2012年07月04日

本筋は面白いよ/ロボティクスノーツ 感想4

ROBOTICS;NOTES (通常版)

これまで、及びこれ以降の感想は、こちら

ROBOTICS;NOTES、淳和・フラウ・愛理各ルートの感想です。

一応自力でやり直そうと思ったのですが、Twitter返信タイミングがかなりシビアな上に、スキップが止まらない仕様に辟易し、序章終了前に攻略サイトを参照しました。テストプレーヤーから不満が出ないはずはないので、純粋に手抜きか練り込み不足でしょう。
Steins;Gateの時は、攻略サイトはグランドエンドくらいにしか使わずに、実績全解除までプレイしてるんですよ。あの程度の難易度・仕様なら普通に遊べるわけで、なんで今作では退化してしまったのか不思議です。


と言うわけで、まずは一番空気の淳和ルート。

フラグは、解いてみてもなんでこれで無ければいけないのかよく解らない代物で、自力で解くことを放棄して正解としか言いようがありませんでした。
とりあえず、実際の種子島でH-IIが展示されている棟をロボ組み立て用に使うシーンで、全方位カメラで棟内を見れるのにはちょっとだけ感動。横倒しになったH-IIのでかさは見学ツアーに参加したことのある者には印象的ですから、イメージが湧きやすいです。
……プレーヤーの中で、宇宙センターのバスツアーに参加したことのある人間が何人いるのか知りませんが。ちなみに、あのバスツアーはNASAの同系と違ってしょぼいので、十万以上かけてまで見に行くもんじゃないですよ。種子島、雰囲気はのどかで凄く良いところなんですけどね。

閑話休題、肝心のシナリオ内容ですが、参りました。淳和が、主人公とは真逆の方向性で話を進められないキャラクターなので、これまた無駄にシナリオが遠回りするのです。設定に比して強烈すぎるトラウマ(苦手意識ならともかく、12年経って過呼吸と脱力でクリニックに入ることすらできないって、そりゃ既に病気でしょう)とウジウジした性格のコンボですからねえ。そして、シナリオ自体も結局魅力的な題材を放擲して、この魅力に極めて乏しいヒロインのトラウマ解消ツアーという、どーでもいいもの。

この辺、またSteins;Gateとの比較になってしまうのですが、個別ルートが本筋と絡めていないのですよね。個別ルートが「魅力的な個別ヒロインの幸福を優先してしまった」バッドエンドという扱いだった前作は、各ルートは存在その物が本筋へのアンチテーゼであり障害だったわけです。これに対して、今作の個別ルートは主人公が本筋に何のモチベーションを持っていないが故に本筋とのリンクを持ち得ず、そもそも「主人公が本筋に絡む理由自体が無い」と言う根本的な問題点を浮き彫りにしてしまいます。

キャラクター面以外でも、大目的である万博出展まで「時間が無い」と言うのが序章から繰り返し述べられているポイントなのに、それを無視したかのように関係ないイベントが進むのは、シナリオとして破綻も良い所。
この章自体は、ドクというキャラクターの良さ(あれこそ、定型を積み重ねた丁寧な描写の勝利でしょう。声優さんの演技が上手いというのもあります)もあって、単品として結構綺麗にまとまっているのです。だからこそ、逆に本編のサイドストーリーとして「本編が進んでいる」描写とセットにしないと不味かったのではないでしょうか?

個別ルートを途中段階として本編の一部に組み入れてしまうと言うアイデアは、悪くないだけに、練り込みに足り無さが惜しまれます。と言うか、この形式だとそもそもルート分岐は必要なく、最初から全編通しで見れるようにすべきだったと思うのですが……
攻略サイトを見たので前半から順次見ていきましたが、何も見ずにやっていきなり後半の章に飛ばされたらひどい事になったと思います。

そして結局、このフェイズ6では、ドクがロボ部への協力を拒否するきっかけだった代替ロボ作成の話がスルーされてますが、これで良いんですか?
ドクが切れて部長を出禁にした理由はそこなのですから、1号を棚上げして2号に移ると言う事を彼に納得させないと、意味が無いはずですが。逆に、もし6章のラストを真の意味で「解決」にするならば、ロボ部にドクが協力しなくなるきっかけは「倒れて弱気になった事」でなければなりません。なんでこんな構成になってるのでしょう?

