2012年03月30日

魔法少女まどか☆マギカポータブル 全て終わっての感想

魔法少女まどか☆マギカ ポータブル (完全受注限定生産版) 「限定契約BOX」


前回までの感想はこちら


一通り終わったので、まとめての感想となります。

今回は、先に全体としての結論を書き、その後で残っていたルートの感想を書きたいと思います。

結論:
・純粋にシナリオだけ見れば及第点。
・だが、ゲームデザインが不徹底すぎる。シナリオの面白さを、システムが殺している。
・バグの多さとつじつま合わせの甘さは、商品としての水準を満たしているか怪しい。


シナリオは、さすができが良いです。個々のパーツでは、プレーヤーが望んだIFが見られるものもあり、この部分だけなら十二分に及第点でしょう。「外れ」のルートは多いのですが、これは純粋なシナリオ内容よりも、後述する辻褄あわせの放棄や分岐の不徹底に起因するもので、ベースは決して悪くありません。

しかし、ゲームシステムがそれを殺しています。
Qボタンはゲームとして全く機能しておらず、ただの邪魔です。何しろ、分岐には一切絡まないのですから。ほむらルート以外の分岐条件であるソウルジェムの濁りは、ダンジョン内でプレーヤーがわざと濁らせるかどうかで決まり、ほむらルートの分岐は普通の強制選択肢です。しかも、Qボタンで発生する会話は、率直に言って唐突かつ意味不明。無い方がマシなレベルです。
そして、ダンジョンパートはAVGパートとほとんどリンクせず、要所のミニゲーム以上の機能を持ちません。最後の頼みの分岐条件ですら、毎回毎回「ワルプルギスの夜を撃破したのに、撃破していない扱いになって話が進む」と言う展開で、プレーヤーに対する最低限の誠実さすら見せてくれません。

いっそAVGパートかダンジョンパート、どちらかに絞れば(つまり、単なるノベルゲーム、または分岐条件付きローグライクダンジョンRPGにするかすれば)、ゲームとしては堅実な作りになったんじゃないかと思います。

そして、バグについてはもう良いでしょう。あのフリーズバグは、気づいていて放置したとしか思えない代物で、商売人としての最低限のモラルを投げ捨てています。
パッチワーク故のシナリオ矛盾にしても、チェック漏れ以前にパーツが足りないまま組み上げた(シナリオ内容に応じた変化部分を作る時間が無く、他ルートで状況が近い物を放り込んだ)公算が大でしょう。


とは言え、困った事に、全くのクソゲーではない、と言うのは重ねて強調しておく必要があります。インターフェイスが酷いとは言っても、AVGとして一番重要なシナリオは高水準ですし、簡易ローグライクRPGとしてダンジョンパートも決して悪くありません。
原作物の宿命なのですが、普通のゲーム並の開発期間・チェック時間を取れれば、堅実な良作に仕上がった事は疑いありません。

ですから、皮肉や嫌味ではなく本当に「ファンならば買っても良い」としか言えないと思います。正直、原作への愛があって初めて、シナリオの良さだけを頼りにやり通す事が可能になるタイプのゲームだと思うので。

結局これも、「残念な原作付きゲーム」の一本として、記憶されざるを得ないのが哀しい所です。

ゲームと言う娯楽の入口となりうる原作付きゲーム(みんな、ハットリ君やゲゲゲの鬼太郎買ったでしょ?)を、焼き畑用の熱帯雨林扱いする事は、衰退フェイズに入っているゲーム業界として正しい姿勢なんでしょうかね?
ミッキーのマジカルアドヴェンチャー以来、良質な原作付きゲームを提供して自身のファンも増やしてきたカプコンを、少しは見習っても良いんじゃないかと思うのですが……



以下は、前回から残っていた各ルートの感想です。

まずは、ほむらルートの全エンディングをクリア。

一番印象深かったのは、いわゆるワルプルギス戦討死・まどかに看取られエンド。
勿論、これも完璧かと言われると色々瑕疵があります。例えば、因果値の引き継ぎ。ゲームオーバーで因果値等が引き継がれるのは、寸前にほむらがリセットしている、と妄想することも出来たんです。でも、、このエンドのあとも引き継ぎができるのは、ちょっと気になるところ。(引き継がれなかったら、それはそれで困るのは確かなのですが……)

