2011年09月19日

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」 感想

俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル
俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル


ラノベ原作。恋愛AVG。メディアワークス。PSP...

これらの要素が悪魔合体する所、どんな外道スライムがコンゴトモヨロシクするかは、皆さんよくご存じかと思います。
従って、発売日に購入したこのソフトが、今まで部屋の隅で積まれ続けていた事については、共感して頂ける部分も多々あると思います。

まあ、ぶっちゃけると、「情状酌量の余地ありますよね?」と言う話です。

で、私が怒りではなく土下座モードに入っている事から自明なように、予想外に、面白いソフトでした。信じられない話ですが、本当です。
と言っても、プレイしたのは主に原作者が書いているシナリオですが。
ノベルとノベルゲームの才能って、かぶる所が多いんですね。よく考えると、文章の簡略化に命を賭けるライトノベルは、脚本に近い物になっていくので、親和性が高いのでしょう。

と言うわけで、今更も良い所の、PSPゲーム「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」の感想です。

まず、私が買ったのは「ずっとこのままパック」=通常版です。ですので、とりあえずおまけ小説から手を付けました。
内容は、本編ゲームの後日譚。あるキャラクターとくっついた後の、エピローグと言う事になります。(ゲームやる前に読みましたが)
これは、叙述トリックを前提に読み進んでいる読者を上手く引っかける、出来の良い小品でした。が、トリックのおかげで、当て馬にされた某キャラクターが、とてもとても可哀想な事に……
読後に不自然さを感じてしまう辺り、ちょっと評価は厳しくなりますね。って言うか、京介と桐乃、ちゃんと彼女の事を回想してやれよ!

一方、ゲームに非常に力を入れた事が解る原作者あとがきに、「あ、しまった。もっと早くやるべきだった」との思いを新たにした所で、本編起動となりました。


まずオープニングですが、「何だアニメの使い回しか」と思いきや、カットだけでなく立ち絵型イベント用のCG(ハルヒのゲームなんかでも、これは定番になってますね)を織り交ぜて、中々良く作られています。元々こう言う差し替え前提で作られていたアニメOPだけに、違和感がないんですよ。実に、コストパフォーマンスの良い仕事をしていると思います。

それにしても、トゥーンシェイドの技術進歩には、本当に目を見張る物があります。ときメモ3やゆめりあから始まって順調に進歩し、適切な予算と時間をかければ、本当に違和感なく動くようになりましたね。
こういっては何なのですが、この立ち絵もどきのアクション(あくまでも動きの話ですが)は、「アニメよりも自然」なのです。漫画的なデフォルメから出発しているアニメ表現に対し、そう言う誤魔化しが効かない立体CGは、別方向の進化を遂げつつあると言う事なのでしょう。勿論、両者を使い分ける事で、表現の幅が広がっていく事になる、素晴らしい話なわけです。

ちなみに、ゲームになると良く別人28号が登場するキャラデザですが、気になるのは桐乃が若干細くなっている(主に腕)くらいでしょうかね。別に違和感はないですし、むしろ可愛らしさが前面に出ている感じで、これはこれで。
他は、加奈子はかなり可愛いがあやせは表情パターンが微妙、幼なじみは何か歪んでいる気がするけど元が地味なので気にならず、と言う感じ。全体的に、手堅くまとまっていると言えるでしょう。

なお、ゲーム版における設定は、原作者曰く、原作とアニメのいいとこ取り。でも、初っ端から京介の部屋の上にデスクトップパソコンが鎮座している辺りは、チェック漏れでしょうかね?
一方、例の作中における携帯小説の扱いについては、ある程度原作に寄せてありますが、基本はアニメ版。何せ、携帯小説ではなくラノベで、名前はアニメ版の「妹都市」。ただ、京介が、「黒猫と一緒に編集部まで乗り込んだ」と言っているので、原作の編集突撃イベントがあったという扱いになっています。良いことですね。あのイベントを無くしてしまったのは、アニメ版における、完全な原作に対する蹂躙行為でしたから。
つまり、設定的に「筋は通した」と見て良いと思います。


ま、そんな事はどうでも良いんですが、売りのツーショットシステム(上で書いたCGが使われるのはここ)が、とてつもなく理不尽な代物なのは、さすがメディアワークスと言うべきか……

要するに、「キャプテン・ラヴ」(って、これもプレミアか!)の論撃バトルみたいなもんなんですが、「突っ込むか否かしか選べない」「事前にツッコミの内容がほとんど分からない」「多くの場合、選択肢が正しかったのか解らない」の三重苦。せめて、選択次第で”ピンピロリロリン”とかSE出せよ、と言いたくなります。
あげく、「突っ込まない」選択肢を選ぶ方法が、選択肢が表示されて一定時間経過、と言う鬱陶しい物のため、余りにストレスフル。

