2012年01月16日

機動戦士ガンダムAGE 第14話 感想


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第14話「悲しみの閃光」



冒頭。CMあけのバラエティ番組のごとく、長々と前回のおさらい。
この、散々揶揄される集中線を多用する一枚絵も、前回書いた「動く画面を作れない」の象徴ですわな。背景を動かすのが苦手な携帯ゲーム機が、漫画の技法を真似て使って来た、一種の手抜き演出ですから。


で、要塞が攻め落とされつつある状況なんですが、これまた実は演出が失敗しています。
大型火砲をぶち込み、特攻を回避したこの時点では、画面も話の展開もスピードが命。「防衛戦にあいた穴が塞ぎきれない内に主人公艦隊側が突っ込んでくる」と言う風にしないと、実質新型艦一隻と新型MS二機(あとはただの弾よけ)に正面から落とされるUE側が、弱体に見えてしまうのです。演出すべきはあくまでも、「主人公達が凄い」であって、「UEが弱い」ではありません。と言うか、正攻法で本拠地が落とせるなら、本当に今までの話は何だったのかと言う事になってしまいます。

繰り返しますが、これが正に「動きを描けない」と言う事なのです。敵要塞に肉薄すべく全艦が突撃する(しているはずなんです。戦略画面によると)前半のシーケンスは、スピード感と動きをつけて描けば、本来一番盛り上がるところなのですから。
せめて画面内での相対位置を動かすとか、それを加速をかけつつ処理するとか、CG化の恩恵で簡単にできるようになった安上がりで有効な基本技を、何故使わないのか。


戦艦・モビルスーツ・要塞。全部が画面の中で動かず、背景も流れず、少し動いてもすぐに人物のアップやスローに移行してしまう。しかも、そのスローは毎回、(本当に毎回!)フリットなりウルフなりが横やりを入れて救う展開へつながる一つ覚え。
UEが加減速を繰り返し、急ターンで切り込んでくる↑直前のシーンとかは凄く格好良いんですが、すぐにご覧の通り。演出が出来ないわけじゃないのだとすると、予算が削られて外連味のあるシーンを作れなくなっていると言う事なのかもしれません。
技術力は上がってきたけれども、先立つ物は無くなっている、と言う状況でしょうか。この分だと、AGE自体が打ち切りの憂き目をみても、レベル5は失敗を糧に腕を上げて良い仕事をするようになっていくんじゃないでしょうか。その意味では、ロングスパンで今後に期待できそうです。


甲板上で活動する衛生兵を、子どもにやらせるなー!!
まあ、もっと突っ込むべきは「安全なところにいればいいのに」とか言うラーガンですが。そう思うなら、戦艦に乗せて連れてくるんじゃねえ。しかもこの戦艦、着上陸かける菊水作戦予定してるんですが……


一方キャラの面では、迷いなく無邪気に邪悪なショタが、実に素敵で使い勝手が良さそうですね。性的薄い本的意味で。後半の、涙流して震えてるシーンとか、夏の海辺の薄い本(そもそもAGEをネタに選ぶサークルがある程度あれば、ですが……)でそのまま使われそうな勢い。

一方、ユリンの機体は酷いですねえ。(実はもっと酷いのはパイロットスーツで、そのせいでコクピットで彼女が叫ぶシーンがまるで映えないのですが)

そして、後半の展開は実に問題がありまして、前半終了時に提示された目的「要塞への着上陸」が全く進行しないんです。三機入り乱れての戦闘自体は、初登場のファンネルの存在もあってそれなりに見れるのですが、そこで主人公が戦っていることによって戦局がどう動くかが全く提示されません。本来なら、「立ちふさがっているデシル機を倒すことが着上陸の条件」となっていたはじめてボスキャラとしての意味が出て来るんですが、描写内容は「三機が主戦場と別の場所で勝手に決闘してる。作戦?別に主人公無しで勝手に進んでるよ」と言う代物。戦術と戦闘が分離してしまっており、盛り上げる回路を欠いています。


スローモーションで救援フラグ経由、ララァイベントの適当コピーへ。


さて、動かないのを逆手に取った11話の演出もそうでしたが、この長々とした内面対話は悪くありません。と言うか、そろそろ解ってきましたが、「ロボット物」「戦闘物」が苦手&脚本がへぼいだけで、作画力等は決して低くはないのですよね。


