの怪作 『シン・ゴジラ』感想 (2016-08-04 00:00)
 これはダメな映画では? 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』感想 (2015-07-10 00:00)
 酷いなこりゃ 映画版Steins;Gate 『負荷領域のデジャブ』 感想 (2013-05-02 00:00)

この記事へのコメント
色々と書こうと思ったけど、これ見てやめました。

>自分の解釈云々については、そりゃ当たり前でしょ。
>解釈の根拠は書いてますし、感想ってそう言う物です。
>責められるとしたら、事実誤認がある場合ですが、
>今回にせよ村正にせよ、解釈の部分ですしね。

これはとある批判コメントを受けてあなたがレスしたもの。

これって要するに、「俺の解釈はお前と違って当然だ、よって感想や解釈に関しては批判は受けない」と解釈しました。

コメ欄なくせとは言いませんが、そういうことはどこか目立つように書いておいてもらえませんかねぇ。出来れば毎回、エントリの最初に。
Posted by C204 at 2011年09月21日 16:39
拝読させて頂いております。
個人的にはアニメ版も大好きなんですが、私も演出には?となることが多々ありましたので、貴方の書かれる感想に納得させられることが大分ありました。
あと蛇足ではありますが、アニメ関係には盲信的なファンの方が多数いらっしゃいますので(勿論そんな方ばかりでないことは存じております)、もし余りに常識の無い書き込みが続くようでしたら、コメント欄を閉鎖された方がよろしくかと…
私などが一々申し上げることではないとは思いますが、近頃の自称良識的なシュタインズゲートファンの方々のコメントが酷かったので…では、長文失礼致しました。これからもブログ、楽しみにしております。
Posted by いつも楽しく at 2011年09月21日 17:00
>上の方
「あなたがそう解釈したなら、そうなんじゃないですか?あなたの中では」
ですませても良いのですが、一応説明してあげると、「感想」の情報価値はどう言う立場・前提から発せられたかが重要になります。どれくらいやったのか、どう言う立場でやったのか、そう言う事ですね。
感想が単に批判するのではなく責められるとすれば、これを偽った場合です。最後までやってないのに最後までやったと言って書くようなのですね。組織的になると、ブラック・プロパガンダやステルスマーケティングと呼ばれます。

そこさえおさえておけば、後の解釈については単なる意見の違いに過ぎません。そして、別に意見を書いていただくことは多々ありますし、それも一理ある、と納得することも多いのは、当たり前の事ですね。
そもそも他人の感想を見るという行為自体、一番面白いのはそこだと思いますが。好きな作品でも意外な欠点に気づかされたり、嫌いな作品の隠れた美点に気づいたり。

あなたが引用したコメントは、最後までやらずに内容を判断して感想を書くな、と言う無茶を言う方に対して、そう言う当たり前の事を指摘しているわけです。


>下の方
助言ありがとうございます。一応、対応不能な炎上や粘着を受けない限り、できる限りコメント欄は閉じない事にしています。アレな方を基準に閉じて、ありがたい感想や、面白い視点を提供してくれる批判まで不可能にしてしまうのは、勿体ないですし。
幸運にして、今までそこまで行ったことはありませんが。
私だけでなく閲覧者まで不快にさせる、極端な罵詈雑言は削除しているのですが、見苦しかったら申し訳ありません。

どうしても批判文は、気に入った方には不快に感じられる内容になるかと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年09月21日 19:20
まゆりのRSは、RSの説明を前倒してラストを簡潔にする為と妄想。
ラストのアップ多用は、最後の引きのシーンと対比させる為と想像。
それが良いかどうかは人それぞれでしょうけど。
Posted by m at 2011年10月02日 16:32
それにしても、劇場版ですか…… 2時間に圧縮して演出をやり直せば、結構上手くまとまるんじゃないかと思いますが、余り期待はできそうにありません。
Posted by aho at 2011年10月30日 03:10
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。