2012年02月12日

機動戦士ガンダムAGE 第17話 感想





機動戦士ガンダムAGE 第1巻 【豪華版】(初回限定生産) [Blu-ray]
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派手に時間が開いてしまいましたが、やっと視聴できた機動戦士ガンダムAGEの第17話です。
まあ、視聴できなくても別に構わなかったよね、と言うのは一旦置いておきましょう。


第17話「友情と恋とモビルスーツ」



冒頭の、敵が地球を取り戻すために「大いなる計画を企てたのだ」とか言うナレーションの段階で失笑しそうになるのは、全く持って「大いなる」に見えないから。正体の見えない敵の不気味さは、主に「目的が不明」と「方法が不明」の二つに分かれます。しかし、目的は第一部で長台詞で懇切丁寧に説明済。方法については、どんな凄いことを考えているにせよ、25年間戦線膠着でぶち壊しです。これが何かのための時間稼ぎだったとして、気が長すぎて間抜けになるのは避け難し。


前回における「民間人の被害はゼロ」と言うのは、ヒロインが負傷しているので、多分プロパガンダ。しかし、それならそれで「腐った連邦軍」としてアピールしておかないと、描写として中途半端です。またぞろスポーツ感覚かよ、と言う話になってしまうわけで。
と言うか、本当に被害者出てないんじゃないかという恐ろしい可能性も…… 戦争物なのになあ。あと、連邦軍の隠蔽体質が全く変わってないみたいですが、フリットは立派に腐った大人になった、と言う描写だという理解で良いのでしょうか?
「悲惨な戦争」でなければ、終わらせるために主人公が邁進する理由が無くなりますし、そもそも何のための舞台と言う事になります。友情努力勝利の基本メソッドをやりたいだけなら、戦争なんて大仰な舞台は要りません。

そして、相変わらず「未来っぽさ」の欠片も無い、ただの現行スマートフォン…… これは単純に断言して良いですよね。「センスが致命的なまでになさ過ぎる」って。
SFアニメの一番基礎的な部分は、「未来という異世界を舞台にしたファンタジー」です。だから、その異世界らしさ、つまり現代とは異なる技術を感じさせるギミックこそ、映像表現の華なのです。なのに、これ。なんでこう、一々舞台の魅力を蔑ろにするのか。
後半の、紙の本が大量に並ぶフリットの書斎とか、天を仰ぎたくなりましたよ。


まあ、以上はあくまでも枝葉であって、本質ではない、と言う事もできるでしょう。実際、根幹となるシナリオや演出(これは上で相当引っかかるか)がしっかりしていれば、「楽しそうな突っ込み」の対象(笑いながら、あばたもえくぼ的な酒の肴にされる魅力の一部)となるようなレベルです。

ところが、肝心のシナリオがまた最低最悪。
今回のシナリオで重要な点は、以下になります。

1,主人公とライバルが友情を育む
2,主人公とライバルの三角関係の成立

ところが、1はボーカルに乗せた数カットで終わり。ここは、スパイとして潜り込んだライバルが情にほだされると言う、重要パーツです。ですが、「お前ら察しろよ」状態の数カットで済ませ、あまつさえ青春全開な歌の直後にまともな躊躇の描写もなくライバルがスパイ活動に邁進するので、ほとんど意味不明な展開に。
ライバルの行動があくまで演技であると強調したいなら、あの綺麗な歌に乗せた青春描写は要りません。逆にスパイがほだされるのを強調するなら、あんな短時間ではダメです。最低数話かけるか、最初から友人にしておくべきだったでしょう。
そして、2に至ってはワンカット。終盤の戦闘では、このヒロインの存在の方がライバルにとって大きいと描写されたり、比重の置き方が迷走しています。