と言うか、結局まどか以外魔法少女化してしまうトゥルーエンド(?)よりも、このエンドの方が遙かに筋が通されているので、こっちをグランドエンド扱いで良かったんじゃないかと言う気がします。そうすれば引き継ぎがなくても筋は通りますし。

しかし、その点を除けば、このエンディングは本当に素晴らしいのです。合理的に行動した結果、杏子はほむらを否定して去り、魔女化の秘密を知ったマミは自殺。一人残されたほむらはワルプルギスに挑み倒すも力を使い果たし、まどかに看取られて死んでいく。ほむら的完全ハッピーエンドで、これぞIF展開の王道でしょう。本質的には何も解決していないエンディングで、実際ラストはホラー映画(惨劇は続くよ)なのですが、見滝原を舞台にした魔法少女達の物語としては、一つの完成型だと思います。全てのキャラクター達が、その設定に従って全力で動き回った結果、信念を貫いた結果の悲劇に至る。これぞ、「筋の通った」シナリオの美しさと言う物でしょう。
いやあ、大満足でした。


次の、スタンダールコンビのエンディングは、何かやっつけ感漂う物だったので割愛。杏子がほむらに協力するきっかけを、もう少し描き込んで欲しかった所。


で、最後のトゥルーエンドなんですが……
取って付けたにしても限度があるだろうという適当ぶりでした。まず、さやかを契約させた上で魔女化から救う、という茶番を行わないと至れない時点でゲンナリ。その救う方法にしても、杏子が頭を下げて「お前を助けさせてくれ」と言う展開に、「いや、なんでそこまで苦労してこいつ助けなきゃならないの?」と素に戻ってしまいました。
さやかの場合、魔法少女化しないのが最適解で、次善は魔法少女化しても勇気を出して告白する事でしょう?こんな、その場の言いくるめだけで話を進めてトゥルーエンドだハッピーエンドだと言われても、全く共感できません。だって、本質的には何一つ解決していない上に、さやかの内面の問題も放置されたままなのですから。むしろ、現状を訳の解らない形で肯定してしまっている分だけ、罪深いとも言えるでしょう。

更に、全く必然性がないのに、決戦前夜のまどか&ほむらの会話を無理矢理入れ込んでいるのも許し難いところ。あれは、本編またはそれに準ずる絶望的な状況であってこそ映えるシーンであって、このルートに入れ込むのははっきり言って無理。トゥルーエンドだから名シーンも入れないと、みたいな感覚で放り込まれたのでしょうが、むしろ本編の印象がぶち壊しです。

何より、魔女化の問題が何も解決していない以上、このルートが「トゥルーエンド」たり得ないのは言うまでもないでしょう。なんでこんな世界観に喧嘩を売るようなルートを組み込んでしまったのか、疑問でなりません。
全員生存の上でのハッピーエンドを描くなら、他に幾らでもやりようはあったはずなのですから。

それと、エンディングで魔法少女が魔女になる話をしてるんですが、このルートではその秘密、明かされてないんですけど……
まどかだけはキュゥべえから聞かされて知ってるはずですが、それをわざわざ教えたの?と言うか、そんな重要な場面を切っちゃって良いの?

