2012年05月03日

素晴らしいボンクラドンパチ映画/「バトルシップ」 感想



この映画、作品内の描写から、てっきりハープーン(リンク先は野尻先生のBLOG)辺りを元ネタにしたのだと思っていたのですが、ピクロス系統のパズルゲームの方だったんですね。

と言うわけで、映画「バトルシップ」を見てきました。
基本的に宣伝段階で、「空から降ってきたなんか外国人ぽい侵略者と、海兵隊がドンパチするいつものあれ」と言う印象だったのですが、結構違っていましたね。海兵隊じゃなくて海軍の辺りとか。

さて先に結論を書いておくと、こうなると思います。

1,僕や私が期待する、ボンクラドンパチ大戦争。金と技術を大人げなく使って、小学生のような純粋さでドッカンドッカン大爆発!
2,でも、プロットはもうちょっと何とかならなかったの?

いやあ、映像とかドンパチとかは、本当に素晴らしいんです。降り注ぐ爆雷を迎撃するCIW、対艦ミサイルの直撃を受けて炎上する異星の船、そしてミズーリ!馬鹿な話も、あれだけ手間と金をかければ、出来上がるのは正に娯楽大作。どうせ話なんか誰も気にしないのですから、開き直るならこうでなくてはいけません。
実際問題、提示されていた問題はきちんと落ちますし、登場人物は出番を過不足なく持ってキャラを立て、見せ場を与えられるべき兵器達は全部格好良いシーンが用意される。内容のぼんくらさと裏腹に、基本的なシナリオラインは非常に誠実かつ丁寧に作られていると思います。まあ、あれは「みょうこう」じゃねえだろうとかそう言う事が気になる軍オタも多いと思うのですが、超弩級戦艦が異星の母艦相手に敵前旋回かけつつ主砲を一斉発射するシーンに快哉を叫ぶのが、正しい姿勢という物でしょう。大満足でした。

ですが、何というか、幾ら何でもこりゃねえだろうというツッコミ所も満載でして……
初っ端からして、ええと、あの惑星って何光年先にあるんですか?電波発信から襲来までの間に、主人公が入隊から大尉まで出世しているので最低十年経っているとして、片道五光年程度ではαケンタウリが関の山です。今回の異星人の作戦行動の基礎になる前提が、「軌道降下時に人工衛星と偶然衝突して指揮艦を失った」と言う理由であったことに気づいたときの脱力感を、どう言い表すべきか?
勿論、焦点となるランドサット7をなんで地上から操作しないのかとか、「お前そのごついアーマー、脱いでも普通に呼吸できるのかよ!?」とか、10分おきに根源的なツッコミが湧いてくる演出は、ジョークとしては高度すぎるでしょう。

ただ、この辺のグダグダさには一つ原因を推察できる物があります。つまり、プロット段階ではこの話、真っ当なファーストコンタクト物だったのではないか、と言う事です。
何しろ、最初の接触シーンが正にそれで、「最初敵対的行動は見せていない」「汽笛を鳴らしたら超音波で応答」「威嚇射撃してみたら凹凹にされました」「でも他の艦には手を出しません」という、実に真っ当なファーストコンタクト。
はっきり言って、あのシーンが終わった段階で私は、「これはドンパチ娯楽作品ではなかったのか」と思って居住まいを正していました。主人公の兄貴が、ただの馬鹿どころか勝手に戦争始める前線指揮官(敵対行動見せてない相手に威嚇射撃なんぞぶちかまして反撃され、電算系が死んでいるのに駆逐艦の艦首砲一本で襲いかかって撃沈される)と言う、典型的な「やっちゃった人」描写でしたし、それに切れて戦端を本格的におっぱじめた主人公は、どう見ても三下脇役でしたから。
ところが、ここで異星人が本格的に戦端を開いたあとはただのドンパチとなり、上記いつものハリウッドになるわけです。どう見ても、ファーストコンタクトのシーケンスは必要ありません。と言うか、実は戦端を開いた後も、異星人は基本的に無害な相手には手を出さない交戦規定を徹底し、アホな主人公達より余程まともな軍人ぶりを見せつける始末。なんか民間人一杯巻き込まれてるんですが、アメリカがそれに文句つける筋合はないわけで、むしろ皮肉の効いた描写に見えました。

目に浮ぶようですよね。意気揚々とお偉いさんの所にパイロット版持って行ったら、「君ぃ、こんなんじゃ客は喜ばないよ」「もっと解りやすい敵にしないと」とか言われて、泣く泣くドンパチ映画に切り替える監督、みたいな。

と、明らかにプロットがグチャグチャにされた形跡が残り、SF的にはお話にもならない代物なのですが、ボンクラドンパチ映画としては一級品。ああ言うあれが好きなら、是非観に行くといいと思います。戦闘も爆発も派手な演出も全部合格点で、ついでに友人と見に行けば、終わった後のツッコミ大会で素晴らしく楽しい時間を過ごせるはずです。鑑賞お勧め。

個人的には、ミズーリの艦橋前面でポーズを取って登場する二次大戦生き残りの爺様達の格好良さが、最高に痺れました。逆に、みょうこう艦長との会話がなかったのは、一番ガッカリでしたが。(むしろ「本物の艦を教えてやるぜJAP」みたいな会話イベントのためのキャラだと思ってました)
何はともあれ、いやあ、馬鹿映画って本当に良い物ですね。



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タグ :映画SF

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