2012年02月16日

児童ポルノ規制論という精神疾患 ~規制派の院内集会~



「漫画・アニメのせいで子どもが犯される」「文章も禁止」過激発言満載の児ポ法規制推進派院内集会

当該雑誌は、本来だとサイゾーかよ(笑)と、ネタ流しされる存在です。しかし、あそこは元々サブカル寄りな事もあり、この問題は割と真面目にフォローしてくれてるのですよ。この記事にしても、独自に記者を送ってレポートしているわけで。
書いた記者の問題については、まあ集会主催者より遙かにマシだよね、とか思っておくとしましょう。


正直、元々そっちのエントリーで閲覧数を増やしてきたとは言え、児童ポルノ関係はもう追いかけたくない、厭戦気分で一杯なのです。保坂議員の比例代表落選で、WEBで色々やった所で大した効果がないのは解ってしまいましたし、追いかければ追いかけるほど頭のおかしい連中の言説を読まされて、こっちまで狂いそうになってきますから。

とは言え、この手の広義の政治活動は、嫌になって手を引いたらすなわち敗北です。「もうお前等勝手にしろ」と言う言葉は、圧力団体にとってこれ以上無い祝福であり、思う存分やりたい放題やられる結果しか呼ばないのですから。

と言うわけで、彼らが全く変わることなくおかしな活動を続けていると言う事実を、エントリーの形で残しておきたいと思います。

リンク先の記事にあるとおり、自民・公明党のそれ系議員が口利き役となり、キリスト教系団体で真っ当ならざる規制論を代表するエクパットが、院内で宣伝集会を開きました。
主張内容は例によって、”描かれる内容(虐待とか)が正しいという認識が世間に広まるから、フィクション含めて児童ポルノを規制しろ”と言う、過激と言うより頭のおかしい代物。つまりは、作品の基となる嗜好や価値観を理由に規制論をかます、堂々たる異端追討宣言です。
何しろ、文章すら規制対象ときましたからね。「源氏物語も発禁ですね」と言う揶揄は、彼らには通用しません。そう問いかけたら、大まじめに「あれはいけません」とか言い出すのは目に見えています。子供の水着写真は発禁!と叫ぶ時点で、常識が通用しないのは自明でしょう。

まず最初に大原則を書いておきますが、何かが法的に規制されるのは、具体的な誰かの具体的な人権を侵害する場合だけです。
そして、法律での規制根拠となるべき「人権」は厳密に定義されており、この手の団体が主張するような「僕の/私の考えた人権概念」など何の意味もありません。
むしろ、法律を導入する際は「その法律によって国民の人権が侵害されないこと」がより強く求められ、こちらの「人権」は、前者よりもはるかに広く捉えられます。

まあ、この辺は当然の話でしょう。その気になれば国民を如何様にも縛れるリヴァイアサンたる国家は、それ故に行える活動を徹底的に縛られています。この、「国家が国民を害することを許さない」と言う事こそ、近代国家の第一原則です。
なんでそんな風になっているかと言えば、正にこの人達のような、自分の価値観と社会の利益を混同する連中が権力に接近したとき、ひどい事が起きないようにするためです。ありがたい事にわが国のシステムや機関は、100年前のロシアや80年前のドイツ(そして、近代以前の絶対主義一同)より遙かにマシで、原則論によってこう言う頭のおかしい少数派を退ける勢力の方が多数派です。(与党と言う意味ではなく、この人達以外の議員達や少なくとも協力しようとしない「一部以外の官僚」のことです)

もう一々発言内容を突っ込みたくはないので要点だけまとめると、質疑応答の、

>「バーチャルな児童ポルノと子どもの相関関係を示している文献があれば、教えてほしい」という質問も。対する答えは「残念ながら、明確なものは存在しない」というものであった。

と言う部分こそが、彼らの神髄です。と言うか、この部分だけで批判は終わってしまうレベルです。
何しろ、因果関係どころか相関関係すら全く明確でない(と言うか、無いでしょうね、間違いなく。ヴァーチャルなポルノが普及した戦後以降、性犯罪は大人相手も子ども相手も一貫して激減してますから)物を規制しろと叫んでいるのですから。普通規制論というのは、因果関係はともかく相関関係、または何らかの合理的類推があって初めて主張されるものであって、「規制したいから証拠を探している」などと言うのは言語道断です。
研究という物をある程度知っている人(つまりは、大学レベルの教育を受けた者)なら誰でも知っているとおり、データは仮説を検証するために集めるものであって、仮説を証明するために集めたデータなど信頼性の欠片もありません。実際彼らは今までも、極狭い範囲のデータやいい加減なアンケートを持ち出して規制論を打ってきましたが、都合の悪い結果は全て無視してのけています。要するに、気にくわない・気持ちが悪い・自分の価値観が否定しろと言っているから規制しようとしているのであり、実際の被害への言及などただのお為ごかしです。