なお、その他細かい点としては、さやかを魔法少女にしなかった場合、さやかが恭介とくっつく展開に、唾を吐きたい気分に。要するに、恭介という奴が告白されればフラフラついていく程度のつまらない男だというだけの話なのですが、何やらハッピーっぽく描写されるのが……
結局の所、虚淵先生がどこかで言っていたとおり、恭介のようなろくでなしに惚れているというのが、さやかのダメな部分の象徴なのでしょう。


で、最後が番外編の「想いは現実を越える」です。正直、これには一切期待してませんでした。ギャグらしいと言う話は聞いていたので、「まどか☆マギカでそれやってどうすんだよ?」と言うのが、ストレートな思いだったわけです。らき☆すたのPS2ゲームのおまけシナリオが最高にヒーホーだったのは、らき☆すただからであって、似たようなのをまどか☆マギカでやられても困るんですよバンナムさん、と言う話です。

ところが、方向性がだいぶ違っており、開始と同時に刮目する事に。
開始早々ついに堪忍袋の緒が切れたほむらが、「結局、男がどうしたとか寂しいとか、女の腐ったような魔法少女しか居ないのが問題なのよ!」と結論。直接他四人を鍛えにかかるという内容です。
何しろ、四人のトラウマをついて黙らせ(マミさんに向かって「ひとりぼっちが寂しくて、まどか達相手に素敵な先輩気取ってるあなたが、何を教えたのかしら?」とか)自分のペースに巻き込んでハートマン軍曹的訓練を開始。
まあ、ノリは完全に同人誌なのですが、面白くてたまりません。あとこれって、作品に対して後出しジャンケン的に散々言われた「もっとほむらが合理的に立ち回っていれば、簡単にクリア出来たはず」と言う批判に対する一つの答えですね。そりゃ完全に合理的に立ち回ればできるだろうけれど、そんな展開に意味があるの?むしろ不自然だよ、と言う。

でまあ、一々キャラが素直になって和解して、堅実に歩んでいく展開なのですが、パロディとしては面白くても、やはりそこ止まりというのを実感します。勿論、パロディシナリオなのだから当たり前なのですが、これをもって「みんなが素直になればあんな悲劇なんか起きない」というのは違うわけで。と言うか、「素直になりさえすれば」と言う言い草は、悲劇の大部分に当てはまるワイルドカードですしね。オセロとか三行で終わっちゃうよ、と言う。

そして何より、結局最後はもういい加減食傷気味のワルプルギス戦をフルセットでやらされた上に、これまた「あっさり倒したはずなのに倒せていない扱い」のエンディングを見せられ、ため息を吐きながらPSPを放り投げました。何がやりたいんですかねえ、本当。
別にあのオチであれば、ワルプルギス戦自体不要でしょうし、色々不徹底。


とまあ、まどか☆マギカポータブルは、間違いなく楽しめた面はあるものの、それだけに全体としては残念な内容でした。
結局ここ最近の関連商品濫発の流れに乗っているわけで、そろそろ点数を絞って内容を精査する時期に来ているんじゃないかと思います。さすがに、映画がとんでもない事になる可能性は無いと思うのですが、この流れだと「そこそこ面白かったよ、うん……」みたいに、相手の目を見ず話す代物になりやしないかと、不安に思うところです。



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この記事へのコメント
結局まどかマギカポータブルを至極単純にまとめるなら、「システムクソ、RPGパートはまあまあ、シナリオはバッドエンドやそこに至る筋道はよくできてるけどハッピーエンドは茶番」というところでしょうか。

ADVパートで一番不満だったのは、いちいちマップ選択しなくてはいけなかったところですね。完全にシナリオがぶつ切りになってしまっていて、どんなに気分が盛り上がってても、あの平和なBGMでテンションがリセットされてしまいます。

後、個人的におりこマギカの話を入れてほしかったなぁ、と。個人的にはまどかマギカのサイドストーリーとしては一番好きな話だったので。

良くも悪くも、原作アニメを見た人向けのファンディスクでした。

後管理人さん、さやか嫌いすぎじゃないですかw
Posted by 名無し at 2012年03月30日 23:59
そのまとめで合ってます。
あの移動システムは、色々とガンですね。フラグ管理してないもんだから、すぐに会話内容が矛盾しますし。

おりこは私も好きな話なんですが、ボリューム的に無理かと。素材のほとんどをテレビ版から流用した現状ですら、開発期間不足でこの始末ですし。

本文中で書いたとおり、さやかについては如何ともしがたいので、割り引いて下さい……
Posted by snow-windsnow-wind at 2012年04月01日 02:41
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