2012年09月28日

味の良いN匹目のドジョウ 『魔法少女育成計画』 感想


ドラクエXのせいで、時間が圧倒的に足りなくなっておりますが、とりあえず最近読んだ本の感想でもいくつか書いていこうかと思います。
実は、時間が無くて冊数を絞ったせいか、結構当たりが多かったのです。


魔法少女育成計画

最初の感想は、『魔法少女育成計画』。まあ、まどか☆マギカ以来雨後の筍のように濫発されている「アンチ魔法少女」物。何匹目か数えるのも面倒になってきたドジョウなのですが、これはなかなか味の良いものでした。

物語は、魔法のスマホアプリによって生み出された魔法少女が人助けをして回っている町で、運営(魔法界)側から「魔法少女の数を半減させることにしたので、お前等つぶし合え」と宣告されるバトルロワイヤル物。恐らく、まどか☆マギカの初期プロット「魔法少女でバトルロワイヤル」を、忠実にラノベに落とした感じでしょうか?

これだけ書くとお手軽便乗企画ですが、実はバトル物として非常に良くできています。魔法少女達は、魔法少女らしく特殊な魔法(例によって、身体強化や単純飛行は別扱い)
を一つずつ持っており、これを駆使して争っていくことになります。これが、最初のページに概要が明記されているのですが、万能に見えて穴があったり、役立たずに見えて使い勝手が良いなど、良い意味で予想を裏切り続けます。「その能力、そう言う意味かよ!」とかね。

でまあ、内容は割とハードでして、血湧き肉躍り色んなものがバラバラになります。これ自体は別にそう言う物でいいのですが、結局の所「魔法少女」が、営業上の釣り道具にしかなっていないのが哀しい所。
バトル物として良くできているんですが、その能力の多彩さと容赦のなさ故に、「魔法少女」と言う設定が、足を引っ張っているように思えるのですよね。勿論、西部劇スタイルのストロング魔法少女の変身シーンなど、「アンチ魔法少女」として強烈な効果を発揮しているシーンもあるのですが、むしろそればかりに流れている印象。(結局、普通の「魔法少女」は一人しかいませんでしたし)各人の「魔法少女」に対する思いやスタンスだったり、「魔法少女」と言う物のそもそもの歪さを上手く使えば、筋が通ったと思うのです。

この辺、本来水と油のはずのアメコミパロを交えつつ、「魔法少女」に対する突き抜けた真摯な描写を重ねていた「アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~」(当BLOGの感想はこちら)の方が、遙かに上でした。

あとですね、色々な設定上の問題を全部「魔法界が無能だったから」ですませてしまうのは、どうなんでしょう?いやあ、確かに最近はまったおジャ魔女どれみが余りに典型だったように、魔法界(またはそれに準ずる存在)って、年端もいかない少女に数百年来の問題とか押しつけてシレッとしてるヤクザな連中です。でも、アンチ魔法少女として再構成するのなら、そここそ設定的に一工夫するところ何じゃないでしょうか?まどか☆マギカだって、あの白い奴の態度から「年端もいかない少女を選ぶ理由?騙しやすいからだよ!」と言うような意図が透けて見えていて、最高に最悪でしたよね?

とりあえず、この作者さんの実力は確かだと思うので、次回作に期待したいです。



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