でもまあ、その辺はセーブ&ロードの力押しで何とかなるので、我慢できます。セリフコンプとかやろうとすると、多分うんざりさせられるでしょうが。


そして、もっとも重要なポイントである、各ルートの感想。と言っても、クリアしたのは原作者担当の2ルート+αだけです。


・加奈子ルート
原作者謹製。加奈子のキャラが光ってますが、オチは投げっぱなしに近し。要するにおまけルートです。


・赤城兄ルート
いわゆるバッドエンド。でも、こいつ等本当に楽しそうだよね。


・禁断の百合エンド
あれで犯人が解らない、主人公のぼんくらさに乾杯。色々と無理があるので、おまけシナリオとしても今ひとつ。しすしすをプレイしていた時の馬鹿狂ったノリで行った方が、面白くなったと思います。
なんて言うか、表面だけなぞった同人誌という感想で、こんなん公式でやらなくても…… と言う感じ。


・桐乃編
ビックリするほど印象の薄いシナリオ。今時記憶喪失ネタで引っ張るのはまあ良いとしても、肝心の桐乃の過去やオタクになった経緯が原作におけるマスク情報のため、適当な流れにしかならず。原作者がインタビューで言っていた「全部お前が書けと言われた」との意味を再確認。
と言うか、やっぱり原作者以外がシナリオでっち上げるのは、違和感のインキュベーターにしかなりませんよね。


そして、本命と言うべき……


・あやせルート
加奈子ルートと共に、原作者が書いているルート。やはりポイントは、登場人物達を思う存分動かせる所でしょう。桐乃のキモオタぶりは他ルートの追随を許しません。また、基本的な話のクオリティも高く、普通に新しい短編を読んでいる感覚です。
「女子中学生(妹の友達)と並んでギャルゲープレイ」みたいなキッツイ馬鹿シーンから、盛り上がる告白シーンまで、作者の本領発揮。って言うか、あやせさんが色んな意味で本領発揮してます。「このゲーム、全年齢版じゃないのもあるんですよね!?」には大爆笑。

それにしても、あやせが可愛いです!原作そのままの描写なのですが、ゲームの演出がラノベであれば「地の文」が果たす役割を代替し、もの凄い情報密度で迫ってきます。
話の展開も、ちゃんと原作での描写を踏まえて処理されていくので、正に「あったかも知れないルート」として納得して見ていられます。あやせのやって居る事は滅茶苦茶なんですが、行動原理は明示されているので違和感はありません。作中で使われる京介との関係をソフトランディングさせる道も、原作で解りやすいほど提示されていましたしね。あとは、ほんの少しあやせを素直にするだけです。
そして、京介先生は、本当にイケメンなので、基本的に誰とでもくっつけるのです。原作の感想で散々書いてきましたが、彼は凄いですよ。

ただし、エンディング(ノーマル)だけは最低。どう言う代物かというと、本質的に8巻ラストと同じ話です。
はっきり言って、煮え切らない態度を取って(ガンパレ的)天罰を食らうバッドエンドの方が、余程筋が通っています。あのノーマルエンドでは、京介と桐乃は刺されて死ぬべきかと。

ところで、あやせルートのハッピーエンドはフラグ管理がおかしく、単に引き継ぎデータを使って、取得O.R.E.欄に「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」が存在するだけではたどり着けないのは、どう言うことでしょうね。恐らく、ツーショットごとに好感度管理が行われているんだと思いますが……

閑話休題、ハッピーエンドは、きっちり「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の物語に終止符を打っており、納得できる内容でした。主人公二人がきちんと心情を整合性をもって表明していれば、別に長々とした描写など要らないという好例でしょう。

と言うかですね、8巻のラストが、これじゃダメだったんですか?展開の対象をあやせから黒猫に変えれば、このまま使えたはずです。そして、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と言う物語の本編は、8巻でとても綺麗に幕を引けたはずです。

何度も言うように、元々「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は短編集等を入れ込むための隙間を、時間軸上に多く残しています。このため、例え本編が終わったとしても、エピソードを後付けで追加する事はいくらでも可能です。
もし、恋愛関係が清算されると読者のモチベーションが落ちるというのなら、ラスト直前で話を休止し、短編集のラッシュで出版部数を稼ぐという、折衷案をとれたはずです。少なくともこれらは、本編のシナリオラインを滅茶苦茶にしてしまった8巻の内容に比べれば、余程誠実な方法だったはずです。

と言うか、恋愛物としてみた場合、最初から結論は出ています。少なくとも、妹がヒロインたり得ないのは、3巻以降繰り返し表明される「俺は兄貴だから」の科白で明言されています。そして、(主に心と行動力の面で)イケメンの主人公をもってすれば、きっかけさえあればどのサブキャラとくっついてもおかしくはありません。
その意味で、一番(と言うより唯一)やってはいけないのは、主人公をブレさせる8巻の展開で、そこさえ避ければ、誰とくっついても説得力のあるシナリオラインを作れたはずなのです。

ギャルゲーフォーマットのこのゲームをプレイし、この事を再認識させられたため、やはり8巻が残念でなりません。恐らく一番傷を少なくして物語を幸せな結末に導くには、多少強引でもエンディングに駆け込むのしかないと思います。
しかし、ゲーム第二弾や、恐らくそれに続くであろうアニメ第二期のことを考えると、終わらせるという一番単純かつ正道の流れが、途端に茨の道になるのですよね。その辺を含めて、ため息を吐きたくなる状況です。



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