なんか、どんどん疲労感が募ります...


続いて、キャラとしては昴とツートップで「立って」いるフラウのルート。

フラウの好感度を上げると入れるフェイズ7は、期待通りの面白さでした。陰謀論が現実の物となって火を噴き、正体不明の敵に追い詰められていく感じがたまりません。ロボ制作と対を為すシナリオの軸は、やっぱり良くできています。
種子島を襲う嵐と大規模な太陽嵐、そのさなかに発生するテロと濡れ衣と、一気にイベントを畳みかけスピード感は抜群。この辺の「引き」の強さとスピーディな展開が持ち味なわけで、本領発揮と言ったところでしょう。逆に、「引っ張り」が弱くなって妙に展開が冗長になるサーバー逆クラッキングのシーンは、このフェイズの中で一番残念な感じになっていますし。
結局、シナリオの迷走や主人公の造型失敗は、その持ち味を活かせない方向に舵を切ってしまったが故の齟齬なのでしょう。

実際その流れの中に組み込まれると、クソ主人公も、問題解決のきっかけとして格ゲーへの情熱(?)が機能して、うざさは大幅に減。むしろ、頼りがいが有るようにさえ見えてきます。
ま、例によって必要な事を喋らない(仲間が洗脳されていたって事をレポートの内容と合わせて指摘すれば、フラウがあそこまで落ちることはなかったですよね)と言う、上から目線系主人公の一番どうしようもない部分を踏襲していたりするので、好感度がプラスに転化するのは無理なのですが。

もっとも、折角シナリオが盛り上がるのに、不満点も積み上がっておりまして……

まず、ここまで君島レポート探しは自力でやってきたのですが、校内の物が見つけられずに再び攻略サイト参照。PC98のAVGみたいな不毛な作業を今更やらせて、一体何がやりたいのですか?
あと、太陽嵐って地上の一点を「直撃」できるもんじゃないだろうとか、そう言うのも気になります。別にトンデモ科学目白押しなんですから、そこは電離層の状態で未知の凸レンズ効果がどうこうとか、人工衛星を使ってイルミナティが収束させてるとか、そう言う話を挟んだ方が良かったのでは?陰謀論が真実!と言う大嘘が設定の根幹なわけで、他の部分ではあんまり意味のない嘘をつくべきじゃないと思います。

ちなみに、ここでフラグの一つとして出てくる「JAXA増田通信所の展示室にある人工衛星追跡ゲーム」ですが、これって実在だった気が…… サンダーバードみたいな光景の通信施設にある展示室で、お金がかかっていない割に面白い展示内容でした。見学したらストラップもらえたし。
個人的には、置いてあったゲームの中では、ステーションへのドッキング加減速を手動で行う、ロシア魂あふれる(ロシアは、誘導装置が故障したときにミールに手動でドッキングさせようとして衝突事故を起こしています)ゲームが、結局クリアできなかった事を良く憶えていますが。



そして、キャラクターの中ではあからさまに裏設定をアピールしていた、愛理ルートへ。

ところで、フラグはフラウルートと同時に立てたんですが、同時に立てても、片方が終わったら強制的にメニューに戻されてしまうのですね。こう言う意味の解らない仕様は、本当にやめて欲しい所。プレイ時間稼ぎなのかもしれませんが、ユーザーのプレイコストを無駄に高めてどうします?

このフェイズは、フラウルート同様、緊迫感が終始シナリオを強く牽引し、あきさせません。壊れ行く愛理と、残されたメッセージと、サブキャラクター達の過去。これらが一体となってグイグイ引き込まれます。大体ネタの予想は付くのですが、盛り上げ方はやっぱり一流。

しかし問題は、これがさっぱりロボ作りに絡んでこないこと。制作中のロボはフェイズ6以降一向に進まない、と言うか物語の背景程度の意味しか持たず、これテーマの選択間違えたんじゃないの?と言う疑問がムクムクと。

