2012年07月17日

2作目はやっぱり……/映画「ピラニア・リターンズ」 感想

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↑日本のAMAZONではサントラしか売っていませんが、本国ではDVDも発売済。もっとも、輸入してまで観る価値があるかというと……


傑作馬鹿映画だった、前作の感想はこちら


北海道では8月公開、しかも2Dのみとか言う悲しい田舎仕様だったので、連休に本土まで遠征して「ピラニア・リターンズ」(原題は、前作最後の予告にあったとおり「ピラニア3DD」)みてきましたよ!
……嘘です。用事のついでに観ただけなんです。でも、それくらいの価値はあると思ったんですよ。鑑賞する前は!

と言うわけで、去年観た作品の中ではエンジェル・ウォーズ(感想はこちら)と並ぶ、素晴らしい馬鹿映画だったピラニア3D、その続編たる「ピラニア・リターンズ」を鑑賞してきました。
そりゃあ、観る前はワクワクしっぱなしで、トイレに貼ってあった多分公式の宣伝ポスター(前作同様漫画太郎謹製)にニヤニヤしてたわけですよ。
ところが、これが困ってしまうくらい残念な映画だったのです。

設定としては、前作から一年。ピラニアの大増殖でゴーストタウンになったヴィクトリア湖の近隣で、安全なプールがオープンしようとしていたが、そこにピラニア大襲来、と言う、本来外しようのない設定です。

しかし、面白くない。

勿論、馬鹿映画として最低限の水準は満たしているのです。しかし、前作のように、ポップコーン片手に身を乗り出し、馬鹿笑いしながら(許されるなら奇声も上げたいくらい)ノリノリで鑑賞できる傑作かというと、全くそんな事はないのです。

この原因は、大きく3つに分けられると思います。


1,シナリオラインがグダグダで描写不足
2,そのくせ、無駄な要素が多すぎ
3,って言うか、予算足りてねえよ!


1ですが、前作は「湖に溢れたピラニアが、徐々に被害を拡大させ、最後はフェスの最中に大襲来」と言う物でした。要するに、「ピラニアが出たぞー!」と言う舞台説明を済ませたら、あとは「オッパイ → 血しぶき」のコンボをらせん状に束ねて、シナリオが進む毎にこの規模が大きくなっていく形です。シンプルですね。

ところが、今作の場合、シナリオが解りやすく繋がっていません。
まず、序盤にピラニアの被害が出るのは、「前作の舞台であるヴィクトリア湖の、近くの湖」です。と言う事は、まずは「ヴィクトリア湖 → 今回の湖」のピラニア移動を描写しなくてはならないのですが、これがありません。「何故かその湖にいたピラニアが被害者を食う」だけです。そして、「何故そこにピラニアが居たのか」は、前作のドクが口頭で説明するだけ。ちゃんとピラニアの巣を出したりして盛り上げていった前作とは雲泥の差です。
しかも、トリであるプールへの襲来は、「実はプールの水は地下湖から汲み上げた物だったから」と言う理由。つまり、序盤のピラニアの被害とプールの被害は関係ないのです!

また、ピラニアの移動能力をしきりにアピールしているのですが、これもシナリオには全く関係ありません。って言うか、地下湖から汲み上げてたなら、オープン前テストの段階で奴ら来てたと思うのですが……
「馬鹿映画なのでシナリオなんざどうでも良い」と言うのは、「細かい事が気にならないように解りやすい話にしなくてはならない」と言う意味です。どうも、その辺を勘違いしているとしか思えませんでした。
と言うか、シナリオは本来「どうでも良い」のではなく、「個々のシーンを盛り上げるための演出の一部」だと言う事を再認識したり。

段々と話と演出を盛り上げていって、最後の狂宴に繋げるには、余りにもシナリオ(と言うか進行)が力不足です。


そして2。
恐らく本編の迷走にも関わってくるのですが、余計な要素と共に「伏線だと思った?残念、何の意味もありませんでした!」みたいなシーンが多すぎます。最初の死体からあふれる卵やギャグシーンなど、ピラニアが生物に卵を産み付けているのかと思ったのですがそんな事はありませんし、「頭がよい」とアピールしていた割にやってる事はただの体当たりで、前作と同じです。
結局何の意味もなかったロシア人の医者や、活用されることの無かった馬鹿カメラもそう。って言うか、アダルトプール、結局最初しか出てきませんでしたよね!?
完全に「なかったこと」になっている前作ラストの伏線は、次に書く予算不足の問題だと思うのですが。

デヴィッド・ハッセルホフの本人ネタは、ゾンビ・ランドのビル・マーレイ同様面白かったんですが、アレも露骨な尺稼ぎでしたしねえ……


でまあ、全ては3に集約されると思うのですよ。
今回、明らかに予算が足りていません。エキストラは足りないですし、残虐シーンも控えめ。オッパイも、綺麗で大きなオッパイは少なく、多分女優に余り金をかけられていません。観た映画館の問題もあるかもしれませんが、3Dも今一で、前作のパラセーリングにおける「オッパイだけ画面から飛び出してくる衝撃映像」みたいな、3Dを最低かつ最高に利用しようという気概は観られません。

大体、折角のプールなんですから、色々できるじゃないですか。ウォータースライダーをピラニアが滑り降りてきてギャー!とか、波のプールでザッパーン!とか、それで外れたビキニのトップからピラニアがこんにちはとか、3秒ごとにIQが1%低下するような、そんな諸々を期待するじゃないですか!なのに、画面では、単にエキストラが安っぽく逃げ回っているだけ。
ラストのショックシーンをあんな風にするのなら、子役もちゃんと食わせろとか、色々言いたいことが目白押しになります。しかし、そう言う諸々は、SFXや撮影期間や役者のギャラを削る中で、きっと次々に切り捨てられていったのでしょうね。
続編需要を当て込んだ、短期・低予算企画、そんな身も蓋もない事実が、画面からにじみ出るような80分でした。


あるいはこのピラニア・リターンズ、「2作目は劣化コピー」という、B級映画のお約束を忠実になぞる、と言うネタなのかもしれません。でも、B級はB級でも間違いなくある種の芸術として完成していた前作に対し、「ほら、ネタだからこんなもんでいいよね?」みたいな志の低さが鼻に付く本作は、評価することはできません。
くそまじめに、真っ向から、魂を賭けて作られていた前作は、やっぱり奇跡だったんでしょうかねえ。

実に、残念でした。前作は、本当に素晴らしかったのですが……



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タグ :映画

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