2012年10月06日

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ その1「始まりの物語」 感想

魔法少女まどか☆マギカ GRIEF・BOX2012 劇団イヌカレープロデュース

↑コミケで並んで買ったこいつが、普通に劇場の売店に置いてあって何だかなあという気分に。


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10/14追記
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と言うわけで、観て参りましたよ、「劇場版まどか☆マギカ 始まりの物語」。札幌の駅ビルに予約を入れて、朝一の回で鑑賞です。舞台挨拶の回もあったんですが、私は中の人に対して職人としての尊敬を向け、目視したいとは思わない方の人間なのでスルー。

では、例によって感想のまとめを先に書いてしまいましょう。


・元の地力がある上に、追加部分も概ね良好。納得のいかない部分はほとんどなく、良い作品に仕上がっている


正直、けなすところはまず見あたりません。総集編とは言え、本編の7割近い時間を取っているのですから当然でしょう。129分間の総集編で原作8話までを詰めており、良くまとまっています。
新作カットは思ったより多く、Blu-rayで直っていなかった作画が修正されている部分もかなりあって、予想以上に手間がかかっている印象。
また、細かな作画修正よりも、音楽が良くできている印象。マミさんの変身に歌が付いていたり、主題歌が変わっていたり。特に後者は、原作10話までの欺瞞を最初から捨てて、ほむらとまどかの物語に再構成したことを宣言しているアニメーションとマッチして、期待を押し上げてくれます。

作画については、主に原作3話のキャラ乱れが直っているのが嬉しいですが、一枚絵の背景を新規に起こすことで小さな手間で大きく画面を変えて見せており、相変わらず高効率。ただ、まどか達が放課後寄り道する場所が、喫茶店からフードコートに変わったことで、やや雰囲気が安くなっていますが。(ただし、等身大の中学生という雰囲気は高まります。逆に、ソウルジェムの秘密発覚後にほむらとまどかが会話する場所は、新規描き下ろしの学校屋上に変わっており、重苦しい雰囲気が増量)

削られた場面については、冒頭のまどかの夢や母の会社乗っ取り宣言、杏子絡みの細かいシーンが主。やはりさやかと杏子の部分は割を食いますが、これは全体の流れから考えると当然でしょう。私の愛する「マジカル☆スタングレネード」のシーンも削られてましたが、仕方のない所です。

さて、当然ですが全てが完全に素晴らしいわけではありません。問題点としては、やはり25分刻みの話をまとめた事による「引き」の弱さ・シナリオラインの混乱でしょう。これはもう総集編という物のサガなので、どうしようもありません。ただ、冒頭のまどかの夢を削ってしまっていたりするのは、伏線をすっ飛ばすことになるのでどうなんだろうと思ったり。鑑賞者がみんな原作を観た前提だからだと思うのですが、やはり一本の映画としては瑕疵を免れません。重ねて言いますが、総集編というのはそう言う物なので仕方ないのですが。

一方、幾つか描き直された場面で違和感があるのは、ちょっと困ったところ。
上で書いたように良い修正も多いのですが、一番きつかったのは、まどかとほむらがマミ死亡後に高架道路を歩きながら会話するシーン。ここは、背景の夕焼けとシルエットの工場街という対比の中で魔法少女の(つまりほむらの)絶望が語られるシーンで、原作の中でとても印象的でした。ところがこの映画では、背景の工場街は写真集でおなじみの無機質ながら美しいイルミネーションを灯し、空は黄昏の朱と闇が入り交じります。つまり、背景がうるさすぎて、シルエットで二人の感情と距離を表していた巧みな演出がぶち壊され、恐ろしく安っぽい画面作りになってしまっているのです。

特に、プラントに光を灯したことで、あの「都会の真ん中なのに、世界に二人きりしかいないような寂寞とした空間」が崩れ、演出の精度が恐ろしく下がってしまっています。
これは、緑のさやかに対する宣戦布告シーンが、狭い喫茶店からオープンスペースのフードコートに変わってしまったことで、雰囲気が大きく変わってしまって居る事とパラレルかもしれません。

こう言うのを見ると、手間暇金はかければいいと言う物ではなく、下手に手を入れたためにぶち壊されてしまう物もあるというのが、よく解りますね。いやはや、実に勿体ない。

とは言え、逆を言えば気になったのはその程度であり、全体的にとても良くできた作品でした。そもそも原作が極めて優秀な傑作ですから、それを映画館の大画面で見れるだけで、十分に満足のいく物になるのは当然と言えましょう。と言うわけで、ファンには120%、ファンでなくてもまどか☆マギカが気になっていた人は、是非見に行くべきだと思います。
いやあ、後半を9~12話だけに絞ったと言う事は、きっとあんなシーンやこんなシーンをガンガン補完してくれるでしょう。今から、来週が楽しみでなりません。



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