あと、主人公の行動に納得がいかないんですが、これはしょうがないんですかねえ。
陰謀論クラスの敵がバックにいるのに、愛理を警察に預けるという発想があり得ないと思うんです。コールドスリープは2019年でも非公開技術のようですから、世界の政府に根を張る300人委員会に察知されれば、愛理が処分されない理由が無い。何しろ、消された君島コウの遺児みたいなもんですから。
そうでなくても、治療法があるかどうかも解らないのに「解凍して下さい」とか、何事かと。他にも、警察によって死んだことになっていた(失踪後10年経ってますから、立派な死者です)愛理が発見されれば、愛理が解放したかった母親が刑事罰に問われることになりますし、何もかもが軽率すぎます。せめて、アイリの意思を確認してそれを言い訳に使わないと、シナリオとしては滅茶苦茶になってしまいます。
そもそも、愛理の病名が不明な以上、解凍しても死ぬのを待つだけになる可能性がかなりあるって、忘れてません?10年やそこらじゃ、実用レベルの難治疾患治癒術はそうそう開発されませんよ?

まあ、この部分以外は雰囲気も良くできていたので、フェイズ8自体にはトータルでそこまで印象が悪くありません。
ラストのあれはどう言うことなのかとか、疑問は尽きないのですが、多分ちゃんと設定的なフォローが来るものと信じて、先へ進めようと思います。



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この記事へのコメント
管理人様
突然の書き込み失礼いたします。AVG好きで楽しく読ませていただいています。
ロボノの購入を迷っていまして書き込みさせていただきました。
ズバリ主人公そんなに厳しいですか?(汗
科学ADVシリーズで言えば、カオヘも私は楽しくプレイできました。
(管理人様はカオヘには厳しい評価をされていましたが…。)
タクの性格も序盤きつかったですが後半なんとか感情移入できました。
シュタゲのオカリンは「厨二のフリをした正義感あふれる主人公」ですしなんの問題もなかったです。
(どこかの記事でメーカーへのインタビューによると、タクもオカリンもカイも序盤はあえて嫌なヤツにしているとのことでしたが。つまり後半は一転熱い主人公になってカタルシスを…ということなのでしょうか?)
管理人様によるとロボノのカイはかなりひどいようなので。決して短くない時間つきあう(いや一心同体になる)主人公ですので、あまりに性格が厳しかったら購入をどうしようか、かと思い書き込みさせていただいた次第です。
タク、オカリンと比較していかがでしょうか?(管理人様のブログ読ませていただいてるので多少のネタバレはOKです)
突然の書き込み大変失礼いたしました。
Posted by vox at 2012年07月05日 09:00
>vox さん

厳しいというか、論外です。

カオスヘッドの主人公と比べると、方向性は違いますが序盤のうざさは同程度。
戯画的なキモオタであったカオスヘッドに対し、変な信念をこじらせた中二病です。どちらも他人を見下す態度を含めて、「厳しさ」の性質としては一緒だと思います。
ただし、後半になるとちゃんと主人公していたカオスヘッドと異なり、こちらは最後までどうしようもありませんでした。
多少熱くなりはするのですが、行動原理は支離滅裂ですし、ヒロインや仲間達が傷ついても基本放置です。結局向かい合うのはゲーだけで、主人公どころか仲間でも厳しいレベル。

ですので、主人公としては「器じゃない」と言う評価になりますね。
ただ、数年経っているカオスヘッドと違って印象が鮮烈ですから、その辺割り引く必要があるかもしれません。

とりあえず、一月も経てば値段が下がってくるでしょうから、プレイするのはそれからで構わないと思います。
Posted by snow-windsnow-wind at 2012年07月05日 21:32
管理人様
突然の書き込みにありがとうございます。

かなり酷そうなので、
(シリーズですのでプレイはすると思いますが、)
しばら様子を見てからにします。
Posted by vox at 2012年07月08日 21:58
俺妹の記事からハルヒやロボノ感想など含めていくつか記事を拝見させていただきました。
ハルヒ含めてかなり共感しました。また、自分では気づかない視点からの内容も多々あり、楽しく読ませていただきました。

今後、楽しみがまた一つ増えました。ありがとうございます。
ここまで共感したブログはなかったもので、思わず書き込んでしまいました。
駄文失礼いたしました。
Posted by hiro at 2012年08月10日 05:35
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