2011年11月20日

輪るピングドラム 第19話 感想

輪るピングドラム 7 (Blu-ray Disc)
輪るピングドラム 7 (Blu-ray Disc)


↑この作品、これだけ力が入っているのに、売る側に今一情熱が薄く感じられるのが気になるところ。商品仕様(収録話とか)くらい、公開しておけばいいのに。


前話までの感想はこちら

多蕗の暴走と脱落で、ゆり VS 真砂子の対決と十年前の事件の真相が当面の焦点となるであろう、ピングドラムの19話です。ただ、それらがあくまでも、世界の秘密や超常の力に関する決着への前段階だと言う事は自明。物語が進むべきフェイズ・工程が見えやすいのは、この場合、行き当たりばったりではなく丁寧に作られている証拠でしょう。


第19話「私の運命の人」



と言うわけで今回は、初手から冠葉が両親と密会しているシーンで幕を開けます。
二人は普通の両親のような顔をして冠葉に接し、冠葉の側も誉められて照れるなど、まるで平和な家族のよう。しかし、冠葉にしてみれば、あの二人は家庭を破壊し愛する陽毬の夢を奪った存在。内心が単純ならざるは自明ですが、一体どう解釈すべきなのか?

それにしても、あれだけの事をし、子どもの生活も滅茶苦茶にしたあげく、いけしゃあしゃあと「家族」とか口にできるあの両親も、ゲロ野郎なのは間違いなし。本当に、ろくな親が居ませんね。欠損家庭で育った子ども達の群像劇、とまとめると、余りに安っぽくなるところですが、一見どの家庭も理想的に見えていた辺りがポイントでしょうか。GANTZや闇金ウシジマくん型の、底辺崩壊過程は一つもありませんから。


一方、一話(?)以来の学校シーン。
学校のシーンがずっとオミットされていたのは、二人が社会から孤立していると言う事を隠すための叙述トリックかと思っていましたが、特にそう言うシーンは描かれず。


なお、カラフルな自宅の光景も、久しぶりに登場。直前のドシリアスなゆりのシーンの後なので、とてもいやされる映像です。結局、コミカルなペンギン達もファンタジーな自宅も解りやすく色物だったリンゴも、洒落にならないほど深刻な話を和らげる緩和剤なのでしょう。
勿論、単なるシナリオのコマではなく、単品で異常に良くできているというのが、この作品たるゆえんなのですが。


「快適な居場所の作り方」は、恐らく「自分の居場所の作り方~仕事とプライベートがうまくいく!認められるための18の方法~」という本のパロディ。著者はピングドラムのが「森下広道」で、元ネタが「森下裕道」。ただ、出版社は新潮でも岩波でもないのですけどね。あと、内容は腐るほど出ている自己啓発本の類。
おそらく元ネタの方に、陽毬の心情に合わせた物でしょう。

その他の本については、もういいですかね。


今回で、まずゆりと真砂子の決着がつくかと思ったのですが、先に真砂子が陽毬相手に動くとは思いませんでした。

しかも、適宜コミカルな背景や漫画的表現(光るおでこも、陽毬の極端に大きな目も)で緩和しては居ますが、彼女がぶちまける内容は陽毬のアイデンティティにクリティカルヒットする内容。
いやあ、お約束と言えばお約束の設定なんですが、ここまでの蓄積によって血肉を与えられているために、シニカルな反応を返す事はできません。即座にその設定を組み込んで今までのシーンを再解釈し、信用できる/できないと、どのような意味を持つかを再演算しにかかる方向で、頭がフル回転します。


幼少期の陽毬はより一層可愛いなあ!
などと言う雑念は、むしろ加算される情報量に脳がショートした事の裏返し。子どもブロイラーは結局何の暗喩なのか?(恐らく、多蕗のそれと陽毬のそれでは、意味が違っているのでしょうが)晶馬と冠葉(陽毬は晶馬しか上げていませんが、神庭の声も混じってますよね)にも、「運命」にまつわる力があるのか?そしてそれは、オウムもどきの事件とどう絡むのか?
恐らくこれらの疑問全てに、具体的な回答が与えられるわけではないでしょう。重要なのもの・シナリオのテーマは、暗喩をはぎ取った後の真実ではなく、正に登場人物達がたどる「運命」なのですから。


と言うわけで、良い意味で予想は裏切られ、真砂子とゆりの対立は一旦棚上げされ、ここまで空気だった主人公にスポットが当たりました。このまま行くと、前者の対立は止揚され、物語はクライマックスに向かう可能性も出てきます。

ところで、「氷の世界」ですか。確かにリンゴも出てきますし、接した時の「訳が解らないけどすげえ!」と言う感覚や突き抜け方は、作品としてかなり近い物があります。



しばらく、iTunesの再生リストに放り込んでおきますかね。


と言うわけで、今回も、ずっと目が離せませんでした。次回も、きっと目が離せない展開になるでしょう。
それを楽しみに、また来週。




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