で、大会なのですが、これ実は結構良くできてます。「安全設備がヘルメットだけって、人死出るだろこれ」と言うような話は、キッズアニメのスポーツとかって大体あのレベルの危険性なので問題ありません。むしろゲーム的なタブレットの表示描写とか、「戦争じゃなくて、こう言う大会を舞台にした、ロボットスポーツアニメにしときゃ良かったってことだよね?」と言う疑問がムクムクと頭をもたげます。一部の時から言っているとおり、扱えもしない戦争を舞台から除き、身の丈にあったバトル物にすべきだったんですよ。


この辺の「戦闘」の緊迫感の無さとかね。
敵のMSが、文字通り目と鼻の先の馬小屋に到着するまでの間に会場から家まで主人公が戻るって、このシチュエーション考えた脚本家に、誰もダメ出ししなかったんですか?馬小屋でガンダムが発見されるシーケンスを除くか、時間が稼げた理由(ガンダムが整備中で別の場所に移されてたとか)を作るとか、いくらでもできるはずなのに。

一方、「わかり合える可能性」を示すための主人公とライバルの絡みだったはずなのですが、何故か主人公が生身で撃たれたときにライバルは無反応。だから、何やりたいの?MSで押さえ込んだときには躊躇する様子を見せているので、完全にアセムを敵として見ているわけではないはずなので、演出不徹底。


そして、唯一の見せ場であるはずの戦闘が、何故か今回はもっさりしてスピード感の欠片も無し。
特に、両者が片手剣を使い、もう片方の手をフリーにしたまま戦うのが間抜けすぎます。片手同士でやり合うなら、フェンシングの要領で素早い動きを演出すべきなのですが、前回とは雲泥の差。この、剣の逆手持ちにしても、逆手持ちを一場版格好良く見せられるのは横薙ぎなのに、この始末。あの持ち方で上段切りを受け止める描写なら、結構映えるのですが……
実際、霧中白兵戦での二段切りはそれに近く、綺麗に描けてますよね。


結局今回、主人公とライバルの友情成立を描くと言う繊細な演出は、決定的に失敗したわけです。
エンディングであれだけ良いカットを作れるなら、最低一話丸々かけて描写しないと。和解への道を拓くドラマが始まる、大前提の部分なのですから。

実際エンディングはプロットを良く表現できています。暖かい思い出の画像を切り、厳しい表情で戦場へと向かうアセム。三人の表情も活き活きとしていて、これだけ事前に見せられたら期待度は大幅に上がっていたでしょう。
少なくとも第二部は、基本的なシナリオラインは間違っていないはずなのです。(前提の設定はもう仕方ない)ところが、相変わらずの見せ方・脚本で、見ていて哀しくなってきます。なんでこんな風に料理しちゃうんだろう、と丸焼けになった希少食材を見る気分。

まあ何というか、次回以降も今回と同じく、時間ができたら見れたらいいな、と言う方向で。こんなもんを再生できるのは、ある程度余裕ができた証拠ですから。



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この記事へのコメント
AGEの話とまったく関係なくて恐縮ですが、
SFアニメの一番基礎的な部分は、「未来という異世界を舞台にしたファンタジー」~というくだりで、ふとプラネテス(アニメ)を思い出しました
SF初心者からしてみると、あの現代の延長線上のような技術の描写の数々には大いにリアリティを感じたものですが
管理人様的にはどういう評価なのか気になります・・・観てないという可能性も考慮に入れた上で
Posted by あらさー at 2012年02月13日 16:09
だいぶ前に原作漫画を読んだだけですが、とても面白かったですね。ムーンチャイルドの話とか、「あれ、これってああ言うことじゃ……」と思って読んでいたら、オチがドンぴしゃで「うわ、作者解ってる!」となったり。

百年も経っていない、現行宇宙開発から直線的に続く話なので、現代と変わらない部分が多いのは有効な演出かと。
勿論その役割は、現代からブレイクスルーを越えればたどり着けると感じさせるリアリティの創出だったり、その中に混ざる現代にはない技術の強調で、そこを間違えるとひどい事になるのですが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2012年02月13日 22:13
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