2012年07月05日

最後に行くほど悪化/ロボティクスノーツ クリア後感想

ROBOTICS;NOTES (通常版)

これまでの感想は、こちら

ROBOTICS;NOTES、一通り終わっての感想です。

実績全解除までプレイしましたが(と言うか、最終章のトゥルーエンドとバッドエンドを見たら、勝手に解除されました)結局魅力を感じることはできず、心を震わせられることもなく終わってしまいました。
最後の感想は「ああ、終わった。これで、これ以上プレイする必要は無いんだ」で、要するに全くダメです。

プレイタイムは32時間くらいになっていますが、途中でコントローラを放り出してカルドセプトの対戦をプレイしていた時間がかなり入ってますから、実際にはSteins;Gateより少し長いくらいだと思います。


では一応、細かい部分の感想などを以下に。


最終章に入る前に、前作メンバーのTweetが表示されるフラグを回収したのですが、これまた面倒。ただ、これはあくまで隠し要素なので、特に問題とは言えません。問題なのは、あくまでも、隠し要素と同じレベルのフラグ立てを本編に要求していることです。


さて、最終章が始まったことで気持ちは盛り上がっていたのです。ですが、開始早々全く変わらないクソ主人公の独白で台無しです。ここから盛り上げようと言うときに、ロボなんか興味がない、と言う主人公のセリフで幕を開ける事に、本当に何の疑問も持たなかったんですか?
この期に及んで綯と格ゲーどうこうとか、そのまま死ねと言わざるを得ないひどさです。
そして、問題はキャラだけでは勿論無く、ここに来て本筋のずっこけかたが洒落にならない状態に。何しろ、ロボは「いつの間にか」完成しているのですから!

あのですね、完成直前の修羅場と困難がないと、プレーヤーは思い入れを持ちようが無いですし、話としても盛り上げようがありません。これまでの蓄積があれば別でしょうが、ロボの製作自体はここまでストーリーに全く絡んできておらず、忘れ去られていたのですよ?
何より、クソうざい主人公がロボ部に参加する作劇上のチャンスなのに、それをまったくせずいつの間にか完成?主人公は特に手助けしませんでした!?

文字通り頭を抱えました。一体、なんでこんなシナリオラインになったのでしょうか?いや、このシナリオラインにするのなら、何故「巨大ロボット」をテーマにしたのでしょうか?
結局、話として盛り上がったのは世界の裏で進行する陰謀論だけで、中心にいたはずのロボ関連はどうでも良いイベントを散々引っ張ったあげく、ビタ一盛り上がらずに山場を越えてしまいました。と言うか、山なんかありませんでした。
ロボ完成後が本題だというのなら、ロボを拾うなりなんなりで手に入れるところから始めればいいのです。主人公にも本筋にもロボが必要ないのなら、オミットすればいいのです。格ゲーオタである主人公を絡ませるための小道具だとするならば(機能してないですけど)、傑作小説「ソリッド・ファイター」のように、その物ずばり格ゲーをテーマにするべきでした。これでは、物語としてどうしようもありません。箸にも棒にもかかっていません。

一応、ロボを巡る各人の思い・相違が重要なのかとも思ったのですが、フラウ・昴はともかく、取って付けたトラウマの淳和や全く共感を呼ばない(呼ぶようなイベントをここまで組めていない)部長辺りを見ると、明らかに違うわけですし。

「熱く」するために無理矢理突っ込まれた設定も、不合理な上に必然性がなく浮き気味。地形含めて位置情報を常時トレースしているなら、送電銃座を自動追尾にするのは簡単なのでは?と言うか、そうしない理由が無いと思うのですが。何しろ、操縦系の入力結果を未来予測で事前提示してくれるシステム、などと言うのが据えられているのですから。

他にも、そもそも足の構造がおかしく自重を支えるのは無理だろう(足は両側の足関節にくっついた極薄の鉄板一枚のみで脛と繋がってるんですよ。ストッパーもなく!)とか、支柱外して初の歩行テストするときに、足元に人がいるとはどう言うことかとか、なんか基本的な部分の滅茶苦茶さが一気に噴出してきます。特に後者とか、あとで起きる事故の伏線ですらない辺りが、もうね。(事故の時は、JAXAの人が監督していなかったのが原因、と説明されますが、監督下にあったときから同じじゃないですか……)
外装を外して骨格だけというコンセプトなのに、何故ダンボール型の「外装だけ」状態の設計になっているのか、とかね。

