2012年02月13日

映画「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」 感想



映画「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」オリジナル・サウンドトラック


ベルセルクがアニメになる!と言われると、かなりできが良かったテレビアニメ版が思い出させられる訳ですが、今回の映画も中々のものでした。

と言うわけで、何故か札幌駅では一日に二回しか放映していないベルセルクの映画一本目「黄金時代篇I 覇王の卵」を見てきました。

例によって、最初に結論を書きましょう。

1,演出凄い!映像綺麗!ベルセルク世界が目の前に!!
2,短すぎるんですけど…… あと、何故か時々極端にダサくなります。

まず、映画が始まると、ミッドランドVSチューダーの壮大な攻城戦が展開します。これが、本当に凄い!冗談ではなく、この映画で最大の見所はここで、この冒頭十数分で一気に世界に引き込まれます。

上空を飛ぶトレップシェットの火炎弾、城門へ進む破城槌、降り注ぐ矢とそれをかいくぐって突撃していくハシゴ兵。ハリウッド映画もかくやと言うスペクタクルが、アニメならではの外連味溢れるカメラワークで展開します。止まった画面の中での棒立ちアクションしかできないガンダムAGEを見た直後だったので、興奮して前のめりになってしまいましたよ。これこそ「動く画」の力です。
挿入カットも、火炎弾が飛び込んで破壊される場内の民家、落下する石材から逃げ惑う避難民、窓辺で揺れる螺旋十字(ベルセルク世界での十字架)と、あの「中世風世界の戦争」を、余りにリアルに描き出します。

また、ここに限らず、演劇指導もついたという剣戟やアクションはスピードと重量感に溢れ、見事な演出を連発します。例えば、ガッツの剣も敵騎士の武器も、不自然な軌跡の表現やスローモーションに頼ることなく、一瞬の煌めきを見せるだけで振り抜かれます。しかし、何が何だか解らないのではなく、直後に敵の体に入る傷や弾かれた武器や防具の動きで「どのような軌道で他の物体と交錯したか」が、見て取れるようになっています。つまり、疾走感と可読性を備えた見事な演出です。

その後も、ロングボウ部隊に大被害を受けて、止めの騎兵突撃で蹴散らされるミッドランド軍の描写や、それを一騎がけで受け止めるガッツの勇姿など、見所は目白押し。特に黒羊重装突撃騎士団(でしたっけ?)の突進の重量感は、凄いですよ。蹴散らされる隊伍や恐ろしい蹄の響きだけでなく、中央突破をしたあと車がかりに隊列側面に回り込むときの慣性を感じさせる大きな円周運動とか、凝りまくってます。

また、細部にも本当に気が使われていて、シャルロット姫は原作通りあんまり可愛くないのですが、装身具や服装に手が込んでいること込んでいること。原作にいなかった国王の王冠持ち(なの?彼らは何なんでしょうね?)の少年達も、絵画から抜け出してきたような(アニメにする評価じゃないですが)可愛らしさ。衣装とか髪型とか、国王や王女と並んでいるせいで、国の豊かさやあの世界の文化水準を感じさせる、惚れ惚れする手の入れ方です。

あと、CGが結構使われているのですが、巨大な攻城兵器や不死のゾットなど、上手く適材適所に使っている印象。暗めの画面内で使うことで安っぽさを抑えていたり、工夫が見られます。


と、ベタ誉めに近い感想を書きましたが、実は満足度の点で首をひねるところがあるのです。
ま、一言で説明しましょう。「上映時間:1時間15分」

いやあ、エンドロールが出たとき冗談かと思いましたよ。普通に考えて、これなら3部作を2部作にして2時間弱×2にすべきでしょう。分割商法というのは、こう言うのを言うんですよ。

しかも、許し難いことに、適当にお茶を濁したような、としか言いようのない悪夢・フラッシュバックで、冒頭直後5分ほど時間を使い潰していたりするのです。冒頭も、合戦シーンに入る前の空を横切るタカと火炎弾は、明らかに半分ほどにすべき冗長さでした。

本当に良く解らないなと思ったのは、金をかけずに時間をもう少し伸ばすのは、別に難しくないというか、むしろかけるべき所があるのです。
例えば、一応初見の客も居るはずなのですから、冒頭で世界の状況を簡単に触れるべきでしょう。例えば、「中原の二大国、ミッドランドとチューダーの戦争は100年に及んでいた。この戦争で民は疲弊し……」とかなんとか。慢性的に続く戦争状態で、傭兵の需要や成り上がりのチャンスが転がる乱世であるというのは、俯瞰視点で示しておいて損はないはずです。
鷹の団のメンバーも、今回本当に背景のモブにしかなっていないのですが、もう少し見せ場をやっても良かったのでは?ジュドーはガッツとの出会い直後に一回ナイフを投げただけ、キャスカも合戦ではモブ扱いで、ピピンは名前も呼んでもらえず、リッケルトに至っては、戦闘描写がないのであれじゃ侍従の少年です。
と言うか、敵意の視線渦巻く陣地内の描写(鷹の団入団直前)から、普通に部下に慕われる切込隊長になるまで一瞬なので、時間経過を見失いそうになりました。3年で変わったと言われたもなあ、と言う。これでは、折角の三部作が勿体なくてなりません。

それと、凄く気になったのが、ラストシーン。心の距離を示すガッツ・グリフィス・キャスカの顔がもの凄く安っぽい画面分割で並ぶ演出は、何とかならなかったんでしょうか?あそことどこか(すいません、詳しい場所を忘れました)いきなり画面が安っぽくなって、本当にビックリしました。あれはなんだったんでしょうか?別にラストシーンでさえなければ問題無いのですが、「終わりよければ」の逆でビックリです。

あと、スタッフロールの最後で、鷹の団・団員リストとか言うハンドルネーム表を見せられて、心底うんざりしたので勘弁して下さい。ときめきメモリアル2じゃないんですから!
これ、ときメモ2と同じ個人出資者リストかと思ったら、twitterで呟いて報償として名前を載せるという、アホな広報が考えそうな企画の結果だったのですね。(公式サイト参照
正直、色々とぶち壊しなので、報償は別の形を考えた方が良いと思います……


とまあ、何やら引っかかる点は多かったのですが、とにかく基礎部分がとても良くできているので、6月公開らしい次回作も見に行きます。でも次回は、もう少し尺を取って欲しいなあ。



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