まあ、彼らは本当にそう信じているのだろうと思うのですけれどね。
ただ、自らの感情を論理にすり替えて他者の存在を根底から否定し、フィクションの犯罪をなくせば現実の犯罪もまた消滅する、と言うような事を素面で信じられる人間は、普通精神疾患と見なされます。
勿論私は彼らと違いますので、その程度の社会生活に極軽微な支障しか与えない精神疾患をもって、強制収容や市民権の剥奪を主張する気などありませんよ。ただ、そう言った妄想に、我々が付き合ってやる義理は無いわけです。と言うか、都合が良いからと連中を利用する警察官僚なんかが、一番悪質なんですけどね。妄想は、肯定されると強化されて病状が悪化しちゃいますから。


ただ、唯一の収穫というか、「ああやっぱり」と思ったのは、民主党が政権奪取後彼らとの協議に応じていないという所。そんな暇などなかったというのも勿論ですが、この問題についてはきちんと仕事をした、と言って良いでしょう。恐らく政権交代による、とても数少ない評価点の一つになるはずです。

でまあ、こう言うことをこの時期にぶち上げてくれるからこそ、自公はやっぱりどうしようもないままなわけですよ。だからやっぱり民主党…… と、言える状況だったらどんなに良かったか!
ただ、トロピコ4のローディングメッセージが言っているとおり、「ありがたい事に、このどうしようもない候補者達の中で当選するのは一人だけ」転じて「どうしようもない党ばかりだが、第一党になるのは一つだけ」と言う事実だけは、有り難がるに値するでしょうが……


それと、有り難くも手の内を明かしてくれたとおり、彼らは反対派議員の切り崩しを行うべく攻撃材料を探してるようなので、おかしなスキャンダルが出てきたときに乗せられないように。狙われるとすれば、民主党で反対派の急先鋒だった枝野議員でしょう。保坂元議員が地方政治に転進してしまった現在、いかなグダグダとはいえ与党中枢に近い彼が排除されれば、歯止めの柱がなくなってしまいます。

しかしまあ、論理で歯が立たず当然相手にされないから、「ウラの人間関係」を探って場外乱闘で政敵を排除しよう、と言う話をマスコミも居る場で堂々と語る連中って、何なのでしょうね?前回の法改正議論時にはアメリカ大使館が動き回っていましたが、今回はスウェーデンですか。アメリカはトップが宗教原理主義者から交代したおかげで多少大人しくなったのでしょうが、代わりに出てくるのが、左派が大好きスウェーデン……
彼らの臆面・節操の無さは最高です。あ、これは誉め言葉です。陣取り合戦・組織間抗争と言う政治の本質を、良く解っていると言うことですから。

最後に、何やら優等生面しているスウェーデンですが、数十年前に本来の意味での「児童ポルノ」(性交・虐待)が合法的・大量に出回っていた反動で、なますに懲りて羮を氷水に放り込むような事をしている、と言う事を知っておきましょう。
しかも、それで被害が減ったかというと、別に減っていないのですよ……
もっとも、犯罪の定義を広げすぎたせいで統計情報が滅茶苦茶になっており、「増えている」ともまた断言しかねるという笑える事態になっているというのも付記しておきましょう。
何にせよ、偉そうに他国に干渉できる立場でも、信用できるデータ提供元でもないと言う事です。


こう言った無茶な主張を院内で行ったのは、8月に出た来た民主党の改正案(当該エントリーはこちら)を止めようがないと判断したからかもしれません。
個人的には、取得罪を新設する上の案も危険極まると思うのですが、少なくともこの頭のおかしい連中の主張する内容と択一となる以上、どちらになるかは自明の理です。何しろ民主党案は、創作物の規制に使えない、と法律の文言で明記するという国会最高の切り札を打ってますから。

と言うわけで、これが彼らの断末魔である事を期待するところですが、さてどうなるか。どの道、宗教的情熱というか強迫観念に突き動かされる、はた迷惑な精神疾患罹患者達は、諦めるわけもありません。あらゆる方向で規制論を打ち、児童福祉を妨害してくれることは想像に難くありません。
ですが、法改正論が一段落してしまえば、それは街角の風物詩である街宣車同様、小うるさい物のそれ以上の害はない日常に落とし込まれる訳で、その時まで状況がこのまま推移することを期待しつつ、遠巻きに見守りたいと思います。



その他、表現規制関連エントリーはこちら




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この記事へのコメント
エクパットが言うには、「昼間たかしなんて奴は来ていない、だから記事はでたらめだ」ということらしいですが、彼等にはペンネームで記帳するわけないという発想が皆無なんですかね……
Posted by かがみん at 2012年02月17日 16:40
こういう人達の思考は、極端な言い方をすればこうです
これは悪い事なんだ。だから隠さなくてはならない
確かに児童ポルノは取り締まられるべきだとは思いますが、バーチャルまで取り締まり、なんてのはただのアホです
犯罪小説読んだ人が、有意の水準でそれに影響受けて行動起こすのなら、今頃社会は北斗の拳です
これは悪い事なんだ、だからしっかり見つめた上で、やってはいけないんだ、
そうしっかり教育をするべき、と言うのが本当だと思うのです
Posted by 名無しK at 2012年02月17日 22:24
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