2011年12月12日

野党になっても変わらない不思議/自公、違法DLに罰則付与へ

今まで何度も取り上げてきたダウンロード違法化問題ですが、自公は何の恥じらいもなく、次の段階へと歩を進めにかかりました。
ちなみに、DL違法化自体の危険性については、関連エントリーでもどうぞ。端的に繰り返せば、胸先三寸で誰でも犯罪者にできる曖昧性と、利用者にも関連産業にも多大なリスクを負わせる(幇助罪、と言う恐ろしい概念がございまして)社会発展阻害と、そもそも正当性・導入利益が論証できていないノー・エビデンスっぷりが問題なのです。
と言うわけで、今回の主題となる記事。↓


違法ダウンロード処罰へ法案=自公(時事ドットコム)


政権獲得以降の民主党が、腰砕けと敵前逃亡と無意味な内紛のトリプルプレイで絶賛自滅の道を歩んでいるのは、皆さんご存じのとおり。
しかし、前にも書きましたが、最大の問題は、民主党がろくでもない事では無いのです。政権党がろくでもないなら、すげ替えればいいのですから。民主主義はそのためのシステムです。
問題は、すげ替える先となる自公が政権失陥による反省も何もなく、むしろ訳の解らない方向に尖鋭化を進め、戻しても余計酷くなる未来しか見えないところです。このまま行くと、大阪の状況が全国で再現されて何の不思議もないでしょう。不満を受け止める皿が、既成政党に存在しないのですから。


と言うわけで、連中の立場を端的に示す提案が出てきました。

この事案はそもそも、関連産業からのゴリ押しによって反対論を封殺し、パブリックコメントに至っては豪快に無視する事で強行された、文字通り負の遺産です。ついでに言うと、その成立には、調停者としての立場など最初から知らぬ気に、関連団体のスポークスマンと化した文科省が主導権を取っています。いや、文字通りね。審議会での反対論が1名、パブリックコメントが9割反対という時点で、委員を選出した側がバランスクソくらえで目標達成に邁進したのは自明でしょう。

さて、本来なら、政権から脱落して文科省に義理立てする必要が無くなった時点で、(与党が出してくる法案とは、一部の議員立法を除いて単なる官僚の作文です)当然見直しを迫られる項目だったはずです。それが自浄作用という物でしょう。ところが、彼らは恥知らずにも、こう言う行動に出る。とてもじゃないですが、次期政権として期待などできはしないわけです。(ま、選挙には勝つでしょうけどね。投票率がどこまで落ちるか楽しみではありますが)

つまりこの件については、(後回しと言う消極的理由であれ)差し止めている与党と、推進したくてたまらない文科省、そしてそれに協力する野党という、見事なねじれ現象が発生しているわけです。野党のくせに官僚に協力する自公も大概ですが、自分たちの意見を通すのに野党を代弁者にする官僚って、それもう行政権の範疇から逸脱してますよね。

上記時事ドットコムの記事は、恐らく自公のプレスリリースを引き写したのでしょう。相変わらず、DLが与えている「損害」の論証もない上に、開いた口がふさがらない事に、

>従来、違法なアップロードは著作権法で処罰対象とされていたが、ダウンロードには刑事罰が科されていなかった。

などと言う文言で結ばれている始末。そもそも違法化自体が滅茶苦茶なんですよ!
基本的に日本の法律は、「どんな人間でも違法にしようと思えば違法にできる」ようにできていると言っても過言ではありません。嘘だと思うなら、軽犯罪法を読んでみると良いと思います。これと劣悪な被疑者保護システムが、警察が奇形的に大きな権力を持ってしまっている元凶です。
まあ、国民が支持しているから仕方ないんですけどね。小沢一郎の件とか、「どうせ悪い奴なんだから理由はどうでも良いから裁いちまえ」と言う考えで、検察を支持している連中がどれだけ居るか。あんな露骨な脱法捜査で、大物政治家「ですら」攻撃できるという事の恐ろしさに、いい加減気づいて欲しい物です。

しっかしまあ、「2年以下の懲役か200万円以下の罰金」ですよ。これがどれほど凄いかというと、暴行罪の「2年以下の懲役か30万円以下の罰金」より重いんです。本当に、時代遅れの関連産業は、自分たちの基盤を蚕食するネットワーク社会自体を、消し去りたくて仕方がないのですね。
言うまでもありませんが、違法ダウンロードを行わないネット利用など現状不可能ですし、懲役刑を振り回してまでそれを止めねばならない理由など、全く提示されていません。法律・制度というのは、導入によって必ず副作用が出るので、有用性がコストを上回るという論証を厳密に求められます。本来は。そして、そう言った論証・計算を正確に行えると言う事が、官僚の自称する「優秀さ」の意味だったはずです。建前上は。先頃話題になっていた、スイス政府の報告書などは、まさにその辺を厳密に考えるとああ言う結論にならざるを得ない、と言う事を示すに過ぎません。同様の研究は、幾らでも出ていましたしね。

そろそろ、「発狂」と言う言葉を奉っても良いんじゃないかという状態に達しつつある民主党とは言え、まさかこれに賛成するような事はないと思うのですが、何にせよ次の政権には何も期待できなそうです。

日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか
日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか

↑ダウンロード違法化の背景と経過について、非常に簡潔かつ解りやすくまとめられた良書。この事案を追いかけてきた者にとっては、関係者暴走の総決算的な資料となっています。
これからこの問題に関わる場合には、基本的事例を押さえる上で必読の書になると思います。




その他、当BLOG内の著作権関連エントリーはこちら





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