まあ、こうもロボ関連がグダグダだと目に付いてしまうのは仕方ないでしょう。プレーヤーに矛盾点を気にせず押し切る力が、シナリオになかっただけの話です。

で、その後のラストへ向けた最大の試練は、ちゃんと盛り上がるんです。ですが、この盛り上がりは言わば場外乱闘。理系プロジェクト物の本来の面白さを放擲し、単なる青春ドラマのフォーマットを演じているだけです。
前回紹介したほうかごのロケッティア、そしてその元ネタたる夏のロケットが典型ですが、「普通でないプロジェクト」を完遂することは、それだけで多くのドラマを生み出せます。SF作家のクラークや谷甲州が典型ですが、技術的特性に起因するトラブルを描くだけでも十分すぎるほどのドラマは提供でき、取って付けたような事故など別に必要ではありません。


ところで、ロボの座りポーズ、もう少し何とかならなかったんですか?腰が浮いてて、マニピュレーターで体支えてるんですが…… 壊れる上に、また転倒事故起こすでしょう。

で、万博のクライマックスも、あき穂の役立たずさアピール+主人公唯一の取り柄活かす機会に不在、と言う超絶ストレスフルな内容。あき穂が役立たずなのも、主人公が何もしないのも、これまでいやになるまでアピールされてきたわけで、今更繰り返さなくていいですよ。
ちゃんと実のあるシーケンスにしたいなら、あれは主人公が挑んでSUMERAGIに敗北すべきでしょう。それではじめて、格ゲーオタの主人公にリベンジを誓い能動的にクライマックスに関わるための、動機付けをすることができたはずです。


さて、ラスト近辺の展開については、どんでん返しから熱血展開に至るまで空回り。
陰謀論のお約束と言えばそうなんですが、世界経済を牛耳っている癖に、ロケット一機打ち上げるために十年がかりのプロパガンダとか、300人委員会って馬鹿なんでしょうか?君島レポートの真実にしても、世界に混乱を起こすという目的に鑑みると、非効率不確実意味不明と三拍子揃っていて、「そうだったのか!」ではなく「は?」と言う反応しか返せません。

そして、やっと主人公がやる気を出す展開に行き着いても、それまでの無気力さが祟り、まるで共感できません。だって、主人公は大きな怒りを抱くほどの何かを、これまで作中で提示していないのですから。
あれだけあき穂を蔑ろにしておいて、今更あき穂が傷つけられたと怒り出すのもそうですし、みさ姉に対してちゃんと向かい合ってこなかったのに、路傍の石と無視されたくらいで切れられても、ざまを見ろと言う感想しかないわけです。
特に前者なんて、あれだけ協力拒否を繰り返しておいて(裏でコソコソ動き回ってはいましたが、あれって別にあき穂のためってでもないですし、そもそも効果的でもなかったですよね)あんなことを言い出されても、じゃあもっと大切にしていると言う事をアピールしておけよと言う話になるわけです。
オカリンがまゆりに対して、表面的な態度と裏腹に、大事にしているとどれだけアピールしていたか、思い出していただきたい。

あげく、その直後のシーンで、落ち込むあき穂に嫌味だけ言って放置し、倒れる姿に振り返りすらせずに立ち去るとか、ええと、何ですかこれ?発破をかけるとかそう言う話かと思ったんですが、その場合せめて主人公のモノローグで立ち直ってくれ、と言う趣旨の発言させると思うんですよね。と言うか、普通させない理由が無いんですが、実際に奴が発するモノローグは「1分1秒でも早く。まずは空港までたどり着かないと」です。

主人公の問題を除いても、ネットが生きていて連絡自在なのに、「主人公が」わざわざ種子島に行かねばならない理由など別にありません。「知っているのは俺たちだけ」って、何のための情報コミュニケーションツールなんですかね?
勿論、物語としては主人公がやらねば意味が無いのですが、主人公が上記の通り、姿の見えない敵などよりよっぽどプレーヤーからヘイトを集めている状況なので、納得などできるはずもありません。

そうやって盛り上げるのに失敗したあげく、唐突にランディングギアが故障したから胴体着陸、みたいな茶番劇を挟むので、どんどんテンションは下がっていきます。

とにかくシナリオは最終段階において、陰謀論や超科学と言った想定済の部分ではなく、それ以外の基本的なところでグチャグチャになっていきます。テロリストを排除するために、何故一号機なのか。改造と言いますが、あの単なる足だけロボを一晩でどうこうなんて、何を言ってるのか解りません。まだ、壊れた二号機を運んできて修理、ならある程度納得できるのですが。
って言うか、トラックに装甲貼り付けて、モノポールモーターを爆発物として積み込んで自動車爆弾とか、そうじゃなくてもガソリン積み込んで突っ込ませるとか、実用的な代替案が山と思い浮かぶんですが……

根本的なことを言えば、ロケットなんぞ、遠距離狙撃で燃料タンクに穴でも開けてやればそれだけで打ち上げ不能になります。300人委員会への対抗機関があれだけ実力を持っているなら、スポーツライフルの一丁でも入手できないわけがないでしょうに。


あと、最後につながる中学生日記みたいな展開ですが……
もう、何も言わなくて良いですよね?この展開への伏線はありましたか?この展開にカタルシスを感じさせるための準備はしましたか?そして、この展開に必然性はありましたか?

