2011年12月04日

輪るピングドラム 第21話 感想

輪るピングドラム 7 (Blu-ray Disc)
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前話までの感想はこちら


極端な演出のマスクが段々と外れ、残酷な童話のような現実が顕わになってきた、輪るピングドラムの21話です。


第21話「僕たちが選ぶ運命のドア」



冒頭。ゲスいゴシップ誌の名前が、増刊号風のおまけ(「ペンギンDX」)がついているとは言え、実在雑誌とはビックリ。このレベルだと、間違いなく許可が出ているはずです。その、自らの立ち位置を露悪的に押し出す姿勢の潔さに、拍手したいところ。

ちなみに、件の雑誌のWEBページはここ

まあ、間違っても視聴者が書店で手に取る方向性のものではないわけですが、心意気は買いたいです。


そして、陰鬱な現実をマスクしてきたシェルターであるあの家の姿にも、合理的な説明が付加されます。人を食った演出の霧は徐々に晴れ、それが覆い隠していた地上には、希望はほとんど残らない。


こう言う大転換って、極端に短いサイクルで作品が消費されていく昨今では、とても難しいんですよ。私が絶賛するまどか☆マギカにしても、転換は大体3話1サイクル程度で行われ、間違っても二十話近く視聴者を待たせたりしませんでした。勿論これは誉め言葉です。転換前の「ため」の部分を、そうとは気づかせないまま、十分に魅力的に描き切って居たのですから。


そして、疑っていたとおり、やはり高倉=真犯人と言うのはブラフ。おお、前回の予想が当たった!でも、ピングフォースが事件を起こした事自体は事実なんでしょうか?まだ予断を許しません。
と言うか、高倉両親は単なるブラフというか使い捨てにされただけで、実は死んでいるとなると、オウムもどき事件の真相は一体何なんでしょう?運命を選択する力を持った桃果と医者は、何をどうやって戦ったのか?
説明せず想像に任せるのかと思っていた演出に合理的説明を加え、色々な物を赤裸々にして行った今話の展開を見ると、その辺も明らかにされそうな感じですね。


まとめると、真砂子と冠葉は兄妹。陽毬は貰われっ子。
しかし高倉父は、本来の真砂子・冠葉の父親ではないはずです。前回のコメント欄で指摘があったとおり、前話で真砂子が高倉父の話を聞きながら、「次」が「私たちのお父様の話」だと言っていますから。
しかしそうすると、真砂子が冠葉をさして「父とあそこに残った」と言っているのはどう言う事なのか?二人が残った「あそこ」とは、単に企鵝の会の事なのか?また、真砂子達の父は何故死んだのか?そして最大の問題、晶馬は一体何なのか?

一応、パズルを埋める要領で考えれば、晶馬と高倉両親が本当の親子で、ピングフォースの幹部、と言う事になるのですが、そんな単純な話でもないでしょう。


さて、単に演出としてではなく、現実的に厳しい現実に対する防波堤だった家族も決定的に崩壊。


冠葉が手を汚す事も、企鵝の会残党の危険性もストレートに表現され、もう後戻りはできません。そして、彼の動機は余りに純粋で、また主人公らしく、誰にも否定する事はできない。

つまり、主人公たる晶馬とそして陽毬が取るべき道は、限られる事になります。つまり、冠葉を止めて陽毬が笑って死ぬか、冠葉の暴走を許して陽毬を救うか。勿論第三の道が用意されるのが物語の基本ですが、そこに棚ぼたで収まってしまったら、何の意味もない事は言うまでもありません。

となると、結局医者と桃果が争ったであろう運命の転換、生存戦略をどう選ぶかが、その道への関門および代償を伴う選択として、前面に出て来るのでしょう。これだけ見るとセカイ系全開ですが、物語は幻想に逃げるのを許さない描写へと進んでいますから、どう料理されるか本当にドキドキしながら見る事になります。


16年前の事件で壊れた心をより合わせた疑似家族は壊れ、その事件で桃果が命に代えて守った(?)二人は今話終了時点で生死不明。
↑の、ついに小芝居コントを放棄して、哀しく半分のバウムクーヘンを見つめるだけのペンギンの、なんと象徴的な事か。


この見事なデッドロック状況から、発破をかけて話を動かせるのは、恐らく16年前の事件に原罪を持たないリンゴだけでしょう。
でも、ヒロインの叫び一発で引っ繰り返すには、余りにも現実が現実的すぎます。

本当に、決着の付け方が見えません。とにかく来週を待つしかないわけですが、まだ隠されたままのピースにどんな絵が描かれているのか、気になって仕方がありません。


親に捨てられた心を救った女神に、子ども達は忠誠を誓い、戦い続ける。その女神が何を望んでいるかなど、もはや顧みる事はなく……

この心の苦しさは、間違いなくエンディングで昇華される(苦味か甘味かはともかく)と信じて、続きを待ちたいと思います。




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