2012年06月17日

和製同人ボードゲームの傑作 「惨劇RoopeR」 紹介

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先日、少ない自由時間をボードゲームに突っ込んでいると書きましたが、その突っ込んでいた先が、この「惨劇RoopeR」です。
ボードゲームと言えば1にドイツ2にアメリカ、3・4がなくて5ってイタリア辺りですかね?と言う位の寡占市場なのですが、何とこれは日本製です。そして、「しかも」と言うか「当然ながら」と言うか同人ゲーム。前者はともかく後者の副詞の意味は、企業が作ってもペイしないからです。

でまあ、同人ボードゲームと聞いて、同人TRPGシステムとか同人リプレイとか諸々の悪夢を想起して、D100片手にSANチェックの準備に入る諸氏は多いと思うんですが、これは本物の傑作です。
「せめて、算数出来るようになってからゲームデザインとかしろよ!」とか「数値変化がほぼランダムじゃ、意志決定にゲーム性が伴わねえだろ!」とか、説明書を床にたたきつけながら叫ぶ事は、絶対にありません。ま、上記の諸々は、商業作品でもかなり当てはまるってのは、皆さん知ってのとおりですけどね!

さてこのゲームの内容は、「ループ物」+「推理」=「ロジックパズル」。
プレーヤーは四人固定で、一人の「脚本家」と三人の「主人公」に分かれて勝利を争います。
盤面には9人のNPCが配置されており、彼らの「役職」(役割。死んだら主人公側が敗北する「キーパーソン」や、イベントトリガーの「不安」をまき散らす「ミスリーダー」、無差別に殺人を行う「シリアルキラー」など)は初期状態では不明。主人公側と脚本側は、彼らとボードの状態に介入することで、様々なイベントを起こしたり起こさなかったりすることで、情報戦を戦います。なお、ループ日数(その日数が経つと勝敗判定が行われ、主人公側が敗北すれば次のループへ)とループ回数(その回数だけループするとゲーム終了)と事件予定は公開情報。
具体的には、各ループ毎に起きる事件は決まっており(例えば、「3日目には殺人事件が起きる」「5日目には誰かが自殺する」など)その犯人は不明。しかし、その日に事件が起きたか、起きたとしてどこで何が起きたかによって、犯人や各NPCの役割が露呈していきます。当然ループを重ねれば情報は増え、どんどん主人公達は有利になっていきます。

勝敗は最終的に、「いずれかのループを、敗北条件を満たさずに通過する」か、「指定ループ回数終了後に、全NPCの役職を言い当てる」と主人公側の勝利。いずれも行えないまま指定ループを終えると、脚本家の勝利です。
ループ突破は華ですが、それにも情報が必要ですから、少なくとも最終ループまでは脚本家からどう情報を引き出すか、が主人公側の主目的となります。

基本的に、全てのルールは事前に公開されており、主人公達はそれを頼りに情報を集めていきます。例えば、ターン終了時に誰かと二人きりになると相手を殺害する「シリアルキラー」と言う役職があるのですが、二人きりになったNPCがどちらも死ななければ、その二人は「シリアルキラー」ではない、と言う情報が手に入るわけです。あるいは、「脚本家能力フェイズ」にどこかの誰かに不安が増えれば、それはそのエリアにいるNPCの誰かが「ミスリーダー」であると言う事かもしれません。
また、NPCに「友好」を貯めると発動される特殊能力があり、これをどう使うかが勝利の鍵。役職によっては「友好拒否」をされることもあるのですが、これは勿論重要な情報(「友好拒否」を行いうる役職である)になります。
こうして情報を集めて行くわけですが、もの凄い白熱が生じます。例えば、脚本家は「あのNPC1を殺せばこのループは勝利できるが、今それをするとNPC2の役職が明白になってしまう。次のターンにダミーとしてNPC3と4を同エリアに入れてから殺害すれば、誰がNPC1を殺せる役職かは3択までしか絞らせられない。しかし、主人公達が予想外の移動を指定してきたら、そもそもNPC1を殺せなくなるかも知れない。そして、残りは2日しかない!」と思っているとき、主人公側は「NPC1がキーパーソンなのは間違いないとして、あれを殺せるのはNPC1かそれとも4か?3者を引き離すことでループを抜けることを狙っても良いが、下手をすると何も情報が出ない。それならいっそ、今日は巫女の友好度を上げて、確実に情報を一つ拾って次のループに繋げるべきか?」とか思っていたりするわけです。
ちなみに、主人公側3名はループの狭間以外は相談禁止で、これがまたループ物らしいすれ違いと「他のPCの技量と行動パターンを読む」と言う面白さを提供します。

なお、脚本家はTRPGで言うGMの立場ですが、推理物シナリオのGMと異なり「PC側が勝つために心を砕く必要がない」というのが素晴らしいところ。TRPGで推理物をやると、全然想定通りに動いてくれないPCやスルーされる伏線を必死に拾い、クライマックスまで盲動犬役をするのがGMの宿命。しかしこのゲームでは、情報をしぼり、ブラフを張り、「全力をもって」事件の真相を覆い隠すことができるのです。これは本当に素晴らしい事ですよ。

もっとも、シナリオを自分で制作しなくてはならないのは同じで、そこはちょっと負担があります。しかし、TRPGのシナリオに比べれば、こんな物は屁でもありません。一回か二回作れば(あるいは、公式ページに大量にアップされているシナリオをプレイすれば)勘所は掴めます。

とにかくもう、「知力の限りを尽くして勝負をしたい」と言うボードゲーマーにとって、ここ最近でこれ以上に面白いゲームはない、と断言してしまいましょう。1プレイ3時間くらいかかるのもザラなのに、週末を何度もぶっつぶしてプレイを続け、他のオタク活動が滞るレベルでした。少なくとも、私にとって面白さは本物です。

余りにはまったので、セット(推理の根拠となるルールの組み合わせ)そのものまで自作してしまったのですが、それの公開は次の記事に回すことにします。
いや本当、TRPGやボードゲームが好きな人なら、絶対にプレイしてみるべきだと思いますよ。公式ページに通販委託販売店リストがありますから、是非!

なお、プレーヤー集めるのが厳しかったりもするかと思うんですが、ボードゲームカフェなり所属サークルなりを利用していただくと言う事で一つ。
一応オンラインツールもあるみたいなんですが、あのお互いの視線をぶつけ合いながら、口プレイ(ロールプレイなどでブラフを張ること)をしつつ腹の探り合いをする楽しさは、アナログゲームならではの物だと思いますので。



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