ラストも、戦闘は盛り上がるかと思いきや、スローモー発動のエフェクトが長すぎかつ頻繁すぎて、ダラダラと長いだけになってしまっています。

と言うわけで、結論としては、「ノベルゲームとして失格」「システムやキャラクター造型など、基本的な部分がなっていない残念作」となりました。
途中良いところもありましたし、絵や音楽も頑張っています。ですが、根幹となるシステムとテーマに関わるシナリオ本筋、そしてそれを彩るキャラクターに魅力が全くなく、とてもお勧めすることはできません。




カルドセプト

↑同日発売だった3DS版のカルドセプトは、バランス調整もボリュームアップもネット対戦も、実に丁寧にブラッシュアップされており、移動時の友となっています。その内感想を書こうと思いますが、ゲーマーとして選ぶなら、絶対にこっちでしょう。
おかげで、ロボティクスノーツをプレイしている時間は、後半もったいなくて仕方ありませんでした。




当BLOG内の、その他ゲーム関係エントリーはこちら





同じカテゴリー(ゲーム)の記事画像
黄昏のシンセミア 感想5 いろはルートと朱音ルート
黄昏のシンセミア 感想4 翔子ルート
黄昏のシンセミア 感想3  美里先生ルート
黄昏のシンセミア 感想2 妹ルート
黄昏のシンセミア 感想1
sugar + spice! 感想
同じカテゴリー(ゲーム)の記事
 「GUILD 02」 各作品の感想 (2013-04-01 22:01)
 一長一短/NINTENDO 3DS 「GUILD 02」 全体の感想 (2013-04-01 22:00)
 ようこそ停滞の中世へ! 「CRUSADER KINGS II」 感想 (2013-03-15 22:00)
 傑作のなり損ない『ROUTE DOUBLE』感想 (2013-02-22 22:00)
 和製ゲームの悪い癖/バイオハザード6 感想1 (2012-10-05 22:00)
 たまには当たる未来予想/ドラゴンクエストXとカイシャクエスト (2012-09-15 22:00)

この記事へのトラックバック
正直に言おう、全く価値がない。最後に行くほど悪化/ロボティクスノーツ クリア後感想 は全く同感で、後に行けばいくほど脱力感の漲る展開。まず、綯の登場とエンディングに徒労感を...
Robotics; Notes【Trill Out】at 2012年08月19日 19:38
この記事へのコメント
かの大炎上したカルドセプトサーガから3DS版が見事に復活を遂げた一方で、メディアミックス制覇のSteins;Gateの続編がここまでコケるとは・・・諸行無常を感じますね。
それにしても、企業ブランドを保つためには5pb.はこの作品だけは成功させなければいけなかったんですが・・・力の配分の問題でしょうか。嗚呼残念。
Posted by Aruzya at 2012年07月08日 22:21
ヒットした物の続編は、色々な外野の思惑が入ってきて、無駄に大作風味の薄味になることが多いと思うんですが、悪い意味でとんがっちゃった感じですねえ。
自社製品のどこがヒットしたかの分析をし損なってると思しいのが、ガンパレードマーチ/アルファシステムを思い出させていやんな感じです。
Posted by snow-windsnow-wind at 2012年07月14日 00:02
クリアしましたが、結構面白かったですよ。特に最後は盛り上がれる!システムはともかく、ストーリーは良かった。いろいろ揚げ足取りしてる人もいますが、揚げ足取れてないことも多い。例えば、ロケットの燃料タンクを狙撃するとか?それができないことは作中で言われてたでしょうに。
Posted by abf at 2012年09月25日 14:28
尻すぼみは悲しいですね。。
Posted by 吉田けい@マーケティング at 2012年10月02日 21:47
リアルロボの作品ばかりで飽きていたところに、
ロボノという王道展開のスーパーロボ作品が出てきてくれました。
正直、物凄く嬉しかったです。グレンラガン以来の名作だと感じました。
バカと言われるならそれでも良い。私はロボノが大好きだ。
Posted by おじさん at 2013年05月06日 22:41
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。