2012年08月31日

最近ひどい映画ばっかりだ/映画「プロメテウス」感想


プロメテウス (リンダブックス)

本作の脚本は有り体に言って意味不明ですが、↑の原作(ノベライズ)小説ではかなりマシらしいですよ。まあ、情報量が多いので当然ですが。


更新が映画の感想ばかりになるのは、時間が無いからですすみません。
まあ、時間不足の大部分は、ドラゴンクエストXなのですが。こっちも、その内感想を書こうと思います。



映画「プロメテウス」は、傑作SF映画「エイリアン」の前日譚です。

あらすじとしては、

2089年、世界各地の遺跡から発見された共通のメッセージ(星図)に導かれ、人類は未知の惑星へと足を踏み入れる。そこは、地球の生命を創造したエンジニアの星だと予想されていたのだが……

と言うもの。

でまあ、この段階でやばい臭いを感じ取れるようになったら、とりあえずハリウッド映画三級(適当)くらいでしょうか?
私は例によって期待作品として、「エイリアンの前日譚」以外の情報をシャットダウンして突撃したので、見事に地雷を踏んで天高く舞い上がる羽目になりました。

とにかくひどい映画だったのですが、問題点は割と明確です。3点にまとめると、

1,エイリアンの前日譚として、全く機能していない
2,SF映画としてあまりに大事な部分をおろそかにしすぎている
3,って言うか、B級映画として撮ったら傑作だったんじゃないの?

と言う感じ。


以下細かく感想を書いていきますが、思いっきりネタバレになりますので、嫌な人は回れ右して下さい。
あ、一応最後の一行だけは未見者に向けて書いてますので、そこだけスクロールして見るのはありだと思います。




では、1から行ってみましょう。
観てから確認した宣伝でも脚本でも、重視されるのは「創造説」です。ええ、インテリジェントなデザイナーがどうこう言うアレ。
とは言え、SFの題材として創造説は割とメジャーですから、それ自体が問題なのではありません。問題なのは、この創造説が本筋に上手く絡めていないこと。例えば、探検隊の組織は創造主にまみえて死を克服したい、と言う死にかけの爺さんの妄執によるのですが、なんで彼が、エンジニアをまみえると死を克服できると考えるのか解りません。多分、創造主=神と言う粗雑な連想なのでしょうが、人類をデザインした何者かの存在とそれが死を克服しているかとか言う話は本来別物なので、話が繋がりません。と言うか、素朴な創造主=神への到達の話をやりたいなら、SFは最悪の選択です。
大体、主人公からして創造説を信じている!と高らかに宣言する電波さんなのですが、その根拠は何もなく(本当に、何もないって自分で言ってます)何らかの「立場」を付与できるキャラクターではありません。これは、ぞんざいそのものの扱いを受ける反創造論代表者の監察官も同様。これでは、「エンジニア」は存在するのか、と言う本来なら中心になる課題は盛り上がりようがありません。

それ以前に、脚本の中心となる創造論そのものについてですが、これまた何も解明されません。
映画内で出る情報は、出てきた異星人が地球人と一致するDNAを持っていた、と言う事だけです。なんか、数名のモブが好き勝手な解釈を言っているのですが、彼らが人類を創造した証拠もなければ、関連性も不明です。(同じ情報で構成されているなら、むしろ同じ創造主に作られた人類の兄弟、と考える方がまだ自然だと思うのですが)

大体、千年間眠ってて本星はどうなってるのかとか、あの星は何だったのかとか、そもそもなんで人類をあの星に導こうとしたのかとか、何一つ説明されないまま終わります。と言うか、あの星自体単なる宇宙船のドックが二つあっただけみたいなんで、意味が解りません。

そして、最悪なのが「エイリアン」につながる部分。
この作品とエイリアンの関連を一言でまとめると、以下のようになります。

「旧作のエイリアン四部作は、人類を創造した異星人の謎を解きに行った探検隊が、ミスって生み出しちゃった怪物が暴れる話。今回の話で提示された問題とは、全然関係ありません」

スターウォーズエピソード1~3を観たあと、旧作を観たいという気持ちはある程度湧いてきましたが、プロメテウスを観たあとそう言う気分にはならないでしょう。だって、本筋と関係ないわけですから。



しかし、2.
これはハリウッド映画でありSF映画。演出とかシーン構成とか、お芝居として楽しければ問題はありません。
けれど、残念ながら、馬鹿で間抜けなスタッフは、とんでもない物を作り上げてくれました。