ただ、テーマ的には本当にメタクソで、彼女の死には「意味」がありません。
ファーストガンダムにおいて、ララァやダブリンの少女の死は戦争の悲劇を、ライバルや戦友達の死は戦場の厳しさを描くための物でした。翻って、ユリンの死はどうでしょう?彼女は本来軍人でもなく、戦場で死ぬ意味はありません。殺すなら民間人として殺せば、14話になってまで「防ぐべき戦争の悲劇」を描けていない本作の問題点をクリア出来たのに。あれでは本当に、「デシルがクズである」と言う以上の意味がありません。
シナリオ上殺す必要があったから、強引にイベントを組んでぶっ殺した。そんな話で良いのでしょうか?


で、あの、着上陸って、目的は白兵戦なの!?
陸戦要員なんぞ積んでいない状態で、クルーに自動小銃持たせて突撃って、幾ら何でも唖然とするんですが。フォントンブラスターゼロ距離射撃でも、スター・ウォーズ方式のMSによる融合炉爆破作戦でもなく、こんなアナクロな方法を取る理由は何なんでしょうか?現実的には、この状態での歩兵投入目的は指揮官の確保とかですが、要塞内の戦力すら解ってないのに。
艦砲ではなくタイタスで強引にシャッターをこじ開けるのは、訳分からないけど格好良くしたかったんだろう、で納得できても、ちょっとこれは……

詰まるところ、必要なシーン・イベントが先にあり、前後関係も考えずに無理にはめ込む適当な方法で、脚本を書いているとしか思えないのですよね。だって、ユリンの死なんて最大級の重要イベントを、伏線や丁寧な描写もなくあんな滅茶苦茶な処理をするなんてありえないですもん。
そう言えば、アンバットが放棄された要塞と言う事は、内部構造なんかは入手できているかも知れないわけですよね。例の何やってたんだか解らない作戦会議も、その辺を強調してやれば盛り上がったんじゃないでしょうか。1シーンでいいから、内部構造を入手るためのイベント(コネとかハッキングとか資料調査なんか)描写するとか。そう言う細かな演出の積み重ねが、世界の重層感を醸し出す訳ですから。

さて、来週で第一世代の話は終わるみたいですが、これ一体どうするんですか?「俺たちの戦いはまだ~」方式で引導を渡して上げた方が、関係者一同一番不幸の総量が少なくて済みそうに思えますが……




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この記事へのコメント
 SFが好きそうなsnow-windさんは、
今期のアニメの「モーレツ宇宙海賊」みてますか?
 もし、まだみていないのなら、お勧めです。
ニコニコチャンネルで、今1話が、見れます。
Posted by はひふへほ at 2012年01月16日 20:37
たぶんアクセス数上がってるんじゃないかと思いますが、某所のAGEアンチスレでURL載ってます。
一応、お伝えします。
Posted by あまたん at 2012年01月21日 01:01
今回も酷かったですね。
半端に作画が上手くなってきたせいでギャグアニメとしても中途半端になってしまい、そのくせ相変わらずギャグアニメ的一貫性が無いストーリー
もう一度描画を戻してギャグアニメとして突き進むか
急ごしらえの設定を無くし一貫性のあるストーリーを保つかするべきだと思う。

主人公のせいで山田が殺されるシーンを描きたいなら、フリットが一緒に戦おうと勧誘した結果、戦死するほうがスマートだし、
いっそ、山田がフリットを殺して
狂ったエミリーが復讐のためにウルフを利用しようとして誘惑すれば
それならオペ子VSエミリーの争いも展開にも繋げられます。
第二世代へも親の復讐心に利用させる子供という葛藤を描ける。
今ある材料を生かすことでストーリーは肉厚になっていく

それにしても、やはり製作陣はこのサイトを見ているみたいですね
>オールダメージ0ではノコノコ出てくるエウバやザラムがアホにしか見えません。
というのも対策が打たれていましたね。何の説明も無く、なぜか倒せるようになったという、相変わらずのでたらめ感でしたが、
マッドーナがチューニングした事にすればマッドーナのキャラも立つし説得力も出たのに

ということで、おそらくここを見ているであろう製作陣たちは
物語を成立させるかギャグアニメとするかどっちかしてください
Posted by 斜め横 at 2012年01月21日 11:00
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