まず、物語は2089年の発掘現場から始まるのですが、1960年代と言われても違和感のないローテク現場。登場人物の格好も、現代の貧乏な大学院生そのままで、テロップがなければ誰も未来だと気づかない代物。
そこから一気に画面転換されると探査船プロメテウス号の中になるのですが、そもそも2089年という近未来で、超光速飛行が何の説明もなく行われていて系外惑星のテラフォーミングまで普通らしいと言う事が、特に解説もなく垂れ流されます。
それって、人類の社会や生活・常識に大変革が起きてるはずなんですが、登場人物どもはどう見ても現代のおっさんおばさんで、違和感バリバリ。

一応、先進テクノロジーが色々出てくるのですが、タブレット型端末だのアームで固定されてる薄型ディスプレイだの、「現代でも頑張れば作れるもの」ばかりで、画面の安っぽさ係数が異常な数値を叩き出します。
現代では実現されていない立体映像デバイスは幾つか出てくるのですが、これは20年くらい前の映画から多用されているガジェットで、今更新味は無し。それどころか、妙にモデルがローポリゴンだったりCG丸出しだったりで、むしろ安っぽさを際立たせます。


そう言うSFガジェットの問題を置くとしても、脚本の支離滅裂さは最高で、率直に言うと茶番劇です。
何しろ、ヘルメットが破れたら即死する大気なのに、呼吸可能な大気がある場所(しかも、密閉されているわけではありません!)に入った瞬間嬉々としてヘルメットを脱ぎ捨てる惑星探査の専門家ご一行様ですよ。なんか不気味だから、みたいな理由でいきなり任務放棄して母船に戻ろうとしたあげく、意味もなく迷って(施設内の3Dマッピング終わってたはずなのに……)イベント起こす専門家二人とか、特に急ぐ理由もないのに資料を持ち帰ろうとして静電嵐相手にチキンレースする羽目になるシーケンスとか、誰か止めなかったんでしょうか?
感染防御の措置も取らずにいるくせに、いざ何かあったらいきなり感染者を焼却する監察官とか、勝手に病室抜け出して手術装置(あれも酷かったですね。麻酔かけねえと患者が暴れて手術になんないだろ!)使ったあげく、血まみれのまま歩き回る主人公とか、一事が万事意味不明です。
そう言えば、アンドロイドはなんで主人公の夫に毒を盛ったんでしょうね?何かの実験だったのかもしれませんが、あんな方法を取る意味が解りません。

行動原理が意味不明で描き込みが全くできてないのは主要人物以外もそうで、唐突に自己犠牲に目覚めて特攻する艦長&艦橋スタッフだの、露骨に対立していた次のシーンで仲良く任務放棄して一緒に帰り出す生物学者&地質学者だの、そもそもなんで社長乗り込んでること隠してたの?とか、ツッコミ出すと切りがありません。
これは別にあらを探しているのではなくて、観ていて次々に「え、なんでこの人はこんなことしてるの?」と言うシーンが頻発するのです。

あ、そうそう。モンスター・ムービーとしても、しょぼい触手としょぼいメイクと格好悪いエイリアン(ラストシーンのみ)と三拍子揃い、多分初代エイリアンの方が遙かに恐がれると思います。あー、DNA同じとは絶対に思えない異星人もいたか。

なんか、触手の適当な使い方とタイラントそっくりの異星人に、バイオハザードがどんどんつまらなくなっていった過程を思い出して、悲しくなりました。


そして、3。
あのですね、この映画、B級バカ映画と割り切って作ってれば、多分面白くなったんですよ。傑作であるピラニア3D(感想はこちら)みたいなノリなら、「アハハ、ヘルメット取ってるよ!」「やった、やっぱり馬鹿が食われた!」「そんな手術システムねえよ!」と、ゲラゲラ笑いながら鑑賞出来たと思うのです。それを、エンジニア仮説とか要らんハード気取りをやらかし、「大真面目に馬鹿をやる」のではなく「馬鹿が真面目ぶっている」としか言いようのないクズ映画が仕上がってしまったわけで。


と言うわけで、本当にどうしようもない屑映画なのですが、最初からゴミだと割り切ってB級を鑑賞しに行くつもりならお勧めです。そんな一発ネタに高い3D仕様料金払いたくない、と言うのは全くその通りなわけですが。



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タグ :映画SF

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